西穂高岳・ジャンダルム・奥穂高岳縦走【 迷宮のロバの耳 】
- GPS
- 56:00
- 距離
- 25.0km
- 登り
- 1,527m
- 下り
- 2,155m
コースタイム
1600新穂高ロープウェイ西穂高口ー1645西穂山荘
4日
0450西穂山荘ー0550独標ー0734西穂高岳ー0822赤岩岳ー0914間ノ岳
ー1016天狗岳ー1309ジャンダルム……ロバの耳……1442ジャンダルム分岐……
ロバの耳…1749馬の背ー1812奥穂高岳ー1910穂高岳山荘
5日
0653穂高岳山荘ー0850涸沢小屋0915−涸沢ヒュッテ0925ー1043本谷橋
ー1142横尾ー1247徳澤園1405ー1449明神ー1520上高地BT
天候 | 3日 曇り 4日 雨後ガス(終始視界5m〜30m) 奥穂高頂上〜穂高岳山荘 横殴りの雨 5日 雨後曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
新穂高〜西穂山荘 ロープウェイ 上高地〜平湯〜新穂高 バス 新穂高〜自宅 車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
雨と濃霧で視界5-30m 独標〜奥穂高 全区間核心部で命懸けと思った方がよい 特に逆層スラブはツルツル |
写真
感想
今回の山行は8月3日〜6日で新穂高ロープウェイ利用、西穂ージャンダルムー奥穂ー北穂ー大キレットー槍ー槍平ー新穂高と縦走する計画で、しかも出発日の3日当日朝チェックした際には、3日〜5日まで登山指数A、天気は晴れとなっていたのに、新穂高ロープウェイに乗るも笠ヶ岳さえ見えず、4日・5日とも3000mラインは雨とガスの中という最低の山行となったので、大キレットは次回天気のいい時にとっておくことにして、計画を変更し、奥穂からザイテングラード経由で上高地に下りることにした。
4日は終日視界は雨とガスのため、良くても20〜30m程、馬の背では5m程度で天気が良ければ見れるはずの稜線どころか、目と鼻の先さえろくに見えず、しかも岩や石は濡れてグリップが効かず滑りまくりで、逆層スラブでは超危険な状態だった。
初めは登山用の革手袋をしていたが、岩の微妙なグリップが分からないので独標の途中から素手で対応した。手袋だと分からない岩の上に浮いた砂粒まで分かり、3点支持を確実なものとすることができた。但し穂高岳山荘に着いた頃には両手共擦り傷だらけだったが…。
でも夢の頂だったジャンダルムに登り、ジャンダルムの天使と逢え、初めての雷鳥にも出会えて、これまでにない達成感と充実感を味わうことが出来た。
ジャンダルム頂上には13時9分に着き、後2時間くらいだろうと油断したのか、ロバの耳で大失敗をして自ら迷宮を作り出してしまった。
なんと、どこでどう間違ったのか信州側のトラバースの終点(奥穂側から来たら始点側)に先に到達してしまい、トラバースの始点に向かって進むことになったため、行き着いたところにガスが運良く少し晴れて見えたのはさっき通ってきたジャンダルム!
いやジャンダルムに似た岩稜かも?と思い、よく見ると「←ニシホ」のペイントとジャンダルムの奥穂側についている×のペイントマーク。やっぱりジャンダルム。
ほんと頭ン中、真っ白になりました。でもここで焦ったら命取りになるので、冷静に
考え、とにかく来た道を戻ることに…。
谷側に×が付いた分岐。チェーンが張られたトラバースを辿って来て山を越えてあったのがこの×。道は3つ。あと通っていないのは、谷にしか見えないザレ場。
えーここちゃうやろ?
でもここしか残されていないのでとにかく下ってみる。落石を起こさないで下りるのが無理な坂を数十mも下りてみたが延々谷にむかっている。なんと途中にスリングを大きな石にかけてセルフビレイを取った跡が…。残置スリングは何箇所か見てきたがここにも…?
でも絶対この道違うと頭の中で警鐘がなってるので分岐まで引き返す。
時計はあっという間に16時になっている。
分からない時はむやみに動かない方がいいと判断し、ビバーグに備えることに。
幸い雨も止んでガスだけになったので一旦着ていたものを脱いでメリノウールの上下、着替え用のジップアップ、長ズボン、ダウン上下をレインウェアの下に着込み、靴下を2枚重ねて履いて、ヘルメットにヘッドライトを付けて、オニギリ2個を食す。
腹もふくれて落ち着いたのか、「よし鎖場から来たけど、こっちももう1度試してみよう。道が見つかるかも?」と思いつく。
後で気付いたんだけど、これがDVDで何回も見た信州側のトラバースってやつだったんだ。
この先もマーキングはなかったけど人が歩いた微かな形跡を探して辿っていったら、17時49分、ようやく崖の斜面に「ウマノセ」の文字を発見!
やっとロバの耳の迷宮から脱出できました。あと1時間で日没。
ここも怖いとこでした。何にもないんだから。すべて自分の判断。
4時37分に西穂山荘を出発して13時間35分、18時12分ようやく奥穂高岳山頂に到着。山頂を過ぎた頃から雨風共強くなり、横殴りの雨に…。
穂高岳山荘の明かりが見えた時のうれしさったら…。
19時10分、無事、穂高岳山荘に到着。
カップヌードルと500ml缶ビールで一人乾杯しました。
今回の山行では、間ノ岳山頂でツエルト張ってビバーグしている方たちと遭遇。
最初はなんという強者と感動したのも束の間、1人は低体温症で動けない遭難者だったのです。声をかけるとツエルトから2人出てきて、西穂山荘に戻って助けを呼んでくれというではないか。
ちょっと待ってよ。俺も命がけでここまで来てるし。
ここまで4時間半歩いてきてるし、CTどおりならあと5時間で穂高岳山荘行けるし。
なんで逆戻りさせようとするわけ?
話を聞くと昨日西穂山荘を出発して、天狗のコルで1晩ビバーグして1人が低体温症になって、ここまで戻ってきて動けなくなったとのこと。
逆層スラブではザイルで懸垂下降してきたって。
普通、天狗のコルから避難するなら岳沢でしょ?
なんでこっちに戻って来てるの?
持ってる携帯を聞くとドコモだという。
110番したか尋ねたら、まだ掛けていないという。
ここ稜線だから試してみたらとアドバイスすると低体温症で動けないと言ってた方が携帯取り出して110番し、自分でしっかり救助を求めているではないか?!
場所もしっかり言えてたので自分は先を急がせてもらうことに。
なんだったの、この2人?
因みにコブ尾根の頭付近で奥穂側から駆けつけてくる山岳救助隊員3名と遭遇。
遭難者について聞かれたので間ノ岳頂上で黄色いツエルトに包まって救助を待ってますと伝えといた。
県警ヘリも視界20−30mのガスガスの中、爆音だけが響いて。
命懸けの救助活動…。
パイロットや山岳救助隊員の皆様にはホント頭が下がります。
やっぱり、山は晴れてないとな〜!
大キレットではリベンジするぞー!
いきなりコメントを書くことの非礼をお詫び申し上げます。西穂〜奥穂縦走、大変お疲れ様でした。危うい体験をされたようですが、ご無事で何よりです。さて、間ノ岳で遭難されていた方々の詳細が岳沢小屋のスタッフブログにUPされていましたので参考までにご紹介いたします。
http://www.yarigatake.co.jp/dakesawa/blog/2014/08/post-638.html
私も7月末にこのコースを歩きました。幸い天候には恵まれ、素晴らしく密度の濃い時間と空間を存分に楽しめた反面、間近に「死」があることを実感しました。そこがこのコースの魅力でもあり、恐ろしさでもありますね。十二分に気を付けながら、これからも登山を楽しみたいですね。長々と書き連ねて大変失礼致しました。
erdeさん、初めまして!コメントありがとうございます。
全然、非礼なんかじゃありませんよ。大歓迎です!
erdeさんは好天の7月末にジャンダルム制覇ですか、うらやましい限りです!
梅雨が明けた真夏のこの時期に、これだけ天気が悪かったのは57年の私の人生でも2回目です。
西穂〜奥穂縦走は天気のいい時にやりたかったし、やるべきでしょう!
でも前の月から次の月の有給休暇をおさえておかなければ仕事が回らない部署にいるので仕方ないです。
自分でも初の挑戦だったので、思案の為所だったのですが、5月の積雪期に北穂と奥穂を制覇できたこととDVDで十分予習してきたことを自信のよりどころにし、更に土砂降りの雨の中、CTどおりに西穂まで登れたことから奥穂への挑戦を決めました。
ジャンダルムに登って下りてくるところまでは問題なかったのですが、多分、ジャンダルム制覇できたことで油断していたのかもしれません。
ロバの耳では、もっと周囲を見回してルートを探すべきところを、突き当たった十数メートルの断崖絶壁のところを3点支持だけで下り、信州側のトラバースに至り、トラバースを逆走する形でぐるっと回ってジャンダルムに戻ってしまいました。馬の背に着いたかと思ったら、ジャンダルムですからホント焦りました。
マーキングもホントに少なくて、多分、馬の背と逆層スラブを除けば、奥穂から西穂に向かう方が楽だったと思います。マーキングも少なかったですから…(あったかも知れないが視界5〜40mでは気付かなかった)。
でも行ったものだけが分かる達成感、半端ないですね!
今度は天気をしっかり見極め、紺碧の青空の下、大キレットを楽しんでくるつもりです。
今後ともよろしくお願いします。
中止されたと思ってました。無事でなによりです。
雷鳥さんは「そこの人間、冷静になれ!」って言ってるのかな
自分以前、乗鞍の山頂でスキーのビンディングが壊れて応急修理してたら、雷鳥が現れて「おい、大丈夫か?」って言われましたよ。
間天のコルからの逆層登りは、左寄りに鎖があったはずですが、ガスで見えなかったかもしれませんね。
ロバの耳、トラバース見過ぎて尾根のまま進んだのかもでしょうか。
自分も一度奥穂側から縦走しただけですが、あのトラバースは下りたくないなと思いました
このコース行ければキレットは技術的に問題ないと思いますが、晴れると渋滞待ち・巻き込まれに気を使います。
いろんなレベルのかたが歩きますから、時間は十分あったほうがいいですね。
忘れるとこでした・・おめでとうございます
ko-さん、コメントありがとうございます。
ジャンダルム行ってきました!
逆層スラブは当然、最初の左よりの鎖と次の鎖、どちらも補助的に使わせてもらいました。
でもなぜか、2本共、上下2mずつ足りないですよね。その2mが恐怖でした。
晴れの日だと気にならなかったかもしれませんが、雨の日はグリップ全然ないですよ。
自分もこのコースを歩いた方のレコやブログを読んで岩が濡れていると
怖いでしょうと書かれていたのは読んで知っていましたが、
正直ここまでつるつるに滑るとは思っていませんでした。舐めてました。
大げさでなく、雨で濡れているとスケートリンクのようでしたよ。
ほんとビビりました。
そして、ロバの耳だけではないですが、断崖の上り下りでは、
常に谷底の自分の滑落死体を想像して、ここで落ちたら絶対に発見されないな〜
なんて思いながら、気を引き締めて登攀してました。
次は秋晴れの紺碧の青空の下、岳沢から前穂・吊尾根経由で槍ケ岳まで縦走しようかと密かに計画を立てていますが、天気と休みがうまく合うかどうかですね。
ko-さんも来年こそ、ヒメホタルと会えるといいですね。
濡れてなかったせいか2m足りない記憶もなく、鎖なしで下れる安定感でした。
スケートリンクは、想像を超えてますね。肝に銘じます
前穂側は未経験ですので、行かれたら参考にさせていただきますね
ko-さんの奥穂高〜西穂高レコ拝見しました。日帰りで制覇したとは、凄すぎです!
ハラハラしました。
天気の悪い中、単独でこの山域を無事に通過出来て良かった。
濃霧の中、ジャンダルムと再会してしまった時の軽いパニック…凄く良くわかります。
谷へ向かってドンドン降りる…それがルートミスなら命取りだったかも。
良くあるパターンですから…
無事に奥穂山荘に着いたときの安堵感、達成感は半端なかったと思いました。
私は、西穂からジャンの間がつながっておらず、歩いてみたいなぁと思う気持ちとムリ〜な気持ちと…です。
maroeri さん、レコ見ていただき感謝!
てんくらでは登山指数Aだったんですが、西穂山荘で朝起きたら土砂降りの雨。
取り敢えず西穂高までと思っていたら結構命がけで戻るに戻れず先に進んだ次第。
あのコースこそ紺碧の空の下登りたかったです!
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