暴風で実質遭難ともいえる奥穂高岳日帰り周回(反省と教訓) 上高地-岳沢-奥穂高-涸沢-上高地
長野県
岐阜県
freesnessy
その他1人 
体力度について
- GPS
- 11:19
- 距離
- 27.0km
- 登り
- 1,901m
- 下り
- 1,900m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 10:39
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 11:19
| 天候 | 曇り→暴風→雨→曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2024年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
5:20始発バス乗車並んでた人数は10人ほど |
| その他周辺情報 | ひらゆの森 |
| 予約できる山小屋 |
横尾山荘
|
写真
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感想
友人の誘いで奥穂高に日帰りでいくことに。
ルート的には上高地→岳沢→奥穂高→涸沢→上高地。
ヤマップに同じルートがあったので参考にした。
無事怪我無く下山できたが、重太郎新道から穂高岳山荘までの間、誰一人ともすれ違わず、
風速2,30mの暴風の中進み、実質遭難ともいえる状況になってしまったため、反省と教訓をここに残す。
前日まで天気予報を粘るが曇り予報。自分は基本晴れ予報じゃないと行かないが、友人が山と渓谷の雑誌の、穂高特集を読んで穂高にどうしてもいきたい、そして曇りなので1人ででも行ってくるというので自分もいくことに。穂高という岩場のエリアに行くにもかかわらず風の予報まで見なかった。(ミス1)
持ち物はいつもの日帰り装備。防寒具は迷ったがレイン上下があり、嵩張ると思い持っていかないことにしてしまった。(ミス2)
自分はルート的には岳沢から奥穂高までは未踏ルート、友人は全ルート未踏。
天気的にもあまりモチベーションが上がっていなかったので特に山行記録を頭に入れずに行ってしまった。(ミス3)
大体の雰囲気は分かっていたが、重太郎新道という自分にとって未踏ルートを通るにもかかわらず頭にルートを入れずにきてしまったことは、後々起こる遭難にも近い状況に置かれたときに、コース状況を知っているか知っていないかは大きな違いだと思い知る。
あかんだな駐車場から始発バスに乗って上高地へ。この時期は紅葉シーズンではないため、始発バスの席に余裕があった。
上高地から最終バスに間に合うCT0.6〜0.7倍の計画を用意して、そのペースに間に合うスピードで歩いていく。岳沢登山口から小屋までは2組とだけすれ違う。前日は好天だったので上から降りてくる人がいるかと思ったが1組もいなかった。
自分は睡眠不足だったが調子はいい。友人は運転疲れなのか運動不足なのかずっと心拍が高いと言い、いまいちスピードが上がらず。この先間に合うかなと思いながらゆっくりあがっていく。
岳沢小屋到着、エネルギーを補給して重太郎新道スタート。この時点で自分たちに直接風が当たっているわけではないが上空はかなり風の音が大きい。強風で上のほうの木が揺れ、大きな音がしていた。こういう状況で登山をしたことがなかったため判断できなかったが、この音が最初の引き返しポイントだった。
徐々に岩場が出てきてルートに梯子や鎖が出てきたころ、上から3人パーティが降りてきた。
山頂まで行って降りてきたのかと思い、上の風が強かったか聞くと上のカモシカの立場で強風なのを見越して撤退してきたとのこと。ここが引き返す2個目のポイントだった。友人のペースが上がらないのと、このパーティの撤退から自分らも撤退もあるかもと友人と話すがとりあえず上まで行ってみようということで先に進む。
樹林帯を抜け、岩場ゾーンに入ってきて強風に晒されるようになってきた。雨は降っていないが霧によって岩は濡れている。地図を見るとわかるが、岳沢小屋ー紀美子平間と紀美子平ー奥穂高間では前者のほうが岩場のレベルが高い。(高いと言っても岩場に慣れている人からしたら特に問題ない)
その岩場を強風に晒されながらも超えてきてしまった。そこでようやく自分は、これ以上、上に上がったら状況がひどくなるだけだし、標高3000mちかいこの岩場で暴風の中2時間かけて穂高岳山荘に向かうより、降りたほうが早いから引き返そうと提案したが、友人は「足場が濡れている状況で強風の中、滑落注意エリアの岩場を降りるほうが怖い。安全な方に行きたい。」と言われる。すぐに岳沢小屋につくはずだし岩場もゆっくり降りれば問題ないと自分は考えたが、体の大きい友人が下りで足を滑らせて滑落する可能性があるなら、と先に進むことにした。
紀美子平に到着するも、より風が強くなる。穂高岳山荘まではCT2時間半ほどあるため、やはり引き返そうと言ったが、ここからは今までより滑落注意ポイントも少なくなって岩場のレベルが易しくなる、と言われ行くことにした。頭の中に詳細なルートが入っていなかったための弊害だった。およそ風速2,30mの暴風でたまにバランスを取られる。幸い谷側から山側に向かって吹く風だったので、風によって崖側に落ちそうになることはなかった。しかしあまりの風圧で耳が少し痛くなったり、数m先の友人の言葉も聞こえないくらいだった。視界もあまりよくなかったがさすがに視界に見える範囲で共に行動した。友人の意識がはっきりしているか確認するために頻繁に声をかけながら登る。問題ないようだったが相変わらず心拍が高く、しんどいらしい。
奥穂高山頂手前15分ころには少し雨が降ってきて絶望感がすごかった。風の勢いに乗って降りおちるため、あられかみぞれが降ってるのかと思ったが、雨だった。レインはすでにずぶ濡れ。しかしすぐ止んだためよかった。寒さからか2人とも足を攣りかけた時もあった。
風が防げる場所があったのでそこでエネルギーを補給するために座り込んだら、手足がブルブル震えて止まらない。低体温症気味になっていることに気づいた。動いていると、寒いなぁくらいで全然気がつかなかったが、やばいなと思い穂高岳山荘まで急ぐことにした。もっと早くから雨が降っていたら低体温症で動けなくなっていたかもしれない。状況が状況だったが、気だけはしっかりしていて無事に穂高岳山荘までたどり着くことだけを考えていた。
南稜ノ頭の標識が出てきて山頂が近いことに気づく。そして目先に山頂がうっすら見えた。
奥穂�盪劃催�着。1,2枚写真を撮ってすぐに山荘に向かう。
山頂は風の強さが一段と強く、一番風が強かった。
そしてなんとか穂高岳山荘到着。ここまで、撤退した1組としかすれ違わなかった。小屋から上は暴風だったが、小屋から下はザイテンで時々強い風が吹くくらいでそこまでだった。こんな天気だし小屋には誰1人いないだろうと思ったが、3連休とあってそこそこいた。ホットココアとストーブで暖を取る。すごくありがたかった。
とりあえずは無事にここまで来れてよかった。状況次第ではここに泊まることも考えたが、まだ最終バスには間に合う時間帯だったのと、30分ほど暖を取って体力回復したため降りることに。
ザイテングラードは風が強い時もあったが、特に問題なし。
涸沢では雨が強くなったが風がないだけで天国のような状況。
横尾、徳澤、明神で休憩なしで飛ばしてなんとか17:15上高地BT到着。17:30の最終バスに何とか間に合った。久々にひらゆの森で風呂に入る。疲労と体の冷えがあったが生き返った。
今回の反省
・曇り予報でも前線が近くにある場合は山に行かない、リスケする。風が強い可能性大。
・未踏のルートは事前に調べて、状況を頭に入れておく。岩場などの危険を伴う場所に行く場合はなおさら。この日のように引き返そうにも引き返せなくなる場合がある。
・稜線をいくルートなどの場合、上空で強い風が吹いていたら(木の葉っぱが揺れる音でわかる)撤退も考える。
・防寒具を持っていく。薄めの嵩張らないダウンと手袋。当たり前のことができておらず反省。
15年ほど山を登ってきた中で、今までで一番遭難に近く、失敗登山だった。
結果的には無事下山することができたが、今後同じ過ちをしないようにしたい。
友人も、今回はすまなかった、早めに撤退するべきだったと反省していた。
今回のように岩場が濡れており、本人が嫌がる滑落注意岩場を降りてでも1時間ほどで着く安全地帯に撤退する方がいいのか、小屋まで2時間半ほどの距離を暴風を受けながら稜線を歩き通すほうがいいのか。(小屋から先もまだもちろんある)
自分は気を付けながら降りて撤退するほうがいいと思ったが、どちらがいいのかここまで読んでいただいた皆様のご意見ください。そしてこれが皆様への他山の石となればと思います。
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