深田久弥氏はその著『日本百名山』の中で、雨飾山について次のように書かれている。
【北側から仰いだ雨飾山はよかった。左右に平均の取れた肩を長く張って、その上に、猫の耳のような二つのピークが睦まじげに寄り添って、すっきりと五月の空に立っていた。】
戦前、雨飾温泉から登頂を目指したこの時は登山道を探しあぐねた末、分からずに引き返している。
3度目は1957年10月下旬で、この時に小谷温泉から登頂された。
【ついに私は久恋の頂に立った。しかも天は隈なく晴れて、秋の午後三時の太陽は、見渡す山々の上に静かな光をおいていた。(中略)古い石仏は越後の方へ向いていた。その行手には、日本海を越えて、能登半島の長い腕が見えた。一休みして、私たちはもう一つのピークの上に立った。案外近く、三十米ほどしか離れていなかった。下から眺めてあんなに美しかった、その二つの耳の上に立った喜びで、私の幸福には限りがなかった。】
雨飾山に登頂したことのある人は、「この二つのピークは下から見上げて双耳峰には見えないのではないか?」と思う人は多いかもしれない。
(笹平から登頂した場合、右が北峰、左が南峰=本峰である。)
雨飾温泉側から見上げて双耳峰に見えるのは、雨飾山本峰(1963.3m)と西尾根の1842mピークとの関係である。↓
http://nagunchu.travel.coocan.jp/soujihou.html
北西の根知川沿いから見上げたことがあるが、確かに耳二つに見える。
この点について、小谷村観光協会にメールで問い合わせたことがある。その回答は、私が確認したかった雨飾山と1842mPとの関係については触れず、ずっと以前から双耳峰と言われているから双耳峰だという、役所として誠にそつの無い回答だった。
小谷村でなく、糸魚川市に問い合わせるべきだったかもしれない。
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