先日、札幌・狸小路の某映画館の閉館記念上映で、久しぶりに渡哲也主演『「無頼より」大幹部』を観た。ある意味、『仁義なき戦い』などの東映実録路線を先取りしたとも言える日活ニューアクションの系統に数えられる『無頼』シリーズだが、この第1作の制作は1968年。しかも監督は、その後の「無頼」シリーズを背負った小澤啓一ではなく、「赤いハンカチ」などの裕次郎作品で知られ、前年にはやはり渡主演で「紅の流れ星」を撮っている舛田利雄。それだけに、凄絶なアクション・シーンを盛り込みつつも、“ムード・アクション”の名残を漂わせながら、見事に“古き良き(といっても大して古くはないのだが)”正統派日活アクションに仕上げている。
何と言っても圧倒されるのが、名場面の多さ。雨中の泥まみれになってのドスでの死闘シーン、足を洗おうとした浜田光夫が新宿駅ホームで北林早苗の目の前で刺殺されるシーン、そしてラスト近く、青江美奈歌う「上海帰りのリル」をバックに、渡が青木義朗を追い詰めていくクライマックス。強烈で印象的なシーンが次々と出てくる。この映画を以前に観たのは20年以上前だと思うのだが、どのシーンも鮮明に覚えていた。
松原智恵子(の役)にはちょっとイライラさせられるし、(これはシリーズを通して?)、もちろん渡演じる藤川五郎は、実話ベースといいながら美化されている(その点は『仁義なき戦い』と同じ)のだが、待田京介、青木義朗、深江章喜、川内民夫、藤竜也、松尾嘉代、三条泰子らは、ある意味ステロタイプながら、しっかりと造形された役柄を、それぞれ見事に演じきっている。これには池上金男(後の作家・池宮彰一郎)の脚本の力も大きいのだろう。美術は、鈴木清順作品で有名な木村威夫。
裕次郎映画の監督としてキャリアをスタートさせながら、その後、笠原和夫脚本の戦争大作から、アニメ、アイドルものまで手がける何でも屋ぶりを示して器用さを見せつつ、いささか晩節(といっても、まだ生きているが)を汚した感のある舛田利雄だが、この作品や『赤いハンカチ』などを観ると、その演出力の高さ、確かさ、というか、物語を走らせる巧みさに敬服する。それは、器用な職人芸という域を超えているように思われる。
kennさん今日は
私らとは二昔後の時代の人ですね、それにしても懐かしい名前の俳優さんが思い出させてもらいましたよ、
待田京介、青木義朗はいつも脇の悪役ですがそれなりに存在感があり光っていましたよ、
私らが良く映画を見たのは裕次郎時代迄ですね、当時の日活は俳優以下全員若く好き勝手に作品を撮っていましたね、
主演俳優も今では信じられないような派手な遊びをしていましたね、若い俳優を大勢連れて銀座なんかで飲み食いなどし、
今の時代と違いスターらに対しマスコミも私生活やスキャンダルなどは犯罪に関係なければ多めに見ていましたね、
でもどの映画会社でも地味ですがキラリと光る良い作品を数多く残していましたね、
あの日活でも荒唐無稽なアクション映画だけでなく良心的なのも残していましたよ、
naiden46さん、こんばんは
昭和30年代後半に青春時代を過ごした(団塊)世代ですね?
日活は私が小学校高学年の頃にロマンポルノになり(なってしまい?)、それはそれで傑作も多く、学生時代にはよく観たものですが、日活アクションは製作から10〜20数年を経て遅れて観ました。東映の任侠映画(時代劇はあまり観ませんでしたが)や、雷蔵などの大映の時代劇も観ましたが、日活が好きでしたね。
当時は(今も?)作家主義に毒されていたので、日活なら(今村昌平ではなく)鈴木清順、大映なら(増村保造ではなく)三隅研次、東映なら加藤泰、工藤栄一、山下耕作といった監督の作品などを選んで観ていました。
しかし、そうやって観続けるうちに、いつものおなじみの顔=脇役に目がいくようになりました。あ、あいつまた出てるよ、という感じで。本作でも高品格が北林早苗の父の寿司屋の大将役でいい味出してますね。
そうですか、やはり昔の俳優はおおっぴらに豪遊していたんですね。私は会社のそばの森下の洋食屋で舞ノ海が若い衆にタンシチューかなんかおごっているのを見たぐらいです。
そういえば、恥ずかしながら私は大学の卒論(読めた代物ではない)が宍戸錠関連だったのですが、それから20年後に、住んでいた京王線沿線の店で偶然本人にあって、少し話をしたことがあります。かなり酩酊していた彼は、突如懐に隠し持っていた特殊警棒を取り出して後ろから私の首を絞め、「どうだ、こんな70歳はいないだろう」てなことを言ってました。
後ににっかつの人に訊いたら、「あの人は単なる酔っぱらいですよ」とのことでしたが、宍戸錠主演の「野獣の青春」「殺しの烙印」「拳銃(コルト)は俺のパスポート」などは好きでしたね。
kennさん今晩は、以外に渋い監督好みですね、今ではそこまでの記憶は忘れてしまいましたが書かれていると思い出しますよ、
大映の雷蔵のフアンでしたから良く観ていましたし、若くして亡くなったあんな演技力のある俳優は出てこないでしょうね、
日活ロマンポルノも馬鹿には出来ないですよ、それを踏み台にして良い監督や俳優が育って行きましたから、
今では非難の的になるような映画ですが、任侠路線にしろロマンポルノにしろ古い感じは残りますが当時の熱気は伝わりますよ、
場数というのか監督や役者は映画などで数多く撮ったり出ていれば自然とそれなりに演出や演技力がついてきますね、
やはりフイルムとデジタルの違いですかね、今の映画やテレビドラマの迫力のなさ演技力からすればまだマシですよね、
今日、CSで裕次郎の(蔵原惟善監督)の「憎いあンちくしょう」やってました。ちょとしか見ませんでしたが、昔観たときは結構好きだったな。この作品ではあまり光ってないけど、芦川いづみが好きでした。藤竜也の奥さんですね。清水まゆみも良かったな。
雷蔵は、何と言っても三隅研次の『剣』と村上元三原作で池広一夫監督の股旅物『ひとり狼』が好きでした。後者は、人を斬った後の「今夜もまた、まぶたの中に一つ卒塔婆を立てるのか」というセリフが記憶に残っています。また、文句たらたらの旅人の新人?長谷川明男に、「飯は一汁一菜、布団は柏餅にして寝る」と旅人の流儀を教えるセリフも印象的だったですが、雷蔵演じる追分の伊三蔵?に憧れる長谷川明男の姿は、加藤泰の『遊侠一匹』で錦之助の沓掛時次郎に憧れて無惨に殺されてしまう渥美清の姿にダブります。
考えてみれば、東映時代劇はあまり観てませんが、任侠映画との中間的ジャンルである股旅物では、やはり錦之助、山下耕作の傑作『関の彌太ッぺ』なんかも良かった気がします。「十年昔はなかった傷だ、顔も変わった心も荒れた」という惹句の一番憶えているぐらいですが。
雷蔵は、コメディ時代劇みたいなものも面白そうなのですが、ほとんど観たことないのが残念です。
ロマンポルノに関して語り出すと、神代辰巳、田中登、曽根中生といった“巨匠”や宮下順子(彼女のwikipediaは英語、ドイツ語、オランダ語、タガログ語までありました)、山科ゆりとか、ほかにも好きな女優がいたな、などと話がきりがなくなってしまうのでやめておきます。
男優も、江角英明や高橋明などアクション時代からずっと日活で続けていた脇役の人たちもいて、こういう人はどういう気持なのだろうと思い、いつか仕事で江角さんにインタビューする機会があったときに、取材の趣旨とはそれるそのあたりの話を聞いてみたことがあるのですが、私の能力では「そりゃあ抵抗がありましたよ」ぐらいの話しか聞けませんでした。
私は学生時代に一時ピンク映画もよく見ていて、当時あったさる雑誌のピンク映画賞の審査員を務めたときには大杉漣を男優賞に選んだので、「大杉漣を育てたのは俺だ」などとたまに冗談で言っております。
フィルムとデジタル、ビデオの違いといえば、テレビの「水戸黄門」など、最近ごくごくたまに観ると、何だか全然雰囲気が違って、さらにチープで全然ダメ。あれなら打ち切りになるわ。
またまた、だらだらと、とりとめがなくなってしまいました。
なつかしさのあまり投稿します。
今は東横インになってる場所に日活があり、親父が日活の株を持っており株主優待券でタダで行けたなつかしい思い出です。
今でも鮮明に覚えているのは「銀座の恋の物語」「太平洋一人ぼっち」「愛と死を見つめて」
私の人生の勉強は日活だったかも・・・・・。
あの頃は感受性もたっぷりあったからなのだろうか。
あの頃を思い出して心にに少しずつ浸透していくような映画に出会いたい。
ivyさん、こんにちは
私が知っている日活も南4西3でしたね。独りで映画を観に行くようになった頃には既にロマンポルノになっていたので、大学を出て札幌に戻ってきた頃に何回か行った程度。いや、それ以前に板妻祭のようなものを観に行った気も...。日活オスカーという名前だったでしょうかね?
昔どこに映画館があったか、ということは結構わからないものですね。南4条の向こう側、私が小学生のときに行った記憶があるススキノの屋内スケート場のあたりに松竹があったという話を聞いたことがあります。
しかし、高校の頃あった映画館もほとんど無くなってしまいました。東宝日劇、東宝公楽、東映...。円山や琴似、北24条などにも映画館がありましたね。子供の頃、丸井だか三越の中の映画館にも行った気が...。それに札幌駅地下のテアトルポー。狸小路の松竹遊楽館は、むしろ地下の名画座・遊楽地下。高校の頃、一番行った映画館で、洋画はほとんどここで観ていた気がします。
私は、日活アクションも東映任侠映画も大映時代劇も遅れてきたファンですが、あの頃の映画は、毎週のように作られていたのに、スタジオシステムが確立していたためか、しっかりした作りで(駄作も多いでしょうが)、
限定されたジャンルの中にもかかわらず、それぞれの監督の個性も発揮されていて、わくわくするものがありました。
最近の映画にときめかなくなったのは、自分が年をとって感受性が衰えた、というか、変わったというだけではない気がします。
そういえば、さっぽろ芸術文化の館(元・厚生年金会館)の1階に9月、「北の映像ミュージアム」がオープンしました。北海道を舞台にしたり、北海道でロケした映画や、北海道ゆかりの映画人などに関連したものを展示してある資料館です。観られる映像作品もあるようで、あまり広くありませんが、今後充実させていく予定もあるようです。
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