原題は“High Adventure”で1955年に出版されたものの邦訳版。原著は12章から構成されているそうですが、第1〜6章は省略されており、「一九五三年のエヴェレスト:最初の難関」「第二の難関」「サウス・コル」「第九キャンプ」「頂上」「冒険の終わり」の6つの章が収録されたものです。人類初の世界最高峰登頂者が自らの筆で書き下ろした記録であり、現在では入手が困難になっているのは誠に残念なこと。アイスフォール通過部分と、第9キャンプから登頂に至るまでと、二つの部分に手に汗を握るようなハイライトがあります。また、ヒラリー氏が人間味のある人格者であることも読み取れました。【読了日:2017年4月10日】
★「わがエヴェレスト」エドマンド・ヒラリー著(松方三郎・島田巽/訳)(朝日新聞社、1956年4月)
世界ノンフィクション全集3(筑摩書房)に収録されていた「わがエヴェレスト」が、本来全部で12章からなる作品の後半(7〜12章)のみであったことをその解説を読んで知り、前半も読みたくなったため、朝日新聞社から1956年4月に出版された同名の単行本を読んでみました。第1〜6章のタイトルは「修業時代」「エヴェレストへ―1951年の遠征」「エヴェレスト南面ルートの発見」「チョ・オユウでの訓練と準備」「ヌプ・ラ越え」「スイス隊のエヴェレスト攻撃」。収録写真も豊富ですし、加えて、冒頭に「著者のことば」も掲載されていて、やはり全体を読んで本当に良かったと心の底から感じました。未踏の、しかも世界最高峰という巨峰を探検的に登ろうとうする時代のサクセスストーリーですので、その準備段階、特に1951年に南面ルートを発見したいきさつや、スイス隊が1952年にその南面からアタックしている同時期に西面から北面に回って、あらゆる角度からの探査をスイス隊の結果に多少ハラハラしつつも進めている状況など、ストーリーには欠かせません。単に最終的に成功した1953年のアタックのみを抽出したのでは、受ける印象や感動もあるレベルに留まってしまうでしょう。実際、「ヌプ・ラ越え」の部分なども、まさに前人未到の探検そのもののワクワク・ドキドキ感が満載でした。ヒラリーの暖かい人間味を良く表れていて、このあたりは訳者(松方三郎・島田巽両氏)の功績ではないでしょうか。いずれにしても、絶版のままでは本当にもったいない山岳書です。なお、1952年のスイス隊のアタックは春と秋の2回行われていたという事実を私はこの本を読むまで知りませんでした。それらと1953年英国隊のすべてに参加し、かつ、その3回の山行でいずれも最高地点まで達していたという意味において、テンジン・ノルゲイにもっと注目しても良いのではないかとも思いました(著書や評伝などはないのでしょうか?)。【読了日:2017年4月22日】
筑摩ノンフィクション全集の抄訳で読みました。この全集、いろんな面白いのが詰め合わせで、凄いのですが、古本屋で100圓くらいで売られていますね。僕はほぼタダで10冊くらいもらってきました。ヒラリーと同じ本に収録されているほか3つの冒険がすごすぎて、ちょっと印象薄でした。そのときの感想です。
https://www.yamareco.com/modules/diary/826-detail-17534
ハントやノイスはときどき古本屋で見かけたけれど、ヒラリーの完訳本はあまり見た覚えがありませんでした。ヒラリーの人柄を、悪く言う人は居ませんね。
テンジン・ノルゲイに関しては、確かありましたよ。
yoneyamaさん、かつての貴日記のご紹介含めて、コメントありがとうございました。
「単騎遠征」については、先日読み終わりまして、明日の日記にでも感想を載せようと思っているところです。yoneyamaさんのように自分では乗馬をしませんので、一般的な内容になってしまいますが…
「フラム号漂流記」は、「極北」というタイトルの本(福音館書店1977年と中公文庫2002年)と同じものなのかどうかを確認してから読もうと思い、ちょっと後回しになっています。
「翼よ、あれがパリの灯だ」は、高校生の頃に確か読んだことがあるはす…
テンジン・ノルゲイ氏に関しては、二冊見つけました:
「ヒマラヤの男」N・テンジン/著、井上勇/訳(紀伊国屋書店、1955年)
「わが山エヴェレスト テンジン自伝」テンジン/述、マルコム・バーンズ/筆、吉永定雄/訳(白水社、1979年8月)
どちらも地元(中野区)の図書館にあるようですので、早めに読みたいなと思っています。
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