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事故関係者への調査が最もリアルなデータを得る方法なのだろうが、当事者の方の感情やプライバシー保護の絡みからも難しいことは想像に難くない。
そこで、この本は事故データを解析して様々な要素とその関連性から、事故の原因を見つけていく。
ニュースで発表される遭難事故データをシロウトの自分がぼんやり眺めてなんとなく思うことと、科学的な手法で解析され導き出されたポイントは、案外に重ならない。
第2部の道迷い実験では、人間の方向感覚がいかにアテにならないかを晒し上げられる感じで、大変耳が痛い。
以下、気付きポイント(自分用メモ)。
●事故の二大原因である「転倒・滑落」と「道迷い」は、加齢により「道迷い」が増える傾向。
病気や転倒も微増するけれども、加齢では圧倒的に「道迷い」が増える。
…私か。
●悪天候による事故は件数としては少ない。野生動物襲撃は意外と多い。
…熊。あとたぶんハチとかヘビとか。
●事故は複合的要因の組み合わせ。最終要因だけを取り扱っても実態は見えてこない。
悪天候+道迷い+疲労+転倒 など。
●事故発生頻度の高いプロフィールは50代〜60代女性、登山歴10年以内、事故の6割が転倒。
子育てが一段落してから趣味を始めるとちょうどそのくらい。
自分が思うより筋力が低下している年齢。
…私か。
●事故現場の特徴は「好天」で「下りのやや急斜面で一般土が露出し、樹林帯で木の根のあるところ」
その通り。割と普通の場所で転びますね。私。
●事故発生時間は、日帰り登山では「14:00」そろそろ下山にかかる4分の3行程。
わかります。
●安易な救助要請をする人もいるが、多くはむしろ我慢しすぎることが問題。
「直前までほとんど異常を感じず、少し気分が悪くなった程度で休憩中に突然死」の症例では、医師の解釈も分かれたそう。
事故直後に意識があり自力歩行可能であっても、実は重症で長期入院や後遺症を残すケースも少なくない。
●迷ったら単純に上へ登れとも下へ下れとも言えない。
よく「迷ったら上へ登れ」と言われる。これは、沢沿いを下って滝にぶつかり行き詰まる危険を避けろということだと理解していた。
けれど、あらゆる状況で登り一択という訳ではないだろうことは経験的になんとなくわかる。
地形学によれば日本の典型的地形は200パターン(!)もあるらしい。
山裾の方なら下った方が安全な場合もあるだろう。尾根筋の展望が開けているとも道がついているとも限らないし、ヤセ尾根だったり岩場だったりもするだろう。結局、少しでも安全に行けそうな方向を探るしかないということか。
「だれも山行計画を知らず、救助が期待できない場合、遭難者の判断で、周辺地形を見ながら、状況に応じて移動する。この際、上下いずれの方向が安全かを指導することは難しい。ただし、谷筋上を移動すれば上下いずれかで滝にぶつかる危険性を考慮に入れる」
日本山岳協会遭難対策常任委員会では、このような指導を行っているそう。まあ、そりゃあそうだよなあ。
まず「だれも山行計画を知らず」という状況を排除するために、家族に行き先を伝えて万一の時の通報を依頼しておく。登山計画書も提出。
迷ったと思ったら、むやみに移動せず「落ち着いて5分以上考える」。
原則、常に「元の道を引き返す」。
暗くなる前にできるだけ安全な場所を確保してビバークに入る。
ルーファイが怪しく体力もない自覚があるので、あれ?と思ったら「とりあえず座ってお茶を飲んでお菓子を食べて落ち着く」を徹底したい。
地図読み練習を兼ねて、この冬はまたオリエンテーリングのコースをいくつか歩いてみよう。
筋トレも頑張ります。筋肉は裏切らない。
kerokero3さん、こんにちわ。
個人的な感じ方ですが、遭難が遭難となるに
あたっては重層的、複合的な要因が重なる
ことが多いのではないかと感じています。
準備不足(装備、調査、体力)から始まって、
道に迷ってもそのまま突き進んでしまう、
先を焦って十分な休憩を取らないで、
足がもつれたり転倒したり、
そして道に迷ったら谷を降りるなと
言われているにも拘らず、多くの遭難者が
谷に降りることについてはあまりこの手の
本でも語られることがありませんが、
焦る。消耗する。喉が渇く。水の準備が十分で
ないことから、最後は水を求めて谷筋を降りて
しまうのではないかなと。準備不足がこういう
ところで露呈してしまうと。
落ち着いて5分考えたり、
暗くなる前にビバーク準備ができるだけの
心構えや装備があれば遭難に至らないわけで、
その頃にはすでに自分では気づかないうちに
パニックに陥っているのだと思います。
多分に水不足が絡んでいるのではないかと。
k-yamaneさん はじめまして。
この本は、経験論で語られがちな山岳遭難事故問題において、具体的な事故データに基づく対策を検討しようというもので、この手の本では異色の切り口だと思います。
ただし、遭難のリアリティに迫るものではないので、そういった意味では羽根田治氏の「ドキュメント遭難シリーズ」の方が読み応えがあると思います。私はこのシリーズを読んで、地図を持たないのは致命的なミスなのだろうこと、誰にも行き先を告げていないことも同様のエラーなのだということを実感しました。
水は、減らせませんよね…。重たいんですけども。
こんにちは!
ヤマケイ遭難シリーズ全部読んだ
超初心者です(・∀・)
実際に低山トレッキングを始めて
みたら、自分の場合は下山時捻挫などの怪我が1番ありそうだと感じてます。最初は遭難に備えて?色々持参しましたが、最近は身軽にして
行動早め、アクシデントあっても
這って自力下山できそうな低い山、或いは途中まで登るという感じにしてます。
sikakaiさん、こんばんわ!
わかります、私も山歩き再開した当初は荷物重たかったです。
徐々に軽くなりました。軽さは正義です。
あと筋トレですね。筋力体力も正義です。
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