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レンズ交換式カメラをご使用の方ならご存じのことですが、カメラとレンズは「マウント」と呼ばれる各カメラメーカー独自の仕組みで結合され、キヤノンのレンズをニコンのカメラに装着したり、ニコンのレンズをソニーのカメラに装着することはできません。(もちろん「マイクロフォーサーズ」という共通規格もありますし、マウントアダプターという「力技」も存在するわけですが)
私が使用しているPENTAX K-70というカメラは、KAF2マウントという規格なのですが、これはフィルムカメラ時代の1975(昭和50)年に開発された「Kマウント」がベースになっています。
それまでペンタックスは、旧東ドイツで開発された「M42マウント」を採用していたのですが、このマウントは特許による縛りがなく工作が簡単なことから世界中のカメラメーカーが採用し、同マウント採用の別メーカーのカメラとレンズの組み合わせが可能な「ユニバーサルマウント」ともいうべき存在でした。
しかし、M42マウントはねじ込み式故着脱に手間がかかる、レンズとカメラの情報伝達がやりにくい等の欠点があったため、ペンタックスは社運を賭して新たなKマウントを開発したわけですが、M42マウントに代わるユニバーサルマウントを目指し、仕様を公開して他社がKマウントのカメラを製造販売しても構わないとしたのです。
その代表ともいうべき存在がリコーで、チノンやコシナなどもKマウントのカメラを出しました。(残念ながら、M42マウントの本家で、カールツァイスイエナのレンズで有名なペンタコン人民公社は独自のバヨネットマウントを採用するのですが)
そのようなKマウントですが、時代の波がマルチモード化へ向かう中、1983(昭和58)年、ペンタックスはKマウントに6つの電気接点を追加してマルチモードに適するものにした「KAマウント」を開発しました。
ところが、何とペンタックスはこのKAマウントを他社に非公開としてしまったのです。
ですから、梯子を外された形となったリコーはマルチモード機を作ろうにもKAマウントが使えず、翌年、KAマウントとは別の箇所に1つの電気接点を設けた「RKマウント」によるマルチモード機を販売することになりました。
したがって、KAマウントのカメラにRKマウントのレンズを装着したり、その逆のパターン自体はできるものの、そのような状態ではマルチモードによる撮影は不可能というユニバーサルマウントを目指したはずのKマウントにとって悲劇的な事態になってしまったのです。
KAマウント開発に膨大な資金やエネルギーを要したことは想像に難くありませんが、KAマウントの壟断は、折角育て上げたKマウントを自ら毀損する「悪手」だったと思えるのですが…。
そんなペンタックスも、すったもんだの末に、因縁の(?)リコーに売却される羽目になったのは歴史の皮肉と言うのは些かオーバーでしょうか?
写真は1月23日付の日記で紹介したトキナー AT-X マクロ90mm F2.5ですが、接合部の写真をご覧いただけば、KAマウントに対応する6つの接点から少し離れたところに1つの接点があり、これがRKマウント用の接点なのです。
当時のシグマやトキナーなどのレンズメーカー(「サードパーティ」というのが今風?…笑)は、このような涙ぐましい(?)努力をしてまで、一本でペンタックスとリコーの両方に対応できるKマウントレンズを製作していたのです。(タムロンは2種類のアダプトールを用意)
ところが、今はシグマは既にKマウントレンズの製造から撤退し、他のレンズメーカーも碌にKマウントレンズを製造してくれず、Kマウントはユニバーサルマウントどころか、最もレンズの選択肢が少ないと言っても過言ではないものとなってしまいました。
尤も、私のごとき旧来のレンズを数多く所有しているユーザーにとってはありがたい存在であることも事実なのですが…(笑)。
やはり、レンズ交換式カメラは豊富な交換レンズがあってこそですよね…。
私は、手持ちのレンズを活かしたかったのでK-70にしたのですが、新たなレンズが出ない状態では、私のごとき旧来からのユーザーを繋ぎ止めることはできても、はたして新規のユーザーを獲得できるのか心配になってきますね…。
Kマウントユーザーではありませんが、Kマウントオールドレンズを所有しています
今はマウントアダプターがあるのでMFにはなりますが
他社マウントでも楽しめますね
最近はヘリコイド機能!?のAFアダプターまで出てますので
最近はNikonZマウントでAF撮影したりしてます
まだいいですぉ〜・・・Kマウントは
Fマウントは更に複雑ですもん
「不滅のFマウント」と言われてましたが、時流には逆らえずマウント変更してますしね
そうですね。まだKマウントは、MFレンズでもKAマウント応対のものなら、デジカメでもAF以外の機能が働きますから、まだマシかもしれませんね…。
「不滅のFマウント」の互換性が失われ、使えなくなっていくのは、ニコンユーザーならずとも寂しい限りです。
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