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まず初めに受験勉強と称して区立図書館に通い山の本を全部読みました。
当然出版が古い本が多く、トリコニー鋲の靴を履き、編み上げ式のオーバーシューズで歩く世界を思い描いていました。
山の店を見つけ初めに買ったのが鉈です。
高校で山岳部に入り、今時鉈で道を切り拓いたら違法になることを知りました。
まだ著者が存命中に八方尾根から親不知まで抜けました。
栂海山荘に宿泊した際にそこに置いてあった「栂海新道ものがたり」や「山賊野郎の青春」をぱらぱらと読み、林野庁環境省と喧嘩しながら拓いたことを知り、いつか読もうと思っていました。
備え付けのノートには著者がヘリで栂海山荘に上がったことも著者自身により書かれていました。
私には贅沢な遊びを実行した幸運なオヤジとしか見えません。
栂海新道は私道です。
そういう道が一つぐらいあってもよいと思います。
私がはじめて見た小野健のポートレートは長髪の白髪を靡かせた古老でしたが、
本書には若いときの精悍な顔つきの著者がちゃんと掲載されています。
それを見てやっとイメージの統一が測れました。
本書は道を切り開く苦労話もさることながら、羚羊、熊、モリアオガエル、ヤマウサギの話、そしてわずかですが奥様と3人のお子様との話も魅力的です。
ただこの本は1971に出版されたそれらを全面的に見直し改訂されたもので、どうも小屋や読んだ本よりとんがった部分がなくなっているようです。
著者も巻末の書かれていますが、小野健亡き後の維持管理が大きな課題で、廃道もありかと思います。
非常に読みやすい文体でした。
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