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この尾根の右側が松木沢で昭和の初期まで足尾銅山とは関係なく自給自足に近い暮らす人達の集落がありました。
精錬所から出る煙がこの谷に滞留し、その成分である亜硫酸ガスが樹木に壊滅的な打撃を与え、松木沢に面した樹木を枯らし、集落の穀物も全滅に追い込まれました。
その結果、樹木は白く立ち枯れ、表土は剥げ落ち、その下の岩が露出してしまいました。
今から40年前には岩登りのゲレンデとしてJECCルートや第二次RCCルートなどと命名されたルートが存在し、私たちも本チャンさながらのトレーニングができるところとして通いました。
何しろ岩角が立ち、脆く、ハーケンを打つと隣のハーケンが抜けてしまう。
落石でなけなしのお金で買ったばかりのザイルが切断されてしまう。
そんな若い岩場でした。
その後緑化事業が始まり、今は見違えるほど緑が増えました。
昔はモノトーンの世界で、地獄を絵にすればこんな感じかなと思ったものです。
さてその緑化事業で採用されたのが、強力な生命力で地面に根を張り、治山効果が高い地中海原産のエニシダでした。
7月にはきれいな黄色い花を咲かせます。
今回私たちは庚申山に突き上げる途中沢入山と中倉山、横場山を持つ、右は亜硫酸ガスで植生が全滅した松木沢、左はその被害を免れた仁田天沢を分ける尾根の末端から取り付きました。
傾斜は45度です。
そこに今まで全く見たことのない草が密生していました。
7月の黄色い小さな花をたくさんつけていた草です。
写真の種をつけていたので「マメ科、多年草、黄色」で検索するとエニシダに行きつきました。
更に同定を続けるとなんと昨日歩いた横場山の斜面の写真が掲載されたサイトに行きつきました。(笑)
多年草かとおもいましたが5mにも成長する灌木のようです。
どりで掴んでもびくともしなかったわけです。
現在は本来足尾に存在しなかった外来種の広がりを危惧して、想定外の広がりもあり、採用は中止しているようでした。
昨日も観光バスがやってきて日本の植生回復のモデル地域として視察しているらしき団体さんがいました。
われわれ人間はどこまでも頓珍漢ですね。
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