北岳・間ノ岳−南アルプス3,000mの稜線を親子で歩く−
子連れ登山
nao_soma
souma
体力度について
- GPS
- 31:06
- 距離
- 29.3km
- 登り
- 3,060m
- 下り
- 3,069m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 5:38
- 休憩
- 1:52
- 合計
- 7:30
- 山行
- 7:21
- 休憩
- 1:52
- 合計
- 9:13
| 天候 | 21日：快晴→ガス→快晴 22日：快晴→ガス→にわか雨→曇 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2015年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
タクシー 自家用車
・トイレは第3駐車場にあり。 ・第2駐車場の入口付近は乗合タクシーの待機場でタクシー利用には便利。朝、準備をしていたら運転手さんの方から人数集めのために声を掛けていただけました。 ■乗合タクシー：一人当たり料金 1,100円＋協力金100円＝1,200円 ・5時過ぎ、バスに先駆けて乗合タクシー数台が夜叉神ゲートへ出発。 ・夜叉神ゲートは5時半に開くため、ゲート前で待機。トイレも利用可。 ・広河原には6時に到着。 ※バスよりもタクシーの方が少し早く広河原に到着します。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
○登山ポスト ・「南アルプス野呂川広河原インフォメーションセンター」2階に登山相談所があり、登山計画書の提出が可能。登山ルートの相談もできる。 ○山行計画 ※主に子連れ登山の観点から 標高日本第2位の高峰・北岳と第3位の間ノ岳（奥穂高と同位）は距離的に近く、子連れでも1泊で縦走が可能。農鳥岳を含めて白峰三山縦走も検討したが、マイカーを回収しなければならず、子供にとっても3,000mの稜線歩きは未知の体験。下山時のバスの時刻も気掛かりであることから、間ノ岳までの2山を縦走するプランとする。天候および体調によっては北岳のみというのも選択肢に入れておく（2泊であれば三山縦走は子供でも十分可能）。 登りのコースは悩むところであるが、晴れであれば大樺沢に沿って二俣まで行き、八本歯のコルを登りで使いたい。沢沿い、雪渓沿いで歩けるので涼しい風が吹いて気持ち良い。北岳を常に見上げながらの登りでどんどん近づいているのが体感できる。八本歯のコルへの登りはハシゴが連続する急登であるが、その分、整備されているということ。本来はバリエーションルートだと思われる尾根に数えきれないほどのハシゴが設置されているのは本当にありがたい。 子供の体力面、体調面（高山のため）で不安があれば、二俣から肩の小屋ルートを使って子供の様子を見て登るのが良いかもしれない。場合によっては肩の小屋に宿泊するという想定もあり。その場合はもう1泊して間ノ岳を目指すか、北岳のピストンにするというプランも立てることができる。 登りで八本歯のコルを通った場合、時間が許せば下りは肩の小屋、白根御池経由の道をおすすめしたい。北岳山頂から肩の小屋、小太郎尾根分岐まで目の前に甲斐駒、仙丈の姿を眺めながら降りることができる。小太郎尾根分岐から草スベリまでは長い下りとなるが、危険個所はない。また、綺麗な白根御池小屋に立ち寄ってリフレッシュすることができておすすめ。 ○コース状況 ※主に子連れ登山の観点から ◆広河原〜白根御池分岐 危険個所なし。ただし、分岐を間違えずに進むこと。往路でこの分岐を間違えて白根御池コースで登ってしまったと仰っていたご夫婦がいた。 ◆白根御池分岐〜二俣 危険個所なし。ただし、沢の徒渉箇所がいくつかあるので、増水時には注意が必要。 ◆二俣〜八本歯のコル 夏道が出ている場合は夏道を利用。夏道は危険個所なし。夏道が出ていない場合は雪渓を登る必要があり、アイゼン、ピッケルもしくはストックが必要。今回、山行直前に「ほぼ夏道を歩くことができ、ノーアイゼンで大丈夫」とのレコを確認済み。年によって雪渓状況は変わると思うので登山状況を事前に確認しておくと良い。 雪渓上部をさらに登り、「八本歯のコル」へ向かう尾根に取りつく。ここからは痩せた尾根にハシゴがたくさんかけられいる。登りで利用する場合は子供でも高度感に慣れれば問題ない。ただし、下りで利用する場合は子供には段差が大きくて大変な個所も多い。 ◆八本歯のコル〜トラバース道分岐 基本的に登山道はわかりやすく危険箇所はない。 ◆トラバース道分岐〜北岳 急登の岩場、ガレ場、ザレ場あり慎重に登る必要あり。頂上直下は岩稜で高度感のある場所もあるが注意して登れば子供でも問題ない。 ◆北岳〜北岳山荘 落石をおこさないよう気を付けながら下る。 ◆北岳山荘〜間ノ岳〜北岳山荘 特に中白根山から間ノ岳の間は斜面をトラバースする箇所が多く、場所によっては滑落の可能性もあり、やや慎重に歩く。 ◆北岳山荘〜北岳 同上 ◆北岳〜肩の小屋 岩場や激下りあり。落石をおこさないようにも注意が必要。 ◆肩の小屋〜小太郎尾根分岐 危険個所なし。 ◆小太郎尾根分岐〜白根御池〜広河原 登山道整備されており、特段危険個所はない。 |
| その他周辺情報 | ■山小屋：北岳山荘 ・1泊2食：一般8,700円 小学生5,800円 小学生未満2,900円 ■下山後温泉：韮崎旭温泉 ・韮崎旭温泉：大人６００円、子ども３００円 ※平日昼間なので空いていてよかった。炭酸泉のお湯がGOOD！！ |
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感想
【山行計画】
前日、白馬山荘に早く到着したことから、翌日の白馬三山縦走のシミュレーション。早出すればお昼には白馬鑓温泉に到着、温泉に入ってから降りても猿倉発のバスの時間に間に合いそう。翌日のうちに下山できれば、あと2日間休日があり、他の山にも登れると考え、天気予報を確認しながら山行計画を練った。
天気予報では基本的にどの山域も良い天気である。第1プランは、このまま白馬村にとどまって、後立山連峰の百名山・五竜岳に登る。しかし、白馬三山縦走して下山して、また五竜岳に登り返すのは何か味気ない。どうせなら、2泊3日で鹿島槍から五竜岳の縦走にチャレンジしたいなぁと考える。第2プランは富山へ移動して立山三山縦走。長男に相談すると「なーんか、立山って剱岳とセットで登りたいんだよなぁ。」とのご意見。なるほど、もっともだ。じゃぁ次はとなると南アルプスが浮上。というわけで南アルプスが次の候補として浮上。南アルプスであれば、北沢峠に宿泊しての甲斐駒・仙丈登山も一案。体力的には問題ないだろう。しかし、せっかく平日に登れるのであれば、週末は超混雑で行きづらい北岳が浮上する。白馬三山縦走で高度にも慣れているし、こんな機会がないとなかなか行けない！ということで北岳に決定。天候、体調に問題がなければ間ノ岳まで縦走可能と判断。
【アクセス】
白馬三山縦走後、北アルプスの麓・白馬村から南アルプス市へ移動。途中、松本市内で夕食を取り、芦安の第2駐車場に午後9時過ぎに到着。平日ということもあり、駐車場には比較的余裕があった。車中泊。
【登山記録】
●1日目
バスの始発は5時過ぎであるが、4時の段階で周りの車中泊の人たちも動き出している。また、広河原行きの相乗りタクシーもすでに何台か止まっている。4時半ごろパッキングをしながら準備をしていると相乗りタクシーの運転手さんに声をかけられて始発の2台目のタクシー乗車が決定する。5時過ぎに夜叉神ゲート前までタクシーで向かう。
夜叉神ゲートは5時半に開くためゲート前にてタクシーを降りて待つ。長男はここで丁度トイレを済ませる。
夜叉神は6月初旬、鳳凰三山縦走でマイカーを駐車した場所。あれから1か月半しか経っていないが懐かしく感じる。
5時半きっかりにゲートが開き、タクシーが出発する。夜叉神から広河原までは急峻な山沿いを走る道であるが、空は雲一つない快晴。ニュースを見ていないのでわからなかったが、どうやら関東甲信越は梅雨明けとの発表があったようだ。出発してしばらくすると白峰三山が青空に映える。タクシーの車内に歓声があがる。タクシーの中でカロリーメイトと水分補給をする。
タクシーで丁度30分ほどで広河原に到着する。さっと荷物を抱えてインフォメーションセンターへ。トイレを済ませて、センター2階登山相談所にて登山届を記入、提出する。ゆっくり支度をして6時30分ごろ出発。
広河原の吊り橋手前からは真正面に北岳が見える。青い空に灰色の岩肌が煌めいているようだ。いよいよ日本第二位の高峰にチャレンジである。
長男も睡眠はしっかりと取れた様子。筋肉痛は？と尋ねると、若干太腿が痛いとのことであったが「大丈夫！」と心強い返事。
広河原の吊り橋をわたって登山道へと入る。
登山道をしばらく進み、途中、白根御池への分岐を通過し、大樺沢に沿って登っていく。大樺沢沿いのこのルートは川風も吹き涼しい。何度か徒渉もあるが橋がかけられている場所も多く、登山道は整備されている。順調に登っていく。
今日は平日のためか子供連れは全く見当たらない。ソロの人も多い。
順調に登っていき、何名かの登山者を追い抜く。その中に70台だと思われる年配のソロの男性の方がいらっしゃった。短パン姿でしばらく後ろをついて歩いたが、ふくらはぎの筋肉が隆々。すごいなぁと尊敬。
途中、抜きつ抜かれつのソロの男性の方がいらっしゃった。この方とは翌日の間ノ岳まで何度かお会いすることとなる。
樹林帯を抜けると景色が広がり、奥に北岳が見えるようになる。北岳を見ながら登る。日が照りつけて暑いが、沢沿いのため涼しい風もあってそれほど苦にならない。二俣の手前まで来ると、踏み足がいくつもあってルートがわからない。すると先行していたソロの男性が、上から「どの道歩いても大丈夫だから、登りやすい道登って」と声をかけてくれた。二俣手前で、年配の女性を背負って降りる下山者とすれ違う。先ほどのソロの男性が「大丈夫ですか？このまま降りられますか？」と聞くと担がれている女性も意識ははっきりしており「大丈夫」とのこと。山では何が起こるかわからない。無事に降りられることを祈りながら二俣まで登った。
二俣の沢沿いの場所に荷物をおろし、朝食をとることとする。リゾットと卵スープを飲み腹ごしらえ。長男もリゾットを「おいしい！」といって食べる。
沢で顔を洗い、タオルを水で濡らして再出発。ここから八本歯のコルを目指してさらに登っていく。多くの登山者は右俣コースを進むようで、人はぐっと少なくなり、遥か遠くに先行者が見えるだけだ。
この谷には雪渓が残っているが、ほとんど夏道が露出しているので夏道を歩いていく。雪渓から昇ってくるひんやりとした風が心地よい。右手には北岳の荒々しいバットレスが眼前に迫ってくる。後ろを振り返ると広河原までの谷が見下ろせる。広河原の後ろに聳える山並みは鳳凰山だろうか。
雪渓の終わりを目指して登っていくが見た目以上に距離があるように感じた。長男も「まだ着かないのかな、遠いな」と言っている。景色が変わらないので気持ち的に長く感じるのであろう。
夏道を登っていくと雪渓上部でほんの数メートルの雪渓トラバースがある。アイゼンが必要な程度ではなく、ゆっくりステップを作って進む。この雪渓で団体の下山者とすれ違う。ガイド役と思われる年配のリーダーが、雪渓の渡り方について、これまた年配のパーティーメンバーを叱りつけている。”あんなに叱らなくても良いのに”という気持ちと”やっぱり山だからそれぐらい厳しくないと事故が起こる”という気持ちが交錯した。いずれにしても団体で登るのはリーダーもメンバーも大変だろうなと思う。
雪渓を渡り、さらに登って二俣から約1時間30分でいよいよハシゴ場に取りつく。木のハシゴが延々と連なっている。これでもかこれでもかと息をきらせながらハシゴを登っていくと、どんどん標高も上がっていく。途中、何度か短い休憩をいれながら登る。すれ違う下山者から「もうすぐで富士山が見れますよ、がんばって！」と励まされて登る。ハシゴを登り続けること約30分、八本歯のコルにたどり着く。眺望はというと北岳の山頂が眼前に迫り、広河原方面を見るとやはり対面にあるのは鳳凰山であった。地蔵岳のオベリスクがはっきりとわかる。南に目を向けると、北岳の稜線を下って行ったところに北岳山荘、そして間ノ岳がはっきりとわかる。日本第2位と第3位を結ぶ3,000mの稜線である。さて、富士山は、というと富士山方面には雲が広がり見ることが出来ない。先ほど、10分前にすれ違った下山者は見れたのだから一足遅く見れなくなってしまったようだ。残念。
長男も少し疲れている様子であったのでコルの見晴らしの良い場所で少し休憩をして水分を補給する。目指す北岳山頂へはまだ200m以上の高度を上げなければならない。しかし、北岳と間ノ岳のすばらしい稜線を眺めることができて感動である。
北岳までの道のりは酸素も薄く、思いのほかきつい。数歩あるいては呼吸を整え、登っていく。登山道脇には高山植物も咲いている。険しい崖にも可憐な花たちが咲き乱れている。
北岳の頂上部は岩稜であるが比較的登山道はわかりやすく登りやすい。ただ、一番最後の登りが段差が大きく、長男はやや手こずる。ここで二俣までの道中で出会ったソロの男性にまた出会う。「もう頂上！がんばれ」と励ましてくれる。登りきると、三角点と道標の方を指さして、「見たとおり、あっち（三角点）より、この場所の方が高いんだよ（笑）」と教えてくれた。
山頂からは甲斐駒、仙丈方面、にも雲がかかっており、あまり眺望は楽しめなかったが、とりあえず記念撮影をして山頂で昼食を摂ることとした。お湯を沸かしてアルファ米にフリーズドライのカレーをかける。親子で標高3193mでカレーを食べる。滅多にない体験。長男も「おいしい！」とあっという間に食べてしまう。
まだ13時。しばらく山頂でのんびりしていると、鳳凰山方面に積雲が生まれている。稜線上で雷雨に巻き込まれると大変なことになることから、そろそろ北岳山荘を目指して下ることとした。
間ノ岳へと続く稜線を歩いていくとあっという間に稜線の左半分がガスに包まれる。右半分は晴れているので面白い景色だなと思いながら眺めた。
山頂から1時間で北岳山荘に到着する。宿泊受付は人でいっぱいで順番待ちであった。山荘の人も登山者に「今日はこれからも沢山登ってきそうですか？」と聞くぐらいであったので、予想以上に宿泊者が多かったのだろう。おそらく昨日、白根御池小屋もしくは肩の小屋に宿泊した方が多く登ってこられたのではないだろうか。
受付を済ませて大部屋にあてがわれた布団の場所に荷物を置き、さっそく到着の一杯。私は生ビール、長男はサイダーを購入して、山荘前のベンチで乾杯。あいにくガスで富士も北岳も間ノ岳も見えないが、のんびりと時間を過ごす。
1時間ほどのんびりしていると、ふと空が明るくなり、ガスの切れ間から富士山が見える。長男とふたり興奮しながら急いで写真を撮る。隣りのベンチに座っていた団体さんからも歓声があがる。本当に富士山が間近に見れる絶好のロケーションである。
その後、となりに年配の男性が座ってビールを飲みながら写真を撮りはじめる。お話をうかがうと、佐賀からいらっしゃったそうで毎年のように南アルプスに来るそう。以前、御殿場に住んでみえて富士山が好きになり、富士山を撮影されるのだとか。話の止まらないなかなか面白いおじいさんであった。
夕食は2回戦目の17時30分からであった。自分も長男もご飯をおかわり。ご飯を食べ終わるころにはすっかり雲が晴れ、富士山が綺麗に見える。
そして日の入り。中央アルプス方面に雲が残っており、期待していたほどの夕焼けは見られなかったものの、雲海に浮かぶ富士、照らされる北岳、間ノ岳の印象的な姿が心に響く。日本1位2位3位の高峰を一度に見られる幸せ。
部屋にもどると既に真っ暗でみんな布団に入っている。我々も早々に布団に入って寝ることとした。寝る前に翌日の天気予報をチェックすると午前中は晴れるものの強風との予想。午後からは所により雨とのことで少し不安に思いながら就寝する。
●2日目
夜中に何回か目を覚ますと強風の轟音が聞こえる。”朝までにおさまってくれれば良いけど”と思っていたが、3時を過ぎても未だ風の音が鳴り響いている。目を覚まして外に出てみると、満点の星空が広がっていたがかなりの強風。
ただ、歩けないことはなさそうであり、この分なら最高の景色が見られると早朝に間ノ岳をピストンすることに決める。
ダウンジャケットを着て、その上にさらにレインウェアを羽織る。サブザックに貴重品と飲み物と詰め込み、ザックは山荘1階にデポさせてもらうこととした。長男はザックなしの空身。ただし、朝食弁当の受け取りの時間は4時30分からということで約30分弱弁当を待つこととなった。ロビーでは同じように弁当受け取り待ちの人で溢れる。
4時30分きっかりにお弁当が配布開始され、受け取るとすぐに山荘外に飛び出す。丁度ご来光の時間である。ここで昨日のソロの男性に会う。今日は間ノ岳、農鳥岳を縦走して奈良田に降りるとのこと。「お先に失礼します」と声を掛けて出発。
北岳の脇からのご来光で、あたりはオレンジ色に染まる。雲海に浮かぶ富士山のシルエットにオレンジ色がかかる。
間ノ岳のモルゲンロート。雲一つない空にあらわれる甲斐駒に仙丈ヶ岳もうっすらとオレンジ色に染まっている。名立たる名峰たちが雲一つない空に映える。言葉にならないような神々しい絶景が目の前にある。
登りゆく太陽を感じながら3,000mの縦走路を進んでいく。間ノ岳の手前の中白根山でご来光を眺めている先行者の姿も見える。強風で長男は歩きにくそうであったが問題なく登っていく。ほどなくして中白根山へ。間ノ岳の山頂はまだまだ先。間ノ岳は大きな山だということを実感する。岩場のトラバースなどもあるが登山道はわかりやすく、慎重に歩けば子供でも問題ない。
山荘から1時間20分で間ノ岳山頂に登頂。お弁当受取組では一番乗り。「やったー！」と親子でハイタッチ。
間ノ岳の南側にはまだ未踏の南アルプスの山並みが広がる。農鳥岳や塩見岳などが間近にわかるはずであるが、登ったことのない山ばかりであり山座同定は難しかった。しかし、南アルプスが深い森に包まれた美しい山域であることは一目でわかる。
東には富士山、北には北岳、甲斐駒、仙丈、鳳凰山、八ヶ岳、さらに向こうには北アルプスの山並みまで見える。空気の澄んだ早朝ならではの景色。山に泊まらなければ見ることのできない絶景だ。
山頂で少し休憩していると続々と登山者が登ってきた。
昨日からお会いしているソロの男性も登ってきた。
長男が「坊主頭だけど野球やってるの？」と聞かれる。この男性、野球の監督をやっていらっしゃるとのこと。「地区大会負けちゃって試合がないから」時間があって山登りにということらしい。男性は奈良田へ、我々は広河原へ下山となる。
賑やかになってきた山頂を後にし、北岳山荘へと戻る。3,000mの天空の散歩道。飽きることのない絶景を目に焼き付けながら進む。特に間ノ岳からの稜線から見る北岳の雄姿は凛々しくて美しかった。
結局、北岳山荘まで弁当は持ち帰って、食堂で食べさせてもらう。今日はもう降りるだけであるので急ぐこともない。のんびり食べて、身支度をして下山開始。
まずは昨日も登った北岳である。山荘から見上げると大きい、高い。長男は登るのが億劫になったようで「トラバース道を使わないの？」と聞いてくる。「せっかくだから行きと違う道で歩いてみよう。時間もあるし。どう？」と聞き返すと「わかった。」との返事。
昨日登った時は1500m超を登ってきた後であり、疲れて足がなかなか進まなかったが、今日はまだ体力もあり、北岳の頂上には難なく到着。山頂は昨日とは違い大展望が広がる。眼下に甲斐駒、仙丈、鳳凰山。さすがは日本第2位の高峰である。山頂は賑わっていたので少し写真を撮っただけで肩の小屋方面へと早々に下山する。
この下山路は甲斐駒、仙丈を見ながら降りることができる。急な下りではあるが本当に飽きることのない道である。肩の小屋まで下って少し休憩。肩の小屋は甲斐駒、仙丈の絶好の展望地である。ここからしばらくは小太郎尾根を伝って歩く。この尾根も眺望がよく気持ち良い。しばらくすると二俣、草スベリへ向かう分岐点がある。ここで年配の方に声を掛けていただく。少しお話をすると「お父さん、下りでは子供に手袋させなきゃだめだよ。下りで手をついて怪我するんだから。俺みたいな年寄りでもしてんだからさ」と指摘される。「はい、そうですね。ありがとうございます。」と早速手袋を取り出して長男にはめさせる。「子供はさ、はしゃいだ後が一番危ないんだよ。なぁ、最後まで気を付けて降りるんだよ。返事は？」長男「はいっ！」と元気よく答える。こうやって親切に気を掛けてくれる人が山にはいる。ありがたいこと。
ここから二俣ではなく草スベリを降りて白根御池小屋を目指す。
少し下ると黄色いシナノキンバイが一帯を覆い尽くす斜面に出る。その夥しい数に圧倒される。ただ、少しくだると獣害防止のネットが張られていた。食害がひどく保護の必要があるそうだ。
ここからはひたすら下る。危険個所はないが小石が多くずるずると滑りやすい。
「草スベリじゃなくて石スベリだよなぁ」と喋りながら下っていく。登ってくる登山者は皆息を切らせている。疲れた顔で「あとどれぐらい登りますか？」と質問されるが、答えるとがっかりした顔となるので答えるのが心苦しい。
ようやく草スベリと言われる草原地帯に出る。まっすぐ続く草原にジグザグの登山道があり、一番下に池とテントが見える。白根御池だ。
御池は近いようでなかなか辿りつかない。「あと少し」「大分近づいてきたよ」と長男を励ましながら降りる。御池まであと少しというところで雨が降り出した。すぐそこに池があるように見えたので雨具は出さず下っていく。雨は涼しくて気持ち良いぐらいである。思いのほか時間がかかったが白根御池に到着。当初はここでフリーズドライで昼食と考えていたが、雨宿りできるベンチがいっぱいであったことから、小屋の食事を注文することとした。小屋は新しく、内装も今風。山小屋という感じはない。自分は焼き鳥丼と生ビール、長男が御池カレーを注文する。美味しい！良い小屋だと感じた。
昼食を終えて再出発。雨は止んだ様子であったが、念のため長男はレインウェアの上着を羽織る。小屋からは樹林帯の道を歩く。久しぶりに南アルプスらしい森を歩き、気分は良い。途中、登山道整備の方たちがいらっしゃった。「ありがとうございます。ご苦労様です」と声をかけて進む。この後、何度か整備の方たちが走り降りて抜き去っては登山道を整備されてくださっていた。ありがたいことです。
下っていくと沢の音が大きくなり、大樺沢沿いのルートと合流。ほどなくして広河原に到着した。バスは40分後とのことであったが、相乗りタクシーがすぐに出発とのことで相乗りタクシー場で準備。すると、昨日の朝、相乗りタクシーで御一緒だったご夫妻がやってみえる。「ああ！今日も一緒だなんて偶然ですね」とお話をしたものの、我々の方が1台早いタクシーとなってしまった。おしかった。
タクシーで芦安の第2駐車場まで降りてマイカーに戻る。帰り道に鳳凰山の薬師岳小屋の御主人に教えていただいた韮崎旭温泉に浸かって疲れを癒し、4日間わたる北アルプス、南アルプスはしご登山を終了した。
【感想】
夏休み前半親子登山第ニ弾は南アルプスへ！
前日まで白馬岳、翌日には南アルプスへ、アルプスはしご登山です！
2日とも快晴！
南アルプスの大絶景！
宿泊は北岳山荘。夕日も朝日も目の前に富士山。こんなロケーションは他にはあろうはずもない。素晴らしい景色をありがとう！
夜中から風が強くて、どうしようかと悩んでいた間ノ岳へも縦走することができました。日本第二位と三位の間の”天空の散歩道”を縦走し、富士、甲斐駒、仙丈、鳳凰、など名峰を眺めることのできる幸せ。
感動という一言では表せない何かがここにはある。
親子でそれを味わえたという幸せ。素晴らしい思い出をありがとう！
■北岳 百名山45座目、長男(小5)43座目
■間ノ岳 百名山46座目、長男(小5)44座目
広河原からは、沢が流れていて気持ちいいです。北岳が遠く見えて、さすが日本2位はその分遠いなあ。日が当たると暑くなり、すぐ、喉が渇きます。しかし、北岳も応援してくれます。二俣で沢の水を顔につけたら、とても気持ち良かったです。リゾットうまし！そして快晴です！綺麗に北岳が見えます。さて出発します。しばらくの登りは長かったけども、上部二俣に到着しました。ここからがキツイ。階段が続き、足が疲れて、コル付近で腰を下ろします。ガスが出ましたが北岳ははっきりと見えます。分岐まででもう3000m超え。ちょっとペースが落ちてくるけどもその調子で山頂へ。そして、息切らして到着しました。日本第2位の高峰に立っているんだと実感がわいて、改めてすごいなと感じました。そして、カレーライスをパクリ。2位で食べるカレーは、おいしいの一言。今日の小屋北岳山荘へ・・。山荘では、テラスがあり、三ツ矢サイダーを。これまたうまい。そして、夕日の時間。ついに、123がそろう。富士山は、やはり国の象徴と言える山。北岳はすらっと高くカッコいい。間ノ岳はどっしりしている。こんなものを見えるのは、貴重だなと思いました。
夕日もよかったけど朝日も染まって美しかったです。空身なのでいつもに増してすいすい行きます。中白根をこえて、間ノ岳が。思ったより長かったけども、山頂到着。農鳥も、北岳もそして富士も。本当に絵になります。往復して食べる弁当が美味い。腹ごしらえを済ませ、再登頂へ。分岐までやや遠いけども、その後の登りは楽に。日本第2位に再び登りました。甲斐駒も鳳凰三山もさっき登った間ノ岳も。絶景です。下りが長いけどもがんばろう。肩の小屋は、さすが山小屋らしく。広河原まで結構急です。草すべりもホントに滑れそう。そしてあめに降られ、御池小屋についた。ここのごはん美味しいです。さらに下ってようやく目的地到着。2日で29�厠匹�歩いたなあ。
北岳山荘からの景色が最高すぎました。1・2・3がそろって良かったです。さらに3100mは初でとっても達成感がありました。
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show696 さん
自分も子供と北や南を歩きたいなぁ〜なんて想像しながら拝見してました。
うちの子も自由研究どうしようかと悩んでいるみたいですが、高山植物の研究はいいかも！
白山でも連れて行こうかな・・・ムリだろうな（笑）
久しぶりに北岳〜間ノ岳、歩きたくなりました。
個人的には白根御池の白桃ソフトクリームが好きです
Sanchanさん、ありがとうございます。
本当に良い思い出となりました。
長男、夏休みの自由研究は毎年恒例で山とか川とかの研究なんですよね。
父としてはありがたい限りです（笑）
実は、花を見るのに白馬か白山か迷ったんですが、またもや白山はお預けになりました・・・。
御池の白桃ソフトクリーム？しまった食べ損ねた！
nao somaさんこんにちは、お久しぶりです
朝から目の覚めるキレイな写真の数々楽しませてもらいました
いつも微笑ましくもガッツのある親子の山行、拝見していますよ。
息子さん、ますます逞しくなってきた感じですね。
それにしても、最高の北岳〜間ノ岳でしたね
モルゲンを堪能しながらの3000mの稜線歩き、さぞかし気持ち良かったでしょうね。
私も三山縦走を狙っているのですが、なかなか都合がつかず
基本日帰りなので、無茶なのですがね
また後半戦、楽しみにしています
vino_rossoさん、お久しぶりです！
こちらこそ、いつもレコ拝見してますよー。
息子がつきあってくれる間に色んな山に登りたいと思っております！
さすがvinoさん白峰三山縦走日帰りを狙って見えるとは！
約３０ｋｍ？日帰りのレコも結構ありましたけど、我々からすると超人の域です（笑）
後半戦は来月！がんばります！
nao_somaさん、こんにちは。
すごいなぁ、4日間で白馬三山と白根2山ですか？
健脚かつパワフル、そして運転お疲れ様でしたw
どちらも天気にはほぼ恵まれたようで、持ってますね〜。これだけ恵まれれば白馬山頂の曇り空はドンマイですよ〜。息子さんの笑顔もナイスです！
北岳いいなぁ〜、自分もいろんな山登ったけど、やはり北岳が一番好きです。百名山落ち着いたら、また行きたい山です。
そしてレコ見て栂池から白馬三山も行きたくなりました〜。
お疲れ様でした〜。
loversoulさん、こんばんは！
平日に休みが取れるなんて滅多にないので、一週間前からソワソワしてました。
梅雨明け間近で天気予報がコロコロ変わって、色々悩みましたが、結果オーライ！
運転はトータル700ｋｍぐらい走ったでしょうか・・・（笑）
会社の人に「北岳登ってきたよ」と言っても通じないので、「日本で二番目に高い山」と説明しました（笑）
登山やらない人にとっては地味な山かもですが、本当に良い山でした！
こんにちは。私も水、木で北岳、間ノ岳を計画していましたが、水曜日の「天気とくらす」では判定がCで、しかも台風？のような風の予報だったので諦めました。
でも水曜日の風は稜線を歩けるような風だったのですね。(>_<)
また、平日の北岳山荘の混み具合を詳しく教えていただけると嬉しいです。
150人泊まれるらしいですが、何人くらいいらっしゃったのでしょうか？そして本当に予約不要で、むしろ予約をしてはいけないのは本当ですか？
そして水曜にお会いできのかと思うとと残念です。
素敵な山行！(＾◇＾)
mikiwhiteさん、こんばんは！
ひょっとしたらお会いできてたかもですねー！
私も「てんきとくらす」は参考にしてて、前日まで水曜日は「A」だったのに、北岳山荘に着いてからチェックすると強風のため「C」に。深夜目を覚ますと風の音がスゴイことに。間ノ岳に行くどころか、ちゃんと帰れるかなと不安さえ抱きましたが、外に出てみると歩くことができないほどではなかったのでプラン通りに歩いてきました。
ただ、時折、突風もあるので低学年の子供にとっては危険だと感じました。
お昼前には雨も降りましたし（山頂の様子はわかりませんが）、回避して正解だったかもしれませんよー。
さて、ご質問の北岳山荘ですが、平日でしたが見た感じではほぼ定員。ただ屋根裏にはまだスペースはあったように見えました。食事は３回戦で、１回戦５０名として、やはりざっと１２０〜１５０名といったところでしょうか。
前日に山荘に電話して混雑状況と予約が必要かどうか聞きましたが、「連休明けの平日なのでそれほど混雑はないと思うので布団１枚１人の予定です。予約は不要ですよ」とのことでした。
ただ、梅雨明け狙いの人たちが多かったのか、山荘の受付の人も想定外の様子で「今日ってまだ登山者は登ってきそうでしたか？」と聞いているぐらいでしたので、普通の平日ならばそこまで混雑はしないのかもしれません。
団体の予約は受け付けているらしいので、ある程度、山荘の人も混雑状況は把握できるようですので、電話で聞いてみると良いかもしれませんね。
参考になれば幸いです！良い山行を！
お忙しいところ早々と、それに詳しい説明をありがとうございます。
低学年の子供を２人連れての登山なので、やはり行かなくてよかったと「ほっ！」としています。
やはり北岳、人気の山だけあって平日でもなかなかですね。
息子が、暑がりなもので、熱気がすごくてのぼせて鼻血でもだされたら困るなぁ〜と。
団体さんなどの混み具合を聞いてみます。(*^-^*)
もしくは、かな〜り頑張ってテント泊？
でも、北岳山荘の低価格の子供料金にも魅かれてしまいます。
mikiwhiteさん、テン場もロケーション最高！
山荘の中と違って結構空いてて静かで良さそうでしたよー。
ただ、やはりテン泊装備で登るのがきつそうです（笑）
そうそう、ここの山荘の子供料金は有り難かったです（＾＾）
診療所、バイオトイレもあって色々と安心できますしね。
抜けるような青い空がとても綺麗です。
稜線歩きはやはり晴れの日が気持ち良いですね。
見ているだけで吸い込まれるような写真です(^^)
北ア・南アと連続とは流石です。
来月、お会いできると良いですね♪
PENTAGONさん、こんばんは！
本当に晴れて良かったですー。
風も強かったですが絶景に見とれながら歩けました。
でも、PENTAGONさん親子は、三山縦走されたんですよね！
すごいなぁ。
来月、北アルプスの最奥でお会いできるのを楽しみに！
naoさん、息子さん、初めまして！
イイですね〜北岳&間ノ岳。お疲れ様でした
ウチの長男も5年生なのでメッチャ親近感を覚えます。
でも、こちらは西日本在住なんで、気軽に日本アルプスに行けるnaoさん親子が羨ましいです。
ナイスレコでした〜
ikimasseさん、こんにちは！
ikimasseさんも親子で表銀座縦走とはスゴイですね！
ウチの場合は少しづつステップアップして、ようやく去年ぐらいから親子でアルプスに行けるようになりました。
一緒に山に登ってくれる間に色々挑戦したいと思っております！
北岳頂上で、ニアミスしていたようですね。
441さん、おはようございます！
本当ニアミスですね!
あの日は風が強かったですが景色は最高でしたね!
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