大倉 - 山中湖 ガスにまかれ、睡魔と闘った修業登山40キロ


- GPS
- 15:36
- 距離
- 43.2km
- 登り
- 4,033m
- 下り
- 3,321m
コースタイム
天候 | 終日ガスが立ち込め、晴れ間の見えない1日でした。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
帰:富士急バス 16:25旭日丘発 新宿行 |
コース状況/ 危険箇所等 |
前日降った雨とガスのため登山路は全体的に滑りやすくなっていました。鬼ヶ岩と蛭ヶ岳下の鎖場を夜間に下りで通過する場合は注意が必要です。 行動食:アミノバイタル6個、ソイジョイ4個、スモークチーズ2個、黒胡麻入りバジルソーセージ7個入り1パック、マーガリン入りバターロール6個入り1パック 持参した飲料水:ポカリスエット500ml 6本、コカコーラ500ml 2本(ポカリスエット2本余り) |
写真
感想
ちょうど1年前のゴールデンウィーク、私が檜洞丸の山頂付近を歩いていた時、反対側から登ってきた精悍な顔立ちの男性登山者とすれ違いました。その時は「こんにちは」と挨拶しただけで終わりましたが、後にその時すれ違った方がヤマレコユーザーの is_pinarelloさんで(当時は違うユーザーネームでしたが)、しかも大倉ー山中湖の日帰り縦走中だったと知り、それがきっかけでコメントを交わすうちに1年後には私も同じ日帰り縦走に挑戦することになりました。
最初の予定ではis_pinarelloさんと同じく前日に山中湖へ車をデポし、電車で渋沢まで移動して翌日0時に大倉を出発つもりでした。しかし直前になって日曜日がどうしても都合が悪くなり、やむをえず1日前倒しで土曜日に実行することにしました。この場合事前に車をデポすることができず、山中湖発の最終バスの時間に必ず間に合わなければならないため一気にハードルが上がってしまいました。
前日金曜の夜、仕事から帰宅後すぐに登山の服装に着替え電車で渋沢駅に向かいます。渋沢駅には11時10分頃に到着、すぐさまタクシーで大倉バス停へ向かいました。無人のどんぐりハウス前でストレッチをしたりして時間を過ごしますが、帰りのバスの時間も気になるので予定より10分前の11:50分にスタートしました。
夜間ヘッドランプをつけて大倉尾根を歩くのは初めてではないのですが、この日はガスが濃く視界が広がりません。途中2度もルートを外れるミスがありましたがちょうど2時間で塔ノ岳山頂に着きました。
塔ノ岳から丹沢山へ向けて下り始めた直後に思わぬ転倒。幸い右ひじの軽い打撲で済みましたが、前日の雨で滑りやすくなっているのに足場をよく確認しなかったミスでした。この後はライトで足元を確認しつ意識的にペースを落として慎重に進んで行きます。
塔ノ岳から先の稜線に出るといくぶんガスが薄くなり、月も出ているので周囲の山並みが闇の中でもうっすらと確認できるようになりました。もしかしたら自分と同じようにナイトハイクをしている登山者がいないかと遠くを見渡しますが、あたり一面の闇以外に見えるものは何もありません。周囲をライトで照らすと何の変哲も無い立木や切り株が一瞬不気味に姿を現しドキリとします。なるべく足元以外は見ないようにしてひたすら進んで行くうちにいつしか丹沢山も過ぎ、目の前に鬼ヶ岩が突然姿を現しました。ここでさっきのように転倒したら洒落にならないのでライトで足元を照らしつつ一歩一歩慎重に歩を進めます。鬼ヶ岩の鎖場を過ぎるとほどなく蛭ヶ岳の山頂に着きました。
蛭ヶ岳から下り始めた頃から再びガスが濃くなってきます。何度も通ってよく知っているルートのはずですが、途中どうしてもルートがわからず10分余りも右往左往したりで時間が過ぎていきます。山頂から少し下ったところの鎖場とその付近のザレ場の通過にはかなり苦労しました。視界が悪い上に足元が濡れて滑りやすいため相当の緊張を強いられます。やっとの思いで危険な箇所を通過し終わるとようやく夜が明け、空が白み始めました。夜明けがこれだけ待ち遠しかったのは何時以来か思い出せません。
この後は臼ヶ岳、檜洞丸と順調に通過し、大笄、小笄の危険なやせ尾根、鎖場も慎重にこなして犬越路に着きます。ここまで来るとナイトハイクも終わり危険な箇所もすべて通過したので肩の荷が下りた気がします。後は体力を温存しつつ目的の山中湖までひたすら歩くだけです。二週連続の大室山山頂に立ち、西ノ肩のベンチで小休止とストレッチ。ここが今日の全行程のほぼ中間点だったと思います。
甲相国境尾根は今まで部分的にしか歩いたことがなく、また菰釣山より先はまったく未踏の地です。今回初めて歩くのを楽しみにしていましたが、大室山から山中湖まで一体どれくらいの時間を要するのか見当がつきません。バスに乗り遅れるわけにはいかないので、プレッシャーを感じつつこの先は若干ペースを上げて進みました。
今回のコース設定時に最後のエスケープ地点と考えていたのがモロクボ沢ノ頭です。ここに着いた時点で旭日丘19:35発のバスに間に合いそうになければ畦ヶ丸から下山することにしていました。実際にここに着いた時間は10:40。これなら多分終バスには間に合うだろうと判断し先に進みます。
甲相国境尾根には細かいアップダウンが何度も現れますが、その中できつかったのが大界木山と菰釣山の登りです。菰釣山では自転車をかついで来たという男性としばし雑談。大倉からここまで歩いて来たという話をすると呆れていましたが、私に言わせれば菰釣山まで自転車をかついで登って来るほうがよっぽどすごいと思います(笑)。
この後菰釣山からゴールの高指山を目指して歩いていると突然睡魔に襲われました。考えてみれば前日は一睡もせず深夜の0時からここまで13時間も歩いてきたわけです。そして甲相国境尾根を歩かれた方はよくわかると思いますが、この尾根は多少のアップダウンがあるものの、歩いても歩いても同じような単調な景色が延々と続きます。高速道路を走っていると景色の単調さのため眠くなることがありますが、ある意味それとよく似た症状でした。例えて言うと自分の脳はスタンバイモードのように半ば停止状態、それに対し手足はプログラム通りの動きを勝手に続けているような感じでした。あれは今思い出しても不思議な感覚です。
そんな状態も高指山までの距離が近付くにつれ次第に意識が正常に戻り、ゴールを目指して着実に歩を進めます。最後の登りを終え標柱の見える山頂へ着いた時には大きな達成感につつまれました。ところがそんな喜びもつかの間、富士山と山中湖があるはずの方角に見えるのは真っ白なガスのみ。この山頂から富士山を眺めて感激の余韻にひたることが今回の山行の目的だっただけに最後は少しがっかりでした。
しかし初めての長時間のナイトハイクといい、40キロを超えるコースの日帰り縦走といい、終わってみればすべて貴重な経験でした。そしてこのようなきっかけを与えてくれたis_pinarelloさんには本当に感謝しています。次回は天気の良い日に再度挑戦したいと思います。
終わり
campさん、おはようございます。
大倉・山中湖、やりましたね
初のチャレンジで、この距離をこんなに早く歩いてしまうんですから凄いです。景色は残念でしたが、達成感はありますよね。
campさんの脚力ならば、大山からでも完歩できたんじゃないですか?
菰釣山から先のダラダラと長いアップダウンは本当に眠くなりますよね。自分もあそこを歩いた記憶がほとんど残ってません
5/5、去年に続いて2回目ですが頑張ります。
次回は晴れた日に富士山と山中湖を拝んでください
お疲れ様でした
isさん
こんばんは。こうして行程表と通過時間だけをヤマレコに載せると、いかにも余裕綽々で歩き通したかのように見えてしまうんでしょうね。実際には登りは息が切れて何度も足が止まりそうになったり、またモロクボ沢ノ頭あたりでは膝に違和感が出て畦ヶ丸から下山しようか真剣に迷っていました。今回は「バスに乗り遅れるな」が目標となってしまい、特に大室山以降はろくに休憩もとらず歩き通しだったので、結果的に山中湖に早く着きすぎたという感じです。
10日から5日に予定変更されたんですね。10日だったらまた逆コースでコーラの差し入れでもと思っていたのですが。 5日は晴れるといいですね。レコを楽しみにしています。
camp747さん、こんにちは。
私もisさんに影響されている一人
ただ、お二人とはレベルが違うので恐縮
私も近い段階で、逆(山中湖)からの完歩を計画
なので大変参考になりました。ありがとうございました。
ただ、通過時間だけは速すぎて
taka106さん
以前からフォローしていただいてますが、コメントのやりとりとしては「初めまして」ですかね。
計画書拝見しました。逆コースの場合大倉から登るよりも標高差が少なくなりますが、コースの後半に大きなアップダウンがあるので難度は変わらないと思います。それに厄介な鎖場を夜間に通過する必要が無いのは大きいですよね。
6月の丹沢はかなりの高温多湿と思われますので水分補給にはご注意を。健闘をお祈りします。
campさん、こんばんは。 hisanoです。
恐るべし超人の速さですね
この記録を見る前に、他の方もこんなコースを歩いた方がいらっしゃるのかと検索していると、夫憧れのis_pinarelloさんのレコがあり、あれ?と思って読んでいるとコメントのところにcampさんを見つけ、「こんなところで夫憧れのお二人が繋がっているとは!!!」と一人で大興奮してしまいました
と、同時に夫がいつかこのコースにチャレンジする!・・・と言いかねないなぁ〜と思いドキドキしています
次回は大山からチャレンジですか????? 次回は、晴れるといいですね(*^-^*)
そして、もしまた再チャレンジする時は途中でなにか差し入れできるように私もスタンバイしておこうかな?
今週、お疲れ出ませんように・・・打撲は大丈夫だったでしょうか?
ではまた 大室山コアルート、楽しみにしてます
campさん、こんばんは。 senpachiです。
レコを読みながら、もしやこの方は「山伏」ではないか?って( ゚Д゚)。
そもそも山と自分との付き合い方って、自分はこういうスタイルだとか決めてかかる必要なんて全くないんだな〜って。いろんな形があっていいし、挑戦してみて始めて理解できることもあるのだろうなと感じました。
いろいろ触発されるレコありがとうございました。
今週、お疲れ出ませんように。
senpachiさん&hisanoさん
わざわざコメントありがとうございます。正直言いまして私はお二人に対して特にアドバイスできるほどの経験も技術も持ち合わせておりませんが、同じ関西人で神奈川に在住する者として親近感を感じております。これから丹沢のバリエーションルートを開拓されるということでレコを楽しみにしております。
camp747さん、こんばんは。
計画の段階から、この距離に驚いてしまいましたが、
遂に実行されたのですね
しかも、深夜0:00頃からスタートとは
恐るべき情熱、羨ましい脚力、粘り強い忍耐力です。
いやぁ、すごいの一言に尽きます。
一時期は、足の不調で辛いこともあったのを見てきましたが、
完全にパワーアップされたようで、とても感心しました。
再度、挑戦とは、まだまだ、とどまることがありませんね。
とにかく、ご無事で何よりでした。
ゆっくりおやすみください。
ELKさん
そういえば谷川岳で膝を傷めてから1年になろうとしていますね。あれ以来行動食の摂取方法や日々の体調管理について真剣に考えるようになりました。それまでのいい加減な態度を改め、いかにして疲労の蓄積を抑え怪我を防ぐかを考えるきっかけになったとポジティブにとらえることにしています。
いずれにしろ膝は消耗品なので、無理せず登山を楽しんでいきたいと思っています。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する