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2009年の「山岳事故統計」の分析のお話だからかれこれ14年前の話だ、平成(1989年)に入ってから登山の世界では、深田久弥の百名山による第2次登山ブームが起こり、有名な山では登山者の長い行列が続いた。
その後も、NHKの百名山シリーズが放映されると、さらに拍車をかけて第3次登山ブームが到来した。この間、登山人口は850万人あたりを推移するが、2000年にピークの930万人を記録した後、一気に減少に転じた。現在は500万人台にまで減少している。一方、山岳遭難事故者数は右肩上がりで増加し続け、現在は年間1933人にまで達している。
2021年にはさらに3075人と160%にまで増加した、登山者総数は「レジャー白書」では2022年でさらに減り440万人とされている。問題点は「登山者減少なのに遭難事故者増加のなぞ」という点だ。この点を関西大学の青山千彰教授が提言されてから14年が経過したが、さらに拍車がかかっている。
2023年、山岳遭難事故について提言を続ける「羽根田治」氏が取材で現場のレスキュー隊の話として今年は「遭難」ではなく「下山介助」の発生件数がさらに増えて「下山後は病院にも行かず、帰宅する遭難者がいるという」。つまり遭難がふえたのではなくて「通報件数が増えているのではないか?ということだ。
青山教授はこうしたことの原因は「安易な救助要請が携帯電話の普及により、増えたのではないかと指摘している」が「突然死も増えていて安易な救助要請と呼べるか否かについても提言している」分析をされた14年前よりさらに遭難者が60%も増えていることだ。
「アナログ携帯から受信能力の高いスマホへの進歩、イーロンマスクの低軌道衛星の社会実験として2023年は山小屋で社会実験もスタートしたなど「小屋がらみでスマホの圏外が減ってきていること」もあるのではないかと考える。
1番の問題点はおおくの山岳関係者が2000年、23年前からどんどん「登山者が減り始めて半減しているにもかかわらず、いまだに登山ブームだとか、コロナ後で登山者が増えたからとどこにも正式な計測や統計などないのに、平気で呆れる分析をすることだ」唯一計測している尾瀬はいったんコロナを境に半減した。
尾瀬林業の「温泉小屋」は撤退した。先日、秋田の温泉施設が2つ閉鎖した。関西の小処温泉も閉鎖した。特に自治体関係者でもそういうコメントを報道で「登山者は増えている」としているので呆れるばかりだ、どこにもそういう事実はなく個人的感覚でしかない。
今年は6-9月の晴天率が高く猛暑となり遭難が増加したが、前述の「下山介助も増えた」長野県では12月現在、重大な遭難の「死亡・行方不明」は前年マイナス1名であり、一時は過去最高遭難と騒いだが落ち着いてきて重大な遭難事故はまったく増えていない。ここ5-6年では3-4番目になる「死亡・行方不明者数」で推移していて決して重大な遭難は最高記録ではない。
ここ数年、アウトドアブームとなり首都圏・東海ではキャンプブームだったが、2023年の今年はもう「飽きた、疲れた」ということで下火になってきているそうだ、そういう報道が先日あった。
さて、下山介助は捜索隊は内容にかかわらず出動するので大変なことだ。2025年には団塊世代が全員75歳以上になる。ここ2-3年、遭難件数の50%前後で団塊と第二団塊が拮抗しているが山菜・茸遭難を引くと世代交代している。総務省の人口動態統計ではすでに第二団塊世代の人口が1番おおくなっているのはご承知の通りだ。
関係者の統計や事実に基づいた分析と対策を望むばかりだが、業界には人材がいない「たかいところが好きな山猿」ばかりでお手上げだが期待したいところだ、この方面の話はこれで筆を置きたい。
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