上高地・徳沢〜長塀山(蝶ヶ岳時間切れ敗退)
- GPS
- 53:16
- 距離
- 37.4km
- 登り
- 1,706m
- 下り
- 1,700m
コースタイム
松本BT0745-0900中の湯-0930釜トン中の湯側-1001釜トン上高地側-1035大正池ホテル冬季トイレ1043
-1115上高地帝国ホテル前-1125田代橋-1137ウェストン碑-1200河童橋-1209大休止1235
-1240小梨平-<左岸>-1332明神館-<左岸>-1445徳沢
2011/3/5(土) 徳沢⇔長塀山 (日の出:6:13 日の入:17:45)
徳沢0650-0858 2000m付近で小休止0905-1051 2330m付近で小休止1111-1333長塀山Pの先にて時間切れ
-1348大休止1410-1638徳沢
2011/3/6(日) 徳沢→中の湯
0858徳沢-<河原>-1037明神橋右岸側-1046明神池1058-<右岸>-1155河童橋-1256大正池(大休止)1345
-1416釜トン上高地側-1433釜トン中の湯側
天候 | 2011/3/4(金) 曇時々晴 2011/3/5(土) 晴 2011/3/6(日) 晴のち曇 気温は段々上昇傾向 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
アルピコバス【特急】松本〜高山線 http://www.alpico.co.jp/access/express/matsumoto_takayama/ ・松本BTはJR松本駅お城口を出て駅前右手のビル「エスパ」内。B1F窓口にて乗車券購入、6番乗り場。 ・中の湯バス停:松本→高山は釜トン手前、高山→松本は釜トン出て右手。 ・松本BT⇔平湯の往復乗車券は¥4,100で少しお徳 ・松本BT 0263-32-0910(6:00-20:00) |
コース状況/ 危険箇所等 |
◇道の状況(釜トン〜徳沢) ・釜トンネル〜河童橋 圧雪/融雪の状態でツボ足OK。雪崩箇所あるが越えるトレースは明瞭。 ・河童橋〜明神(左岸) 積雪5〜10cm程度でスノーシューの明瞭なトレース有。ツボ足OK。 ・河童橋〜明神(右岸) 明神の工事は終了しており工事車両の通行は無い。凍結ツルツル多くスリップ注意。 ・明神〜徳沢(夏道左岸) スノーシューの明瞭なトレース有。ツボ足OK。 ・明神〜徳沢(河原) 明神側の河原取付は右岸側。河原はスノーシュー/ワカン推奨 ◇登山道状況(長塀尾根) 取付から暫く急登続く。最下部の100mほどはツルツル凍結でアイゼン推奨(自分は無理やりワカンで登り下り)。 凍結箇所を過ぎると融雪層の上に10cm前後の湿雪。2000m付近から長塀山Pまでほぼ樹林帯で積雪30cm程度、 ワカン/スノーシューが無いと厳しい。斜度もあるため、特に下りはスノーシューでは厳しいと思われる。 3/4(土)に比較的大勢の通過があったため、降雪なければトレースは残るだろう。 ◇登山ポスト 釜トン中の湯ゲートに用紙とポスト有 ◇温泉 中の湯(立ち寄り、卜伝の湯) |
写真
感想
憧れの冬の上高地。折角冬山登山をはじめたので、日帰り出来る山に挑戦してみよう!ということで、
徳沢⇔長塀尾根を計画。積雪期の長塀尾根の記録はあまりなく、日帰りピストンの記録は『途中敗退』と
なっているものが多い。体力無し&冬山登山初心者&長塀尾根初心者なので、欲張らず時間を決めて
いけるところまで行こう、だが条件良ければ蝶ケ岳も…期待と不安の半々で挑んだ。
以下個人日記です。
【3/4,1日目】松本→中の湯ゲート→徳沢
松本駅近くのビジネスホテルをチェックアウト。前夜の居酒屋独り呑みは地元リーマン達の談笑を背に
カウンターでチビチビと。旨い山賊焼きに地酒もすすみ、若干二日酔い気味。
7:45発の松本〜高山バスは乗客5名。バスターミナルにおられた巨大ザックの若い男性は新穂高から
穂高〜槍などを狙うと話していた。松本市街地を抜け山間部へ入ると雪が増えてくる。バスは時々路肩
に寄って乗用車を先に行かせながら、定刻どおり9:00中の湯到着。降車は自分ひとりのみ。小雪のちら
つく中、ゲートへ歩く。同じタイミングで送迎車が数台到着。地元ツアー会社名の入ったジャケットを着た
男性は2名のお客さんを連れているようだ。「どこまで行かれるんですか?」と声を掛けられ、徳沢と答えると
「ああ、同じですね」と。どうぞよろしくお願いします。登山届けを記入しポストに投げ込み、身支度する。
釜トンネル内は結構暖かく、意外と上り坂で汗をかくので薄着、トンネル出口でワカンをすぐに履けるよう
準備。新調した2段式伸縮ストックをザックから外すとスノーバスケットがポロリ。仮止めの状態で購入しそ
のまま持ってきてしまった。ストックの先にはめようとウンウン頑張るが、樹脂が固くはまらない。中の湯
売店に飛び込み、中におられた男性に状況を説明するとはめて下さった。どうもありがとうございます、
スミマセン。売店外に出るともう誰もいない。出遅れた!つい早足でトンネル内を歩行するが、11%の坂道
なので息が上がる。まあ今日は徳沢までなので、そう急ぐことはないのだが。真っ暗な中を無心で歩き続け
るとやがて明るいトンネル出口が見えてくる。出口付近はスケートリンク状態なので注意が必要。いよいよ
冬の上高地に入山だ。
トンネル出口から暫くは雪崩の多発地帯なのでなるべく川側に寄り素早く通り抜ける。どんよりとした空模様
だが久しぶりの冬の上高地の空気と景色に頬が緩み胸が高まる。何箇所か雪崩が道を塞いでいるものの
越えるトレースは明瞭だ。大正池ホテルが見えてくる。冬季トイレに立ち寄る。出発。途中でガイドパーティ
を追い越す。上高地帝国ホテルの分岐に到着。田代橋を渡る右岸方向へ行く。橋を渡り上高地温泉ホテル
付近にはサルの群れが多い。おもちゃみたいな子ザルが愛らしい。右岸からは梓川を挟んで霞沢岳が真正面
にそびえる。少し雲も取れてきて、真っ白な稜線が薄いガスの中に映える。この夏に島々から徳本峠を越えて
霞沢岳に行ってみよう。ウェストン碑を通り過ぎ少し進むと河童橋。渡って再び左岸へ。梓川脇のベンチで
大休止。前夜調達したパンを放り込み出発。小梨平の冬季トイレに立ち寄る。テント無し。明神への左岸道は
スノーシューのトレースが明瞭で迷うことはない。静かな林の中の雪道をトボトボと歩く。明神館が見えてきた。
ここから先は入山者の数も少なくトレースも薄いかと思いきや、相変わらずはっきりしたスノーシュー跡。結局
徳沢までワカンを履くきっかけを失ったままツボ足でいくこととなる。最近降雨があったのか、融雪層の上に
積雪5〜10cmで一歩一歩がズボッ!ズボッ!という感じでやや疲れるが、ワカンの浮力が欲しいというほどでもない。
梓川が左岸ぎりぎりまで迫る箇所は登山道も高巻きしており、ちょうどそこを横切る小さな沢が渡渉点となって
いる。流れる水の表面を1cm位の氷が覆っており、渡された板も凍っているようなので、石に足を置くのが安全な
ようだ。徳沢へ続くトレースは途切れることなく続き、時々単線と複線を繰り返す。スノーシューの人は新雪
を歩きたいんだろう。徳沢手前でアイゼン履きの単独男性と対面。天泊で長く滞在しており今日は天気が悪い
ので横尾まで散歩してきただけだ、と。長塀尾根から、調子が良ければ蝶に行きたいと話すと、今朝横尾を出た
パーティが蝶ケ岳経由で長塀を下ると言っていたので、トレースはあるのでは?と。それでは、と別れ徳沢へ。
林が広がり方向感覚が無くなるが河原からモービル跡が続いているので追う。テン場にはテントがひと張。
一年ぶりの静かな徳沢に無事到着。小屋で過ごす夜はガイドツアーの方々や管理人さんたちとの楽しい談笑で、
明日に備え早めに就寝した。
【3/5,2日目】徳沢⇔長塀尾根
積雪期の記録から算出した計画では、朝6:30に徳沢を出発し長塀山10:00、蝶ケ岳11:30で15:00徳沢戻り。
天気はかなり良さそうなので、計画通りいけば余裕で蝶ケ岳へ到達できる筈だが、そううまくはいかないのが
常で引き返し時刻を14:00に設定する。α米赤飯とインスタント味噌汁を食べ6:50登山口。もう遅れが生じて
いる。直前に1名、3名が登っていったので後を追う。取付から100mほどはブッシュとガリンガリンの氷まじりの
コンディションでかなりの傾斜。ジグを切りながら登るアイゼンのトレースが続いているが自分はワカンのツメで
無理やり登る。念のため8本アイゼンは持参しているが、耐えられる範囲でワカンで頑張るつもり。少し登ると氷の
上にうっすら積雪が現れ、アイゼントレースとワカンの幅が合わず苦労する。そのうちに先行者に追いつく。
トレースありがとうございますと声を掛けると、先頭の若い方が頑張ってくれるから、と中年3名パーティ。
ここで小休止らしく、先を行く単独男性を追う。きつい傾斜は相変わらずだが積雪量も増えてくる。追いついた
単独男性は自分の足元を見て、「やっぱりワカンのほうがいいですよね」といいながらザックを下ろしたので、
先に行かせてもらう。もうトレースはない。樹林帯を基本的にはまっすぐ登るが、傾斜がきつく、微妙な凹凸も
あるので適度にジグを切る必要がある。トレースの上手下手が如実に現れる場面だ。後から来る人に、ヘタな
トレースだなぁと呆れられるのを恐れながら登る。何故ここまできて見得を張る必要が??とはいえ、新雪に最初に
足跡をつけるのは気持ち良い。朝日が樹林の隙間から雪面を照らし樹の陰が長く伸びる。2000m付近の平らに
なったところで小休止。野鳥の声。単独男性に追い抜かれ先に行っていただく。コンパスの長さが違うので
ピッチが合わず疲れる。そのうち追いつき、その後は時々トップを交代しながら登る。赤テープやマーキングを
見つけながら登ろうとするものの、なかなか見つからない。自分はGPSを見ながら方向を定め登りつづける。
夏道をショートカットしようと急な斜面に取付く。かなりキビシイ傾斜。濃い樹林帯でなければ雪崩が怖い
ところだ。だんだん気温が上がり、膝下程度の積雪が重くなってくる。夏道ショートカットを何とか登り、
2330m付近で小休止。単独男性は先に行く。体力が違うなー。再出発。2430mあたりで急に展望が開ける。
うおぉぉぉぉ!!!思わず出る叫び声。素晴らしい展望。濃い樹林帯に覆われ延々続くラッセルに心が折れかけて
いたが、一気に復活!!頑張るぞ!!!が、先行トレースは何故か下っている。GPSでは夏道上に居るし、夏道は
トラバース気味ではあるが登高している。まさかここまで来て引き返したのだろうか…先行トレースを辿るのは
やめ、左手にヤブをエイヤっと突破するとまたもとの濃さの樹林帯に。なるべく夏道に沿うよう、GPSとにら
めっこで登る。先行していた単独男性に追いつく。開けたところで下ってませんでしたか?と尋ねると、ヤブを
越えられそうになかったので夏道に出ようと一旦下ったとのこと。2480m付近からなだらかな地形となり相変わ
らずの見通しのきかない樹林と微妙な凹凸で進行方向が難しい。気温も上昇しますます積雪は重くなり、ワカン
に雪ダンゴ、ストックのスノーバスケットに載った雪さえも重く感じ、ルートファインディングとラッセルに
苦しめられる。目をこらし、何とか赤テープやマーキングを探しつつGPSも頼りに登る。あともう一山越えれば
三角点というところで上方に人影が2名。こんにちはーーっ、上から来られたんですかぁーーーーっ!前日きいて
いた、横尾から上がってきた人たちらしい。神様仏様。あの人達のところまでたどり着けば、ラクチントレースが
待っている!!!あと3m登るだけなのに傾斜がきつすぎて重雪太腿ラッセル状態、全身全霊で足を持ち上げる。やっと
対面パーティと合流。横尾からの登りはトレースもなく厳しいと予想していたので蝶ケ岳避難小屋で一泊し、
今朝山頂から下ってきたとのこと。荷物は増えるが、そのほうが日程的には妥当だよなぁ。スノーシューを履いて
おられた。快晴無風の天候で、蝶ケ岳の稜線は素晴らしいですよ、ぜひ行ってくださいと励まされ、再出発。
三角点のほうの山頂へたどり着く。やったー!!!だがもう13時をまわり、予定時刻を大幅に過ぎている。ここから
先は傾斜は緩いが距離があり、14時引き返しリミットとすると恐らく妖精ノ池までも行けないだろう。三角点を
越えコルの先で引き返すことを決心する。残念だが自分の力量はここまでということ。また来ればいい。単独男性
は先へ行ったが自分は三角点山頂まで戻って大休止。樹林越しではあるが周囲の山々が青空に白く輝き、
西穂〜奥穂や槍、富士山もくっきりと雄大な姿を見せてくれる。あぁもうこれが拝めただけで大満足だよ。
おにぎりにかぶりつくと梅干が顔を出しグッと溢れそうになる。山っていいなぁ〜
さああとは下るだけ。トレースもあるし、登りではまったく気付かなかったが樹林の向こうに穂高の稜線や焼岳も
見え隠れし、ラッセルの苦労もどこかへ吹っ飛び心も軽やかに下る。ワカンを履くのは今日が初めてだが、下りが
こんなにラクなものだとは知らなかった。雲の上をスイスイ歩くように、に近い感覚で駆け下りることができるし、
踵が利くのでコントロールも自在だ。浮力の点でスノーシューよりも劣るといわれるが、下りの機動性を考えると
ワカンの実力は圧倒的ではないか。ガンガン下っていると一眼レフをぶら下げた単独男性と対面する。アイゼンの
ツボ足のようだ。今日はどちらまで?と訊くと、多分蝶ケ岳泊まりでしょう、と。今朝はトレースが無くラッセルで
死にそうになったと話したら、トレースどうもありがとうございました、と丁寧に言われ、いえいえそんな、こんな
トレースですが使っていただいてこちらこそありがとう、という気持ちに。この先ツボ足は厳しいでしょうけど頑張って。
引き続き駆け下り続け、横尾パーティに追いつく。下部の傾斜がきつくなる手前でスノーシューからワカンに履き
替えていた。あっという間に下っていき、最後のガリンガリンの斜面に。多少緩んではいるものの、日陰なので
ツルツルのまま。ワカンの爪でなんとか足場を確保するが、一度だけ滑って肝を冷やす。どうにか登山口へたどり着く。
テントの増えたテン場を横目に小屋へ戻り、管理人さんの笑顔に出迎えられる。
【3/6,3日目】徳沢→中の湯
6:30頃起床、昨夜食べ損ねたレトルトカレーを朝食に、お世話になった小屋をあとにする。次の冬、また来ます。
往路は夏道を使ったので帰りは河原歩きにする。小屋からすぐ右手に進み、林を抜けて土手に出ると、いきなり
明神・穂高の山々が視界を覆うようにそびえる。そういえば去年は夜の月明かりでこれを見たことを思い出す。
圧倒されて声も出ない。深呼吸してあらためて「すごい!」右へ視界を映すと梓川のはるか向こうに大天井の
稜線が並んでいる。真っ白な河原には地味に赤いケショウヤナギがポツポツ。梓川と取り囲む山々をしばらく
眺め見渡してから、河原を明神に向かって歩きはじめる。また来るよ、必ず。
途中に有名なナントカというケショウナヤギの老木があった。似たような風格の古木が2本あり、どちらがその
有名なナントカという木なのかわからないが、とりあえず写真に収めておく。河原歩きは復路は向かい風になる
ので、どちらかといえば往路で歩いたほうが楽だろう。幅の広い梓川の河原はどこでも歩ける。ぼちぼち歩いて
いくと、目に入る山の眺めも少しずつ変化し、やがて徳沢も視界から消える。
明神橋の手前で右岸に上がるときいていたので、右岸寄りを歩く。いつのまにか川には水が流れ、やがて橋が
見えてくる。手前は完全に雪の着いていない石ころの河原になっているので、ここでワカンを脱ぐ。車道に上がる
のか石ころの河原を歩くのか迷ったが、行けそうだったのでそのまま河原を越え、明神橋の直前で車道に上がる
トレースに従って歩く。去年(1月末)はここで大々的に工事をやっていたが、今年はもう終わっていて、人気の
ない静かな明神を見渡す。時間があるので明神池に寄ってみる。ここも人気がなく静かだ。車道に戻り、河童橋まで
右岸の車道を行く。凍結ツルツルの上を砂のような雪が覆っている箇所が多く、何気なく歩いているとスリップ
するので注意が必要だ。無心で延々と歩き、もうすぐ河童橋というあたりから人をみかけるように。日曜日なので
日帰りで楽しむ人はこのあたりを散策するのだろう。車道を左に逸れて河童橋へ。橋の上にも周囲にも人がいっぱい。
橋を左岸に渡ってそそくさと退散、上高地バスターミナルの冬季トイレに寄って無心で延々と歩く。大正池ホテル
の手前から、散策路を行く人影が目に入り、自分も行ってみる。湖畔には近づけないのかと思い込んでいたが、
ちゃんとトレースがついていた。池を眺める。カモがプカプカ浮いている。かわいいなあ。そういえばここまで
来れば携帯は繋がるので、折角上高地に居るにもかかわらず携帯メールチェックし俗世間の空気を一瞬味わう。
気を取り直して、湖畔で大休止とする。湖面をすいすい泳ぐカモご夫妻をぼんやり眺めていると、こちらへ向かって
くる。上陸し、メスは雪の上をよちよち歩いてこちらへ近づいてくる。甘納豆の包装セロファンを破く音に素早く
反応しこちらを見上げる。あー、人間がエサをくれると思ってるんだな。心を鬼にして無視するが、しばらく
周囲をウロつき、くちばしを伸ばし、顔を見上げ視線を合わせてくる。いつもこうして観光客にエサをもらって
いるんだろうな…まったく人間は…
ひとしきりカモを眺めて楽しんだあと出発。右に振り返ると、いつのまにか青空が出ている。やがて釜トンに。
いよいよ冬の上高地とお別れ。またね…
トンネル内を快調に下り、あっという間に中の湯ゲート到着。テレ板を背負った男性がおられたので、どのあたり
で滑るんですか?と尋ねる。焼岳周辺だそうで、戻ったら調べてみよう。夢のような冬の上高地の3日間は終了した。
【おまけ,中の湯泊】
釜トン中の湯ゲートの到着後、売店の方に声をかけ、宿から迎えにきていただく。もともと3日目に自宅まで
戻るつもりにしていたが、折角なので中の湯で一泊することにした。部屋に案内され、早々に風呂へ行く。
3日間の汗を流し、硫黄臭の露天風呂に身を沈めれば極楽。のぼせそうなので一旦上がり、夕食前にまた
ひとっぷろ。温まった身体に生ビールが吸い込まれていく。山の幸に舌鼓を打っていると焼きたての岩魚が
運ばれ、頭からバリバリ喰らいつく。そのうち鴨鍋がグツグツ煮立ってくるので、ぬる燗の日本酒と一緒に
ハフハフと口に運ぶ。大正池のカモのことなどすっかり忘れて美味しさにうっとり。冷たい蕎麦を啜る。
最後に鴨鍋の雑炊をいただけば大満足。また風呂に入って、布団を被ればそのまま沈没。
翌朝も風呂に入り朝食をいただく。昼過ぎに松本まで送迎をお願いする。野鳥のエサ台がロビーからよく
見える位置にあり、カラ類がひっきりなしに飛んでくる。ベレー帽と呼ばれるコガラが多いようだ。時間が
あるから卜伝の湯に行きますか?といわれ、車で連れていってもらう。岩をくりぬいた浴槽に成分の濃そうな
お湯がたっぷり満たされ、浸かってみるとなめらかでいいお湯。薄明かりの岩風呂をしばし楽しむ。宿に
送迎してもらい、昼食に頼んでいた蕎麦をいただく。粒の目立つ蕎麦は細麺でキリっとした食感、口いっぱい
に蕎麦の甘みがひろがる。山葵の葉のおひたしも美味しく、中の湯のご主人お薦めと仰っていたのは本当に納得。
その後、松本まで送迎していただいた。冬の手間のかかる時期に、独り客のためにあれこれお世話していただき、
本当にありがたく、冬の上高地の思い出の余韻をじっくり味わう一夜となった。
【考察】
今回の経験を今後に活かすために、蝶ケ岳に辿り着けなかった理由を考察してみる。
1.天候
快晴無風の好天。予報では移動性高気圧が日本列島の真上に位置し、降水確率もいちばん低かったので、この日に
なるようスケジュールした。意外に気温が上がったことで積雪が重くなり、10時をまわった頃から苦しいラッセル
となってしまった。どこまでも続く樹林帯は風もなく、適度な薄着にならないと暑さでバテる感じに。
好天にもかかわらず敗退となってしまったこと、これを避ける方法は、もっと寒い時期の好天を狙うこと。2月ならば
もっと気温も低く、積雪があっても雪が軽いのでラッセルも苦しくないだろう。が、2月までの厳冬期は一日中好天
など滅多にないのが現実。3月上旬の安定した好天はかなり恵まれた条件だったはずで、敗退の口実には成り得ない。
2.技術
トレースがなく、ルートファインディングが必要だった。夏道はかなり素直についており、マーキングも多くはないが
それなりに在るのでヤブ山のような困難さはないコースのはず。樹林帯ながらGPSの感度は良好だったので、GPSを利用
したルーファイはうまくいったと思う。もっとできることといえば、夏にも歩いてあらかじめ地形を体感しておくことか。
今回自分はワカンとストックで通した。最下部のガリガリツルツル斜面は少々苦しかったが、登りも下りもワカンが最適
であったと思う。もしスノーシューも持参していたとしても、傾斜がきついこと、重量が増えること、履き替えが面倒、
などの理由で、結局使わなかったのではないかと思われる。従って装備は○。
3.体力
やはりこれが一番の問題と考えられる。たしかに積雪は重かったが、体力と脚力があればバテることなく、足を強力に
前に出し続けることができたはず。体力と持久力、脚(大腿四頭筋とハムストリングあたり?)の筋力増強に努める
べきである。
こんばんは、あと少しで蝶ヶ岳!
その行動力!脱帽です
お疲れさまでした!
araigengaさん、どうもありがとうございます。
実は、日帰りピストンで時間切れ敗退は2度目でして…
(昨年6月に大無間の予定が時間切れで小無間往復)
少しは学習しろよ!自分!て感じなんです
ebiさん、単独での冬季チャレンジお疲れ様でした。
冬は小梨平から先は未経験なのですが
読んでいてうるうる来ました。
中の湯の日記もいいですね。
温泉で、ほっこり。
泊まってみたくなります。
sakusakuさん、こんにちは!コメントどうもありがとうございます。
あとで読み返したときに、当時の状況や気持ちが蘇るように
自分本位な書き方をしていて、事実と気分がゴチャマゼの
日記になってしまってるにもかかわらず、共感いただけて
とても嬉しいです
冬の上高地は、釜トンというわかりやすい出入り口があるだけに、
「入る」「去る」の意識がより強くはたらくんですよね。
雪の上高地と中の湯、ほんとにおすすめです。
ぜひ行ってみてくださいな
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