雲取山(三条の湯から奥多摩駅へ)


- GPS
- 14:20
- 距離
- 38.0km
- 登り
- 2,858m
- 下り
- 3,078m
コースタイム
10:13 お祭バス停
12:49 林道終点
13:21 三条の湯
19日
5:59 三条の湯
8:04-8:12 三条ダルミ
8:46-9:15 雲取山
9:30 小雲取山
9:52 奥多摩小屋
10:47 七ツ石山巻道鴨沢分岐
12:12-12:20 鷹ノ巣山避難小屋
12:45-12:55 鷹ノ巣山
14:28-14:39 六ツ石山
16:34 林道到着
17:11 奥多摩駅
天候 | 18日は晴れ。19日は朝のうち晴れ、徐々に下り坂で夕方に小雨。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
三条の湯から三条ダルミの間に、登山道が崩れている箇所あり。慎重に進めば問題ない。 |
写真
感想
木曜日までは、週末の天気予報を見ると土曜日は晴れ、日曜日は雨が表示されていた。しかしこれが、金曜日朝に一変する。いや、気象庁発表の天気予報は雨のままだが、各種資料を見る限り日曜日の日中までは降りそうにない。数値予報が揺れているので気象庁も迷っているのだろうが、大丈夫ではないだろうか。そこで、土日に泊まりがけで雲取山に行くことにした。雲取山は過去に2回三条の湯泊まりで登っていて、2004年は三峰神社に抜け、2007年は石尾根経由で奥多摩駅まで歩いて行った。今週末は天気予報のおかげで多少登山客が少ないだろうが、それでも新緑の季節なので混むことが予想される。できれば、帰りはバスを使わずに駅まで行きたい。2007年と同じく、奥多摩駅まで歩こうと思う。
---------------18日---------------
土曜日に関しては文句なく晴れということで、奥多摩からのバスは満員。一本前の電車で着かないと乗ることすらできないほどだった。奥多摩湖、鴨沢などで客が徐々に減り、お祭で降りたのは7人ほど。その先まで乗る人もかなりいた。
一日目は三条の湯までの11kmだが、大半は林道歩きである。2004年に来た時には林道終点まで車が走っていたが、2007年の時点では崖崩れの修復工事によりすでに途中から通行止めだった。それが現在まで続いていて、車が乗り入れられる区間が更に短くなったように思う。ともかく、三条の湯に泊まるには、ひたすらに歩くしかないわけである。
林道沿いにはフジが咲いていて、周囲に漂う香りが気持ちよい。奥多摩周辺では、今年はフジの当たり年だそうである。それ意外にはあまり見るものがない林道だが、車が通らない広い道は歩きやすく新緑が気持ちよい。2時間半程度で林道終点に到着し、そこから30分ほどの山道を通って三条の湯へ。
今回、初めて大部屋ではなく8畳ほどの小部屋に案内された。もしかして個室になるほど客が少ないのかと思ったが、後に3人グループと単独行の一人が加わった。この年配の3人グループからは、いろいろな話を伺った。群馬で登山グループを結成しているそうで、相当にあちこちの山に登られているそうである。
三条の湯は風呂が有名である。沸かし湯なので鉱泉だが、温泉と同じ匂いがする。これだけ不便な場所にありながらこの日も30人ほどが宿泊していたのは、やはりこの風呂があることが理由の一つだろう。そしてマスターの人柄に惹かれてリピーターも多いようだ。
---------------19日---------------
同室の3人組は車を鴨沢に置いていて、今日はそこまで戻るそうである。お祭まで林道を歩きそこからバスに乗るかと思ったら、尾根を超えて行くそうだ。この辺りの道は熟知していると思っていたが、まだ私の知らない道があったのかと思う。しかし後で地図を見ると、そのようなルートが見つからない。地図にない道を行くにしても、少なくとも尾根を2つ越えなければならない。サオラ峠を経由すると話していたから、ひょっとすると尾根を一つ間違えていたのだろうか。実際にはどうやって帰ったのか、とても気になるところである。
今日の天気は薄曇りで、晴れ間も少し見えている。なんとか下山まで保って欲しい。気温は少し肌寒いぐらいで、登るにはちょうど良い。蜘蛛の巣を壊しながら登り続ける。意外にも、宿泊客の中でこのルートを登るのは私一人だけのようだ。途中には鹿がいた。三峰側に生息している鹿は弁当を奪いにくるほど人に慣れているが、こちらの鹿は私を発見すると尻を向けて逃げ出し、あっという間に見えなくなってしまった。
早朝だが、早くも下山してくる人とすれ違う。まず避難小屋の組、そして雲取山荘の組が下りてきた。三条ダルミでは、雲取山荘泊の2人組が休憩していた。「富士山見えますよ」と言われて振り返ってみると、まだ雪が残る富士山が雲の上に浮かんでいる。今日は眺望に関してはあきらめていたので、これは意外な喜びだった。
三条ダルミから30分ほどの急登で山頂へ。ここには例の三角点がある。PC遠隔操作事件で犯人がメッセージを置いたと声明した、あの三角点である。メッセージが入ったのマイクロSDカードは未だに発見されておらず、実際には置かれなかったのではないかと言われているが、犯人とされる人物が雲取周辺に車で行ったことは確認されているそうだ。もしかして風で飛ばされたのではないだろうかと思い、念のために周辺を探してみたが、当然見つからなかった。しかし小さく薄ものだから、その辺の石ころに紛れて今も転がっているかもしれない。
三角点の横でドーナツを食べていると、鴨沢出発組が到着し始めた。最初に着いた人によると、前の人を追い抜きながら休憩もせずに3時間と少しで到着したそうである。標高差1350mを3時間と言うとそれほどでもないように思えるが、このコースはとにかく距離が長いので、3時間はかなり速い。16kmあるので、早歩き程度の速度を維持して登ってきたことになる。私には到底無理なタイムである。しかしその方も1人だけは追い抜けなかったそうだ。とすると、先ほどまで山頂にいた人が一番乗りか。
夏至の一月前ということで、今日は日が長い。石尾根経由で奥多摩駅まで歩いて行っても、日没を過ぎることはない。心配なのは雨がいつ降り出すかだが、少なくとも大雨にはならないだろう。土曜日朝以降天気図を見ていないので、今の予報が分からない。宿の人に一応天気を聞いておくべきだったかと思う。
山頂からは防火帯の気持ちよい道が続く。この辺りはマルバダケブキが群生している。今回わかったのだが、マルバダケブキがこの一帯だけでなく石尾根全体で増えている。なぜ増えているかと言えば、鹿が繁殖し過ぎたからだろう。どういうわけか、鹿はこの草を食べないのである。場所によっては、鹿が届く高さ以下にはマルバダケブキしか緑がないところもあった。石尾根はそのうち、マルバダケブキの森になってしまうのではないだろうか。
時間短縮のため、七ツ石山は巻道を通ることにした。しかし巻道と言うだけあって、距離が長い。後で記録を付き合わせてみると、尾根経由で行った前回よりも時間がかかっている。これは次回以降の参考にしたいと思う。
鴨沢への分岐を分けると、登山客が一気に減る。さらに赤指山への分岐を過ぎ、高丸山、日蔭名栗山を巻いていく。この辺りで、すれ違う人を避けようとしてストックを1本崖の方に落としてしまった。手を伸ばしてもぎりぎりで届かない場所である。ザックに入れていた靴紐の予備を、もう一本のストックに結びつけて引っかけ、ようやく回収できた。
鷹ノ巣山だけは、巻かずに山頂まで行く。残念ながら富士山は姿を消してしまった。しかし天候は悪くない。夕方にどうなるかは微妙だが、何とか間に合うか。
この先は、また巻道を選ぶ。城山、将門馬場を過ぎて六ツ石山の最後の登りを行く。山頂には、20人ほどのグループがいた。私と同じく奥多摩駅まで行くものと思っていたが、水根の方に下山して行った。
まだまだ終わらない。これだけ長い距離を歩いたのに標高はさほど下がっておらず、奥多摩駅まではさらに1100mを下ることになる。2段の急な下り坂を下りると防火帯も終わり、周囲は木に覆われ見所があまりない道になる。毎回、ここにたどり着く頃には足が痛くなってきているので、良い思い出があまりない。今回も同じである。洗掘された歩きにくい道もある。16時台の快速ホリデーには間に合わないか。何人かに追い越されながら、慎重に下っていく。
なんとか林道にたどり着くが、駅までは300mを下らなくてはならない。そして、実はまだストックを仕舞えない。林道をショートカットする山道が残っているのである。この辺りで小雨が降ってきた。残念ながら、駅に着くまで保たなかった。だが雨具を使うほどではない。これは、気象庁の予報に勝ったのだろうか、負けたのだろうか。微妙なところなので、引き分けというところだろうか。奥多摩駅に着くと、数分で電車が出発した。
雲取山は、本当に良い山だと思う。それは山自身だけではなく登山客に関してもそう思う。東京都の山だが、それなりに下調べをして覚悟を決めた上でなければこの山には登れない。だから、本当に山が好きな人しか登ってこないのである。三条の湯から奥多摩駅まで歩く間に約110人とすれ違ったが、良い人ばかりだった。人を含めたこの良好な環境が、長く続くことを願いたいと思う。
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