【大雪・十勝連峰縦走】ガスの旭岳 トムラウシのご来光 雨の十勝岳
- GPS
- 152:00
- 距離
- 64.6km
- 登り
- 4,221m
- 下り
- 4,532m
コースタイム
- 山行
- 6:10
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 6:30
- 山行
- 10:30
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 11:20
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 2:10
- 合計
- 11:20
- 山行
- 11:00
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 12:20
天候 | 8/14:雨ときどきガス 8/15:ガスときどき雨 8/16:晴のちガス 8/17:晴のちガスのち雨 8/18:ガスときどき雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト) 飛行機
8/13:羽田空港→(飛行機)→新千歳空港→(JR)→旭川駅 8/14:旭川駅→(7:40発 いでゆ号 )→旭岳→(9:15発 ロープウェー)→姿見駅 ・復路 8/18:凌雲閣→(17:27発 十勝岳線バス)→上富良野駅→(JR)→旭川駅 8/19:旭川駅→(バス)→旭川空港→(飛行機)→羽田空港 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【コースの状況】 ・旭岳〜裏旭に雪渓が残っているが、アイゼンが必要なほどではない。 ・ロックガーデンはガスっているとマークが見つけにくい。 ・三川台〜双子池は背丈を超える藪漕ぎ。また登山道が深く抉れている。連日の雨でぬかるみ、非常に歩きにくい。 ・美瑛岳〜十勝岳の間にある鋸岳付近は、ザレ場の登りで蟻地獄みたいな感じ。また、この付近だけルートマークがない(踏み跡はある)。 【水場の状況】 白雲岳避難小屋 :あり(豊富) 南沼キャンプ指定地:あり(豊富) 双子池 :あり(たまり水) 上ホロ避難小屋 :あり(豊富) エキノコックス対策として、SAWYERのSP131を使用しました。 【携帯トイレの始末】 凌雲閣の登山口案内板の下に、回収箱がありました。 |
その他周辺情報 | ・ガスカートリッジ 新千歳空港の売店(スノウショップ)で購入しました(取扱はIP-250Tのみ)。 ・諸々の買い出し 旭川駅すぐのイオンが便利でした。 ・下山後の温泉 十勝岳温泉の凌雲閣を利用しました。日帰り入浴は\800。 昼食のL.O.は14:30まで(営業は15:00)。外の水道もお借りできました。 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
雨具
日よけ帽子
着替え
予備靴ひも
サンダル
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
非常食
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
食料
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感想
【0日目 8/13(日)】
本当は8/11の山の日からスタートしようと思っていたのに、天気予報はずっと雨。「これじゃ行ってもなぁ…」と思っていたところ、8/14(月)以降はまぁまぁの天気になりそうとのこと。「月曜から登って金曜に降りて、土曜に東京へ帰れば日曜はゆっくりできるし、来週からの仕事も大丈夫かな」とあたりをつけて、急遽予定を変更。
飛行機の預入荷物の重量制限20kgを超えないように、とりあえずのものだけ詰めていざ旭川へ。駅前のイオンで食料など諸々を調達し、本日の宿、東横インへ。しかしホテルに歩いていく途中で、メンバーカードを忘れてきたことに気づく。ポイントで泊まろうと思っていたのに(笑)。
【1日目 8/14(月)】
朝の天気予報が、昨日より悪くなっている。今日は雨で回復するのは水曜以降とのこと。ここまで来てしまっては仕方がない。ホテルをチェックアウトして旭川駅へ。この時点では曇り。7:40のバスで旭岳ロープウェーに向かう。
ロープウェー駅は小雨。「あ、上は雨だな」と諦観しながら、9:15の便で姿見駅へ。係員さんのレクチャーを聞き、入山届を提出し、準備を済ませて9:50に出発。ザックの重量は、飛行機で預けた時点で16kg。これに水や食料の諸々を合わせて、体感で25kgはなかったかと。
予想通りのガスと雨でテンションがダダ下がりのなか、旭岳に向かって登っていく。姿見ノ池も何も見えないのでスルー。ただ、登山者以外の観光客が結構いたのには驚いた。この天気なのにすごい。カメラを取り出す気にもなれず、黙々と登って12時過ぎに山頂に到着。当然ながら何も見えない。写真を撮って次に進む。
北海岳の分岐で、男性のソロと女性のソロに出会う。この後、女性とは3日目まで、男性とは4日目までご一緒することになった。
16時過ぎに白雲岳避難小屋に到着。雨に日和って小屋泊に変更。この日の夕飯はレトルトカレーのミートボール載せ。担いできたお酒で晩酌をしながら、明日以降の行程を確認する。
十勝岳から北上してきた男性から状況を聞くことができた。やはり先週末の天気は最悪だったらしく、「避けて良かった…」と胸をなでおろす。しかしオプタテシケ〜南沼の話を聞き、「どうしようかな…」と決心が揺らいだ。
【2日目 8/15(火)】
4時前に起きてラーメンを食べ、準備をして5時に出発。ガスで展望ゼロの中、コースタイムよりさくさくと進む。コースタイムには花を見たり写真を撮ったりする時間も含まれているに違いない。後から追いついてきた方はヒグマのフン(新しいやつ)を見たと言っていたが、無心で歩いていたためか全く気づかなかった。
特に何のハイライトもない(何も見えない)まま、忠別岳・五色岳を通過し、12時前に化雲岳に到着。まだまだいけそうなので、予定通り南沼を目指す。ヒサゴ沼を通過し、天沼に着く頃には雨が降り出していた。ここから日本庭園・ロックガーデンと足場が悪い場所が続くため、注意して進む。
ロックガーデンを登っていると、突然バテてしまった。ナキウサギの声を励みに、なんとか北沼分岐にたどり着くが、トムラウシを登る気力はない。明日の朝にピストンすることにして、南沼のテン場まで迂回した。しかしこの迂回路も岩がゴロゴロしており、疲労困憊の身体にはとてもキツイ道のりだった。
なんとか16時過ぎに南沼キャンプ指定地に到着。テントを設営し、水を用意する。煮沸しなくていい(と書かれている)SAWYERの浄水器はとても便利だ。米を炊く元気もないので、餅にレトルトカレーをかけて食べて寝た。
【3日目 8/16(水)】
3時に起きると、昨日とは打って変わって満天の星空。風もない。当初はさくっとピストンする予定だったが、変更してトムラウシ山頂で御来光を待つことに。ご来光に合わせて登り、しばらく撮影タイム。ここぞとばかりに撮りまくる。雲海の向こうから御来光も拝めて「やはり夏山はこうでなくては!」と感慨に浸る。
現金なもので、天気が良くなるとテンションも上がり、ここからの難路に立ち向かう気力も湧いてきた。キャンプ場に戻ってテントを撤収。初日からご一緒したソロの女性はトムラウシ温泉に下山するそうなので、ここでお別れ。餞別に飴をいただいた。梅の風味が美味しかったです。ソロの男性は双子池にテン泊する予定だそうで、「それならヒグマ注意の双子池でも心強いなぁ」と思いながら出発。
南沼から三川台までは道も良く、景色も良く、最高のロケーションだった。昨年の飯豊山でも感じたが、この広大な山容はアルプスでは感じられない魅力だと思う。ただ、三川台から双子池までは、藪漕ぎと直登の連続で辛かった。登山道は深く抉られ、さらに連日の雨でぬかるんでおり、何度も転んだ。口からは愚痴しか出てこない。加えて午後からガスが出てきて、天候に不穏なものを感じる。
15時過ぎ、独り言でついた悪態に藪の向こうから返事が。吃驚して進んでいくと、ソロの男性がテン泊の準備をしていた。双子池のテン場とは少し離れているが、こちらの方が条件は良いとのこと。精神的に限界だったので今日はここにテントを設営する。水は双子池で調達したが、最終手段まで取っておきたい水質だった。水の残量が心許ないので、夕飯はラーメンに変更して寝た。夜中は雨が降っていた。
【4日目 8/17(木)】
少し寝坊して3時半に起き、ラーメンを食べる。テントの外にでると一面のガス。しかしテントを撤収しているうちにガスが晴れ、オプタテシケ山の全容を拝むことができた。オプ山をバックに、ソロの男性とお互いに写真を撮り合う。そうこうしているうちに南沼方面に向かう2人組がやってきた。お互いに水場の情報を交換する。どうやら上ホロ避難小屋の水場は健在らしい。貴重な情報に感謝。気合を入れて5:20に出発。
双子池キャンプ指定地までは昨日と同じ藪漕ぎ。キャンプ地はまさに池(というか泥濘)の畔という感じだった。ここからオプ山までは600mアップの直登。朝一番で元気なはずだが、なかなかペースが上がらない。どうやら昨日、足を痛めたようだ。結局3時間かけてオプタテシケに登頂した。時間がかかってしまったため、残念ながら山頂はガスの中。しかし日は差しており、後から追いついてきたソロの男性とともに達成感を味わいながら写真を撮り合った。
オプタテシケを下り、ベベツ岳に11時前に到着。ここでソロの男性が、今日の予定を美瑛富士避難小屋までに変更するとのこと。私は体調のことを考えて今日のうちに上ホロまで進んでおきたかったので、ここでお別れすることに。お世話になりました。
夏だし日も長いので、18時に上ホロ避難小屋を目標として歩いていく。十勝岳に向かう途中のザレ場の登りで完全にガスに巻かれ、ルートマークを見失う。踏み跡はあるのだが、コンパスではどうも北方向に向かっている。そこは鋸岳の肩へ向かう箇所だったのだが、そのときは現在地を勘違いしており「北に向かうの?」とパニックになりかけた。結局、登り切ったところでルートマークを発見し、事なきを得た。
雨が降る中、17時前に誰もいない十勝岳に登頂。仕方がないので山頂の標識とともに自撮り。本当にアルプスでは考えられないくらい人が少ない。途中でガスが出て雨も降りだしたことが影響したかもしれないが、結局、14時ごろに美瑛岳分岐を通過してから上ホロ小屋に到着するまで、誰とも会わなかった(少し寂しかった)。
18時前に上ホロ避難小屋になんとか到着。雨の中、テントを設営して水を調達。水は情報通り豊富にあった。最後の晩餐としてレトルトカレーを2袋(余っているので)食べ、酒も飲み切った。停滞用に多めに持ってきたとはいえ、食糧計画を真面目に立てればよかったと反省した。雨の音を聞きながら、20時過ぎには寝た。
【5日目 8/18(金)】
4時半に起き、朝から米を炊いてレトルトカレーを食べる。外はガスだが、もはやなんの感想もなく撤収準備をする。足の調子は予想通り昨日より悪い。「頑張っておいてよかった」と安堵する。6時半くらいに出発し、富良野岳を目指してゆっくり歩く。当然ながら上ホロトカメック山はスルー。
10時前に富良野岳分岐に到着。ザックを置いて、富良野岳の山頂を目指す。ガスは一向に晴れないが、登山道の傍にも花がたくさん咲いていた。意外と急な登りを終えて、富良野岳に登頂。ガスの中、記念写真を撮っていただく。後は十勝岳温泉の凌雲閣に向かって下山するだけ。
しかしこの下山道は岩がゴロゴロしており、痛めた足にはなかなかの難敵。幸いバスの時間(17:27)までには余裕がある。コースタイムの倍くらいの時間をかけて、15時過ぎに凌雲閣に到着。ついに大雪・十勝連峰を踏破しました。いや〜、キツかった!
凌雲閣で日帰り入浴をし、外の水道をお借りして登山靴などの泥を落としてバスを待つ。上富良野駅から旭川に戻り、ホテルに宿泊。夜ご飯で一人焼肉デビューをしました。
【おまけ】
翌日、ホテルの窓から差し込む太陽の光で目が覚める。いい天気。本当にいい天気。日頃の行いが悪かったのかな(笑)
【まとめ】
社会人になり、ソロで登るようになってから、体力・気力ともに間違いなく一番追い詰められた山行でした。天候は残念でしたが、登山仲間とも触れ合えましたし、とても思い出深いものになりました。旭岳・十勝岳は晴れた日を目指してまた行くと思います。花のシーズンとか、紅葉のシーズンとかも見てみたい。
でも、南沼〜オプタテシケの間のルートは、もういいかな。
正直、今回の山行は「怖いもの見たさ」で計画した面もありました。厳しいと言われるコースはどんなものだろう。背丈を超える藪漕ぎとはどんなものだろう。確かにこの縦走で達成感は得られましたが、いろいろ考えさせられた面もありました。
登山者が通れば通るほど、土を抉り、植生を踏みつけ、あの登山道は荒れていきます。保全にはお金がかかるが、その費用を登山者が負担することは少ない。営業小屋があれば…とも思いますが、登山者が少ないと経営は成り立たない。登山者が増えると、登山道の荒廃が進む。ジレンマだと思います。
三川台のほかにも、途中に何ヵ所かビバークポイントがありました。しかしその場所は地図に記載されていません。安易な山行を計画させないためでしょうか。
風景はとても良いのに。もったいない。。。
偉そうなことを書きましたが、私にも妙案があるわけではありません。そういう意味でも、思い出の深い山行となりました。
先日はありがとうございました。無事、帰宅されたようでなによりです。
記録を読ませてもらい、あのときの情景が蘇って来ました。
同じポイントで苦労されていたようですね。三仙台からは、だれもが苦しめられると分かりました。
また山でお会い出来ること楽しみにしています。
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