白馬岳〜栂海新道〜親不知 憧れの縦走路へ
- GPS
- 34:21
- 距離
- 45.9km
- 登り
- 3,526m
- 下り
- 4,714m
コースタイム
- 山行
- 5:24
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 5:51
- 山行
- 7:24
- 休憩
- 1:01
- 合計
- 8:25
- 山行
- 8:42
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 10:20
- 山行
- 9:55
- 休憩
- 1:21
- 合計
- 11:16
天候 | 初日:ガス 2日目:晴 3日目:晴/曇り 4日目:晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【コース概要】 ・猿倉〜白馬岳頂上宿舎 大雪渓は程よく締まっており先行者のステップをトレースすることで順調に高度を稼げた。6本爪とチェーンスパイクで迷ったがチェーンスパイクを選択。特段問題なく歩けた。大雪渓の後は秋道に移行しており、小雪渓のトラバースはないが、かなりの急登 ・白馬岳頂上宿舎〜朝日小屋 良く整備されており、危険個所はなし。三国境を過ぎると登山者はめっきりと減る。 雪倉岳避難小屋までの間の雪渓通過はこの時点では3か所。うち1か所はアイゼン無しで通過。残る2か所は雪渓の下を巻いて通過した。ちなみに雪倉岳の登りは予想外にきつかった。水平道はその名とは逆に、細かなアップダウンが多く地味にきつい。朝日小屋についたらビールを買わずにいられない。 ・朝日小屋〜栂海山荘 吹上のコル以降はいよいよ栂海新道への登山者のみが辿る道。黒岩山までは高山植物が群生した湿地帯に木道が設置されているところが随所にあり、予想を裏切るが登りはきつい。 黒岩山以降は地図に「起伏の多い灌木帯の尾根道」とあるように細い尾根道をひたすら行く。サワガニ山と犬ヶ岳間の崩落個所は富山県側の斜面を迂回するが体力を消耗する。登山道復旧に尽力された関係者の方々に感謝。北俣の水場から犬ヶ岳間はヤセ尾根の急登で注意を要する。 ・栂海山荘〜親不知 アップダウンを繰り返しながら徐々に標高をさげていく。本来下山路であるのに、一つ一つの登りはきつい。特に下駒山、白鳥山の登りはテント泊の荷に疲れ果てた身には高温も相俟っていじめとしか思えない。自分的には「最も辛かった登りベスト5」に入る。坂田峠以降は舗装路も現れ、ゴールが近くなったことが実感できるが、最後までアップダウンの連続。入道山を越え、416m地点の登りを過ぎるとようやく標高を下げていく。時に日本海を望み黙々と歩くとやや唐突に国道にぶつかり、縦走路は終焉を迎える。 【主要施設】 ・猿倉荘 登山相談所が併設されています。計画書を提出すると「栂海ですか、私は夏は遠慮したいですね〜」と先制パンチ トイレ(水洗。ペーパーあり。現在、白馬尻小屋は解体されており、この先頂上宿舎までトイレは無し) 給水所あり ・白馬岳頂上宿舎 テント1張1,000円+宿泊者1名1,500円 トイレ(ペーパー付) 給水所あり 携帯:宿舎とテン場の間の標高が高い地点で通じる(au) ・朝日小屋 テント1張2,000円 トイレ(バイオトイレ、ペーパー無し) 給水所あり 携帯:小屋近くで通じる(au) ・栂海山荘 利用料2,000円(テント1,000円) 毛布あり トイレ)(ワイルドなボットン便所、ペーパー無し) 携帯:小屋近くで通じる 【栂海新道の水場(縦走時点)】 ・黒岩平:出ていた(沢) ・北俣の水場:しっかり出ていた。栂海山荘には水場は無く、飲料水はここで調達要 登山道から往復約10分 ・黄連の水場:出ていたとのこと(他の方からの情報) ・白鳥山手前の水場:枯れている ・シキ割:しっかりと出ていた(登山道沿いであり有難い) |
その他周辺情報 | 親不知観光ホテル:立ち寄り湯+親不知駅への送迎で1,500円。前日予約要、入浴は15:00までに完了が必要 (私は間に合わず、タクシーで親不知駅に行きました) |
写真
感想
その存在を知った学生のころから、いつかは栂海新道を日本海まで歩きたいと思っていた。今回、世では感染者が爆発的に増加し緊急事態宣言が発出される中、山行を決行することに躊躇いがあったが、自分の年齢や体力を勘案し、今年を逃すともうチャンスは巡ってこないことも考え、感染対策をしっかりと行ったうえで決行することとした。
ここ数年間、公私共にいろいろとあり山行回数が減少。中でも本格的なテント泊山行は5年間行っていないことに加え、コロナ禍や自身の怪我もあり、ランニングなどのトレーニング量が減少していたことから、体力面の不安を感じていた。結果的に、その不安は的中した。
初日、猿倉で計画書を提出。登山相談所のお姉さんからは「栂海ですか。夏は遠慮したいですね〜私は」と先制パンチを浴びつつ山行開始。大雪渓をテンポよく上げていったまでは良かったのだが、大雪渓を通過後の急登で疲れ、後半は5歩登っては一息つくほどの失速ぶりとなった。それでも、群生する高山植物に力をもらいながら一歩ずつ歩を進め、予定より早く一日の行程を終えることが出来た。頂上宿舎でのビールがこの上なく美味かったのは言うまでもない。
2日目、快晴の中白馬岳へ。近くに剣岳、遠くに槍ヶ岳を望む。三国境以降は登山者も減り、久々のアルプス稜線を堪能・・・だったのだが雪倉岳の登りは予想外に強敵だった。ピークに着いたときには既に疲れ果て、以後の行程は推して知るべし。ちっとも水平ではない水平道に悪態をつきつつ、漸く見えた朝日小屋のあまりの遠さに愕然としながらもなんとか到着。この日は500mlのビールを購入したのは言うまでもない。この時点で、今後の行程に不安を持つ。本当に日本海に行けるのだろうか。吹上のコルから蓮華温泉に下山すべきではないのか?ここで下山しても、好展望とお花畑に恵まれた、充実した山行だったのではないか?隣のテントの方との会話「明日はどちらまで?」「栂海山荘の予定です(言ってしまった)」「すごいですね」「・・・・」
3日目、朝日岳の登りはやはり苦労したが山頂からガスが晴れた瞬間に日本海が見え、テンションが上がる。そして吹上のコルでは岩に赤いペンキで書かれた「↑ツガミ」の文字に決意を固める「行くしかない」。黒岩山までの前半、黒岩山から栂海山荘までの後半と心の中で区間分けをする。前半は湿原に木道が設置された思いのほか穏やかな縦走路で始まる。直射日光ではないが徐々に気温は上昇。水の摂取量が増える。時折、雪渓を削り帽子の中に入れ頭を冷やす。黒岩山の山頂で名古屋から来たお二方に抜かれる。「小屋で会いましょう。お気をつけて」後半は灌木の多い狭い尾根道が続く、想像していた栂海新道。サワガニ山と犬ヶ岳間の崩落地の迂回路は体力を消耗した。水場の状況が全般的に不明瞭なため、北俣の水場では6ℓの水を確保。うち2ℓは栂海山荘での生活用。残る4ℓを翌日の行動用としたが、加わった水を背負っての犬ヶ岳の登りはまさに苦行。頂上近くの痩せ尾根の通過には苦労した。栂海山荘では小屋を自分のほかに2名ずつ二組が利用、テント場は朝日小屋でも一緒だった青年と、何と上高地からテント泊で縦走しているという青年の二人だった。自分は屋根裏を使用。ザックを上げるのに苦労したが、広いスペースを一人で使わせてもらった。疲れで食欲が落ちていたが、食パンをスープとコーヒーで流し込んだ。
いよいよ最終日。やはり食パンを水で流し込む。親不知でお風呂に入るためには15時までに入浴を終了しなければならない。少しでも涼しいうちに距離を稼ぎたい。白鳥山まではアップダウンが激しいが、その後は楽になるはず・・・・。この山行で初のご来光を拝み、振り返ると栂海山荘が小さく見える。菊石山の登りで小屋で同宿の一組に抜かれる。下駒山の登り。無茶苦茶きつい。名古屋から来たお二人、朝日小屋から一緒のテント泊の青年に抜かれる。これで最後尾だ。白鳥山の登り、下山路のはずなのに標高が上がっているのはどういうことか。きつすぎる。白鳥山、下駒山は「最も辛かった登りベスト5」入賞の栄誉を与えます。ようやく白鳥山避難小屋に到着するとテント泊の青年が休んでいた。こちらもきつそうだ。ゆっくりき行きましょう。ここで大休止をとり少し回復したのだが、この後、休憩時間が10分から15分、20分と増えていくことに。さあ、ここまでくればもう少しだ。気力を振り絞る。暑い。シキ割の水場が出ていたら、頭から水を被りたい・・・。水場に到着するとテント泊の青年と再びお会いする。水は出ていた。良かった。頭から被る。もうすぐ坂田峠だ。坂田峠に飲み物の自販機は無いかな?あるといいな。あったらコーラを飲もう。坂田峠に到着。自販機は無かった。ショックで大休止をする・・・さあもうひと踏ん張りだ。しかし、尻高山を通過したところで致命的なエラーをしてしまう。入浴時間には間に合いそうもない状況の報告に親不知観光ホテルに電話をしたのだが、電話を切った後、こともあろうに来た道を逆走してしまう。気が付くまで30分も歩いてしまった。「下山路なのになんで登ってんだよ、畜生」そりゃそうだ、逆走しているのだから・・・・。リカバリーを合わせ約1時間のロス。呆然となりながらも歩くしかない。大声で喘ぎながら歩く。下手な熊鈴よりも大音響だ。きっと熊さんも道を譲るだろう。最後のピーク、入道山を過ぎ、416m地点を通過するとあとは下りのみ。疲れた脚には下りもきつかったがやや唐突に国道にぶつかり、親不知に到着、縦走は終了した。親不知観光ホテルではテント泊の青年が先着しており、お互いに慰労。縦走途中は、「親不知に辿り着いたら感動で涙がちょちょぎれてしまうのではないか?」などと想像したのだが、不思議なことに大きな感慨もなくコーラ一気飲みの後、着替えを行い、汚れた身体をウェットシートで拭き、短距離で嫌がるタクシー会社に半ば強引に迎車を頼み、せっかくなので日本海をのぞむ浜辺に行き、テント泊の青年と同乗して親不知駅まで行き帰宅の途についた。
下山して2日経ってようやくレコの作成に着手した。下山後しばらくは気力・体力が減退し何をする気にもなれなかったがようやく回復した形だ。
感想を読み返すと特に栂海新道に突入したあたりから支離滅裂で、思い返すと、実際に体力的に限界に近く、わけわからん状態になっていたのではないか。30分も逆走に気付かないなどとは遭難一歩手前だ。水分、塩分、カロリーの補給は意識していたが、或いは熱中症に近い状態だったかもしれない。下山直後の無感動な状態も頷ける。
今回は自分の山行でも一区切りのつもりで臨んだものだった。結果的に念願のコースを完歩することが出来たのだが、天候など状況次第では危険な状態になった可能性も否定できない。体力面、栄養面を含めた日頃の準備に加え、行程や装備を含む計画のより細かな検証を行う必要を感じた。或いは、年齢を考えるとテント泊山行の限界もあるのかもしれない・・・などとやや弱気になったりもした。
コメント
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レポートからも大変さが伝わりました。1日10時間以上の山行はさすがにきついですよね。私にはもう無理!!
いろいろとあったと思いますが、無事で何よりです。
私はこの3連休にワクチン2回目接種し、昨日は1日苦しんでました。今はもう回復してますが。
それではまた。
栂海山荘の一階に夫婦で寝ていたKeishoといいます。
私たちは蓮華温泉から朝日小屋経由の栂海山荘泊でした。
私たちも最終日は暑くて、暑くて、水をがぶ飲みしながら歩きました。
親不知観光ホテルに着いたのは14:00でしたが、途中で電話をしたところ、宿泊を断られてしまった事と入浴は男湯しかあいていないとの事などが有り、入浴・宿泊をあきらめました。
また、ここまで来て海岸まで行かないと後悔すると思い、海に足だけは浸けてきました。
結局、下山後は疲労が激しいため糸魚川までタクシーで戻り糸魚川に宿泊して来ました。
そして、夜に夕食を食べに行ったところテント泊の青年の方とお店でばったり、またまた大変びっくりしました。
色々な縁が有るものだと感心しました。
また何処かでお会いできたらと思います。
最終日の朝、私が早い時間にアラームを鳴らしてしまい、ご迷惑をおかけしたのではないでしょうか?
それにしても、辛い行程でしたが、お二人の健脚ぶりには圧倒されました。
山には普段からお二人で出かけておられるのですか?
いつも単独行の自分としては、とってもうらやましいです。
またどこかの山でお会いしたいですね。
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