浄土山から真砂乗越、内蔵助谷滑降、黒部ダムへ


- GPS
- 08:20
- 距離
- 16.2km
- 登り
- 1,414m
- 下り
- 2,422m
コースタイム
天候 | 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・室堂〜浄土山 雪は安定しており、安心して登れた。シール登行し、途中からクトー装着。 ・浄土山〜真砂乗越 滑走は問題ない。雄山下のトラバースはカリカリ斜面で少し気を使う。真砂乗越への登りは、シートラ&アイゼンで。途中から強風に悩まされたが、登行には支障なかった。 ・内蔵助カール〜内蔵助平 雪庇を避けて、富士の折立の方からエントリーした。上部はカリカリだったが、途中から滑走し易くなり、楽しくシュプールを刻んだ。カール下の500mバーンは、最初の40度斜面がガリガリで危なかった。その後50m程度降りると雪も緩み、ターンもしやすくなった。内蔵助平は広くて、緩斜面をのんびり進む。 ・内蔵助谷滑走 右岸、左岸とルーファイしながら滑れる所をさがして滑る。 ・黒部川〜黒四ダム 内蔵助谷出合で雪がつながらず、黒部川上の雪面まで水際をへつり、あとはシートラし、ツボ足で登った。最後はデブリのある谷を登り、登山者用のトンネル入口に入りゴール。(同日に遭遇した5人組パーティーのLからの情報によると、懸垂下降を強いられることもあるとのこと) トロリーバス駅に抜ける地下道の入口は、残雪多いと隠れて大変見つけにくい。標高1480m、地理院地図では二重破線の地下道がつづら折れの地上道が東西を向いている所に出合って終わっている。N36°34'4.6", E137°39'58.9". |
予約できる山小屋 |
立山室堂山荘
|
写真
ホタテの燻製もあります。デザートは輪切り焼リンゴ。採れたてタケノコ最高の味でした。(N)
装備
個人装備 |
クトー
アイゼン
ピッケル(ウィペット可)
を含むBC装備
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共同装備 |
補助ロープ(Nishiden)
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感想
4月22日の土曜日は正午に富山マラソンの一般枠エントリーの開始があり、午後発で山に入り、日曜日は完全日帰りでは難しいスキールートに行きたいと思った。その点でChikauさんと思いが一致し、同行することにした。宿泊先は先週悪天で行けなかった浄土山南峰の富大小屋。その周辺は素晴らしいスキールートが何本もあるが、その中でも最高のものとして内蔵助谷に行くことにした。
内蔵助カールからのスキー滑降は、僕は過去2回あるが、いずれも内蔵助平からはハシゴ谷乗越を経て剱沢に移って室堂に戻っており、今回初めて黒部川に下りて黒部ダムをゴールとした。内蔵助平-黒部ダム間は2013年の6月2日に一般登山装備で通過したことがあり、無雪期には何度か通ったのである程度は勝手がわかるかと思っていた。それはまるきり間違いではなかったが、やはり残雪豊富なこの時期の様子は全然違うものだった。
22日、ケーブル立山駅で集合して15:00のケーブルに乗車、室堂出発が16:30過ぎ。若干ガスがかかっているが、トレースのある一ノ越方面へ進むのには支障ない。もうこの時間に誰もいないだろうと思ったら、都合2人のスキーヤーが下りて来た。1人はシートラで駆け下りて来て、尋ねたら案の定、機材トラブルとのことだった。
一ノ越の手前から右へと、浄土山の沢に入り、中途で尾根に乗り上げる。尾根に上がる途中で雪面が堅くなり、クトー装着して浄土山南峰に達した。登頂とほぼ同時に、ガスが切れて夕日一歩手前の太陽が見え、次いで雄山が見え出した。一度小屋に入り、直ぐまた外に出て夕日を眺めた。富山平野にかぶさる雲が激しく動く。太陽が雲が、雄山が次第に赤くなる。感動的な夕景色に出会え、これをこの場所で我々2人しか見てないんだと感慨一入だった。
23日、6時過ぎに出発、浄土山北峰との鞍部に下り、東の沢斜面にドロップする。アイスバーンを恐れて慎重に入るが、大丈夫、問題ない。しばしスラロームを楽しんで、一ノ越の高さまで来たら真砂乗越の下までトラバース開始。乗越が見上げられる場所まで来たら、その乗越直下の急斜面に雪がない。これは厳しいだろうと大走りを登ることに方針変更、もう少しトラバースを続けて大走りの尾根の横っ腹になる標高2400m地点、ここでシートラ、アイゼンに換装して登りだした。
夏道のある大走りの尾根筋に達すると、少し上に先行者グループ、今日これからお世話になる5人組だった。そのトレースを辿って登行を続け、彼らは真砂岳の山頂を目指していったが、僕らは途中に右に折れて真砂乗越へ。富士ノ折立てが大きくそびえ、眼下にカールの全貌、その向こうに後立山の連山を望む良い場所だ。
乗越のカール側は、かなり幅広く雪庇となっており、富士ノ折立側に少し逃げてからドロップイン。ここも雪質上々、2人とも楽しくスラローム、下りて行くと中斜面が続いてクルージングとなる。真砂山頂からは5人組が下りて来てご挨拶。スキーの腕前が揃ったパーティーの様だ。行く先が同じであるとも判明。
次第に右へと逸れ、標高2550mで東向き斜面の上縁に立つ。この斜面は500mx500mバーン等と呼ばれており、カールから近づいていくと先が見えない、端に着いて下をのぞき込むとすげぇなぁ、という感じの大斜面なのだ。そこに着く少し前から雪が堅くカリカリになっていたのでちょっと怖かった。恐る恐る入って行き、斜滑降で標高差50mほど下りる。一度思い切ってターンし、また50m下りる。最初と比べれば雪は軟らかくなり、傾斜も少し緩くなった。もう大丈夫と連続ターンを切って行く。後からGPSトレースを分析すると、斜滑降した区間は丁度40度、その下は35度になっていた。Chikauさんも無事下りて来て、スラロームを続け、バーン下の小尾根に進んで標高2000mで休憩、下りて来た斜面を眺めて至福の時となる。5人組は大分南の方、僕らと全く違うラインの途中でやはり休憩していた。
小尾根から内蔵助平まで、見通しもよく快適クルージング。デブリ越えが1箇所あったが、易しいものだった。さて内蔵助平から下の内蔵助谷、問題の箇所に入って行く。最初は夏道のある右岸、標高1650mから下が急傾斜地区。ここで少しルートに迷い、一部ツボ足で下りたり、またChikauさんがちょっとトラブったりしている間に5人組が通り過ぎて行った。こうなれば後を付いて行くのが一番の得策。デブリ、段差、割れ目などを越えたり避けたりのルート工作が、トレースを付けてもらって格段に楽になった。
内蔵助谷出合で黒部川に出る手前から水流が見えて来て、ちょっと緊張するブリッジ渡りで出会いに着いた。ここで黒部川沿いのルートに出るのに、流れの際をへつる形の渡渉。この先さらなる難所が現れるのか心配になったが、後は概ね雪がつながっているところを辿って行けばよく、渡渉もデブリ越えも易しいものだった。川沿いの夏道はずっと左岸を通って最後に橋を渡るが、残雪ルートは最後が右岸となり、橋を渡らない。橋の前で休憩し、ダムへの登りに備える。
ダムへの登りは、前半は5人組の後に付き、後半は方向を教えてもらって僕らが先行したが、トンネルの入り口を見つけられずにうろちょろしているところに追い付かれ、ここだよ〜と教えられることになった。この人たちがいなかったら、入り口を見つけるのが今日一番の苦労だったかも知れない。この時期にここに着いた経験のない人が確実にたどり着こうとすれば、このレコのGPSトレースでトンネル入り口が分かる筈だから、それを紙の地図でもGPSの地図上でもマークしておくとか、この場所の位置:北緯36度34分4.6秒、東経137度39分58.9秒をメモしてGPSで探し当てると良いと思う。
トンネル入り口からトロリーバスの地下車道に抜け、改札の駅員にお疲れさまと言われてダムの堤上に出て、観光客ひしめく中を歩いて黒部湖ケーブルカー駅で行動終了。以後3時間以上かかって5つの乗り物を乗り継いで立山駅に、余韻に酔いしれながら戻ったのであった。
初日は午後遅くスタートし、人もまばらな一の越を目指して、スキーでシール登行をした。途中からクトーをつけて、なんなく浄土山に到着。憧れの浄土山富山大学立山研究所の小屋開けに立ち会わせてもらった。中ではニシデンさんお手製の薫製やスープを食べさせてもらい、お酒も少々頂き、最後にはデザートまで出て来て、大満足。その後も山談義に花を咲かせて、10時前には就寝。
翌日は4時半に起床し、外に出たら遠く富山平野の夜景が綺麗であった。満点の星空が快晴を約束してくれた。食事をして、6時すぎに外に出ると最高の天気、思わず写真を撮りまくる。滑走は浄土山北峰とのコルからエントリー。楽しく滑り、途中から東側にトラバース気味に進んだ。
大走り手前からシートラ&アイゼンに換装して、登り始めた。途中で大走りの夏道に合流。風が強くなり、雪煙舞う中、黙々と進んだ。
真砂乗越から、滑走開始。内蔵助カールは気持ち良くシュプールを刻む。真砂岳から5人組のパーティーが滑走してきた。挨拶を交わすと、行き先が同じだった。内蔵助カールの最後の急斜面はニシデンさんがお手本を見せてくれて、その通りに進む。途中から雪も緩み、ショートターンを決めながら、楽しく滑走した。
内蔵助谷に入ると、ルーファイが厳しくなり、一度スキーを脱いで手に持ち、腐れ雪の急斜面を降りる場面があったが、そこで足下が崩れ、ウイペットですぐ制動したが、手にもっていた板一枚を落としてしまうという痛恨のミスをしてしまった。ニシデンさんに声をかけて、10mほど降りて、神にも祈る気持ちで回収に向かった。板は無事回収できて良かったが、今後手に持つ場合はスキーの流れ止めを手に固定するなど工夫が必要だと痛感した。
ここで私が時間をくっている間に、先ほどの5名のパーティーに追い抜かれた。このパーティーはこのルートを熟知しており、我々はルーファイの手間が省けた(ありがとうございました)。その後内蔵助谷出合まで彼らの跡を追いかけた。ここで雪が切れて、渡渉とあいなった。5名パーティーにお礼を言って、ここからは先行させてもらった。シートラツボ足で右岸左岸と雪の通れる所をつなげて歩いた。黒部川はまだ雪が繋がっていたが、途中一カ所渡渉した。地形もなだらかになり、スキーでシール登行できるとも思ったが、またどんな難所があるかわからないのでニシデンさんと協議して、そのままツボ足で進むことにした。ダムが見えるころ、後続の5名と合流。再度話をする。そのままデブリのある谷を登り、トロリーバスのトンネルの中に入る登山用の入口を見つけて、ゴールとなった。
山スキーとしては、充分にアドベンチャラスなコースだったが、終始ニシデンさんが先導してくれて、大変助かった(いつもながら感謝です)。天気も良く、美味しい料理も食べて、楽しい二日間だった。
コメント
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いつかは滑りたいと思っている内蔵助カール〜内蔵助平。内蔵助谷は一人で行くつもりはないから約1000mの登り返しが試練だなあ。500mバーンの手前まででもいいかな。内蔵助谷もワイルドで面白そうですね。
何度も見ている景色だけど写真の山々がほんとにキレイですね。やっぱりまた行きたくなっちゃいます。雷鳥平をベースにあの周辺で遊ぶ計画を立てたのですが今年のGWはイケそうにないです。1,2日が休めればいいんだけどなぁ。
内蔵助カールだけでもお薦めです。雷鳥平ベースで往復しても良いですね。500mバーンを降りてしまうと、そこを登り返すのは標高差でも斜度でも大変になりますね。
レッズさん、内蔵助カールも気象状況によりますね。この日は最高の状態で滑走できましたが、ガリガリだとやはり単独では要注意です。広大でなだらかに見えますけど、こけると止まらないですよね。一緒にいきましょう。
Nishidenさん、チカさん お疲れ様でした
僕も急遽スキーに行けることになりましたが土曜日は夕方からの行動ということで立山にも行きたかったですが白山にしました。
内蔵助カール〜内蔵助平の滑走が本当に気持ちが良さそうです。泊りじゃないと行けないし最後はかなりアドベンチャーだし単独でよし!行こう!とはなりませんねぇ(T_T)でもいつかは行きたいです。
今年は雪もまだ大丈夫そうだし5月にも同行できる計画ありましたらお願いします!(猫又谷、毛勝山、白山東面など…個人的希望ですが…)
今回浄土山泊でダムまで6時間台で行けました。室堂からでもほぼ同じ筈で、朝一バスでの日帰りも可能となりますが、五人組の人によると大変条件が良かったとのことです。ダムまで行ってもその日は帰れない覚悟も要りますね。
猫又、毛勝、白山東面、どれか是非行きましょう。
コウエイさん、川を雪をつないで、登り・降りるってやはりスキーの機動力だと思います。賞味期限の短いルートですが、チャンスがあれば来年また行きましょう。五月またよろしく!
ニシデンさん、チカさん、お疲れ様。
ハシゴダン、クラノスケから黒部ダムのルートは夏道で何度も歩いてますが、残雪期はこんな状態になるんですね。クラノスケ出合まではガレてフィックスロープが張ってあるほどの急坂ですが大丈夫だったんですね。また、出合からダムまでは、一応、黒部・下の廊下ルートですので、恐ろしく感じてますが、お2人で突破されたんですね。さすがです。
いやいや、僕には垂涎のアドベンチャーBCのように思えました。
クマ
kuma-san、こんにちは。今回はとても刺激的なすばらしいコースで大満足でした。もちろん天候と同行者に恵まれていたので、本来は私ごときが論ずるレベルではないとわかっています。そして痛恨のミスをしたので(結果オーライだったが)、ちょっとした気の緩みが致命傷になることを痛感しました。今後も気をつけてゆきやす!
はい、クマさん、
僕も内蔵助平から黒部ダムは、雪の無いときに何度かと、6月始めに行きましたが、全然違いますね。
6月の時が、ガレ場のフィックスロープは切れてるは、雪の切れ目が壁だし、木の桟道が傾いて崩れそうだしと、もっとアドベンチャラスでした。
ほとんど雪上で行けた今回は、内蔵助平-ダム下の所要時間も半分以下でした。
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