剱岳・北方稜線見送り*モルゲンロートに燃える裏剱・爽快な雪渓歩き・花と鳥・そして小屋の方々の暖かさと


- GPS
- 24:03
- 距離
- 33.9km
- 登り
- 3,509m
- 下り
- 3,571m
コースタイム
- 山行
- 0:56
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 0:58
- 山行
- 2:21
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 2:55
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 7:20
- 山行
- 7:01
- 休憩
- 1:18
- 合計
- 8:19
天候 | ■天候 8/11 ・雨のち晴れ ・天気図:http://www.tenki.jp/past/2017/08/11/chart/ 8/12 ・雨のち晴れ ・天気図:http://www.tenki.jp/past/2017/08/12/chart/ 8/13 ・晴れのち雨 ・天気図:http://www.tenki.jp/past/2017/08/13/chart/ 8/14 ・曇り時々晴れ ・天気図:http://www.tenki.jp/past/2017/08/14/chart/ 8/15 ・曇り時々雨 ・天気図:http://www.tenki.jp/past/2017/08/15/chart/ 全日程通して風はなし ■服装 ドライレイヤー+薄手のベースレイヤー 朝方は夏用ソフトシェルを重ねた。 |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
■往路 ・東京方面 → 富山(JR北陸新幹線) ・電鉄富山 → 立山(富山地方鉄道) ・立山 → 美女平(ケーブルカー) ・美女平 → 室堂(バス) ■復路 ・室堂 → 美女平(バス) ・美女平 → 立山(ケーブルカー) ・立山 → 電鉄富山(富山地方鉄道) ・富山 → 東京方面(JR北陸新幹線) ※電鉄富山駅で室堂までの往復チケットを買うと800円ほどお得。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■室堂 → 剱沢キャンプ場 特に危険個所はない。 ■剱沢キャンプ場 → 真砂沢ロッジ 剱沢雪渓は通行可能。 クロユリの滝を少し過ぎたところまで夏道を下った後に、雪渓に入る。 雪渓は進行方向右寄りの岸を下り(あまり端を歩くと危ない)長次郎谷出合にて、取水ホースをたどるように進行方向左寄りの岸に渡り、夏道に取付く。 その後夏道を行くが、崩壊が激しく、また、一部の夏道が雪渓に埋もれているため、夏道を歩くか、雪渓を歩くか判断する必要がある。 ※県警の看板に描かれたルート ■真砂沢ロッジ → 池の平小屋 危険個所はないが、道はやや荒い。2箇所ほど雪渓を渡る。雪渓上にはピンクのマーキングがあった。 鎖場は腰を壁につけて上体を後ろに反らすと通過しやすい。 ※北方稜線での滑落事故 僕らが仙人新道を登っている時に、異様な雰囲気の4人パーティが下ってきた。後ろの人が通り過ぎる時に 『山岳警備隊のものです。昨日事故がありました。危険な雪渓のトラバースが二箇所ありますがアイゼンとピッケルはお持ちですか?』 と聞かれた。はいと答えるとお気をつけてと言葉を残して下って言った。 後で小屋の人に聞くと3人パーティのうちの1人が小窓付近で滑落して亡くなったらしく、警備隊2人が残された2人を送り届けていたらしい。 亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。 |
その他周辺情報 | ▪カフェラウンジ りんどう 室堂のホテルに併設されたカフェ 軽食が食べられる。水出しコーヒーは美味。 ▪ミクリガ池温泉 日帰り温泉700円。9:00〜 観光客向けに整備された施設であり、中も綺麗で快適。 お湯は白濁している。 レストランも併設されており、食事ができる。 ▪ロッジ立山連峰 日帰り温泉700円。〜18:30まで。 山小屋感のある宿泊施設。 雷鳥沢から近いので、テント泊客が多い。 ちなみに雷鳥沢ヒュッテの方が洗い場が広い。 ただし、こちらはお湯も出が悪い・・・。 ▪回転 富山寿司 駅前にある寿司屋。一階は回転寿司、二階は座敷。 新幹線待ちをするなら二階の座敷で地酒を嗜みながら富山湾の幸をゆっくり嗜むのが良い。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
ベースレイヤー
ソフトシェル
ハードシェル
ズボン
靴下
グローブ
インサレーション
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
地図
コンパス
計画書
ヘッドランプ
スマートフォンGPS
予備バッテリー
筆記用具
保険証
時計(高度計)
ストック
カメラ
マット
シュラフ
ハーネス
スリング2
安全鐶付カラビナ2
ピッケル
12本爪アイゼン
|
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共同装備 |
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ツェルト
ガス
バーナー
コッフェル
カップ
テント
ポール
テントシート
ツインロープ30m
|
感想
今回、北方稜線と呼ばれる剱岳のバリエーションルートを歩くという予定だった。しかしその起点である池ノ平小屋まで行くも、今回は見送った。
このルートは行程が10時間以上と長い上、ガスが出ると迷いやすい。場所が場所だけに、道を間違えると場合によっては一気に窮地に追い込まれる。
迷って剱沢についた時は真夜中だったなんて話も聞く。
こういうルートの経験が不足している僕たちにとってガスは一気にリスクを高めてしまう。完全に晴れたコンディションの良い状態でなければ撤退すると決めていたのだ。
帰りがけに富山で寿司を食べながら今回一番印象に残ったコトって何だっただろう?と話をしていたが、それは池ノ平小屋で出会った人達だったと言うことで意見が一致していた。
何せ辺境の地。北方稜線に行こうという者か、普通の登山にはチョット飽きてしまった猛者が集まるのである。
しかも『みんなあまりに山に登りすぎている』ので自慢っ気がなく、親しみやすい。
僕らは基本テント泊なので、普段あまり登山客同士で話すことはないが、この池の平小屋に集まる人達は面白くてずっと話しをしていたのだ。
ある方は百名山をもう達成どころか3週目に入っており、3000、2500m峰もほぼ達成。今では2000m峰を全て登ることを目標にされているとのことだった。
群馬の大きなハイキングクラブの会長さんだったようで、今回池の平山の企画を立てるものの、場所が場所だけに敬遠されて、1人でやってきたらしい。ここは未達の2500m峰の一つだったのだそうだ。
南峰は登れたものの、北峰はナタなどの藪こぎ装備が無いと辛いので諦めたらしいが、北峰をリベンジするため、また来るのだとか。
そして槍ヶ岳の西鎌尾根から見える硫黄岳に登るのが、それが次の目標なのだそうだ。ちなみに『群馬の県境を歩く』と言う本を書かれているということで、実は有名な方だったのかな?
えらい世話好きだったのも印象的だった。
また、外で”ガスで何も見えない裏剱”を見ながら、テント泊の人と話に花を咲かせていた。
自分たちとまったく同じようにクライミングジムをきっかけに外岩をはじめ、バリエーション系に足を進めてきたという方だった。
『全くおんなじですね〜』などと言いながら、クライミング話で盛り上がった。
ここで働いているおばちゃんの「おもてなし」も嬉しかった。お客さんへの説明用の写真を見せてくれるだけでなく、自分で撮った紅葉の時などのの写真をデジカメで見せてくれた。
去年来た時も、小屋から見える峰々や、モンローの唇と呼ばれる雪渓など、とても嬉しそうに説明してくれたのを覚えいる。おそらく、毎日のように登山客に説明しているに違いない。
そしてちょこちょこ外に様子を見に行き、ガスが少し晴れては、室内にいる登山客に
『稜線が見えて来ましたよ!!』
と声をかけるのである。
相当この場所が好きでここに働きに来ているんだろう。そしてみんなに裏剱の景色を見ていって欲しい。そんな気持ちがひしひしと伝わってくるのである。
そんな雰囲気の小屋なので、登山者同士も自然と距離が近くなるのである。
そしてアタック当日・・・・
天気はガスが出たり晴れたりといった予想ができない状況だった。他の北方稜線のアタッカー達は僕たちより実力があり、実行を決めていた。
だけど、ぼくらは少しでもガスになるようなら、撤退と決めていた。
引き返すことをご主人に告げた。
すると
『もしこの状態が続けば行ける』
『まだ今出ればまだ間に合う』
と僕らの背中を押そうとしてくれた。
ただ、仮に晴れるものだとしても、出発時点の不安定な状況では、行くことを決断することはできない。僕らは小屋のご主人がイメージするより経験不足である。チャンスを掴みに行く実力はなかった。
『今回は見送ります。』
ご主人にいった。
『そうか、分かった。』
とちょっと残念そうだった。
おばちゃんと一緒に外まで見送ってくれた。
相棒が帰り道を間違えそうになると
おばちゃんが
『北方稜線、やっぱり行きたいのね』
と笑った。
『またきます』
そう言い残して小屋を後にした。
残念だったのは自分たちだけではなかった。
今回ピークを一つも踏んでいないが剱という山に対して愛着が湧いたような気がする。
見送りも山旅の物語の一部なのだろう。
僕らの北方稜線はまだその道中のさなかにあるのである。
cajaroaさん、こんにちは(^^)
今朝、出勤前にレコ読ませていただいたのですが、もう頭の中は山モードになってしまい、「行きたい、行きたい、裏剱」でした(笑)
以前テレビ番組で、「裏剱岳」の特集が放送されて、食い入る様に見ていました!
行きたい気持ちは有るのですが、公共交通機関が苦手な私は、さすがに剱岳方面は遠くて、中々計画実行されません😢
片道500キロ以上あるので、以前息子と交替で運転しても、しんどかったです>_<
でも、剱岳には登りたいので、いつか実現したいと思います٩( ᐛ )و
cajaroaさんとmaamさんの山ご飯は、本当に美味しそうですね😋
私は小屋泊専門なので、自炊する事は有りませんが、我が家の日常の食事より豪華な気がします(笑)
テント泊だと、普段はあまり他の登山者の方と、お話しする事は少ない様ですが、私は山小屋でのおしゃべりがとても楽しみなんです💕
色々な話が聞けて本当に面白いです(*^^*)
次は何処の山へ行かれるのでしょうか❓
また、投稿楽しみにしています💕
ak0211さんこんばんは!
富山経由だと遠いですが、室堂へは信濃大町方面(扇沢)からもアルペンルートで入れるので、そうするとだいぶ短くなりますよ。300kmくらいじゃないでしょうか?
トロリーバスに2回、ロープウェー、ケーブルカー乗りますが、そこはどちらから入ったにせよ避けられませんが。。。
公共交通機関だと新幹線の関係で富山経由の方が早いのでそちらを選んでいます。
裏剱へは劔沢雪渓を歩いたほうが楽なので、夏か、夏前くらいのシーズンがいいです。秋だと夏道を歩くのですが、この夏道がかなりきついし危ないです。
ぜひぜひ。北方稜線行かないなら、軽アイゼンだけで十分です。
人間模様が面白いのは池の平だとおもいますが、景色が綺麗なのは仙人池の小屋だと思います。昨年も見れなかったのですが、仙人池に映る逆さ裏劔は一度見て見たいものです。
たぶんこちらの方が人間も普通なきがする。。。
うちの山ごはん、やはり我が家の日常の食事より豪華です。(笑)
普段2人とも残業が厳しいブラック企業に勤めているため、疲れてパスタとか、簡単料理ばかりしているのです。山でそのストレスを発散しているような気もします。
そのため、毎回かなり重量がかさんでしまうのですが・・・
さすがにバリエーションやるときは軽くしなければならない上、登攀具を持たなければ行けないので、さすがに考えようかな?と思っています。(笑)
cajaroaさん、maamさん、こんばんは☽
お二方のレコには、いつも、参考&勉強にされっぱなしで恐縮です☆
裏劔どころか、メジャールートの劔でさえ未踏でですが、自分行く日があるのかなぁ…と思いつつレコ拝読いたしました
天候を読み、山行ルートの即座の変更スキルも、流石ですね!
昨年同様、今年もホント、天候読めず、ヤキモキしてます…
でも、今しか行けなしい…て無理しちゃって遭難につながっちゃうケース、ありそうですよね…
そこを、状況を見極め、変更転回するところが、やっぱり流石です!
自分だと、抑えきれない欲とか、制御できるかどうか…ウ〜ン…
ヤマメシも、美味しそう
カレーに潰れないナン、ナイス選択で、参考にさせてただきますね
machagonさんこんばんは!
いやー、今回悔しかったですよ。
天候が読めなくって、判断ができませんでした。
ただ、判断できないっていうのは何かが足りないってことなんだなと。
岩場の技術も十二分にあるし、雪渓をトラバースするのも問題ない。
ただ、少しぐらいガスっても行けるという自信はない。
経験が足りなかったのだと思います。
僕らは欲は絶対抑えません!
ただ、それは山を楽しむことに対する欲です。
悔しさはありますが、でも、遭難のリスクを背負って突っ込んで、不安な気持ちのまま北方稜線をただ通過し、怖い思いをして剱の山頂を踏んだけ・・・というのは本当に楽しいことなのかな?って思います。
よくよく考えると、無理してでも行きたいっていう気持ちって、山を楽しみたいということではなく、ただ単に、手ぶらで帰ることに対して怖がってるだけなのかもしれませんね。
山を楽しむならその道中すべてをしゃぶり尽くさないと(笑)
山メシもその一環かな?
僕も好天なら行こうかとプランニング中の北方稜線でした。岩好きカジャさん達ならそのうち行くだろうなぁ、と思っていたのでビンゴ!でしたね。
12日(土)に池ノ平小屋に入った知人からも滑落死亡事故があったことを聞いていました。彼らは、翌日曜は天気もまずまずだったようで北方稜線を登ってました。
事故につながるリスクの見極めをしっかりなされている様子がレコから伝わり、清々しい気持ちで読みました。僕もカジャさん達を見習い、長く山を楽しみたいと思います。
wakatakeyaさんこんばんは!
wakatakeyaさんも北方稜線プラニング中とは!
びっくりです。
そう、僕らの前日は天気良かったんですよね。
一方、僕らが登る日は微妙でしたが、劔沢に戻って、当日稜線行った人の話を聞いたところ、結果論としては「何とかなったかもしれなかった」という感じでした。
ただ、出発時の状況からは賭けにでれませんでした。実力がないとチャンスを掴みに行くことができないということが、今回身にしみています。
今年は雪が多いらしく、小窓近辺の雪渓のトラバースも2箇所残っています。例年、秋は雪渓のトラバースは消えるということですが今年は時期によっては結構残るかもしれませんが、剱沢の雪渓がしっかりしているので、雪渓を歩けたらラッキーですね。
お気をつけて、そして是非楽しんで来てください!!
福岡からの遠征なので、毎回お天気ばかりは山の神様のご機嫌次第と祈ってます🎵
今回は黒部ダムから入山して南下するか、別山尾根から北上するか、悩んでますね〜。
簡単なのは池ノ平からの南下だと思います。
そちらの方が断然迷いにくい(小屋での情報)のと、行程前半に核心部が超えられるので。。。最後、剱についたときに拍手で迎えられるというおまけ付きだそうです。(笑)ただ、池の平に着くまでに体力がいるという欠点はありますが、、、
楽しい悩みですね!!
cajaroaさん、maamさん、こんばんは。拝見するのが遅れてしまい申し訳ありません。それにしても今回の山旅も素晴らしい・・・1つ1つの画像にも見入ってしまいました。お二人の登攀姿や雄大な劔、大雪渓もさることながらホシガラスに赤とんぼ、シジミチョウ、チングルマの雫、そしてなんといっても毎回のようにメニューが変わる美味しそうな自炊
裏劔ですか・・・いつもレポート拝読して思うのは、北にしても南にしてもアルプスの懐ってどれだけ深いのだということです。行けども行けどもその奥には更なる道があり、目指せる頂きがあるのですね。天候で予定ルートに進めなかったのは大変残念でしたが、そのご判断もcajaroaさんたちの長年のご経験と自分自身を知り尽くしたその謙虚さ故のものでしょうし、全く間違っていなかったのだと思います。この「行ってからギリギリで引く」というのが私のような者も含めて殆どの登山者がなかなか出来ることでは無いのですよね・・・でも読ませて頂き、より一層心得なければという想いを持ちました。そして池ノ平小屋に集った人たち、本当に凄い方々ばかりなのですね。(お二人も私からすれば別世界の人ですがw)。なんだか涸沢あたりに居るゴッツくて威圧感のある人たちが可愛く思えてきてしまいました
ryoさんこんばんは
アルプスは本当に広いですよね。わたしも考えてみれば、メジャーどころでも手をつけられていないところはたくさんありますし、そうでないところを含めると、絶対一生のうちにいけないんじゃないか?って思ってしまいます。
南アルプスの深部なんて、なかなかいけないので一度行ってみたいですね〜。笊ヶ岳とか、、、聖とか、、、地味な感じですけど、なんか魅力を感じてしまいます。
と書いていると、2000m以上の頂をすべて制覇するという、小屋であったおじさんはすごいなと思いました。
天気の悪いときにはあまり登りたくないので、普段は晴れている日は山に行って、雨が降るとクライミングジムに行くというパターンが多いのですが、(だから晴れている山行が多いのです)長期となるとどうしても、天気が変わってくるので現場判断になるのはしょうがないですね。。。
体力や技術も大事なのですが、あまりとりだたされないですが、判断力って、大事だと思っています。
経験や知識を照らし合わせながらじゃないとなかなか身につかないし、もちろん失敗・・・と行っても命にかかわらない小さな失敗から想像しながら身につけて行くしかないものだと思います。
昔、風速25mの吹雪の中を突っ込んで行こうとしたら、ゴーグルをしていないmaamは頰が軽い凍傷になったとか、そんな失敗もあります。
ただ何より、山を楽しんでいれば、撤退しても悔しさは軽減されるんじゃないかなと思います。その山旅の過程のすべてを楽しめることができることは、すべての面で恩恵をもたらす気がしています。
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