『恐怖の赤線繋ぎ@八ヶ岳』網笠山&権言岳&赤岳


- GPS
- --:--
- 距離
- 16.3km
- 登り
- 2,188m
- 下り
- 2,208m
コースタイム
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 10:30
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・駐車場2か所あり ・仮設トイレあり |
写真
感想
※備忘録レコです
初めて南八に登ったのは3年ほど前。まだ山をスタートしたばかりの頃だった。赤岳から硫黄岳まで縦走したのだが、緊張と感動の連続だったことを思い出す。それから今日まで色々と登ってきた。でも、それ以来南八には登っていない。今回は日帰りハイク×2日間で八ヶ岳の赤線繋ぎを完結させたい。
初日は観音平から赤岳を目指す。途中にあるキレットが核心部。しかもピストンとなるので一日に2回通らねばならない...色々とルートの検討したがまぁ仕方ない。しかも、体力&筋力共に低下の一途の為、以前のペースで計画すると終盤でかなりヘコタレてしまう。心配の種は尽きないわけが、とりあえず無理せずやれるところまで頑張ることにした。
どうせ車中泊はいつも眠れないのだが、一応仮眠できる時間に観音平を目指す。間もなく到着という所で、ヘッデン照らして歩くハイカーさんが見た。通り過ぎた後、「ああ、乗せてあげればよかったなぁ」などと悔やみ、車を引き返すことにした。しかし、あのハイカーさんの姿が何処にもないのだ。「ま、まさか、幽〇じゃないよね...」どうしてもオカルト的な想像が膨らんでしまう。多分どこからか登山道へ入っていたのだと思うのだが、この出来事によって今宵のトイレがNGになること確定した。
1時間半ほどの仮眠の後、予定通りの時間に珍しくスタートすることができた。初めてのルートで不安があったが、思いのほか多くのハイカーさんが先行されてるようなので安心。まず平たんな道が続き、少しずつ緩やかな登りとなる。今回八ヶ岳を歩いて感じたことは、ともかく森が美しく目を楽しませてくれるということだ。木々の幹は白く綺麗で、葉も光に照らされ輝いているように感じた。森がきちんと保全されているので、密集した感じはなく、割と遠くまで見通せる。長い歩きの中でも癒されることが度々あった。
編笠山への登りの途中、時折コメさせていただいているmatakoさんに出会った。少しお話を伺ったところ、どうやら今日明日にかけて八ヶ岳では開山祭が催されるらしい。それに合わせ4日間で八ヶ岳を縦走するとの事だった。なんとも羨ましい山行だ。本日また再開する可能性が多いが、一旦お別れの挨拶をして先を急ぐ。
雲海と呼ばれる場所では、後方に文字通り雲海に浮かぶ富士山を眺めることができた。これはなかなか感動的!その場に居合わせたハイカーさんと喜びを分かち合う。押手川を超えると斜度が増し大きな岩が多くなってきた。少々難儀しながらも第一ピークの編笠山登頂。
山頂からの眺めはまさに絶景。富士山、南ア、中ア、北アの遠方の峰々を望むことができる。そして赤岳を主峰とする南八の迫力ある岩稜。さらには緑も美しい北八の峰々が連なって見える。若干抑え気味のペースで登ってきたのだが、まさに快晴の青空に間に合って良かった(実際のところここから先はガスが立ち込めていく)。独りその素晴らしい景観を眺めていると、後続のハイカーさんが続々いらっしゃる。その中に、ワンちゃんを連れたご婦人ハイカー(というかトレランっぽい)さんがいた。途中で抜いた記憶がないので、ここまで追いつかれたという事だろう。何とも健脚なワンちゃんである。実は、その後の権現岳まで私とほぼ同じペースで歩かれていた。何とか抜かれずにすみ、人としての威厳を保つことができた中年ハイカーなのであった(まさに必死)。
◆編笠山山頂
そして次のピーク目指して一旦標高を下げる。鞍部には”遠い飲み屋”青年小屋があった。写真でよく拝見した提灯を見ることができてちょっと嬉しい。小屋の中を拝見することはしなかったが、とても広々としたテント場が隣接していた。振返るとお椀のような形をした編笠山がとても印象的だった。
ここから徐々に岩岩ゾーンとなってくる。危険という程ではないが、落ちればただでは済まされない鎖のトラバースなんかもあった。やっと南八っぽい雰囲気になってきたわけだ。権現岳には5、6名のハイカーさんがいた。ここから下山して周回コースを行うハイカーさんが多いのであろう。何と言っても、先の赤岳に向かうには信州グレーティングD難度”キレット”を通過しなければならない。取りあえずキレット小屋を目指してまた標高を下げるのである...。
キレット小屋までの道はいい意味でのウォーミングアップ。直ぐに名物の”ちょ〜長い鉄梯子”があるが、まぁそれほど怖くななかった。ただ、長い時間梯子を持たなければならないので、その冷たさで手がかじかんでしまった。これから進む赤岳の容赦ない岩稜の姿に慄きながらもキレット小屋に到着。ここで少しエネルギー補給などしながら心を落ち着かせる。今回は少しでもスタミナをキープできるように、飲料水や食べ物の内容、そして小まめな補給に配慮した。
私にとってのキレット核心部は、大量の石が堆積する急登のガレ場だった。滑落という怖さはそれほどないのだが、「落石させてしまうのでは...」という恐怖感が心を蝕む。ガレ場ザレ場を不得意としている私にとっては、まさに緊張MAXの時間が続く。下にハイカーさんがいる時には、できるだけ声をかけるようにした。ここまで積み上げてきた貯金を全て吐き出し、さらに借金地獄に転落しようとも、ゆっくり時間をかけて一歩一歩着実に進むのだ。
まさに生き地獄の如きガレ場を通過すると、そのあとはひたすら岩場を登るだけ。まぁ危ない所もあるにはあるのだが、慎重に進めば問題はないはずだ。ところが、ここにきてふくらはぎの筋肉が悲鳴を上げ始めた。スタミナも切れ始めペースを落と差ざる負えない。キレットを私と同じようなペースで登るハイカーさんがいた。途中の立ち話でお互いのルートについて語った。彼は2日間で八ヶ岳を縦走する予定らしい。本日の宿は黒百合ヒュッテ。なかなかの健脚者のようだ。私の本日の予定は赤岳ピストンで、明日は麦草ヒュッテから蓼科山ピストンの予定だった。そこで彼から言われた一言「それなら小屋泊でもして私のように縦走すればよいのに...」まぁそりゃそうですよね。
赤岳山頂直下で二人の山ガールさんに写真撮影を頼まれた。その時に「あれが山頂だよねぇ」という会話が聞こえたので「あれは偽ピークだと思うますよ」と答えた。「ええぇ〜!心折れるぅ」と悲痛な叫びをあげる山ガールさん。「頑張って下さい」とできるハイカーを装いつつ先へと急ぐ私。ところが、その先には偽ピークなどなくすぐ山頂が待っていた...そう、また知ったかぶりしてやっちまった(涙)
赤岳山頂には沢山のハイカーさんがいた。普段から人気の山だが、開山祭ということもあってか一際賑わっている感じだ。やっとここまで辿り着いたのだが、生憎のガス模様。阿弥陀岳はまぁ何とか見えているが、硫黄岳はガスの中。それでも3年ぶりに八ヶ岳主峰に立てて満足。ここで景色を眺めながら長めの休憩をとった。
そして下山。本日2度目のキレットへ突入。やはり登り以上に厳しいぃぃぃぃぃ。”石橋を叩いて壊す”くらいの慎重さで一歩一歩確実に踏み出す。居合わせたハイカーさん達とは互いに鼓舞。中にはノンヘルの方もいらっしゃったわけだが、「ここでは頼むからメットしてくれ〜」と内心叫んでいた。メットは自分の為だけではなく他者の為でもあると思ってる。落石で怪我をしてしまったら、自分だけではなく相手にとっても悲しい事態になってしまうのだから...
何とか核心部2回目を通過してホッと一息。キレット小屋に辿り着くと、往路で出会ったmatakoさんに再会した。キレットのガレっぷりが厳しかったので、思わずその大変さを愚痴ってしまった。思い返してみると、これから登ろうとする方に話す内容ではなかったかもしれない(反省)。その後彼女は4日間の”単独女子八ヶ岳大縦走”を完遂されていた(88888)
心身共に疲労が溜まったオッサン。権現岳への登り返しは果てしなき壁のようだった。一歩一歩が重くすぐに息が上がる。体重増加&スタミナ減少&筋力減退を少しでも補うため、今回はドーピング類を多数持参した。明らかにオーバーフロー気味のカロリー摂取量にもかかわらず、さらに惜しみなくどんどん投入。何とか権現岳に登頂した時には本当に安堵した。
ここからもう一度ピークがあるにはあるが、基本緩やかな尾根下りとなっているはずだ。右手に見える編笠山のお椀が素敵で、相変わらず美しい森は目を楽しませてもくれた。そして走れそうな区間も多かったように思う(まぁ走れないけど)。6/10には『八ヶ岳スリーピークス』というトレラン大会のコースになっていることを後日知った。まぁ少々うんざりするほど長かったというのは致し方なしといったところ。
結局何とか予定終了タイム内でゴールすることができた。稜線上の気温は低かったので、汗っかきの私にとっては大変助かった。最近自信喪失気味であったのだが、ちょっとだけ取り戻せたかな?
明日は北八ヶ岳を縦走し、編笠山から蓼科山までの八ヶ岳赤線繋ぎを完了させたいところだ。その為にも、ゆっくり風呂に浸かって今日の疲労をどこまで回復できるかが課題だな...
いいねした人