大峯奥駈6日間(逆峯:吉野〜熊野本宮 世界遺産・修験者の路)
奈良県
和歌山県
seizanryo
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2日目)6:55五番関→7:20鍋カツギ行者→8:23胴辻茶屋→9:25山上ヶ岳→10:30小笹の宿→11:10阿弥陀ヶ森分岐→12:07小普賢岳→12:23大普賢岳13:00→14:23七曜岳→15:37行者還岳→16:00行者還小屋
3日目)6:35行者還小屋→7:45一ノ垰→9:10聖宝ノ宿→9:52弥山→10:35八教ヶ岳→13:10舟ノ垰→13:45楊枝ノ宿→14:20仏生ヶ岳→15:10孔雀岳→16:45釈迦ヶ岳→17:30深仙宿
4日目)6:12深仙宿→6:40太古ノ辻→7:27石楠花岳→7:42天狗岳→8:47地蔵岳→9:15般若岳→10:17涅槃岳→10:45証誠無漏岳→11:17阿須迦利岳→11:40持経ノ宿→12:47平治ノ宿13:45→14:05転宝輪岳→14:37倶利伽羅岳→16:00行仙岳→16:30行仙宿
5日目)5:45行仙宿→7:45葛川辻(水とり)8:20→8:55地蔵岳→10:10香精山→10:50貝吹金剛→13:39花折塚→14:38玉置山→14:50玉置神社15:10→15:35玉置辻→16:55大森山→17:20大森山南稜線
6日目)6:10大森山南稜線→6:35切畑辻→6:55五大尊岳→8:08六道ノ宿(金剛多和)→8:30大黒天神岳→9:52吹越峠→11:05七曜峰→11:57備崎→12:30大斎原→12:50熊野本宮大社
| 天候 | 1日目 8月14日:曇り時々雨 2日目 8月15日:曇りのち晴れ 3日目 8月16日:曇りのち晴れ 4日目 8月17日:晴れ 5日目 8月18日:晴れ 6日目 8月19日:曇りのち晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2010年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
ケーブルカー（ロープウェイ／リフト）
復路)湯の峰温泉に宿泊し、翌日、バスで新宮へ。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
・ところどころ、崩落しているところがあるので注意。 ・五番関から阿弥陀ヶ森分岐までは、「女人結界」です。信仰上の理由から、女性は入れません。 ・大峯七十五靡における「○○宿」とは、修行者が宿泊可能な霊地や行場のことですが、大峰修行が盛んだったころの名称なので、現在も宿泊可能な施設があるとは限りません。気を付けてください。 ・私は全行程テント泊でしたが、ところどころに山小屋はあります。あと男性であれば、山上ヶ岳の宿坊利用できます。 ・南奥駈の山道や山小屋は、「新宮山彦ぐるーぷ」の献身的なボランティアによって維持されているところがあります(たぶんほっておいてたら、熊笹で山は閉ざされます)。感謝が必要。 ・行仙宿から本宮までの区間は、極端に水場が少ないので要注意。また、水場への道が荒廃していたり、すごく時間がかかったりします。 ・時期によっては、水場が枯れていることもあります。余裕をもった水分計画を。 |
写真
今回のザックは35リットル。
6日テント縦走で35リットル!!
左、水場。中央、まき道。右、大天井ヶ岳。
もちろん、右に行きます。
山頂標識は、木からぶら下がっている板です。
小笹宿。かつての修行基地のようなところ。
大量の水があり、平地があり、護摩壇もある。
峯入がはなやかかりしころは、たくさんの堂宇がここに建っていたらしい。
かつての修行基地のようなところ。
大量の水があり、平地があり、護摩壇もある。
峯入がはなやかかりしころは、たくさんの堂宇がここに建っていたらしい。
懐かしく目に飛び込んでくるから不思議。
なかなか立派な小屋です。
でも、私はテント。
小屋の奥に、ちょっとだけフライがのぞいていますね。
すると、山肌でみるみる雲が作られていく。
……グローブの隙間から。
左手の外側がぱんぱん。
今日のお昼は、モチを豚骨ラーメンのスープで煮たの。そこそこいけます。
食料限られているから、味にバリエーション付けないと……。
1
そこそこいけます。
食料限られているから、味にバリエーション付けないと……。
ガスにまかれる前に、通過しなければ。
「これを乗り越えるのか!?」
と、心折れそうでしたが、まき道でした。
ここは、正潅頂が行われる、由緒正しき場所。
全行程の半分を過ぎました。
ここから、南奥駈。
アブとブヨがたくさんいますので、重宝します。
うれしい!
あと、25.3��
うれしかったので、昼食。
ちらかしすぎ??
広大な社域です。
疲れがたまってきたのか、いい加減きれてます。
わ〜〜。
水もないぞ〜〜!!
こんな水道……、でもありがたい水場となりました。
古式にならって、河を徒歩で渡ります。
帰りは、湯の峰温泉で一泊します。
湯筒と小栗判官のつぼ湯。
いつ来てみても、「どあほ」と読めてしまう。
「どあほ 忘小ずーめ て下さー」
……何語だ?
新宮といったらここでしょう。
神倉神社!!
ゴトビキ岩です。
左よりの熊野川河口にある小さな山が蓬莱山。
熊野三山の神様が、一番初めにやってきたところ。
びっくりするくらい急です。
ちなみに、源頼朝の寄進。
感想
一応装備のこと
・ザックは35リットル。なんとかこれにつめこみます。
・食料は基本、夜に米を炊き、翌朝はその残りで雑炊、昼はモチか棒ラーメン。
・ビタミン&ミネラルは、乾燥野菜が手に入れられなかったので、米に発芽玄米を混ぜることと、乾燥ワカメ、ビタミン剤で補給。
・おもな食料は、米1升2合。棒ラーメン8食分。もち10個。あと、非常食。重いのわかってたんですが、昔の人のことを考えると、アルファ米とかではなく米をちゃんと炊きたいなと思ってしまって。
・水は500ミリリットルのペットボトルを6本用意し、湧水で適宜補給。しかし、玉置神社以南は水場らしい水場がほとんどなく、苦労した。
1日目(吉野神社→五番関)
吉野からはロープウェーで、少し楽しました。
しばらくは車道歩き。
名所旧跡が次々に現れます。しかし、重装備で歩いているのは、私だけ……。
水と6日分&予備の食料で、ザックが重い。
蔵王堂では蔵王権現を御開帳していましたが、ザックの重さとこれからの疲労を考え、見に行きませんでした。
しかし、これまでテント山行は一か月前に一度、一泊したのみ。それなのに次は5泊6日の山行とは、我ながらあきれます。
金峯神社手前で豪雨。
雷も遠くで鳴っていて少し怖かったですが、大丈夫と判断して、雨脚が弱まってから出発。
二蔵宿で水を補充した時点で16時。ちょっと弱気になりましたが、行きます、大天井ヶ岳。
大天井ヶ岳の登りは、ものすごく急。しかも、道が流れて崩落しているところもあり、けっこう大変です。
五番関の女人結界の前でテント。
こんなところで張っていいのかな〜、と一瞬不安になる。
2日目(五番関〜行者還小屋)
五番関からは女人結界です。
女人結界を男女差別ととらえた女性を含む集団が、過去に結界を突破してしまったことがあるそうですが、悲しいことです。
1300年を越える歴史の中で生まれ維持されてきた文化を、刹那的なイデオロギーで蹂躙していくのはいかがなものかと……。
男女同権ももちろん大切ですが、その視点からの論理だけでなく、女人禁制を文化的背景・信仰的意味・歴史的価値などの側面からも考える必要があると思うのです。
しかし実際のところは、結界門の「女人結界」の文字の「女」だけ破壊されていたり、英文の説明の「women」の「wo」に斜線がひかれていたりと、なんだか抗議方法は直線的で短絡。
もっといえば、人里から何時間かかかる阿弥陀ヶ森の結界門などは破壊されていないのですから、なんだかな〜、と思います。
こういった文化的背景を持った過去からの連続性を持つ現代人として、私たちはもっと日本人の精神史を学ばないといけないのでしょう。
女人結界是非の議論は、きっとそこからしかはじまらないのかもしれません。
ま、微妙な話はここまで(女性蔑視などという意識は毛頭持ち合わせていませんので、誤解なさいませぬよう)。
山上ヶ岳へは3年ぶりです。やはり、ここは少し世界が違う気がします。
普通に山伏とすれ違いますしね。
あと、ここでのあいさつは「こんにちは」ではなく「ようお参り」。
山上ヶ岳を過ぎて小笹宿はすばらしいところ。
穏やかな地形、清らかで豊富な水。やわらかい緑の光。ずっとここにいたい。
阿弥陀ヶ森を過ぎてからは、小さなピークを次々に越していきます。
しかし、標高をあげてきているのにもかかわらず、アブとブヨがすごい。
途中、グローブの隙間からブヨに刺され、左手がパンパンに。
3日目(行者還小屋→深仙宿)
今日はロングコース&ピークをたくさん越えます。
弥山、八経ヶ岳から始まり、一日の一番終わりに釈迦ヶ岳1799.6メートルを超えます。
体力持つのか、本当に不安。
弥山までののぼりが、なかなかハード!
けっこうな急登の連続です。
弥山から八経、明星ヶ岳までは連続するが、一つ一つコルに下るので、上り下りがしんどいです。
明星ヶ岳から孔雀岳までは小さなピークの上下を絶えず繰り返していくので、地味に疲労が蓄積します。
孔雀岳からは一気に下り、また釈迦ヶ岳に登り返します。
途中、巨岩が道をふさいでいて、これを登るのかと思って心がポキポキ折れましたが、まき道で安心しました。
道は熊笹におおわれていて、注意しないと何もないところに足を踏みぬいてしまう。
最後の急登をへばりつくようにして登って、16時45分に釈迦ヶ岳。すごい時間。
今日テントを張る深仙宿は、正潅頂が行われていた、由緒ある宿。
ここの岩から染み出している精香水は霊水。しかし、ぽたぽたとしか出ていない。
500ミリリットルくむのに30分くらいかかる。
4日目(深仙宿→行仙宿)
だんだん山暮らしに慣れてきて、行動開始がはやくなってくる。
今日は雲海や朝日を楽しんでから出発。
すぐのところに大日岳があるが、岩が危ないらしく、今の自分の体力では無理と判断。
また次に挑戦しよう! って、次はいつだ??
歩き始めてすぐに、太古の辻に到着。行程も後半戦に突入です。
今日も、ピークを次々に越えていく登っちゃ降りの連続です。
ここの山の名前は、仏教に基づいてつけられている名前が多い。
そして今日の山々は名前がなかなか面白い。
大日岳、地蔵岳、般若岳、証誠無漏岳、阿須迦利岳、転宝輪岳、倶利伽羅岳、いい感じでしょ。
持経ノ宿で、山小屋の修理をしている人に出会いました。
後でわかったことですが、「新宮山彦ぐるーぷ」の人たちでした。ボランティアで、南奥駈の整備をしてくれています。
コーヒーとカステラをごちそうになりました。
お礼に、ちょっとだけお手伝い(砂利運んだだけですが……)。
持経ノ宿を過ぎると、いよいよ、水場は困難になります。
平治ノ宿の水場は半ば崩落した急斜面を下ります。往復20分。
行仙宿の水場はこちらも急斜面を下る。往復25分。
5日目(行仙宿→大森山南稜)
歩き始めてすぐの葛川辻で水をとりに行きます。しかしこれがきつい。
崩落した道のトラバース。さらに沢近辺では道が消え(後で見つけたが、道崩落で、急な岩の斜面トラバース。はっきり言って、通行不可能)ていたので、自分で道を探して、沢の急斜面を降りる必要あり。もちろん登りも。往復35分。
いよいよ、水が苦しくなります。
地蔵岳近辺はなかなかスリリングな道です。
倒れた木の根っこの上を通ったり。
後はなだらかに進んでいくが、途中ですごい人とすれ違う。
ジーパンに小型のデイバック、お尻のポケットに500ミリリットルの水ペットボトル、そしてなんと上半身裸。
このアブだらけの中で……。
吉野まで行くんだろうか??
しばらく行くと、久々に車道。なんだか文明のあるところに戻ってきた感じ。
玉置神社には裏の玉置山から入る。
ここは、天地開闢時代の神をも祀る由緒正しい神社です。
表参道である玉置辻の鳥居から本殿までは、山道を徒歩40分。一番近い入口(車の駐車場)からでも20分はかかるでしょう。
広大な社域です。
そして、東征中の神武天皇も立ち寄ったという霊場。
森の中に建物が灰白色に落ち着いて、なかなか、雰囲気ありますよ。
ここで、社務所にお願いして外の水道の水をもらいます。
この先、まともな水場はない。あと1日を3リットルで過ごさなければならないのです。
当初の予定では、玉置辻でテントを張る予定でしたが、早く着いたので、テント張れる場所を探しながら先に進みます。
太平多山分岐あたりにテント張ろうと思っていましたが、見落としたまま大森山到着。
山を下りながら、テント張れそうな平地を探してくだり、斜面にやっとちいさな平地を見つけてテント設営。
6日目(大森山南稜→熊野本宮大社)
最終日、順調に出発するが、今日はとりわけ暑い。
体温が上がり、水分補給が必要。しかし、水場はない。
途中、七越峰の手前に公園があり、そこの水道から水をとりました。
熱中症寸前、一時はどうなることかと思った。
吐く息が熱いし、身体の表面も熱いし、何より汗をかかなくなってきていたからね。
七越峰を過ぎると、大斎原(本宮大社旧社地)が見え、がぜんやる気がでます。
備崎から熊野川に降りたところで、山の行程は終了!! 長かった!
熊野詣の禊は昔から熊野川を濡れて渡ることでされてきていました。
ということで、古式にならい、熊野川を歩いて渡ります。
膝までの水深ですが、河の流れでどんどん下流に流されてしまう。
渡り切れば、あとは大斎原に向かうのみ。
河原でキャンプしてたお兄ちゃんたちが、変な顔して私を見ていました。
そりゃそうか。対岸の山からあらわれて、河を徒歩で渡ってくる、でかいザックしょった小汚い人だもんね、私。
大斎原でしばらくたたずんだ後、本宮へ。
これにて、金峯山寺から熊野本宮までの逆峯、全行程終了。
おまけ
・この日は湯の峰温泉で泊まります。もちろん、大日越はしません。そんな体力ない。
・つぼ湯につかって、疲れを癒します。
・翌日はバスで新宮。
・新宮は「神倉神社」とめはりずしの「めはりや」が、行くと必ず立ち寄るスポットです。
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seizanryoさん、こんばんは！
日記一覧で発見して早速お邪魔しました
６日間で９０kmというロングもビックリですが、３５リットルザックに荷物を詰めたのもスゴイ
女人禁制なので、とても神秘的な場所に感じます。
文化的背景・信仰的意味・歴史的価値・・・その物事について理解しようとすることなく
反発や遊びで傷つけるのは、とても残念なことです。
その反面、整備してくださるボランティアさんには頭が下がりますね。
お手伝いをしたseizanryoさんにも感謝します
もっとコメント書きたいのですが、このレコより長くなったら大変
半年前の6日間に渡る記録を良くまとめられました！
とても読み応えがあって素晴らしいレコですね。拝見出来て良かったです
pippiさん、こんばんは。
一番乗りくらいでしょうかね。
長〜〜いレポ、お付き合いくださいまして、ありがとうございます。
女人禁制については、ちょっと悲しいですね。
私としては、文化的側面を大事にしたいと思いますね。
それはそれで、調べてみるとなかなか面白い物語があるのですよ。
そして、お手伝いの件は、本当にちょっぴりなんで恥ずかしい限りです。
ボランティアの方には本当に頭が下がります。
ザック容量は、驚いたでしょう！！ みんな驚きます。
ザックがモンベルのZERO POINTなので、容量以上には入ると思いますが。
もともと、荷物は少ないのですが、ザックはパンパンでしたね。力づくでねじ込みます。
こういう修行道歩きは、自分の山歩きの原点です。
夏あたりに、小辺路（高野山〜熊野本宮）を歩いてみようかな〜、などと考えています。
seizanryo さん こんにちわ
記録読ませて頂きました。
実際に歩いた人の話は重みがあり
非常に参考になります。
7泊8日が標準だと思っておりましたが
6日ってすごいですね。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
少しでもお役にたてれば、さいわいです。
行程は、1日8時間程度の行動で計画を立てて、それで行けた感じですね。
ただ、七十五靡を目指すとなると、ルートはずれる場所もいくつかありますので、もっとかかるでしょうね〜。
がんばってください！！
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