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著者の岡田喜秋氏(大正15年=昭和元年=1926年生まれ、東北大経済学部社会地理学専攻)は、JTBの雑誌「旅」の編集長を1959年から12年間務めた方です。同誌に発表した紀行文をメインに、一冊の本にまとめたのが本書。全部で20編の紀行文で構成されています。歴史的な裏話(=秘話)がある土地が舞台になっています。舞台となっている20箇所は次の通り:大千軒岳(北海道)、十和田湖・奥入瀬・蔦温泉(青森)、国見峠(秋田・岩手)、魚取沼・鉄魚(山形・宮城)、奥会津・柳津(福島)、浅間山・火山館(長野・群馬)、千曲川源流(長野)、富士山南麓・十里木(静岡)、小笠原(東京)、浜名湖北岸・姫街道(静岡)、志賀高原・木戸池(長野)、白川郷・五箇山(岐阜・富山)、三方五湖(福井)、大峯山・山上ヶ岳(奈良)、北山峡(奈良・和歌山・三重)、斐伊川源流(島根)、瀬戸内海・柱島(山口・広島)、角島(山口)、大野ヶ原(愛媛・高知)、やまなみハイウェイ・飯田(はんだ)高原・千町無田(大分・熊本)。 【読了日:2015年10月12日】
★「定本 日本の秘境」岡田喜秋著(山と渓谷社、ヤマケイ文庫、2014年2月)
著者は前書と同じ。もとは1960年に東京創元社から刊行され、1964年には「谷」の章を足した上で角川文庫で再刊行、1976年にはスキージャーナルより「自然と人間シリーズ5」として刊行されたもので、それを「定本」の枕詞をつけてヤマケイ文庫から出版したのが2014年ということです。自分が編集長を務めたJTBの雑誌「旅」に掲載したものをまとめたものですが、年代としては昭和30年代前半ですので、著者が20代終盤〜30代前半の頃の作品ということになります。「山」「谷」「湯」「岬」「海」「湖」の6つの章で構成され、各章に3編の紀行文が収録されています。舞台(場所)を記しておくと、「赤湯〜苗場山〜小松原湿原〜逆巻温泉」「人吉〜五家荘〜椎葉」「黒湯〜乳頭山〜滝ノ上温泉〜網張温泉〜三ツ石山〜松川温泉」「大杉谷」「羊蹄山麓(アスパラガス)」「白山山麓・中宮温泉」「八甲田山麓・酸ヶ湯」「夏油温泉」「佐田(さだ)岬」「襟裳岬」「足摺岬」「野付岬」「橘湾〜室戸岬」「隠岐」「十二湖」「開田高原〜三浦(みうれ)貯水池」「南蔵王・長老湖〜七ヶ宿」。解説・池内紀氏のコメント「多少とも肩肘張った若々しい語り口がほほえましい」にみるように、著者の若さがところどころに露出してます。 【読了日:2016年11月7日】
たしかに秘境やかたすみの地名の連発です。昭和30年代となると、もう失われた前世界の風物も多そうですね。でも案外その時代のものが現代につながってきているから、読んでみたいですね。
yoneyamaさん、コメントありがとうございました。
こういった図書のおかげで、狭いと言われるこの日本の中にも、まだまだ知らない土地(と歴史)があることを知ることができて、それはそれでありがたいのですが、確かに、あまりに変わり果てた姿を見てしまうと、悲しくなりそうですね。
「魚取沼」あたりは、是非自分の足と目で踏査してみたいと思っています。
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