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津島佑子が初めて自らの父母兄そしてその親戚までに思いをはせて描いた作品ではないでしょうか。
戦時中に甲府駅に現れたヒットラーユーゲントを見に行った二人の少年と一人の少女を中心に戦前戦中戦後にわたる「フテキカクシャ」という言葉からのメッセージ小説です。
この言葉はヒトラーが、ユダヤ人のホロコーストに走る前、自国のアーリア人の身体的障がい者、精神的障がい者を不適格者として排除したことからできた言葉として使われます。
津島佑子には珍しく登場人物が多く、今まで以上に時間が交錯し、頭の整理が追いつきませんでした。
最終章は病気に臥し最期を覚悟した津島佑子の静かな叫びになります。
残念ながら津島佑子の時間が足りなかったようです。
巻末に津島香以による「狩の時代」発見の経緯がつきます。
もうこれ以上津島佑子の作品を読むことができないということは寂しい限りです。
念のため津島佑子の父は太宰治、母は甲府出身、障がいを持つ兄は小説と同じ15歳で他界しています。
津島香以は娘です。
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