北ア・七倉岳〜船窪岳〜不動岳〜南沢岳(盛夏の赤線繋ぎツアー:ドピーカンであわや熱中症…)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 18.6km
- 登り
- 2,769m
- 下り
- 2,561m
コースタイム
- 山行
- 6:58
- 休憩
- 1:34
- 合計
- 8:32
- 山行
- 10:55
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 12:12
天候 | 初日:晴れのち時々曇り、後快晴/2日目:午前中いっぱい快晴、のち時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
復路:高瀬ダムより客待ちタクシーで七倉山荘へ(¥2,100)。タクシー不在の場合、ダム堰堤を渡った事務所の中の「ピンク電話」にてタクシー会社へ連絡。(スマホは繋がりません!)但し、10円玉のみ使用可、テレカも10円以外の硬貨も使えませんので、要注意!!! 〈地元関係者間では、「命の10円玉を携行しましょう」と声がけされているようです。せめて、緑色の公衆電話を設置して下さると良いのですが…(溜息)〉 |
コース状況/ 危険箇所等 |
船窪岳前後のヤセ尾根・ガレ場縁の通過には要注意 |
その他周辺情報 | 七倉山荘にて日帰り入浴可(¥650;休憩スペースあり) |
予約できる山小屋 |
七倉山荘
|
写真
感想
梅雨明け、台風の持ち込んだ湿気も去り、夏空が落ち着いたこの週末は低山の多く残る300名山巡りは一休み。かねてより温めていた北アの「赤線繋ぎ」ツアーを発動です。北ア主稜の未踏区間は1)朝日岳~栂海新道~親不知、2)船窪小屋~不動岳~烏帽子分岐の2コース。1)は小生の体力では2泊3日の行程で、特に犬ヶ岳から先は真夏はキツそう、ということで2)をチョイス。土日でクリアするには、七倉尾根を登り船窪小屋泊か、ブナタテ尾根を登り烏帽子小屋泊のいずれか、どちらにしろ2日目のエアリアコースタイムが12時間前後とシンドイですが、昨年の蓮華ツアーで七倉尾根を下った際、船窪小屋にてお茶休憩させてもらったのみで通過した埋め合わせもあり、前者をチョイス。事前にネットで素泊り+弁当予約します。
七倉山荘まではマイカーでの移動を諦め、今回は「ゆう活」で金曜の仕事を早めに切り上げて、新宿からあずさで出撃。松本のレンタ営業所で閉店間際に軽を借り、渚交差点横のコンプレックスにある天然温泉で仕事の汗を流し、戦闘服に着替えます。大町への移動途中、豊科には深夜まで営業の食料スーパーもあり、北アの山登り準備も昔に比べると随分便利になりました。
七倉山荘前の駐車場は夜半前にはまだかなりのスキマあり、朝までにはさすがにビッシリです。4時過ぎから高瀬ダムに向かう乗り合いタクシーも続々出発、今日は船窪までの6時間コースなので、朝食後ややノンビリと7時前に始動、暑さ対策で水に濡らしたタオルを農夫のように首にかけ出発。昨年下った七倉尾根は、唐沢ノゾキまでの出だしがいきなり急登。樹林帯で暑さはさほどでもないものの、朝食がこなれずに調子が出ず、オバチャンパーティにもあっさり追い越されます。標高差140m毎に設置された「10分の○」表示を励みに高度を稼ぐうち、唐沢~餓鬼方面や槍の展望が開け、力を得て登っていくものの、鼻突八丁の急登を越え、樹林帯を抜けると、昼の直射日光はハンパなく、15分歩いて3分休みという亀の子ペースでようやく天狗の庭到着。いつしかガスも消え、眼前には燕~槍~表銀座、足下に高瀬ダムの大パノラマ。ここから船窪小屋までも暑さでバテバテ状態ながら、最後はコマクサ大群落に歓迎され、コースタイム大幅オーバーで小屋到着。
まだ隙間のある部屋に荷物を置き、一転してルンルン気分で軽装にて七倉岳を往復。山頂では昨年ガスと雨で閉ざされた立山連峰から槍穂までの大展望を楽しみ、小生同様明日烏帽子まで行くという関西からのご夫妻と言葉を交わし、小屋に戻って夕寝。酷暑の登りで思った以上に足の疲れもあり、有名なガレ場下の「エクストリーム水場」往復は断念。500ml100円の小屋水を翌日分含め2l購入、小屋前のベンチでオバチャン特製の山菜天ぷら+スイカ&ゼリーなど豪華小屋飯を恨めしく横目で見ながら、レトルト夕食。小屋裏の小山からの夕景・残照の峰々、大町方面に頭をもたげる壮麗な積乱雲の眺めは素晴らしく、日が落ちると今度は満月でヘデン要らずの明るさ。
この地味な小屋には珍しく、廊下まで布団の広がる盛況で賑やかな小屋の夜も8時過ぎには静まり、翌朝は3時起床。今日もドピーカンの予感です。既に出立スタンバイの数組のパーティ(多くは蓮華~針ノ木方面へ…)を横目にベンチで朝食を済ませ、東の空が茜色に染まる中、4時過ぎに出発。昨夕不覚にも小屋の玄関の段差でコケ、強打した尾てい骨と右くるぶしが若干痛みますが、まあ何とかなるでしょう。本日最大のハードルは、酷暑の稜線歩きをコースタイム短縮しつつこなせるかどうか。日が高くなり、気温が上がる前に出来るだけ前進を試みます。
とはいえ、日が登る前から槍~立山の素晴らしい朝焼け、残雪と見まごう壮絶な不動谷ガレの光景に目と足が釘付けとなり、更に険しいナイフリッジやハシゴ、ロープのアップダウンに手間取って、船窪第二ピークの辺りで既にコースタイムをかなりオーバー。ここからは南ア主稜や八ヶ岳も遠望でき、朝から山岳展望はお腹いっぱい状態です。更に、この先の不動岳の長大な登りでバテバテとなり、日陰でこまめに休みつつ横長の頂稜によじ登ると、目指す三角点ピークはずっと先。この時点ではや1時間強の遅れとなり、このペースでは下手すると今日中に帰れるかビミョー…。
ということで、南沢乗越まで駆け下り、南沢岳までの最後の急登も何とかクリア、無人のピークに辿り着くと、今度はシャリバテで足が動かなくなります…。急いでおにぎり&チーズ・チョコを消化能力の落ちた胃に水分で流し込み、湿原とお花畑の楽園に慰められながら、ヘロヘロ状態でついに烏帽子岳の分岐に到達。これでめでたく朝日岳から上高地・焼岳までの赤線が繋がりました!烏帽子の尖塔往復は欲も得もなく諦め、前烏帽子の思いがけぬ登り返しに精魂尽きて、半分抜け殻状態で烏帽子小屋到着。この時点で当初計画の1時間半遅れ、下りで時間短縮できないと、本当に今日中に帰れないというシャレにならん状況です…(汗)。
小屋で購入した1本500円のよく冷えたアクエリアスが五臓に染みわたり、少しパワーを回復して、10年前に登ったブナタテ尾根を駆け下ります。日曜の昼下がりで行き交う登山者も次第に減り、コースタイムをほぼ2/3に短縮して高瀬ダムに辿り着くと、折良く客待ちタクシー1台が待機中。後で運転手さんに聞くと、高瀬ダムはケータイが繋がらず、命綱のピンク電話(今時見ませんよね…)も10円玉しか使えない由。テレホンカードと50円玉しか持たぬ小生は、危うく行き倒れとなるところでした。このコースから山に入る登山者に、運転手さんは「命の10円玉持ってますか?」と声がけしているそうです。我が身の幸運につくづく感謝です!
ということで、結局ほぼ予定通りの時間に七倉山荘へ帰り着き、長駆の汗を流し、火照った身体をソフトドリンクでクールダウンしつつ、松本からのあずさで赤線繋ぎ第一弾完遂の祝杯を上げたのでした。それにしても、盛夏の中、アップダウンの多い稜線歩きは想像以上に消耗しました。来夏以降は、もう少し残雪と水流のある涼やかなコースをチョイスしたいところです。(お盆休み前最後の今週は、久々に激烈なる足マメと筋肉痛に苦しみながらの出勤となりました。「早く来い来い夏休み🎵」…。)
コメント
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10円だま、参考になりました。北アでここだけつながっていないので大変に参考になりました。もう何年も前からと思いながらもなかなか実行できず、今年は何とかやります。有難うございました。
コメント有り難うございます。小生が今回の山行で参照した約10年前の「山と高原地図」では、10円玉限定の件は全く書いてありませんでした。この頃は「ピンク電話」もさほどレアではなかったのでしょうか…。
船窪小屋での登山者の会話を聞いていると、やはり今回繋いだ七倉‐烏帽子間が未踏で残る方は多いようです。時代遅れの「命の10円玉」問題を回避するには、往路に乗り合いタクシーで高瀬ダムに入り、ブナタテ尾根を登る逆回りルートを取れば、不動岳の辛く長い登りが少しラクになり、総歩程も若干短くなるのでベターかもしれません。小屋泊まりの魅力度からすると、やはり船窪小屋の渋い風情と温かい人情味は大きな魅力ですが…。「赤線繋ぎ」のツアー、頑張って下さい!
satonao1jpnさん、こんにちは。
同じ時に同じコースを歩いただけで、何故か昔からの知り合いのような・・。(笑)
10円玉の話は以前にどこかに書いてあったので、私も野口五郎小屋で両替してもらった思い出があります!
タクシーの運転手さんにお伺いしたところ、客待ち担当のタクシーがほとんどの場合は待機しているそうなので、使うときはホント特別な場合に限られると思いますが、それでも10円玉は必需品ですよね。
残すは朝日岳〜親不知ですか。楽しみですね。
お疲れ様でした!
メッセージ有り難うございます。来週はお盆休みが取れましたが、朝日岳〜親不知は七倉〜不動以上に暑そうで、またまたバテバテ山行になりそうなので(汗)、海を渡って佐渡の山を家族と共に金山・トキ見物がてら歩いてみようと思います。また紅葉の涼しい季節にでも、北アや北信あたりのマイナーコースでお会いできるのを楽しみにしております!
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