剱岳〜早月尾根・北方稜線
- GPS
- 33:51
- 距離
- 37.0km
- 登り
- 5,088m
- 下り
- 5,069m
コースタイム
7/25 撤収5:10〜南無の滝6:20〜真砂沢ロッジ6:45〜二股吊橋8:00〜仙人峠10:15〜池の平小屋10:45/11:40〜小窓のコル13:20幕営
7/26 撤収5:10〜小窓の王基部7:10〜三ノ窓7:35/7:50〜池ノ谷乗越8:35〜長次郎のコル9:50〜剱岳10:30/10:45〜早月小屋13:00昼食13:30〜1600m道標15:20〜馬場島荘前駐車場17:20
天候 | 8/24 晴れのち小雨 最低気温12℃ 最高気温20℃ 8/25 晴れ 最低気温5℃ 最高気温25℃ 8/26 晴れのち曇り 最低気温6℃ 最高気温20℃ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
登山届は馬場島荘に出し忘れて、剱沢キャンプ場に出しました。 早月小屋まで 明瞭な一本道で、マーキングや道標が導いてくれます。急坂が多いので、木の根や一枚岩での滑りに注意。 山頂まで 傾斜は若干緩くなりますが、道が細くなり高度感のあるガレ道・岩場の連続になります。慎重に足を運んでください。 剱沢雪渓 剱沢小屋で情報を得ていれば、怖くないと思います。凍結箇所が多いのでアイゼン必須です。 二股まで 雪渓左岸の夏道から真砂沢ロッジへ。吊橋まで、藪道から河原へ出たり戻ったりします。クサリ場は河原を歩いてパスできます。 池の平まで 仙人峠まで急な登りが続きます。ハシゴ・クサリあり。峠から小屋までは緩い下り。 小窓雪渓まで 鉱山道は明瞭な一本道です。雪渓に下りるところでは雪の状態を見極めて。 小窓のコルまで 頭上に注意しながら真ん中を歩きます。傾斜はありますが、距離が短いので時間はかからないでしょう。 小窓の王まで 小窓の頭のトラバースに雪渓が二つありました。距離は短いですが、アイゼンを履いた方が安全です。トレースやマーキングを探して、上へ上がり過ぎないように注意。 池ノ谷の頭まで 三ノ窓へはガレの急下り、その後池ノ谷ガリーでガレの急登り。乗越からのルンゼ登りは、大人が二人並べるくらいの幅があって難しくはないですが、一歩間違えたら剱沢雪渓まで落ちるでしょう。池ノ谷の頭からの眺めは最高です。 長次郎のコルまで いきなりナイフリッジ。その後稜線を巻きます。バンドは残置ロープを使って通過か、稜線を越えることもできるようです(すれ違ったガイド登山者から推察)。コルの手前にも細い岩場がありますが、早めに雪渓に下りてしまった方が楽です。 本峰まで ガレの登りですが、踏み跡が見えるのでそれに従います。浮石に注意。 北方稜線は、岩桜登高会様の概略図を参考にしました。本峰から下っての記録ですが、適確でした。 http://homepage3.nifty.com/iwazakura/kirokuphoto/turugiroute.pdf ただし、オレンジのマーキングは無くなっています。 下山後は馬場島荘の風呂に入りました。20時まで。食事は18時まで。飲み物は融通してくれます。 |
予約できる山小屋 |
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写真
感想
三大急登と三大雪渓巡りの2回目、剱岳へ行った。当初計画はタイトル通り、馬場島から真砂沢ロッジをピストンするだけだったが、まだ踏んでいない剱御前や、ブログで見つけた北方稜線の可能性に魅せられてしまい、今年のメインイベント的計画になってしまった。
8/24 移動に時間が掛かるため前日午後に出発した。北陸道から遠雷が見えていて不安だったが、朝、満天の星空に笑みを隠せない。登山口に着くころにはライトは不要になり、いよいよ早月尾根へ足を踏み入れた。初めから急な九十九折れだが、30分ほどで平坦になる。1000mのベンチからまた急に。道幅は広くて歩きやすい。土のうを積んでいるのが珍しいが、滑らず柔らかいのがいい。
樹林帯なので陽射しは柔らかいが、風が無いため暑さがこたえる。寝不足気味なのも影響しているか。1400m道標を過ぎると岩が目立ち始める。男性一人に追い越された。早月小屋手前で木が折り重なっているところは歩きにくかった。小屋前には誰もおらず、テントが一張りあるだけ。バッジは帰りに買うことにして通過した。
雲が多くなってきた。山頂はガスの中だ。吐く息が白い。先行者がどうせ何も見えないからと戻ってしまい、登っているのは自分だけになった。森林限界を超え、ガレと岩ばかりになる。雨がぽつぽつ降ってきた。長いクサリが連続して現れ、別山尾根との分岐を経て登頂。長かった。ガスで何も見えないが、北方稜線の方へ少し歩いてみた。山頂には八ツ峰を登ってきたという3名のグループ。写真を撮りあって、剱沢小屋まで一緒に下山した。前剱と一服剣の登りで、もう剱御前へ上がる元気など無くなった。残念だがまたの機会にしよう。
小屋で雪渓の情報を得ておき、テン場へ。足の踏み場もない賑わいだが、親切な方がいい場所を教えてくれた。辺りはガスが立ちこめ、一瞬の絶景を待ち構える人が思い思いのポジションにいる。自分はさっさと食事をして寝てしまったが、周りで騒がれることはなかったので、ゆっくり休めた。
8/25 山の朝は早い。自分が起き出したころには出発している人も、一服剣にライトの列も見えた。今回自分は知らない道がほとんどなので、明るくなってから出発した。
剱沢小屋からガレた急坂を一気に雪渓まで下る。雪渓の雪は表面が腐っていて滑りやすいが、天然のステップができていて、アイゼン無しでも下って行けた。今日も源次郎尾根や八ツ峰に取り付く人、雪渓を登る人が大勢いる。とりわけ、長次郎谷の景色に目を奪われる。予定を変えてここから登ろうかと思った。
真砂沢ロッジへの給水ホースが見えたらホース沿いに下って夏道に入る。別山側の雪渓もいい眺めだ。南無の滝はちらっとしか見えず、残念。ロッジにはテントが三張りあるものの人の気配はない。ここは風呂があるのに驚いた。
二股へは藪の中へ入る。道筋ははっきりしているが、枝葉がうるさい。たまに河原へ出てはまた藪へ登り返すのを繰り返し、クサリ場へ出た。正直にハシゴを登ると、下を歩くグループとすれちがった。増水した時用なのだろうか、足場が狭く歩きづらいので、自分も下へ降りた。間もなく吊橋が見えて、三ノ窓雪渓が飛び込んできた。ここでも計画変更を考えたが、上部の雪が切れた辺りを登れそうになくて諦めた。仙人峠へは右へ道標があったが、北股へは何も表示が無かった。木段になってはいるがけっこう急坂だ。沢を離れて風が無くなったのも痛い。たまらずベンチで休憩する。日陰になっていて助かった。その後もロープやクサリが出てくる始末。白馬三山が見えたのが望外の喜びだった。やっと峠に上がると仙人池から女性二人が上がってきた。池の平小屋には思ったより早く着けたので、ゆっくり休むことにした。池の平山が美しい。1時間半で上がれるそうだ。あの草原に寝ころんだら気持ちいいだろう。
今日は小窓のコルまで行けるだろう。水をもらって服が乾いたころ出発した。鉱山道もよく踏まれていて迷うことはない。展望台の分岐を過ぎてもマーキングがあるし、少し崩壊気味な個所もあったが危険はない。しかし、雪渓への下り口は自分で探さないといけない。雪渓上部はガスで見えないが、視界は十分ある。振り返るとそのスケールに白馬大雪渓を連想させる。ここもアイゼン無しで上がって行けた。今回も荷物になるだけだろうか。
コルの手前で、下山してきたグループに会った。小窓の王は眼前に迫っているが、そこまで行くとなると考えさせられる。三ノ窓まで3時間と教わり諦めがついた。ガスの中、疲れた足で危険な道を3時間も歩くのはリスクが大きいし、明日にも影響する。今日はここで幕営して明日に備えよう。
テントを張ると少し日が射したので、服を干してみた。下着も着替えて足をマッサージすると少し軽くなった気がする。明日も晴れてくれと祈るのみだ。
8/26 今日も素晴らしい天気になった。ガスっていたらどうしようと思ったが杞憂だった。草の茂る道は朝露をたっぷり含んでいてズボンを濡らす。しかしそれも気持ちよく感じていた。ゆるやかに高度を上げていく。振り返ると、雪渓を二人登ってくるのが見えた。
かなり上がってから、事前情報通り雪渓が現れた。雪質は変わらないが、傾斜がきつい分滑りやすい。ピッケルで削ってステップを作り、渡ることができた。木の根を乗り越え、バンドを渡ってもう1箇所、最初より短い雪渓も同様に渡った。本当にアイゼンは荷物で終わってしまった。
スラブを登りきると剱尾根の絶景を望むことができた。しかし、そこから左手に回り込む道は登攀具無しで行けるところには見えない。試しに片足を降ろすと、持っていた岩が動いて死ぬほど驚いた。さらに30秒眺めていたが、戻ることにした。上から見ると左への道が見え、ちゃんとマーキングがあって安全に小窓の王の基部へ到着した。ガリーを下ってくる二人が見えた。何か情報をもらえるだろうか。
三ノ窓へはいったんガレ道を下る。先ほどの二人は幕営しており、これからチンネを登ると言う。しかし、北方稜線については情報を得られなかった。とりあえず池ノ谷ガリーとルンゼは上がれるだろう。それから考えよう。
ガリーは、落石させまいと思えばそれほど歩きにくいわけではなかった。距離もそんなに長くない。怖いのは上からの落石だ。昨夜も何度か音を聞いている。逃げ場が無いので落ちてきたら当たるしかないだろう。まあ、何事も無く池ノ谷乗越へ上がれてよかった。ちょうどルンゼを下る三人がいて、そのまま待機した。今度は少し情報を交換できた。ルンゼも難なくこなし、池ノ谷の頭で360度の絶景を楽しむ。本峰に人がいるのが見えた。向こうからも見えているのだろうか。カメラの電池を取り換えて出発した。
一歩目からナイフリッジで緊張させられるが、あとは今までと同じで、手探り足探りの岩場道だ。ほぼガイドマップ通りに歩けて非常に助かった。問題のバンドも2本のロープがあるおかげでもたつかずに通過した。道はいったん長次郎谷側へ下って長次郎のコルへ登り返すが、早めに雪渓に下りてしまった方が良かった。コル手前のバンドは、縦走装備だけでは少々リスクが高いようだ。
長次郎のコルで、長次郎谷を上がってきたご夫婦と話をした。下からの眺めで予定を変更したそうだ。その気持ちはよくわかる。ここから本峰まで30分という。後ろからルートを取っていただきながら無事登頂。毎日のように北方稜線を歩く人がいるだけあって、踏み跡は明瞭だった。一昨日と違って眺めがすばらしい。と、ヤマレコTシャツを着た人がいる。声を掛けようと思ったら、なんとYutak25さんだった。登頂したばかりというから、ほぼ同時に登頂しているのだ。Yutak25さんが自分の計画に合わせてくれたとはいえ、なんという偶然。お互いのカメラに収まり、一緒に下山した。
まだ腰が本調子でないYutak25さんに合わせるまでもなく、自分の足も踏ん張りが効かなくなっていて、派手に転んでしまった。左脛の打ち身か。その後3時間歩けているので骨まではいってないと思う。長い長い下りをようやく下りきって、やっと二人の剱岳が終わった。お互い念願を果たした充足感に輝いている。他の誰もが同じ顔をしている。「試練と憧れ」の石碑前で写真を撮ってもらい、馬場島荘へ急いだ。目的は風呂とバッジ。早月小屋では、バッジは9月中旬から売り始めるそうだ。幸いどちらも手に入り、祝杯を挙げて再会を誓いつつ別れた。
自分はもう一つ、馬場島荘への冬のアクセスについて説明を聞いておいた。しかしまったく様相が変わってしまうようなので、冬の単独行など不可能に思えてきた。早月小屋のバッジも買いたいし、またいつか登りに来ようと思う。
最後に、滑川ICに入るとき大輪の花火が上がっていたのがサプライズだった。雨で延期になっていた「ふるさと観光上市まつり」の花火大会だそうだ。忘れられない山行になった。
Yutak25さんも凄いです。
実はBBCさんの計画書を見て、同じ日取りで剣行こうかなっとちょっと考えました。
今期の奥の北アの計画は、剣、薬師、笠なんですよ。奥は行ったことがないんです。
ただルートを見て、とても、とても。
あー行きたいです ね、奥をほったらかしてでも。
jpさんと同じタイトルにしてしまいました。
北方稜線を狙ってるのですが、取り合えず自分はBBCさんとは逆回りかなぁ。
ん〜、行きたい!
jpさんはlon様をほったらかして行く気があるかなぁ〜?
って云うか、今季の2泊3日の連休ってあと2回しかないけど、
予定が入ってるので無理かなぁ〜
ricalojpさん、こんばんは。
裏剱は凄い所ですよ〜。もう病み付きになりそうです。
道幅はそんなに狭くないと思うので、数か所我慢すればlonさんもきっと行けますよ
まあ、表を歩いてからの方がいいかもしれませんが。
私も前回が3年前なので、別山尾根の厳しさを甘く見ていました
写真87に反応していただき、ありがとうございます
noborundaさん、光栄です。
北方稜線は下る方が多いですね。ウェブ上でも下りの記録が多かったし、
池の平小屋でも、毎日のように下ってくると言っていました。
私は天の邪鬼なので、みんなが下るなら登ってみよう、と
でも正解だったと思います。下るのはちょっと怖いです。
小窓の王から剱頂上までは絶景の大パノラマなので、ぜひ挑戦してください。
ただし、天気のいい時に。風が強かったらちょっとキビシイです。
BBCさん、こんばんは。
これぞ北ア という雪渓&岩稜帯の写真の数々、ゴチソウサマでした。
行けるもんなら、行ってみたいですけど、なにせ高所恐怖症
剱岳には、是非早月尾根からと妄想は膨らみますが、キビシそう
次回は、是非夫も誘ってやって下さい
ricalonさん、こんばんは。
早月尾根は登り甲斐がありますよー。
遠望はもちろん、小窓尾根の荒々しさもたまらない眺めですし。
ぜひ頑張って行ってみましょう!
クサリ場も、奥穂高の取り付きが1時間ほど続くだけです、
って励ましになってない?
こんばんは
オコジョ かわいすぎです
綺麗に撮れてますね (ウサギも )
私もなんとかジャンプし始めているところが
撮れていました
見るからに危険箇所が多そうに感じましたが
私もいつかは歩いてみたいな〜と思いました
いやぁ〜ほんとに会えてよかったです
次回楽しみにしてま〜す
早月尾根の日帰りかと思ってましたが、凄い所へ行かれていたんですね。写真を見てビックリしました。
下山時には写真を撮っていただきありがとうございました。私はBBCさんとyutakさんとを錯覚してたみたいで失礼いたしました。
またどこかのお山でお会いできるのを楽しみにしております
Yutak25さん、こんばんは。
どちらもじっとしているタイミングがあったので、何とか撮れました。
ウサギの時は、私の声で逃げちゃったかもしれませんね。
すみません
山で見かける動物には癒されますね。クマやイノシシは勘弁ですけどね。
北方稜線、Yutakさんなら行けますよ。計画されたら乗っかるかも
こちらこそ、3枚も撮っていただいてありがとうございました。
だいぶお疲れだったようなので、ちょっと心苦しかったのですが・・
相方さんは、ご子息のように見ていたのですが、違っていたらすみません。
私の前回の、北岳も見ていただいてたので、なんとなくそう思ってました。
HIDENORI-Tさんとは逆に、私は百名山を後回しにしてアルプスを完登しようとしています。
これからも百名山のレコ、参考にさせていただきます。頑張ってください
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