『日本山岳案内 2 奥多摩の山々･甲武相国境･奥武蔵の山々』
水野申也執筆, 鐵道省山岳部編 博文館刊 昭和15年6月発行
p156-159｢高指山｣(本仁田山)箇所の原文を記してみた｡
私自身読みづらいので､現代仮名遣い､旧漢字は基本的には常用漢字に異体字はなじみのある字になおした｡
今回は｢2､棚沢薬師堂口｣p158-p159の部分を記した｡
薬師口
新宿駅−(一時間三五分)−御嶽駅−(バス二〇分)−鳩ノ巣−(二〇分)−
薬師堂−(一時間三〇分)−伐採地−(一時間三〇分)−高指山
費用 新宿駅−(九三銭)−御嶽駅
御嶽駅−(バス三〇銭)−鳩ノ巣
薬師口とは此の登路の入口に薬師堂があるので名附けて見たので決定的なものではない｡此のコースはどちらかと言えば降路に取つた方が､山頂近くの雑林帯で迷ふことが少ないのではないかと考える｡
鳩ノ巣から大ダワ口と同じ様に指導標に従つて棚澤の部落へ西川ノ谷に架つた橋の袂から登り出すのである｡やがて左に警防団の器具置場､それから水場が現れて赤松のある人家の方へ左に折れれば自然に熊野神社の前に出る｡鳥居の前迄行かぬ内､小石段の処から左へ里道に入ると､もう西川谷の対岸に二本杉の亭々と聳えて居るのが見えよう､それが薬師堂のある地点である｡
それ迄は人家の下を通り､西川谷にかかる丸太橋を見てそれを渡り､一喘ぎ登れば瑠璃閣の文字も鮮かな堂宇に達する｡薬師堂である｡一寸した台地であつて登路は左側より急登して居る｡
間もなく､植林地帯が左にあつて径は二分するが､此処で右折してぐんぐんと登り出す｡尾根に出て暫く緩登となり､雑木林や植林地を抜けて西川谷側のみを辿る｡展望も左側は樹林が深く展望はない｡
筑摩山で右山腹を逼う径となり､捲き終えるとガレた悪い所等もあり､最近伐採された地点に入る｡径は伐採地の腹から右上の尾根筋近く辿る様になり､植林中の尾根に凹地を見て､伐採された処と､植林のきはを辿る｡
やがて植林と雑林の境近くなり植林中に急登しても良く､右手の雑林と植林の境目を枝や木を頼りに登っても良い｡いづれにしてももう径はなくなってしまう｡
此の植林地を抜けてしまうと雑林中を急登することになるが､尾根筋に中々広いから成可く完全な尾根と考える地点を辿ることである｡少し進んでから右手に寄って見ると腹は一寸落ちて稜線のケジ目が判るが余り右手ばかりは辿れない｡巨大な岩が雑林の中に現れて来るが､此処を過ぎてしばらく相変らずの雑林を分けながら山頂近きと思ったなら左寄りに腹を捲いて見ると､ひょいと明るい灌木地帯に飛出ると､もう頂上迄右へ径が通って居て､最早一と足である｡
降路に此の径を取るならば頂上から灌木の径を辿って右寄りにぐんぐん降り始めたなら､左へ雑林を分けて左寄りに降るのであるから､此のコツを忘れぬことである｡
以上に説明した二登路は共登山の時期は繁茂期を過ぎた十一月頃から浅春晩くとも五月頃迄が良いと思ふ｡特に薬師口からの登路は頂上近く雑林が深いから夏期前後はさけた方が賢明である｡
筑摩山の山腹は盛に伐採されて居り､上記した伐採地と植林地帯の境の目標も亦､伐採されそうに生長して居るからなくなるかも知れぬ｡其の時は西川谷寄りの山稜を辿ると考へて置けば良い｡地図にある破線路は全然なく新たな小径が筑摩山の腹を捲いて､棚澤迄続いて居るのである｡
以下メモ
�ヾ屬發覆�､植林地帯が左にあつて径は二分するが､此処で右折してぐんぐんと登り出す｡
→棚沢薬師堂の左径から花折戸尾根の古道標に出るまでは右折はしていない｡｢此処｣古道標のあたりのことなのか､あるいは花折戸尾根に出るまでに右折をする径があったのか?花折戸尾根ではないのか?
�⊃⇔喘罎糧�根に凹地
→『皇国地誌西多摩郡村誌』｢棚澤村｣に記述がある｢池溏蹟｣のことかな?
�Ｃ淤犹海亮蠢阿離乾鵐競紅�根との合流の記載がない｡筑摩山まで花折戸尾根を通らないルートなのか?
2018.4.18追記
�と穏涼呂呂匹海�?
