涸沢・奥穂・前穂 〜紅葉とブロッケンとジャンダルムを眺めて〜
長野県
岐阜県
yosshi-
その他8人 - GPS
- 30:40
- 距離
- 25.3km
- 登り
- 1,962m
- 下り
- 1,960m
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標高グラフを拡大コースタイム
8:50上高地バスターミナル-9:30明神-9:40穂高神社奥宮-10:00明神館10:09-10:54徳沢11:00-11:53横尾12:36-13:36本谷橋13:45-14:40休憩14:45-15:30涸沢小屋
二日目
4:10涸沢小屋-5:27ザイテングラート取付点5:34-6:12休憩6:19-6:44穂高岳山荘7:30-8:20奥穂高岳8:30-10:02紀美子平10:10-10:35前穂高岳10:45-11:05紀美子平11:23-12:50岳沢小屋13:40-14:42風穴-15:13穂高・岳沢登山路入口-15:30上高地河童橋
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2013年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
タクシー 自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
涸沢の紅葉は見頃、岳沢から上も同じく。 トイレ・売店は各所にあり。トイレはチップ制。 涸沢から上、上から岳沢までは岩場・鎖場あり。 |
| 予約できる山小屋 |
横尾山荘
|
写真
屏風岩と北尾根の間、蝶ヶ岳の向こうから日が昇ってきました。今回の個人的ベストショット。ザイテングラートからの御来光。画像サイズ大きめで。
13
感想
涸沢の紅葉を見に行こう、という事で以前から計画していた山行です。
一般的には2泊3日の行程ですが、休みが取れないので1泊2日でササッと行ってきました。
・1日目
朝は4時集合。
車で松本ICまで向かい、待ち合わせていた知り合いと合流。
天気予報では微妙な感じでしたが、松本に着いて見ればなかなかの好天です。
8時頃には沢渡のアルピコタクシーの営業所に到着。
ここから2台のタクシーに別れて出発です。
僕が乗った方のタクシーの運転手さんは山登りをする方で、山岳会にも所属していて穂高にも十回以上も登ったそうです。
色々とためになるお話を聞かせて貰ったり、大正池の辺りで穂高連峰の良い撮影ポイントがあるという事でタクシーをゆっくり走らせてくれたりと、とても良い運転手さんでした。
上高地に到着して見上げれば、空は青いし焼岳も西穂も良く見える良い天気。
これは今日の登山は楽しくなるな、と期待せずにはいられません。
本日の行程は、上高地から明神・徳沢・横尾と平坦な道を進み、そこから涸沢へ登って行くという極々一般的なルート。
荷物の最終チェックや軽く準備運動を済ませたらいざ出発！
小梨平のキャンプ場で明神岳をバックにみんなで写真を撮ってから、梓川沿いに続く森の中の平坦な道を進みます。
これといって特別な何かがあるわけでもない幅広で平坦な道です。
精々途中で猿が出たくらいなもんです。
とはいえ涸沢に4時前には到着したいので少々ペースは早め。
河童橋から40分程で明神に到着。
天気が良いので予想以上に暑いため、ここで上着を脱ぎました。
そして明神館の前に荷物を置いて明神池へと向かいます。
梓川に架かる明神橋の前は絶好の明神岳の撮影ポイント。
ここでもみんなで記念撮影。
橋を渡って3分程で嘉門次小屋と鳥居が見え、穂高神社奥宮と明神池に到着。
さて神社にいつもの登山祈願をば、と思ったらサイフをザックに入れっぱなし……。
しょうがないので仲間のお姉様が入れて下さったお賽銭で一緒に祈願。
その後は明神池を見に行くメンバーを、神社の手前に流れるきれいな支流を眺めて
待ちます。
警戒心の欠片も無い数匹のイワナ見つめながらストレッチをしつつ待っていると、5分程度で帰ってきました。
300円払って5分で戻って来るのは早いよ……いくら花より団子派だって言ってもそれは早いよ……。
などという思いは口にせず、じゃあ行きますかと明神館まで戻ります。
戻ってからは先程お賽銭を入れてくれたお姉様が人数分用意してくれた厳選お菓子やらおにぎりやらを軽く食べ、今度は徳沢へと向かいます。
徳沢への道も特に何も無い平坦な道です。
ちょっと早めに歩いて45分で到着。
徳沢にはキャンプ場があるんですが、そこが芝生の広場でして。
こんな場所でテント泊したいなぁ……と思うくらい良さ気なところです。
テントを張ってる人達を羨ましげに見つめながら小休止を取り、11時に横尾へと出発します。
横尾までの道は以下略。
50分程で横尾に到着。
ここでお昼休憩です。
おにぎりとパンを食べつつ、お姉様からぶどうを頂く。
山で食べる果物ってなんでこんなに美味しいんだろうか。
食後にトイレを済ませて12時36分にいざ涸沢へ出発。
橋の向こうに屏風岩を望める横尾橋を渡り、川沿いの道をゆるゆると登って行きます。
道の大半は平坦ですが、今まで歩いてきた道に比べて道幅は狭く、ちょいちょい階段状の登りが出て来ます。
やっとこさ山登りという感じが出て来ました。
この辺りでは進行方向左手に屏風岩を眺めながら木々の中を進んで行きます。
周りの木はあまり紅葉も黄葉もしていませんが、見上げる屏風岩の上の方では色付いた木々が見られます。
こいつは涸沢が期待出来るな、と内心ワクワクしながら歩を進めていると、後ろから隊長の声が飛んで来ました。
「ちょっとペース早いぞー」
何事も経験という事で横尾からの道は隊長と代わって僕が一番前を歩いていましたが、涸沢へと思いを馳せるあまりそれが脚にも出ていた様で。
そこからは気持ちゆっくりと進みます。
さて、屏風岩をぐるりと回り込む様な形に続いている道は、いつしか北向きから西向きへと道の先が続く様になりますが、そうなってくると見えて来るものがあります。
左に屏風岩、右に横尾尾根、その間からドンと聳える北穂高岳です。
左から岩山があって、青い空と白い雲があって、北穂がバーンとあって、また青空と白い雲、そして岩山という景観。
3000m級の山はやっぱりデカイなぁと感じずにはいられません。
そこからは北穂を正面に見ながら道は進み、横尾から1時間ほどで本谷橋へ到着しました。
本谷橋では多くの登山者が羽を休めていました。
川沿いには岩が転がり、上流を見れば北穂が静かに佇んでいる姿が良く見えます。
川を挟んで向こう側には腰を下ろすのに丁度良い感じの岩がごろごろとありますし、木蔭なのでそちらで休んでいる方が大半ですね。
確かに休憩するには持って来いの場所です。
ちなみに、ここの水は飲めませんと看板立ってます。
川の上に架かる細く小さな吊橋の本谷橋と、3本の角材をまとめただけの渡し木がかかっています。
どっちを通っても一緒ですのでお好きな方を。
僕は面倒なので渡し木の方を進みましたが。
そこから涸沢までは一気に高度を上げて行きます。
急登をひいこら言いながら登り、屏風岩を巻く様に進んで行くと段々と遠くに見える木々が色付いてきました。
正面に見えるギザギザした山並みの木々は7割が黄色で残りが緑と赤、という感じです。
今自分達がいる辺りはまだ緑が多いですが、これは本当に涸沢が期待できそうです。
そんな気持ちが表に出たのか、再び隊長からのちょっとペース早いぞコール。
いかんいかん、ゆっくりね、ゆっくり。
1時間ほど歩いたところで小休止。
向こうに見える白いのはひょっとして雪？
という事はあそこが涸沢カール？
じゃああれが吊尾根であっちが奥穂でギザギザした山並みは前穂の北尾根？
周りの木々も段々と色付いてきましたし、嫌が応にもテンションが上がってまいりました。
道を進んで行くうちに、階段状の石の道に変わって来ました。
正面には涸沢の紅葉も見え始め、振り向けば黄葉の屏風岩に北穂の影が映り始めている姿が見えます。
この辺り、まだナナカマドの色は緑の物が多めですね。
赤くなり始めた物も中にはありますが、大半はまだ実だけが真っ赤、という感じ。
登り続けてもうすぐ涸沢小屋と涸沢ヒュッテの分岐点ところまで来ると、吊尾根と涸沢のマーブル模様な緑・黄・紅葉がドドンと目に飛び込んできます。
上の方はややガスってますが、それもまたオツな物で。
もちろん見上げるだけではございません、足下にもちゃんと目を向けてます。
分岐点の手前ではチングルマの実が風にそよいでいました。
分岐点を涸沢小屋方面へ進むといよいよ現れるのが涸沢の大絶景。
正面に見えるのは紅葉に囲まれた涸沢小屋。
涸沢岳と涸沢槍がその上に聳え、ザイテングラート、白出のコルに小さく見える穂高岳山荘。
そこから左へと視線を移していけば、日本第3位の標高を持つ名峰の奥穂高岳の雄姿。
吊尾根の下には灰色の斜面に未だ白く残る涸沢カールの大雪渓。
手前には涸沢ヒュッテと涸沢小屋の間のテント場を彩る鮮やかな色合いのテント達。
もう一度視線を上げれば峻嶮な山並みを見せる前穂高岳から続く黄葉の北尾根の峰々。
更にぐるりと左へ向けば緑の森の中に川の様に幾筋も走る黄や赤のライン。
すっかり北尾根の影に覆われた黄葉の屏風岩と、その奥に見えるのは常念山脈。
黄色い絨毯の様に広がる下草に彩りを添える草紅葉。
北穂高岳へと続く道は白い岩々と黄葉バランスが実に見事。
疲れも吹き飛ぶ様な素晴らしい景色が待っていました。
涸沢小屋に着いて、別行動をしていたメンツと合流。
1時間程前に涸沢に到着したとの事で、既に“出来上がって”おりました。
何でも涸沢ヒュッテでおでんをツマミにビールを飲んでいたとか。
おい、今飲んでるそのジョッキは何杯目だ。
3杯目ですか、そうですか。
隊長達が宿泊の受付をしている間にテラスで涸沢の景色を眺めていたら、交替しながら写真を撮ってる人達が居たので声を掛けて写真を撮ってあげました。
大した事はしてないんですが、そのお礼にとワインを一杯頂いてしまいました。
穂高ワイン大変美味しかったです、ありがとうございました。
そんなこんなしている間に受付が終了。
大部屋でしたが、結構余裕がありそうな感じです。
実際、テント場もそんなに数が張られてなかったみたいだし、朝タクシーの運転手さんも「今日は沢渡の駐車場も空いている」と言ってましたし。
今日は本当に“当たり”だったかもしれませんね。
荷物を置いたら必要な物だけ持ってテラスへ。
主にコッヘルとバーナーとコップとワインとおつまみですね。
上でホットワインを飲みたかったのでその為にワインを担いで来ました。
ペットボトルのワインなので軽くて割れ無いのはありがたいもんです。
早速テラス席で火を付けたのはいいんですが、風が出始めたので小屋の自炊室へと退却。
そこで再びワインを火にかけて待ちます。
用意していたシナモンスティックとクローブというスパイスをぶち込み、沸騰しないよう、コッヘルのふちに細かい泡が付く程度の温度でかき混ぜながら待つ事しばし。
一緒のテーブルに居た年配のご夫婦の方とみんなで話してる間にほぼ完成。
最後に砂糖を大さじ一杯分入れてかき混ぜたら完成。
みんなに注いだら一人当たり70mlくらいになっちゃいましたが、足りないよりはマシという事で。
お好みで更に砂糖を加えたり、オレンジジュースを加えても可。
もちろんどちらもちゃんと用意しておきましたよ。
味の方は概ね好評だったようで、ホッとしました。
ホットワインだけにか？ とか言わなくていいです。
人数が多いので夕食の時間は何十人かに別れて30分毎になりました。
僕らは遅い方で6時30分からの組に。
それまでの時間は前述の年配のご夫婦の方とお話しして待ちました。
旦那さんは御歳74歳！ 百名山を3周くらいしている上に海外登山も何度も行っているという凄い人でした。
そしてそれに付いて行ける奥さんもまた凄い……。
僕が百名山とか色々登りたいという話をしたら、自らの経験談も交えて色々と為になる話をして頂けました。
本当にありがとうございました。
夕食は結構豪華。
内容は写真で。
ごはんととん汁はおかわり自由でした。
もちろんおかわりしましたよ。
食後は歯を磨いてから荷物の整理。
明日は朝の3時起きで4時出発の予定なので。
それが終わったら外に出て少しだけ星空を眺めてみます。
やっぱり山の上だと東京とは見える星の数が断然違いますね。
その後は部屋に戻ってリラックス出来る格好に着替えてストレッチ。
Tさんに軽くマッサージして貰った後（感謝）、消灯前にさっさと寝ました。
しかしまぁ夜は暑かったです。
大部屋は二階だったんですが、人が多いのと調理場の熱が上に上がって来るのかなんなのか、とにかく標高2350mの夜とは思えない暑さです。
Tさんが少し窓を開けておいてくれなかったら相当寝苦しかったかと。
・二日目
夜中に2度起きましたが、直ぐに寝つけたので割と熟睡出来たんじゃないでしょうか。
3時起きでもパッと目が覚めて体の調子も悪くない感じです。
ササッと着替えて荷物を持って自炊室へ。
小屋の中は消灯時間でも非常灯というか小さな明かりが点いているので、ヘッドライトは必要無いですね。
自炊室で軽く腹に入れたらレインスーツを着て最終チェック。
ヘッドライトもちゃんと点くし、忘れ物も無し（後で気付いたんですが、一日目に被ってた帽子を忘れてきました……お気に入りだったんですが……）。
暗闇の中、いざ出発です。
以下、今夜にでも再編集します。
・暗闇の中、メンバーの一人が道を外れてあわや遭難という事態に。無事合流できました。
・ザイテングラートの取付点で御来光を迎える。
・真っ赤に染まるザイテングラート。僕たちも真っ赤に染まりました。下を見れば涸沢からこちらに向けてカメラのフラッシュが焚かれているのが良く分かります。
・ザイテンからは岩場。鎖やハシゴも少しだけあり。
・穂高岳山荘に泊まってた人達が御来光の後から下山し始める。途中ですれ違い待ち。
・6時40分頃、穂高岳山荘に到着。石畳にイワヒバリが。山荘の中で涸沢小屋で作ってもらったお弁当で朝食。穂高岳山荘のホットレモン（400円）と奥穂・前穂のバッジを購入。
・奥穂へ出発。初っ端から急な岩場の登り。木曽駒の宝剣岳よりキツかった気がする。高度感たっぷりのハシゴも。
・登り切ったらややガス気味もすぐ晴れた。
・ブロッケン現象！ 20秒も無かったかもしれない。よくぞ見つけた！ えらいぞ自分！
・ジャンダルム！ ちょっと感動。景色を見て涙が出たのは初めてかもしれない。
・振り返ると涸沢岳。遠くの槍ヶ岳は雲の中。でも一瞬だけ顔を出した。照れ屋さんめ。
・奥穂高岳に登頂！ 3190mの頂き。穂高神社嶺宮に参拝。いつもの祈願。
・吊尾根をすたすたと。途中でお姉様方を隊長に任せ、先に行ってるメンバーと合流。
・紀美子平にザックをデポ。合流したメンバーと再び別れて二人でややガスってる前穂へ。
・前穂の岩場は初っ端の奥穂のより楽。無事登頂。3090m。山頂に着いたら上高地方面だけ晴れた。赤い屋根が良く見える。
・紀美子平で軽く腹に入れて岳沢へ。
・高度が下がるとハイマツの鮮やかな緑から段々とダケカンバやモミジに代わっていく。左手に見える明神岳の山肌は8割が黄色。モミジの紅葉が実に鮮やか。
・岳沢小屋手前で隊長とお姉様方に追い付く。岳沢小屋で休憩タイム。涸沢小屋の昼食用のお弁当組と岳沢小屋のそば・うどん組。疲れた体にきつねうどんの汁が沁み亘る……。
・例によって先行メンバーと別れて出発。6人でわいわい進む。道は長い。
・風穴の前まで来た。近寄っても穴から風出てないんですけど……。冷たく無いんですけど……。
・登山道入り口に到着。自然探勝路の木道を進み、途中で奥穂やら明神やら六百山をバックに写真を撮る。かわいいお姉さん二人組に撮ってもらった。いいね。あくまで風景の話です。
・河童橋へ。途中絶好の撮影ポイントあり。梓川越しに今日歩いて来たところが全て見える。パシャリ。
・河童橋到着。アルピコタクシーに連絡。隊長間違い電話で会社へ。何やってんの。今日来れなかった仲間にお土産を買う。
・上高地ソフトクリームを食べる。売店のお兄さんに普通のソフトクリームと何が違うのか聞いたところ、違いは特にないとか。なんじゃそりゃ。
・一日目の朝にタクシーの運転手さんから聞いた話では、河童橋の先にある清水橋の辺りの水が美味いらしい。隊長と二人で汲みに行く。つめてぇー。そしてうめぇー。
・タクシーで沢渡まで戻り、その後温泉へ。乗鞍高原の湯けむり館。白く濁った硫黄の香り漂う良い温泉。去年も寄ったけど道路の向かい側に移転した。食事処の手打ちパスタとピザが美味しそうなので夕食はここで。入浴料と御食事券1200円分のセットが1500円とお得なのでそれで。温泉は最高。手打ちパスタとピザは美味しかった。また来たいと心から思えるレベル。
・帰りは僕が運転。他人の車はあんまり運転したくないタイプなんですが、そうも言ってられません。とにかく、自分が死にたくないので安全運転で。
・無事帰宅。次の日から主に太ももの激しい筋肉痛が。今これを書いている三日目の朝でもまだ若干の筋肉痛が……。
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