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高安駅を降り、玉川上水のような巨大な鯉がうごめく用水路にぶつかったら左手に折れ、次に右手に折れ、一見高級住宅地のようですが駐車場に置かれた車は実用的な車ばかりの多分公営住宅団地の中を流れる小さな用水路沿いに進みます。昔は生活に欠かせない用水路だったのでしょうか。蜆のような二枚貝が生息しています。直に突き当りを左に折れ、しばらく行くと右角にそのお店があります。
駅から3回曲がるだけです。
ドアを開けようとしたらいきなり店主とぶつかりそうになりました。
丁度若者二人を送り出そうとしていたところでした。
「今から店を閉めて病院に行こうと思っていたのですが、どうぞ。」
真ん中の4人掛けに案内されます。
店に私と店主だけ。
店主が氷水を入れたマイセンのグラスをもって私の向かいの席に座ります。
創業40年記念とかでまずシールをもらう。
次にメニューをくれる。
さらにメディアで紹介された番組が格納されたDVDをもらう。
以上はすべて有料だが、40周年記念で特別に無料だそうです。
「確かブロマイドもありましたよね。」というとブロマイドもくれました。
メニューのうんちくを伺い、お勧めの温かいコーヒー(お急ぎの方向き)アフリカン(水だし湯煎したもの)苦みのストロングを注文する。
厨房の奥で「よし」・・・・「よし」・・・という店主の声が聞こえてきます。
古伊万里に注がれたコーヒーが運ばれてきました。
とろみのあるコーヒーです。
ココアパウダーを飽和状態まで溶かしたような感じです。
左手には店の名前の由来のバイクがあり、その上にVT25のPPモノアンプが2台。
球は当然WE。スピーカーはアルテック。
残念ながら火入れは行われていません。
聴くのはジャズ。女性ボーカルだそうです。
「最近私はブロッサムディアリーにはまっているんです。」
「いいですね。このWEはストックを10本ほど持っています。」
店主は詩人でもあります。
好きなのは中原中也。
私が「汚れちまった悲しみはたとえばきつねの皮衣」とそらんじるととても喜んでくれました。
三好達治の名前もあがりました。
中也と太宰が大げんかをして檀が仲裁はいるとそそくさと太宰は逃げた話で盛り上がります。
石川啄木も好きで、亡くなったばかりのドナルド・キーンの啄木自伝にも話が及びます。
店主が16歳の時に書いた詩集も拝見しました。
そして16歳から書き始めた小説の冒頭部分のコピーをいただきました。
珈琲のうんちくについては正直に私はお店のおすすめの対極にあるキリマンジェロ系で浅煎り、粗挽きを1.5倍の豆を使い、渋皮を吹き飛ばしてから低めの温度で立てると話すと「家庭で入れるコーヒーはそれがベストだ。」と応じてくれました。
店主がおもむろに厨房に入り何かを握り締めてきて私の目の前で手のひらを広げます。
「タンザニアです。100グラム200円です。」
「え」
「特別です。200グラムなら800円です。」
「通販はしません。店に来てくれた方だけにお分けしています。」
浅煎りのとてもきれいな豆です。
店主はその握り締めた豆も含めて100グラムを袋に入れてくれました。
病院の時間があるので名残惜しいですがお暇をしました。
舌癌の可能性があるのでその結果を今日聞きに行くそうです。
(今電話をしましたら問題のない口内炎だったそうです。)
「癌は詳しいですよ。」とつい冗談を言ってしまいまた盛り上がってしまいました。
開店時間は6:00〜3:00まで。
厨房の中で数時間転寝するだけだそうです。
今晩は100グラム200円のタンザニアで立てました。
すっきりした酸味がある美味しいコーヒーでした。
borav64mさん、こんばんわ。
実は30年以上前頃の常連です。
仲の良いバイク仲間がここでバイトをしてました。
店名の由来になったミュンヒと、
日本に一台しかないバンビーンを交代で
展示しています。
当時からおちょこサイズ一杯700円のコーヒーを
出してました。抽出するのに30分かかるので、
自宅を出る時に注文すると到着する頃には
出来上がってる。。って具合です。
マイセンのグラスは友人もヨーロッパまで
買出しに連れて行ってもらったと喜んでました。
マイセンで出すコーヒーは今は2000円くらいでしたっけ。
なんか最近とんでもなく高価な一杯も出しているとか。。
昔は田んぼの中の一軒家でしたが、当時から何回行っても
迷いやすい立地で、よくわかりましたね。。(笑)
k-yamaneさん
すぐ目の前に山が見えて驚きました。
あの山を越えると奈良なのですね。
我が家も珈琲と紅茶のカップはマイセンを使っていますが、茶渋が付かずに実用的です。
店主さんの常用バイクはスーパーカブの様で長距離走破の武勇伝も聞きました。
borav64mさん、こんばんは!
ミュンヒに行かれたのですね(^_^) 普段コーヒー淹れてないですし、一見客状態で、うちはその方面の引き出しが皆無なもので、なぜか教育の話になったのでした💦
バイク、オーディオ、詩集、そして一番の豆と、店主さんの引き出しを目一杯引き出して来られて、店主さん共々楽しまれたご様子、流石です(^_^)
今度行くときは、せめてコーヒーの指南をboraさんに受けてからがいいなぁなんて勝手に思ってしまいました💦(ジャコウネコ系とクマ系はナシの方向で💦💦)
toshiizumiさん
大阪の中心部から遠いのには驚きました。
中也の「山羊の歌」の初版本、中原中也のサイン入りを見せてもらいました。
中也のサインが気取った書体ではなくよかったです。
キリマンジャロではなく、タンザニアと呼んだ方が味わい深そうですね。我が家から2時間ぐらいで行けそうだから、時間を見つけてぜひ訪ねたいと思います。
それにしても、K・Yさんは日本全国どこにでも顔を出しているのですね。
maasuke1さん
駐車場もあるという事です。
駅からもわかり易く近かったです。
分けて頂いたタンザニアは雑味が無く酸味が際立ちとてもおいしかったです。
お店でも普通のコーヒーを出してくれればありがたいのですが。(笑)
borav64m様、
こんにちは、
アルテック+ウエスタンはやはり良い音がするのでしょうか?
たまに飲みに行く横浜の店では耳が痛くて聞くに堪えません。
アンプはアキュフューズだと思いますが、
ただ繋いであるだけでセッティングしている風ではありません。
まあ、今となってはプレミアムですから
自分で買うことはできませんが・・
yaspon27さん
店主曰く時々は鳴らしているとのことですが、真空管を見る限り休眠状態でした。
鳴らせれば球とアルテックなので音圧は凄いと思います。
我が家もしばらく前まではサブ機として自作の2A3を鳴らしていましたが、
今はアキュフェーズの650と36をバイアンプでB&Wの804D3を鳴らしています。
1日中聴いていても疲れなく心地よいです。
この前のアキュフェーズも40年近く使い、最後はオークションで35%ぐらいで売却できました。プリもメインも3回ぐらいオーバーホールをして使い続けられました。完璧なアフターサービスがアキュフェーズの素晴らしさの一つです。
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