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Yamareco

記録ID: 1655220
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
剱・立山

黒部ダム 〜 剱岳 〜 室堂

2018年11月16日(金) 〜 2018年11月19日(月)
 - 拍手
GPS
73:30
距離
17.6km
登り
2,489m
下り
1,519m
過去天気図(気象庁) 2018年11月の天気図
アクセス
予約できる山小屋
剱澤小屋

感想

スタートより波乱の予感。

関越道より圏央道の八王子方面が閉鎖のため通行出来ず。日の出前に扇沢に着く。仮眠する。扇沢駅へ行くもアジア系観光客の団体と鉢合わせしウンザリする。バス待ちの中にいる日本人は私一人では...。

黒部丸山より内蔵助までの急登に想像以上に苦しむ。

内蔵助平にて泊。
夜間に鹿の群れに囲まれ落ち着かない。

以上の事から翌日に乗っ越すことへ消極的となる。
帰宅すれば安楽な事が待っている。
「何故苦しむためにココにいる?」
何度も同じところを進んでは戻るを繰り返す。

8月の旧日電歩道を雪渓に阻まれた悔しい思いを思い出す。突っ込まなかった自分を後悔した...。

肩にザックが食い込む。昨日の身体へのダメージを感じる。ゆっくりと歩幅は小さくだが確実に一歩を踏み出す。一歩を一歩につなげて黙々と歩く。

誰にも会わない。

乗っ越すころには森林限界に出て晴れやかな気分となり束の間の休息とする。
今回で黒部は2回目だが鬱々した気持ちになる。

剱の山塊には想像したとおり雪が無い。
剱沢雪渓はどうだろう?

乗っ越してからの下りは急である。所々凍っていたり、山肌より湧き出す水が岩を濡らし足の置き場に困る。最後はトラバースして沢沿いの斜面へ出た。ここから沢への下降も斜面に溜まった砂礫や落石のため滑る。荷が重いためウンザリする。

剱沢の渡渉。
浅いとはいえ初めての渡渉。沢の岩は滑る。足を置いた瞬間に滑る。靴は絶対に濡らしたくない。
どうしたものか?
クランポンを滑り止めとしよう。あとは沢に足を突っ込まずに反対側へ繋げれられるルートを探す。

沢べりより夏道までの斜面も悪い。ここでも重荷にバランスをとられて難儀する。

14時。
内蔵助平より5時間半かけ真砂沢ロッジに。誰もいない。日も陰り風も冷たい。小屋閉め跡は夏の喧騒の名残を感じる。冷たく冷えたコンクリに身体を横たえ休むことにする。

「さぁ、熊の岩まで行かなくては」自分を鼓舞する。
18時にはテントの中でくつろげる筈だ。
「歩こうか...」

16時。長次郎谷出合。
もうすぐ日の入りだ。黙々とアイゼンを締める。ヘルメットを用意しヘッデンを落とさないように巻きつける。暗がりの中「肩が痛いな...」「頑張ろう」一人呟く。

17時。2.300mくらいまで詰めたところで雪渓が切れる。落差は5mはあるか?暗がりの中でバッサリ切れた雪庇を漫然と眺める。出合でもかなり雪庇は狭まっていた。熊の岩は付近に見当たらない。どうするか?肉体的にも限界を感じる。付近の地形を確認する。しばらく辺りを探ってみる。何とかテントを張れそうな場所を見つける。斜面に空いたクレバスの雪庇が一部屋根のように張り出している。雪庇の前には一人用のテントが張れるほどのスペースが確認できる。雪庇の下は緩やかに暗く下へと落ち込んでいる。落石や崩落が頭をよぎる。嫌な場所だ。しかし他に適当な場所は見出せない。
テントの中で悶々と考える。
「熊の岩が見当たらない」
見えてもおかしくないはずなのだが。

ザックを切り替えて1泊の装備で突っ込み昼過ぎまでにピストンするか?このままテントをたたみ頂上を踏みつつ剱沢野営地までやり過ごすか?
状況を受け入れ明日出合へ引き返すのか...。

夜間に何度か目を覚ます。付近でクレバスの中より崩落の音と思われる轟音が響きわたる。寝付けず進退を決めかねる。

翌朝。長次郎谷の短くなった雪渓の出口まで登り返して状況や可能性を確認する。高巻きや切れ落ちた雪渓への下降など可能性を考えるも次の展開がうまくつなげられない。

山は答えてくれない。自分で考える。
両足のクランポンをしっかり効かせ下降する。

剱沢雪渓に入る。
いたるところにクレバスや崩落が見られ山の息吹きを感じる。
野営地へ出る。
雲一つ無く快晴の青空。
誰もいない野営地。
ミニチュアのように広がる景観を感慨もなく眺める。
「室堂まで歩こうか?」
「夜間にアタックするか?」
凍りついたら岩に難儀しそうだ。
前回は下りに使わせてもらった。確か嫌な場所がいくつかあったはずだ。

風は強まり瞬く間に吹雪出す。
夜間の風は弱まることなくテントを四方より圧迫する。明日の天候次第だな。時計を日の出に合わせ、冷えたつま先を揉みほぐす。

翌朝。
テントが埋もれていることに気づく。外はホワイトアウト。一晩で真冬に。目まぐるしい変化。食事もとらずに慌てて撤収の準備に取り掛かる。御前小舎への登り返しはラッセルとなる。御前小舎は見えない。注意して歩く。しばらくすると御前小舎が目の前に現れる。安堵し一息つくことに。

雷鳥坂には手を焼く。雪面の下の突き上げてくる岩や石に足が躍らせられる。
何処から雷鳥が飛び来たり目の前にて憩い出す。

橋を揚げられた浄土沢を渡渉し室堂へ。
アジア系の観光客が初めて見るのか雪と戯れ喜んでいる。ザックを下ろす自分が滑稽に思えた。

《 剱岳 11/16〜19 覚書 》

DAY 1
黒部ダム〜内蔵助平
晴れ 最低気温-5c°
10:30〜15:40 (5h10行動) 休憩 小×1 大×1

DAY 2
内蔵助平〜長次郎谷 2.214m
小雪↔小雨 最低気温-8c°
8:30〜18:00 (9h30行動) 休憩 小×3 大×3

DAY 3
2.214m〜剣沢野営地 2.656m
晴れ→雪→強風&吹雪 最低気温-5c°
7:30〜13:00 (5h30行動) 休憩 小×4 大×2

DAY 4
2.656〜室堂
雪 最低気温 ×
8:00〜12:00 (4h行動) 休憩 小×2 大×1

※休憩は10分以上を大とする。
※日記よりザックの中身は19kg→21kg。

食料 4kg(行動食含む)
携行水 1ℓ

【 行動着 】
フリース フーディ 薄手
ソフトシェルパンツ 中綿無し
アンダーウエア S/S 薄手
アンダーウェア ボクサーパンツ 薄手
靴下 厚手

【 ギア 】
ライペン/マカルー 80
パタゴニア/アセンジョニスト 40
3シーズン用登山靴
クランポン 12本爪
アイスアックス ハンマー
アイスアックス ハンマー 軽量 (予備)
L型ストック改 ペア
デジタル一眼レフ 1kg

【登攀具】
シングルスタティックロープ 30m×1
ダイニーマスリング 240×1 120×2 60×4
カラビナ×8
環付カラビナ×4
ハーネス
下降器
ピトン×3
スクリュー×2
ヘルメット

【エマージェンシー】
地形図(必要部のコピー)
地形図元本(予備)
地図 1/15000(必要部のコピー)
コンパス
ホイッスル
ポケットティッシュ
絆創膏
水絆創膏
抗生物質 軟膏
痛み止め 錠剤
ビタミン剤
アミノ系サプリ
ジップロック系 プラ袋 必要数

【キャンプ】
ストーブ/赤ガス
赤ガス用ボトル/750mℓ
チタンクッカー 大
チタンボウル 中
チタンマグ 蓋付 中
漏斗
キッチンペーパー 8枚
プラスポーク
プラティパス 2ℓ
プラティパス 2ℓ(予備)
プラティパス 1ℓ(携行用)
ストーブ/100g(予備)
ガス缶/小×1(予備)
テント/ダブルウォール 2人用 グラウンドシート無し
シュラフ/1kg
マット/クローズドセル 厚手
ジップロック系 プラ袋 必要数
スタッフサック 必要数

【 ウェア 】
ハードシェル上下
化繊ジャケット 中綿入り 厚手
化繊ズボン 中綿入り 中厚手
アンダーウェア/ロングタイツ 薄手
アンダーウェア/L/S 中厚手
手袋(ゴム手)
化繊ミトン/中綿入り 中厚手
靴下(予備)
手袋(ゴム手・予備)
スタッフサック ウェアの収納用 必要数

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