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Yamareco

記録ID: 24139
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
八ヶ岳・蓼科

GW、残雪の赤岳。コシアブラも麓で

2002年05月03日(金) 〜 2002年05月04日(土)
情報量の目安: B
都道府県 山梨県 長野県
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tanigawa その他1人
GPS
32:00
距離
16.3km
登り
1,425m
下り
1,412m
天候 晴れ
アクセス
コース状況/
危険箇所等
 今年(2002年)のGWは、家族山行は息子たちがてんでにばらばらな予定を決めて、早々と解体状況となり、私は北信方面を計画していました。しかし、直前になって、ヨメさんが「八ヶ岳の赤岳に登りたい」といいだし、2人で赤岳に行くことになりました。
 これまで、八ヶ岳はもっぱら山腹のきのこ狩りと、北八ツの雪遊びが中心でした。とくに南部の主要な山は、長男が昨夏、横断しただけで、私はほとんど登っていません。
 計画は、5月3日、未明に東京の自宅を発ち、美濃戸側からその日のうちに山頂を往復。夜は茅野市の職場の宿泊施設に泊る、ということにしました。
 
 3日、自宅を朝4時に出発。渋滞によるロスは15分ほどで、美濃戸口のバス停前に、6時半ごろ着きました。道を確認するため、私が車を降りたところ、ありゃりゃ! 大変! 車のボンネットから煙が吹き上げています。火事かと、一瞬思ったのですが、煙でなく水蒸気で、しかも冷却水の茶色の湯のしぶきも飛び散っているため、オーバーヒートとわかりました。温度計は振りきれています。こんなことは、初めてです。もう15万キロも走った愛車ですから、あちこちガタがきて当然かもしれません。
 ボンネットを開けると、エンジンはキンキンに熱くなっています。目の前の八ヶ岳山荘の水道を借りて、少しずつ水をかけてエンジンをゆっくり冷やしました。幸い、エンジン・オイルは正常な色、性状です。でも、ファンが回っていません。でも、このままでは山道を走ることはおろか、今夕の移動の行程も保証できない感じです。

 帰路の手立てはともかく考えないことにして、山荘の駐車場(500円)に車を置いて、今日の登山に専念することにしました。
 7時08分発。林道を美濃戸山荘まで、歩きます。その往復とアクシデントで2時間以上のロス。気を取り直して、道端の春の花や、コシアブラを探索しながら、砂利道をてくてく歩きました。芽吹きの山道は、カラマツの幼い葉など、色合いが楽しめます。道端のタラの芽はみんな摘まれています。
 
 8時03分、車道(一般車)終点の美濃戸山荘前に着きました。うまい水を引いていて、のどを潤しました。距離が短く、車道歩きから解放される柳沢南沢沿いのルートを選んで、登山道に入りました。
 行者小屋へコースタイムで1時間50分の道のりです。その半ばあたりから、残雪が姿を現し始め、しだいに登山道は雪道に変わりました。正月も春も、たくさんの登山者が行き来して、積もった雪を踏み固めてきたためでしょう。登道の部分だけ、幅40センチほどの「万里の長城」風に、雪が土手のように高く、固くなって残っています。土手から落ちれば、足はずぼっと雪を踏み抜きます。入山者が少ない通常の山では、見ることのできない様相です。でも、比較的締まったこの雪の土手道のおかげで、つぼ足の苦労もせずに、行程がはかどりました。(帰路は、雪がゆるんで、あちこち踏みぬく状態になりましたが。)

 10時09分、行者小屋着。周囲は、森の中も、幕営場も、一面の雪原です。阿弥陀岳、中岳、赤岳、そして岩場が累々と重なる横岳が、周囲をぐるりと取り囲んでいます。稜線とそのすぐ下の岩場の場所では残雪はすでに消え、その下部から行者小屋にかけてが、雪の斜面になっています。赤岳の上部の尾根も、地蔵尾根の上部の岩場も雪が消えており、これならば難しいところはありません。

 10時50分ごろ、足固めをして、出発。地蔵尾根は最初はゆるやかなシラビソの森のなかを行きます。積雪は1メートル余り。尾根状の地形に変わると、雪面の傾斜が増してきます。岩場の下の雪面はなかなか高度感がある傾斜です。対面する阿弥陀岳のにょっきと頭をもたげた怪異な山容、白く傾斜のある雪渓の眺めに見とれました。
 稜線下の岩場にさしかかり、鉄の階段が始まったところで、上部の状況を下山者に確かめて、アイゼンを外しました。このあたり、雪が残っているか、どうかで、難しさは大きく違ってくると感じます。

 稜線に出ると諏訪側から冷たい風が吹き付けてきました。槍・穂高連峰が見えます。キレットがはっきり見え、槍の穂先はもう黒い色です。佐久側は稜線下まで雪田と雪渓が迫っています。金峰山の五丈岩が見え、両神山がかすんでいました。富士山も思ったより大きい姿を現しました。
 佐久側の雪渓を見下ろしながら、ザレ場を電光形に高度を上げていきます。

 13時すぎ、赤岳の北峰を通過。すぐ目の前の南峰の三角点に13時05分に到着しました。山頂付近は残雪がなく、夏の山のよう。でも、西の阿弥陀岳、南の権現岳は、まだ雪を残し、なかなか迫力がある眺めです。南アは、鳳凰から甲斐駒は山頂部が見えていましたが、白根3山は雪が残る山腹が眺められるだけでした。

 13時15分、赤岳南峰発。文三郎道の分岐がある山頂の西側の基部をめざしました。南峰からまず稜線を南へ、次いで西へ回りこむ岩場の下降は、予想していたよりも傾斜があり、足場が不安定で、ここも雪がある中をアイゼンで降りる場面にいたらずに、かなり助かりました。

 13時40分、文三郎道の分岐からいよいよ下降します。途中の情報収集で、中岳の鞍部への下降路は、つぼ足がひどく消耗するとのことだったので、帰路はこの文三郎尾根を選びました。
 それにしても、すごいところに道を、それもまっすぐに造ったものです。上部だけは雪が消えていますが、その下は細く長大な雪の滑り台の道が、とくに右側が切れ落ちた細い尾根の頂稜上を、ほとんど一直線に下降しています。
 歩き出してみると、上部の、玉石(小石)が堆積したような場所も、足場がザーザーと玉石ごと流れていって、いやなところでした。次いで、長い鉄の階段が始まり、これは登山道ではなく赤岳に固定の構造物を付加したようなものではないか、と、恐れ入りました。

 階段はすぐに残雪に隠れ、いよいよ細い雪の滑り台。ふたたびアイゼンをはきます。右に、すごい傾斜の雪渓(ルンゼ状)が下部も見えない落差で落ち込んでいます。以前、事故があったのは、この場所かもしれません。
 アイゼンがよく利き、一気に尾根を下降。ずぼずぼに腐り始めた雪渓下部をたどって、行者小屋に帰りつきました。(14時31分着)
 光線が西へ回り出して、この時間帯の周囲の峰峰は、朝方よりも鮮やかなコントラストで迎えてくれました。雪上のテントは25ぐらいに増えていました。

 14時31分、行者小屋発。雪は腐り始めましたが、とくに下降ではやわらかく足を受けとめてくれて、下降のいつもの足のつらさがありません。ピッチ良く16時08分、美濃戸山荘へ下り立ち、またうまい水を飲みました。
 
 また車道歩きで締めくくりです。途中の小屋では、コシアブラを小袋1つ500円で売っていました。私は、今回の山行中はコシアブラに出会えなかったものの、この日泊った場所の近所で、運良く今季初物のコシアブラにめぐり合いました。
 17時ちょうどに美濃戸口に下山しました。

 ところで車の方ですが、冷却水系統がうまく効かず、結局、JAFのレスキューを頼むことになり、応急措置(冷却水をエンジンに循環させる弁を強制的に全開させた)がうまく成りました。18時50分、無事、走行開始。
 一夜明けて、4日は、東京まで、中央道を時速70キロ!で、模範巡航し、即日、ディーラーへ修理に出した次第になりました。
 13年余り乗った大事な愛車です。支障はいろいろ出始めても、まだまだ限られた資源と資金を大事に、乗りつづけたいと思います。
行者小屋から、赤岳を見る
行者小屋から、赤岳を見る
地蔵尾根の登高
稜線に出ると諏訪側から冷たい風が吹き付けてきました。
稜線に出ると諏訪側から冷たい風が吹き付けてきました。
富士山も思ったより大きい姿を現しました。
富士山も思ったより大きい姿を現しました。
赤岳をめざす。右は阿弥陀岳
赤岳をめざす。右は阿弥陀岳
山頂付近は残雪がなく、夏の山のよう
山頂付近は残雪がなく、夏の山のよう
翌日、コシアブラの群生地で
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翌日、コシアブラの群生地で
同じく、コシアブラ
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同じく、コシアブラ
帰宅して、コシアブラの天ぷら
2004年05月03日 21:03撮影 by  Canon PowerShot G2, Canon
5/3 21:03
帰宅して、コシアブラの天ぷら
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