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本書のタイトルに惹かれて読み始めたわけですが、このタイトルは、本書の序章のタイトルでもあり、この小文は「山と渓谷」誌No.742(1997年5月号)に掲載されたものとのこと(巻末の初出一覧より)。苦痛と快楽は表裏一体であって、適切な苦痛は相応の快楽を生み、苦痛と快楽の和がすなわち快楽である、という考えが披露されています。お医者さんらしく、呼吸法(腹式呼吸)が肝心だと力説しています。そしてこの序章は「孤独を楽しむ。これが快楽登山の精髄であろう。」で締めくくられています。この序章は本当に共感できました。
本編も雑誌「岳人」などに掲載されたエッセーをベースに一部書下ろしを加えたものですが、それらの内容は本書のタイトルとはあまり整合はしていません。ヒマラヤやカラコラムなどでの海外登山の経験をベースにした裏話的なものがほとんどで、歯に衣を着せずに、旧体制(日本山岳会とか)弾劾や特定の個人攻撃的な口調のものも多数あり、ある意味、書きたい放題といった印象もあります。が、いずれにせよ、著者の強烈な個性がにじみ出ていることは確かです。最後の一節はご自身の筆ではなく、奥様の原・エリザベスさんの書かれた「真との二〇年」というものでさらに原氏のことを良く知ることができます。国際人であることは間違いありません。
本書の一番最初には、「本書を、感謝を込めて、両親の生前に捧げる。」とあるのですが、その次に「彼らは、次男を山で失ったにもかかわらず、長男の私が山へ登り続けるのを黙認してくれた。」とあり、そういったバックグラウンドもお医者さんという生死を身近にして生きてこられたこの方の一部を作り上げているのかと想像しました。
nomoshinさん、こんばんは。
そうですね、原先生がお亡くなりになって、もう4年余り経ちますね。山が大好きなお方で高山研究所を名古屋に設立なされ無酸素の登山を自ら実践する為に、中国のシシャパンマ中央峰へ遠征隊と共に登頂されましたのを覚えています。医師であり、速攻登山の実践者としても有名なお方でした。私の尊敬するお方でした。
ノモシンさんこんにちは
原さんとは付き合いが長く、本は全部読みました。若い頃に読んだので影響も強いです。どれを読んでもとてもおもしろかったです。絶版の物も多いですがどこかで探して他の本もぜひどうぞ。
亡くなったときに追悼を書きました。↓
http://aach.ees.hokudai.ac.jp/xc/modules/AACHBlog/details.php?bid=523&cid=3
cprrescueさん、コメントどうもありがとうございました。
高山研究所を設立して科学的な研究を主導されるなど、常に既存の枠を超える試みをされたグローバルな方だったのですね。このようなパイオニアかつ指導者的な役割を現在でも担っていらっしゃる方(もしくは団体)はいらっしゃるのでしょうか?
yoneyamaさん、コメントどうもありがとうございました。
ご案内頂いた追悼文、拝見しました。
そうでしたか、原さんやご家族を直接ご存じなのですね。(ちょっぴりうらやましいです。)
私も原氏の著作物、もう少し読んでみようと思います。
また、たまたまでしょうが、現在読んでいる「ミニヤコンカ奇跡の生還」(松田宏也著)にも原真先生のお名前が登場していました。
ご紹介頂いたAACHのサイトの他の寄稿も興味深いものがいろいろありました。冠松次郎著「富士山の旅」紹介や、ヘルヴェチアヒュッテ訪問記、日高の地名誤表記指摘などなどです。とても刺激的でした。
どうもありがとうございました。今後も私たちの知らないことなどを、いろいろと教えてください。よろしくお願い致します。
のもしんさん
ブログ感想どうもありがとうございます。
10年以上前からあるブログで、字も小さく構造も複雑で見づらいところがありますが、本の書評欄はほとんどヨネヤマが書いています。左列メニューのブログの上から7段目、書評・出版のところです。お時間あるおりご覧ください。読書家ののもしんさんですから、ご紹介します。
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