雲取山〜七ツ石山〜鷹ノ巣山


- GPS
- 32:00
- 距離
- 23.5km
- 登り
- 2,198m
- 下り
- 2,133m
コースタイム
【二日目】雲取山8:10ー9:35七ツ石山9:45ー高丸山11:05ー日陰名栗山11:45ー12:15鷹ノ巣避難小屋12:45ー鷹ノ巣山13:25ー稲村岩分岐ー15:45東日原バス停
天候 | 1/7 晴れ 1/8 午前中晴れ→昼過ぎに薄曇り→午後小雨、東日原バス停では小雨。山の上の方は白く霧がかかっていたので、雪になっていたかも。 【気温】1/8、朝6時の雲取山頂→−5℃ 昼12時の鷹ノ巣山→5℃ |
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過去天気図(気象庁) | 2014年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
【復路】東日原バス停より奥多摩行きバス(16:25発) |
コース状況/ 危険箇所等 |
☆道の状況 ※あくまで、この日この時間に自分が感じた状況です。降雪の状況で変化すると思いますので、直近の情報を参考にしてください。 【鴨沢バス停〜七ツ石山】鴨沢バス停からしばらく積雪なし。所々日陰に凍結している場所もある。堂所あたりより積雪。(登りなら)アイゼンなしで登りました。 【七ツ石山〜雲取山】しっかり積雪あり。トレース上は圧雪されて歩きやすくなっています。トレース外すと膝くらい潜るところもあったので、積雪量はありそう。ブナ坂上の日向では所々土が出ているところも。 七ツ石山頂からアイゼン(12本)履きました。この区間、すれ違う人の足元を観察していると、運動靴(!?)、登山靴にアイゼン無し、登山靴にチェーンスパイク、10本爪アイゼン等々…様々でした。アイゼン無しでも歩けそう…?と思って、山頂到着後に奥多摩小屋水場へ往復した際と、二日目はアイゼン無し(ストックは持った)で歩いてみました。注意して歩けば問題ないように思いました。でもアイゼンあればザクザク足元を気にしなくて歩けるかなあと思います。 【七ツ石山〜鷹ノ巣山】雲取山へのルートに比べるとトレースは薄めですが、これまた圧雪されていて歩きやすくなっています。広い尾根上や鞍部は気持良さそうな雪原になっていて、スノーシュー担いで上がっていたら楽しそう…!(それらしき足跡ありました)高丸山の南東斜面は土がむき出しになっていて(しかも急斜面)泥でぐちゃぐちゃと滑ります。ここは巻いた方が賢明だったかな?ここを除けば、気持のよい縦走路。 【鷹ノ巣山〜東日原バス停】稲村岩尾根、上部はまだ雪がサクサクしているので歩きやすいのですが…半分あたりから雪と土がミックスしていてさらに凍結箇所が多数、足を置く場に気を遣います。 稲村岩分岐から下は雪は薄くなりますが、薄くなった雪が凍ってツルツルに…。更に凍結の上に落ち葉が積もって分かりづらい(何かのワナのよう!)。北斜面トラバースなので、かなり危険。奥多摩ビジターセンターによる「通行注意、転落事故発生」の注意書きが貼ってありましたが、これは転落もあるなあと思いました。ここで再度アイゼン装着。途中、もう大丈夫かな…と外した途端に滑って転びました。橋を渡るあたりまで注意が必要。 今回一番怖かったのは稲村岩尾根でした…。ここは登りで使ったほうが楽しく登れるんだ、と実感。 今回は履き慣らしを兼ねて、冬靴+12本爪アイゼンで行きましたが、大袈裟でした。特に稲村岩尾根の下りは、土と雪の混じった道なので、アイゼンの爪が砂利にあたって、かえって歩きにくい状態。石尾根縦走路もよく踏まれていたので、今回必要だったのは(自分の持っている装備では)3シーズン登山靴+6本爪(か、チェーンスパイク的なもの)だったかと思いました。 アイゼン選びって…難しいです。 ☆水場 【七ツ石小屋上の水場】チョロチョロ… 【奥多摩小屋下の水場】チョロチョロ… 【鷹ノ巣下の水場】確認していませんが、前日行かれた方は「凍っていて使えなかった」そうです。 ☆トイレ 鴨沢バス停(ウォームレットつき…有り難いです) 奥多摩小屋(チップを入れるところが見当たらなかったけれど…良かったのかな?) 雲取山避難小屋(冬期は大便不可だそうです) 鷹ノ巣山避難小屋 東日原バス停(ここもウォームレット!) 今回使わなかったけれど、七ツ石小屋にもあり。 ☆服装 上:ファイントラックのベースレイヤー、ウール半袖、ウール長袖、薄手の中間着、アウタージャケット…ウール2枚は暑かった…。 下:冬ズボン、ウール靴下 【夜間】3シーズンシュラフ(モンベルダウンハガー#2)、ペラペラ銀マット、エアーマット 上:行動着の上にフリース、ダウン 下:ウールのタイツ、行動着、ダウンパンツ、ウール靴下2枚 これにカイロ2個、 …でポカポカでした。 ☆雲取山避難小屋 ビジターセンターによる張り紙に「避難小屋利用を前提に計画をたてないでください」(うろ覚えですが)とありました。今回みたいに避難小屋泊を最初から考慮に入れるのはアリなのでしょうか??位置づけがよく分からないまま利用させていただきましたが。初めて避難小屋というものに泊まらせてもらいましたが、無人なのに思ったより清潔にしてあるなあと思いました。常識的な人が多いってことがすごい…と思います。 |
感想
初めての雲取山と、石尾根縦走路を繋げて歩きました。
思えば、3年前に初めての登山靴を買いに行った際、店員さんに「どんな山を歩こうと思ってるの?」と聞かれて、「雲取山とか」と答えた記憶があります。その時はなんとなく知っている山の名前を挙げてみただけだったのですが…。
それが、なんとなく行く機会を逃し、計画を立てては後回しになり。実は人気があり過ぎて、興味が無くなったのかもしれません。
今回、急に行きたくなったのは、多分雪のせい。久々にヤマレコを見ているうちに、雪の積もった石尾根縦走路、きっと気持が良いだろうなあ〜と思い始めたから。
最初の計画では、三峰から上がるつもりでした。が、始発バスに乗っても、三峰神社着が10:30近くになる上に、無雪期の標準コースタイムが5時間近く。今シーズンまともに雪道を歩いていないので、自分でもどれくらい歩けるか心配だったので時間ギリギリの三峰ルートは諦め、奥多摩側のメジャールート、鴨沢から上がる事にしました。
そして宿泊は…。これまたどのくらい歩けるか?いまひとつ自分が信用できなかったので、雲取山荘か、奥多摩小屋か、はたまた雲取避難小屋か…前日まで決めかねていました。使ったことのない避難小屋泊も考え(というか実はここが第一候補だったりして)シュラフとマット、自炊道具をザックに詰めて出発です。
鴨沢から七ツ石小屋までは、以前歩いた道。前回は梅雨の時期でしたが、落葉樹が葉を落としたこの時期は、なんだか明るい印象の里道になっていました。途中から雪が出始めると更に視界が明るく…。歩いていて楽しい道、今日は上で一泊するんだーと思うとワクワクする登り道。
七ツ石小屋からは本格的な雪道へ。小屋から上、縦走路に乗る直前、息を切らせながらも見上げる青空の青いこと。
ふだん下界で見る「青」より深くて「ちょっと宇宙に宇宙に近づいているんだ!」と嬉しくなる。空の青に突き刺さるような樹々の細かい枝の一本一本もすごくきれいでした。
いつも山頂のちょっと手前の道のりって嬉しくてたまらない。今回はどっさり雪道がいっそうワクワクさせてくれました。そうして登り着いた、七ツ石山の、空の広い事!
雪の「白」と空の「青」だけの世界でした。こんな身近にこんな世界があったんだ…。
七ツ石山から先は、雪いっぱいの嬉しい縦走路でした。ブナ坂から先の、先の見通せる緩いカーブや、奥多摩小屋のあたりの広い空、全部がきらきらしていていました。登り坂になるたびに、先に見える「白」と「青」が眩しさに嬉しくて、山頂に着くのは、あっという間。
やっぱり山頂直下はワクワクで、てっぺんにある小屋を目指して登っていました。もうこの時点で避難小屋泊に泊まるつもりになっている…。ザックを降ろすと、おじさんが一人先着していました。「よろしくお願いします」の挨拶をして、掃除をして自分の寝床を作ります。
ここまで水筒に500mlお湯を詰めてもってきていたのですが、今晩夕食と明日朝食分がこれでは心もとないかなあ…と思いつつ上がってきてしまいました。最悪そのへんの雪でも融かして使おうか、と思っていたのですが、それをおじさんに話すと「雪水は美味しくないよ。やっぱり湧き水が最高!」とのこと。この一言に押されて、奥多摩小屋の水場へもう一度下りてみることにしました。時間もいっぱいあるし、散歩がてら来た道を空身で降りて行く。同じ道を「登山」目的で歩くのもおもしろいけれど、生活の為の「水汲み」に登ったり下りたりするのは「山に住んでる」みたい。山で一泊すると、こういう時間が持てるのが、つくづく嬉しい、と思う。陽が傾いてきた雪の道は、ちょっとの時間差で少しずつ色が変わっていて、同じ風景も見飽きることがありませんでした。
この日の小屋泊は、このおじさんと、テントを背負ってきたお兄さんと、私の3人でした。全然知らない人と同じ空間で寝泊まりする…来る前は不安になるかと思いきや、案外すんなりやってしまっている自分を発見してしまう。山の中のこんな簡素な小屋の中では、どんな年齢、性別でも、どんな山経験があっても、どんな道を歩いてきても、単なる「一人の人間」だと思えるからかな?みんなが「新入生」みたいな…。
そんなに広い空間でもないのに、自分の空間が保てるというか、距離がおける感じがして、不思議と居心地は全然悪くなかったです。(多分これが下界の同じような空間だったら、すごく気をつかうような気がする…)
翌朝、夜明けを見に山頂へ。
雲がかかって、丸い朝日ではなかったけれど、太陽が頭をのぞかせる瞬間を見ることができました。夜景だった街に朝日があたる。東京に、朝が来た。
自分の住んでいる街に、陽が差す瞬間。当たり前のことだけれど「あー朝日って、みんな平等にあたるんだー」と思えた。
遠く富士山にも、後ろの奥秩父の山並みにも、樹々の一本一本にも、人間にも。平等に朝がやってきた。
出発前に見た小屋前の道しるべには
西に「奥秩父主脈縦走路 笠取山・飛竜山・三条の湯」
北に「雲取山・長沢背稜・三ツ峰」
東に「石尾根縦走路 雲取奥多摩小屋・七ツ石山」
とありました。
…なんだか嬉しい。知っている道もあるけれど、まだまだ歩いてない、歩きたい道がたくさんある。
昨日歩いた道も、朝日のなかではまた違う光の中。木立が雪の原に落とす影もそれぞれ違った形、色。ずっと飽きずに歩けてしまう。
二度目の七ツ石山の山頂を踏んだら、まだまだ続く石尾根縦走路を東に東に。まだまだ歩けることにワクワクする。縦走路って、やっぱり良いな。
方角は太陽に向かっていくように歩く尾根道。雪と空の間を歩くようでした。広い尾根のまんなかを真っすぐ続いていく踏み跡。それを横切るように縦横無尽についている動物の足跡。ひとっこひとりいない雪原の真ん中に立っていることが嬉しくて、何度も立ち止まっては振り返ったり、遠くの山並みを眺めたり、空を見上げたり。
余談ですが、今回は「山と高原」地図はほとんど見ずに歩きました(計画段階ではじっくり見ていましたが)。行動中に見ていたのは地形図だけ。コースタイムを気にしながら歩かずに済みました。いつも時間を気にしすぎるあまり「まだここまでしか来てない」「あと何分」と焦ってしまうのですが、地形図だけ見て「今ここ」が分かっていれば、気持に余裕が持てたような気がします。(それには読図を完璧にできるようにしないと、と再確認)私にはこのやり方の方が良いのかも。
そして、雪道の方が、一歩一歩集中して歩ける、というのも発見。気持を落ち着かせて、一歩を大事にして歩けば着実に進む。(ゆっくり歩いているつもりでも、焦っていても、時間は一緒)
高丸山、日陰名栗山、鷹ノ巣、とアップダウンの繰り返し。でも不思議と「もう、まき道に降りよう」という気持にはなりませんでした。雪がある方が気分的に楽?楽しいからついつい歩けてしまうのか?
途中途中、広い鞍部や尾根道は、トレースを外すとズボリと膝あたりまで潜ってしまいます。踏み跡だけ、圧雪されて(その高さで、もう潜らずに)固められている。「踏み跡」ってすごいなあ…。先に歩いている人に感謝。でも、はじめの一歩をつけることにも羨ましさを感じる。まっさらの雪原は、スノーシューやスキーで歩いたらきっと面白いだろうな…と思ったら、スノーシューらしき足跡がしっかりついてました。時々踏み跡を外れて、足跡をつけている人(その気持分かる!)、途中でまき道に下りて行く人、登ってくる人…、姿は見えないけれど、足跡って「人」が見えるような。横切って、森の中へ消えていく動物の足跡にも「今頃どこで何しているんだろう」と想像のアンテナが働いてしまう。
雪の道っておもしろいねえ…。
鷹ノ巣山からは、ちょっと考えましたが、稲村岩尾根を下りることにしました。
南面の倉戸方面に下りることを考えたけれど、最後まで雪いっぱいの道を歩きたかったこと(南面は融けてぐちゃぐちゃになっているかと想像して)と、一度登りで歩いたことがあること、登山届は稲村岩尾根ルートで下山と提出していたことなどから。けれどちょっと失敗だったようです。
登ったときより、下る時の方がはるかに「急登」を実感する…汗。下り始めは、まだ雪質がザクザクしていて歩きやすいのですが、雪が薄くなってくるにつれて凍結している箇所が増えてくるのです。午前中、奥多摩小屋辺りでアイゼンがプレートごと外れてしまい、そのままアイゼン無しで歩いていたのですが「どこで着け直そう」と思いながらも下って行きました。そうとう足にきているところへ、滑らないように気をつかうので、かなりの疲労感。稲村岩分岐から下、もう土が出ているから大丈夫、と思った途端に滑って転びました。北斜面のトラバース道、侮れません。持っていたのは12本爪だったので、着けたくなかったのですが(土や石に歯があたる感触が嫌だったので)ここで着けました。
急傾斜が終わったあたりで「もういいか」と外した途端にまたもやツルリ!と派手に転んでしまった時には泣きそうになりました…。この尾根は登りで使った方が断然楽しいです。
3時頃からぱらついていた雨も、バス停に着く頃には小雨になっていました。見上げた石尾根は白いガスの中。今晩あたりまた雪が積もるかな…と思いながら帰路につきました。
また雪が積もったら歩きに行きたいなあ。
今回久々にヤマレコに記録を書きました。
自分の為でもあるけれど、計画を立てている間や、山を歩いている間、先に歩いてくれた人、見えないけれど踏み跡を作ってくれた「誰か」にありがとうの気持を持てたからかな…と思います。
(PCの都合で写真がアップできず長文になってしまいました)
それと、今回は珍しく、家族に報告をしてから登ったこと。
いつも山に入る時に、誰かに告げて行くことは無いのですが(登山届は出します)、今回は実家に前泊させてもらったので。下山後に「下りたよ」コールをするのは、なぜか自分でもほっとするものだなあと思えました。
良い二日間を過ごせたことに感謝です。
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