寒さにぼーっとしていると見落としてしまいそうな微妙な変化から大胆な変化が起こる季節。
僕が好きな句を挙げてみましょう。
母の詞（ことば）自ら句になりて
毎年よ彼岸の入に寒いのは 正岡子規
ほの香訳：正岡子規（満25歳・明治26年）の作。母親のつぶやきをそのまま口語調に発句したと枕詞にある。
明治から令和に移って温暖化が進んだとはいえ、彼岸の頃は寒気に閉じ込められていた殻から抜け出るような気温の上昇がとても嬉しい。そして寒の戻り。
そんなことは齢を重ねていた子規の母は重々承知で、恐らくは自宅で薄着を楽しんでいた息子（子規）を軽く叱ったのではないだろうか？
当時の子規は元気いっぱいの若手新聞記者である。2年後に子規は結核で吐血・以後母と妹の献身的な介護を受けることとなる。
麗しき春の七曜またはじまる 山口誓子
ほの香訳：読んでそのまま。春たけなわではなく今日から春がはじまる実感が超絶に嬉しい。一週間と詠まず七曜（ななよう）としたところが一日一日を感じさせて美しい。日々大きな変化が見られるのが驚きの春なのだ。
雪とけて村一ぱいの子ども哉 小林一茶
ほの香訳：理屈はいらない。子供は雪解けが楽しいのだ。この（私の）村にはこんなに大勢の子どもがいたのか！？と驚きながら。
現代日本は伝染病の罹患渦中にありますが、騒ぎが収まればこんなに大勢の子どもがいたのか！？と再発見するやもしれませんね
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する