広谷川御神楽沢奥壁〜デトスポンジ沢
- GPS
- 33:09
- 距離
- 14.3km
- 登り
- 1,557m
- 下り
- 1,560m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
会の後輩と憧れのルートへ。
・ルートの概要とチャレンジの経緯
広谷川御神楽沢〜奥壁本谷ルンゼ
このルートを知ったのは、会に入って間もない頃、どことなくネットでトマの記録を見つけたのがきっかけだった。
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://tomanokaze.sakura.ne.jp/Kiroku/2008/20081003_MikaguraSawa.pdf&ved=2ahUKEwj2gYPU-4_zAhXsFqYKHQrPAk0QFnoECAcQAQ&usg=AOvVaw0kD1qvRb9dRg5s2FfsHXe3&cshid=1632223912876
記録に出てくる、朝日に染まる奥壁がとても綺麗でいつか行ってみたいと思っていた。
しかし、それは憧れであってその時自分には行けるはずないと思って、それ以上調べもしていなかった。
それから何年かして、会の先輩からもこのルートを聞くようになり、また自分自身も行ける沢のグレードが上がってきた。去年あたりからやっと3級以上の沢にも自分の力で行けるようになってきたので、今年こそ先輩を誘って行きたいなと考えていたが、今年に入り、先輩方が相次いで会を辞めてしまった。でも、憧れを憧れのままで終わらせたくない気持ちが強く、後輩のyoshikitoを誘ってチャレンジしてみることにした。yoshikitoとはここ何年か一緒にたくさん沢に行っていて、パーティシップは申し分ない。あとは、自分たちの総合力が足りているかどうか、だけである。
前週でこの山域の概念把握や仕上がり具合の確認を済ませて、三連休の天気は後半2日間が快晴予報となり、申し分ないコンディションとなったので、行ってみることとした。
ルートの概要としては
1日目→広谷川を遡行し、御神楽沢に入り、滝の登攀や巻きを交えつつ、御神楽沢奥壁へ。水晶沢出合でビバーグ。
2日目→奥壁の本谷ルンゼを登攀。破線の登山道を下りて下山
という感じ。一日目は沢登り、2日目はアルパインという沢パイン系のルートで、核心としては上部ゴルジュの突破だ。本谷ルンゼの登攀自体はノーロープでこなしているパーティも多い。
・山行概要
三連休の初日は台風通過日となったので、移動日とし、はるばる南会津まで移動。阿賀町で夕飯を済ませて、周辺で前泊。
1日目
3:00起き、4:00出発。1時間弱で蝉平登山口へ。まだ暗いので少し2度寝しつつ、6:00くらいに登山口スタート。スタート直前にブナの会さんの4人パーティの車が来て、全く同じ行程とのことで、少し談笑する。オバタキタンの転身だそう。1人は最近、カモの1部メンバーで人気のM山さんだった。去年のザクロ谷やオツルミズの記録が面白いしスゴいので知らない人は読んでみるのオススメです。(自分は去年の楢戸沢で存在を知った)
もう1人は先日丹波川本流で会った三峰山岳会の方だった。世の中は狭い(笑)
とりあえず行程スタート。まずは悪い登山道を歩いて湯沢出合まで。ほとんど並行移動だが、ところどころ悪い。1時間弱で湯沢出合に到着し、入渓する。
パッと見、沢は綺麗だがそこまで水量も沢幅も大したことない。
少し歩くと淵が出てきて、yoshikitoが釣竿を垂らす。意外と魚がウジャウジャいる。こんなに魚いると思わなかった。
その後は釣り上がりながらゆっくり歩いていく。御神楽沢出合まではたまに浸かったりする箇所も出てくるがほとんど滝もなく、平和な遡行が続いた。出合の直前でyoshikitoが20cmくらいの魚を釣り上げ今晩のおかずが出来た。
そして、ム沢の大滝が見えて来る頃、ついに御神楽沢出合へと入る。ム沢も楽しそう。行きたい。御神楽沢出合はパッと見、大したことない感じだが、入るとすぐ綺麗な淵が出てきて、テンションが上がる。その後、御神楽大滝が現れる。ここに着いたときブナの会パーティが御神楽大滝を登攀していた。(リードはM山さん)全然登攀記録ないのにスゴい。
パーティのリーダーっぽい方いわく「沢は一期一会だから滝は全部登りたいんだって」とのことらしい。一期一会ってワードチョイスが面白くて笑ってしまった。登攀スピードも半端なく、自分たちが巻き始めた頃にはもう登り終わっていた。
こちらは右側のルンゼ状から登り、トラバースするルート取りで、トラバース時に2Pロープを出した。最後は巻き下りで落ち口へ。
その先からは下部ゴルジュが開始。浸かってシャワー浴びたり、ちょっとガバが遠くてショルダーしたり、楽しく簡単でもない滝をどんどん登っていくと、沢が開けて、下部ゴルジュは終了。出合の大したことない感じからは想像もつかないようなスケールの大きい渓相になる。Dルンゼがとてもカッコイイ。まさに越後の沢といった感じで水無川真沢と似ている。
その先で中ノ沢大滝と出会う。こちらもスケールが大きくカッコイイ。こちらは左側のルンゼからフリーで登る。快適に登れる。
そこから先はついに核心の上部ゴルジュに突入する。
・最初の深い釜を持った6m滝
yoshikitoリード。空身で取り付き。ダイナミックロープと合わせて荷揚げ用のロープも合わせて引いてもらう。へつりつつ、途中で飛び込んで取り付き、左側を登る。さくっと突破していた。荷揚げしてからフォローでさっさと登らせてもらう。自分リードだったら嫌だったなぁ。
・2番目CS滝
直登は無理で左側の被り気味の壁から登る。今度は自分が空身で。被っているけどホールドはガバなので問題ない。荷揚げしてyoshikitoにも登ってきてもらう。
・10m滝
続く10m滝は自分リードで。左側下部の草付きから一段上がって、水線寄りにトラバースして登っていくが、トラバースするあたりのムーブが少しいやらしかったが、問題なく突破。わりといやらしかったので丁寧にハーケンで支点構築して引き上げ。残置ハーケン1個あり。
その後も滝は終わらず、シャワー浴びながら滝を突破していく。その後、8m滝が出てきて、そこは抜け口がよくわからなかったので念の為ロープ出しして左側を登る。下部は問題なかったが抜け口がヌメっていて、ホールドがあまりなく、いやらしかったので、ロープ出しておいてよかった。
それが終わると、最後にCS滝があって今度こそ滝は終わり!そして、待ちに待った奥壁が現れる!カッコイイ!!スケールがスゴすぎる!
こんな場所で泊まれるなんて最高すぎる。
たくさん写真撮って、薪を集めて、暗くなる前から焚き火タイム。まったりと過ごす。
本当に幸せな時間だった。
・2日目
この日も快晴。奥壁が朝日に染まる写真を撮りたかったので遅めのスタートにしてもらう。あさごはんを食べながら、朝日が登ってくるのを待つ。そして、奥壁が綺麗にオレンジ色に染められていく。本当に美しい。この景色を見られて本当に良かった。絶対に忘れないようにしよう。
その後準備して2日目行程スタート。本谷ルンゼを目指す。しかし、入ってすぐ、yoshikitoがわずかに触れた岩が動いて自分の方に落ちてきた。とっさに避けたつもりだったが、左足の甲あたりが潰される感じで接触してしまった。怪我の程度を見てみると、打撲と捻挫、軽い切り傷といったところで骨は折れてない様子。直後でアドレナリン出てるのもあって、まだ本谷ルンゼを諦めきれず、これでも行けるんじゃないかとも思ったが、ここで無理しても意味ないし、エスケープすることに。
エスケープするとはいえ、ここは奥壁の基部なので、そう簡単には行かない。本来の本谷ルンゼよりも登攀が簡単でかつ下山もすこし短くなるデトスポンジ沢から登山道を目指す。デトスポンジ沢は1級上くらいのスラブ沢で捻挫していても意外と行けた。そして、ところどころ景色が開けていて綺麗。なかなか悪くない沢だった。少し藪漕ぎして登山道へ出た。
そこからは蝉平登山口まで登山道を使って下山。この登山道がかなり悪くて、足滑らしたら死にそうな箇所がいくつも出てくる。これが捻挫した足にはとても辛かった。CTの倍くらい時間をかけてなんとか下山した。1日目よりずっと簡単な行程なはずなんだけど、2日目の方が精神的につらかった。ちゃんと帰ってこれた時には涙が出そうなくらい安心した。
・まとめ
今回は本当に1泊2日とは思えないほど、盛りだくさんでいろんな感情が入り交じった山行だった。感動、達成感、悔しさ、痛み。。。
御神楽沢は美しく、滝の突破は小難しいが楽しい。奥壁は予想を超えたスケール感で素晴らしい絶景。なにより奥壁を見ながらの焚き火というロケーションが最高すぎる。そして、後輩とチャレンジしてみて、沢パートをちゃんと突破できたのがとても嬉しかった。とはいえ、2日目はエスケープしてしまったし、他パーティの強い人たちの刺激もあって、まだまだ満足はできていない。もっともっとこんな素晴らしい沢をやりたい。そんなモチベーションがあがる山行となった。
まずは怪我を治して、またこのフィールドに帰って来れるようにしたい。
yoshikito
今回はありがとう。本当に素晴らしいルートだったね。今回の経験を糧にもっともっと素晴らしい沢をこれからもやっていこう。これからもよろしく!
御神楽岳の御神楽沢に行ってきました。個人としては初の4級沢となります。計画当初はまあ何とかなるだろうという気持ち半分、ゴルジュ突破と雪渓問題で不安半分。下ノ沢と前ヶ岳V字スラブでプレトレ&偵察、記録を読み込んで、大丈夫だなという感覚で当日に臨んだ。遡行内容、渓相ともに素晴らし内容でしたが、同日に遡行していた強い人たちを見てモチベーションが上がりるという別の意味でも収穫のある山行となりました。
1日目
日の出少し前に、蝉ヶ平に到着し二度寝。最近、駐車場での二度寝が多いが何だか最高に気持ち良く癖になっている。明るくなって準備をしていると、別パーティがやって来た。天候を考えると東北の沢に入るパーティが多いだろうと予想していたが、最終的には全部で4パーティ。こんなところに笑。場所取りや順番待ちが気になっていたが、みなさん良い人たちで気持ちよく遡行することができた。
まずは登山道を歩き、湯沢の出合から入渓。御神楽周辺の沢は水が澄んでいてきれいだ。少し歩くと淵に岩魚が悠々泳ぐのを発見し、竿を出す。一投目。流れがないので、流さずに落としてみたが喰いついた。大きい!しかしアワセが弱く、ばらしてしまった。二投目。また即喰いついた。小型15cmくらい。もしかして釣り堀かと思ったが、その後は渋く、当たっても小さいのしか釣れない。そのまま釣り上がると、途中で熊がいた。初めてみたけど、手足長いのね。しばらく待つと山に入っていったのでそそくさと通過した。しばらくすると後続パーティが追い付いき、喰い付きもよくないので、先に行ってもらい一旦竿は仕舞った。良さそうな場所でもう一度竿を出してみるが、やはり小さい。何度か粘ってみると、まあまあの引きが。サイズは20cm強だが細く痩せている。針を飲んでしまっていたので、夕飯のおかずとしてキープ。
しばらく進むと河原状のなり、右から支流が入っている。間違いでは?というようなショボい見た目の入り口だ。GPSで確認するとやっぱり、御神楽沢らしい。入渓するとすぐに記録で見たことのある淵、神楽滝に出合う。先行パーティは登攀していた。上部悪く見えるが、マジか。遡行時間含め、敗退したとしても何とかする自信があるのだろう。自分たちは左岸から高巻く。ルンゼを上がり念のため、ロープを出して下降気味にトラバースした。2P出して最後はクライムダウンして谷にもどった。なかなか渋い巻きだった。ゴルジュを快適に進み、沢が右に曲がったところで中ノ大滝。セオリー通りに左凹角から登ったがホールドはあるので快適に登ることができた。そこから少し行くと上部ゴルジュが始まる。へつりからの登攀、CS横の被り壁、10mくらいの滝の3連チャンが核心とされているが、私,yu,yuでリードする。最後のは、弱プロだし出前持ちからの足入れ替えみたいな変わったムーブでてくるし、よくやるなと思った。その後もシャワーをどうぞという滝が連続し、沢登りの良いところ満載でとても楽しかった。上部ゴルジュを抜けると奥壁の基部に到着、白石沢スラブのドームよりも何倍も大きい。先週に上から覗いてすごいだろうなと想像していたが、やっぱり素晴らしい景色だ。心配していた雪渓も8月の記録から比較して、ほとんどなくなっていた。
写真撮って、薪を集めて火をつけて衣類を乾かしつつ、素晴らしい景観の下、ゆっくりと食事を楽しんだ。イワナよりは久しぶりにヤマメかアマゴも食べたい。春川はヤマメが釣れるらしいので、行ってくれる人募集。奥壁基部には全部で5パーティが宿泊していた。ソロ〜4人パーティまで、みなさん自分達よりもずっと強そうだった。ビレイ待ちや幕営場所決めでも気遣ってくれるし、強い人たちには余裕がある。装備からタープの張り方まで洗練されていたので、ぜひ真似しよう。世の中には強い人が沢山いるんだなという思いと共に、今に満足せずにやらんとなと思う。SW後半の遡行に向けて、豊野さんの飯豊・朝日連峰の沢を読んでいたが4級, 5級がゴロゴロしている。記録にも熱が入っているものが多く、面白そう。そういった沢に、ぜひ行こうとういう雰囲気になれば良いんだけどな。22時頃に就寝。夜の寒さに弱いので、シュラカバ、ポリゴンネスト、インサレーション、合羽だと気持ち良いくらい。重量としてシュラフは削りたいが、ないとギリギリアウトくらいだと思う。月がとても明るい夜だった。
2日目
4:00起床、火を熾しなおして朝焼けを待つ。yutaさんとしては過去に写真で見た憧れの風景らしい。そういうのあるよね。自分は鳥海山から夕陽をバックに日本海に向けて滑走するのとか。沢だとガンガラシバナやオバタキタン、真沢/北沢の出合い、五十沢本流だろうか。いや、考え始めるといくらでもある。
6:30発、先行パーティがCSを登っていた。めちゃくちゃでかくて面倒くさそう。そんな中、自分が何気なく触った1m強の岩が動いた。そして、すぐ後ろを歩いていたyutaさんに当たり転倒。一瞬下敷きになったようだ。足場としては平坦であのサイズの岩が動くとは全く動かないと思っていたが、豪雪地帯ですり鉢状地形の底なので周囲から集められた落石が貯まっているのだろう。考えればすぐに分かりそうなことだが、迂闊だった。狙っていた本谷ルンゼはもちろん登りたいが、これ以上に状況が悪くなるのも心配だ。相談の後、デポスポンジ沢からのエスケープとなった。大変申し訳ない。ソロでデトスポンジ沢を下降してきた方の話では、マジでつまらんとのことだったが思いの他ちゃんとしたスラブだった。そして何気に難しい。谷川のゼニイレ沢と同じくらいだと思う。2時間弱で稜線抜けし、一般道で下山した。一般道なのに悪い。足の痛いyutaさんはさぞキツい下山だったろう。何とか16時頃に下山。
中腹から本谷ルンゼのパーティが見えたが、なかなか難しそう。ゴルジュ抜けて終わりの沢かと思っていたが、最後のスラブ登攀まで面白そうだ。再訪して、是非ともやりきりたい。やはり本気の1本は面白い。また、よろしくお願いします。
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