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一途な職人肌で毎週山行を重ねる妻鹿(メガ)と入社3年目で会社の付き合いで山歩きを始めた波多が妻鹿のバリ山行に興味を持ち連れて行ってもらう話が中心で進行します。
出張ついでに六甲山のB懸尾根から荒地山を2度ほど周回したので出だしから引き込まれました。
著者は漢字の選び方に拘りがあるようですがクマザサを隈笹と正確に表記するところは好感が持てました。
小説にも出てくる横池には綺麗に白く縁取りされた葉が茂る隈笹の群落があったのを思い出しました。
しかし妻鹿が行うバリ山行を実施ている人が居るのでしょうか。
普通に弱点を突けば必ずそこには踏み跡があります。
ただ登場人物の妻鹿のバリ山行には単独行が必須のようです。
わかる気がします。
主人公の波多が言う所詮遊びという言葉は遊びと仕事の違いが分からない私には会話の設定に無理がありました。
50人規模の会社の経営の難しさはリアルでした。
ただ妻鹿は人物設定からしてマスキングテープ(所謂ピンテ)なんかつけないと思います。
妻鹿を含めた登場人物たちはヤマレコを使い表紙カバーは「みんなの足跡」がモチーフですね。
単純な私は、妻鹿さんのお蔭で従来路線に戻って会社も持ち直すというラストかと思いました。芥川賞は取れそうに無い😅
私はこの小説は登山という本質が描かれているような気がします。
数ミリのスタンスに立ち数ミリのホールドに指を掛けているとそこに自分の命を実感しました。
冬山をやり切って里に戻るとそこにいつもの暮らしが待っていました。
長い間山関係の本は沢山読んできましたが、これは何か不思議な読後感の残る秀作だったと思います。
私は去年の8月18日購入してから積読状態でした。
思うに主人公にあえて「遊び」と言わせ、遊びとは何ぞやと読者に考えさせているのでしょうか。
舞台が六甲山で妻鹿がかっこよくないところがいいですね。
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