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山の法律学著者の溝手康史弁護士が先日から「富士山弾丸登山」についてコメントされている、先生の発信されている内容と同様の山岳関係者は今のところいない。
いないどころか「有名登山家」や「山岳団体」などよくインターネットの煽り登山宣伝にでてくるガイドなども誰もなんにも発信しない。
自治体の捜索隊・レスキュー隊などのコメントもない。
それはたぶんに商業主義と相反するから職業的に批判されたり、干されたり関係者に睨まれたら嫌だからだろう、溝手先生とルポライターの羽田治氏は核心をつく論点の提唱が鋭く、いつも同感する。
特に溝手先生は「法律家としての冷静な目と判断で説明をしっかりしていただき、いつも勉強になる」特別反論するコメンテイターや論者や関係者もでてこないのは、本当のことだから反論できないし目立ちたくないのだろう。しかし「問題は根深い、正しく法律や社会の仕組みに基づいて説明できる関係者がいないことだ」「あらぬ方向にいかなければよいのだがといつも思う」
抜粋させていただくと・・・
2023年8月7日
富士山の登山規制
山梨県が富士山での登山規制を検討している。
これは事故の防止のための規制のようだ。
世界では、環境保護のための登山規制が多い。人気のある山域では、1日の入山者数を100人程度に制限する。これは自然の回復力の範囲で入山を認めるということだ。
それが世界のスタンダードだ。
しかし、日本では、環境保護のためではなく、事故防止のために登山を制限する。これは東アジア的な発想だ。
欧米で、事故防止のための登山規制をしないのは、危険かどうかを国家(自治体)が判断することの危うさを重視するからだ。危険かどうかは人によって異なる。未熟者の富士山登山は危険だが、熟練者はそうではない。国家が、熟練者かどうかを判断するには、個人のプライバシーに介入しなければならず、「危険」なことだ。個人の体力だけでなく、考え方、心理面まで介入することになる。例えば、パニックになりやすい人、考え方の幼稚な人、気分をコントロールできない人は危険である。5合目で体力テストをしなければ、個人の体力はわからない。
欧米では、役所は登山届を受け取らない。登山届は、家族、友人、山岳団体などに提出する。遭難した場合に、家族、友人、山岳団体から警察に通報するためだ。それがあって初めて警察などの役所が関与する。事故が起きるまでは、役所は登山に関与しない。登山は個人の私的な領域だからだ。
日本でも、登山届を受け取った役所は登山届の内容をチェックするわけではない。登山届は箱の中で眠っており、それで国民は安心するのかもしれないが、安心=安全ではない。
多すぎる登山者を5合目で待機させるか、8合目で待機させるかは、50歩100歩のバカげた議論だ。
登山規制をどうするかは、政治家、役所、山小屋、旅行業者が考えるのではなく、登山や環境保護の専門家の審査会などで検討すべきだ。
2023年8月5日
富士山の弾丸登山
富士山で日帰りの弾丸登山が問題視されている。
弾丸登山だから事故を起こしやすいのではない。
トレイルランナーはすべて弾丸登山者だ。
未熟者の登山や、安易な観光登山が問題なのだ。
数字でいえば、事故者のほとんどは山小屋の宿泊者だろう。
高所滞在時間が長い山小屋宿泊者の方が、高度障害が出やすい。
弾丸登山者は、高所滞在時間が短いので高度障害になりにくい。
未熟な登山者が事故を起こしやすいのであって、弾丸登山かどうかは関係がない。
メデイアはもっぱら弾丸登山を叩く世論を煽ろうとしているが、これは弾丸登山が経済的利益をもたらさないからだろう。
山小屋や旅行会社から見れば、経済的利益をもたらさない弾丸登山者を禁止したくなるのは、自然なことだが、弾丸登山の禁止は不可能だ。これをすればトレランを禁止することになる。弾丸登山を禁止しても事故は減らない。富士山の遭難者の大半は、小屋泊まりの未熟な登山者だからだ。
未熟かどうかを判断できないので、欧米では、「未熟者の登山禁止」をすることはない。
しかし、日本では、法的効力のない「禁止」を持ち出すことで「未熟者の登山禁止」を喧伝する。法的に見ればこれは、あまりにも「幼稚」な手法だ。法治国家として恥ずかしい。
他方、登山者数の規制は可能だ。それが世界のスタンダードだ。アメリカの富士山ことMt.ホイットニーでは、1日の登山者数を100人程度に制限している。スイスの槍ヶ岳ことマッターホルンも同様だ。
これは環境保護のための規制であって、事故防止のためではない。事故防止のために未熟者の登山を禁止するという発想は欧米にはない。事故防止のために登山を制限するのは、日本や韓国などの東アジア的な発想だ。
日本では、混雑を防止するために富士山登山の制限をする必要がある。それほど富士山は混雑しているのだ。そこに至るまで富士山登山を放置していたこと自体が異常だ。
2023年7月4日
富士山で体調不調者が続出
富士山に登山者が殺到している。
登山者数を制限するのが欧米では当たり前だが、日本は経済優先の国。役所は、山小屋や観光業者の利益を損なうことはしない。政治家に政治献金が渡っている。
富士山では環境対策として登山協力金を集めるが、これは環境保全につながらない。これは行政の資金不足を補うだけだ。役所へののカンパ(協力金)はあってもよいが、役所はもっと本気で環境保全を考えるべきだ。
富士山では山小屋の開業期間以外の登山を禁止し(強制力はない)、冬山登山での事故を世論が叩くが、事故や遭難が多いのは、山小屋の開業期間中の登山だ。富士山では山小屋、診療所、救助を当てにして登る登山者が多い。
自由放任すれば、富士山に登山者や観光客が殺到するのは当たり前。
富士山を登りやすくし、入山制限をしければ、大量の初心者や観光客が富士山に押し寄せる。
自然の回復力を超える自然の利用を制限するのが、環境保護のセオリーだ。世界では、入山者を制限するのがスタンダードだ。
富士山の登山者数を制限しない限り、問題を解決できない。
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