某山(ある程度、テクニカルな要素がある山)の登山記録で、ある方が
「足がすくむような危険箇所はないように思います」
と表現されていました。
これを見たと思われる方が、後日ほぼ同じルートを歩いたようで、活動記録には、「情報で『足がすくむような場所はない』の言葉を信じ、安易に参加してしまったのが間違いでした。(中略)人の感覚って、ホントそれぞれですね」
と振り返っていらっしゃいました。
こういうのを見ると、特に危険箇所の表現やその受け取り方には気を付けなければならないと思いました。
もちろん、情報を受け取る側として、そのリテラシーが問われていますね。もともと日記も記録も、大部分が主観的なものです。(例えば、登山道上の倒木の存在は慣れていれば日常的なものと考えており特に記載はしないでしょうが、人によっては通行する上でかなり危険な障害物となる)。それゆえ、その内容を盲信せず、記述者の力量や活動傾向を適切に読み取り、疑いながら、客観的な情報を読み取っていく力は、web上の情報が氾濫していく中で今後ますます必要となってくるでしょう。
一方で、記述する側としては、もともと主観的なものゆえ、活動記録に何をどう書こうが自由でしょう(もともと主観的なものを盲信する方が悪い)。
しかし、深田百名山やガイドブックに頻繁に名を連ねているようなメジャーな山ならともかく、マイナーな山になるほど、活動記録は限られ、事前の情報としてSNS上にある情報に依存する割合も大きくなるでしょう。「情報リテラシー」と繰り返しても、やはり初心者の方が盲信してしまうことは否定できないでしょう。それゆえ、記述する側としても、マイナーな山ほど、表現内容については、ある程度配慮すべきだと思いました。
かく言う私自身も登山経験を重ねるうちに、ヤマレコの記録に「特筆すべき危険箇所はない」の一言で済ますことが多くなったので、冒頭で述べた内容は、自分が投稿するうえでも参考になりました。
全ての情報は、必ず誰かの主観を経由しているということを、どれだけの人が理解しているのかは、ボクがいつも疑問に思っていることです。
テレビのニュースで流れる「街の声」を観て、みんなそう思ってるのかと思ってしまう危険さ。
せめて、同じニュースでも読売と朝日では見解が違うことが多い程度は一般常識だと思うのですが。
しかし、そうしたマスメディアとネット上の情報には大きな違いがありますよね。
ボクは簡単にいうと責任だと思います。
読売も朝日も、まず記者の考えがあり、社の見解と相違ないことを確認して出されていると思います。
その発言においては、社として責任を持つ。
しかし、SNSの場合は、あくまでも個人であって、どこまでの責任感を持って書いているかは人それぞれ。裏付けも甘い。
多くの人が参考にしている、某東北の有名サイトで山名を間違えているのを見ても明らか。
それに、個人の場合は、その人の性格にもよりますよね。
オレは全然大丈夫だったぜ!が言いたくて、危険箇所はなしと書いている人もいるかもしれません。
ガイドブックなどではそうならないでしょうね。多くの人が対象なので、なるべくレベルは落とすでしょうし。そしてそれを、ボクたちはレベルを落としているのだろうなと認識して参考にする。
結論を言うと、SNSに於いて情報を利用するのは、あくまでも自己責任。しかし、提供側は善意と責任の上で書くことが望ましい、というところでしょうか。
おそらく、tektektekさんも同じような感覚じゃないかと読めます。
SNSにおいて、情報提供側が善意と責任の上で書く。仰るとおりですね。特に登山情報は、他の情報と異なり、自然を相手にする点で、その行動が生命・身体の問題に直結します。
この点、登山ガイドは出筆者を明示し、査読・検証を経ると思われ、内容の信頼度はあるけど、どうしても鮮度が落ちます。特に紅葉や花なんかは、SNS情報からピンポイントで「旬」に訪問できますからね。それゆえ、登山についても情報収集を登山SNSで済ますのが時代の流れなんでしょうね。
それでも、メジャーな山は、SNS情報が溢れているので、危険箇所なんかも把握がしやすいけど、マイナーな山であればあるほど、1つのレポに対する依存度が高くなる。しかも、マイナーな山ほど登山経験が豊かな方が登る傾向がある(それゆえ、CTの平均も速くなる)ので、登山時に感じる体感と客観的な危険度にギャップが生じやすい。それゆえ、書き込む側の難しさがありますね。(「オレは全然大丈夫だったぜ」という確信犯もいますが・・・)
マイナーな山であればあるほど、「どうせ登る人なんていないだろう」と思うのではなく、「この山に登るときに、自分の記録を見る人が多いだろう」とまずは自覚すること、そのうえで初心者がみたらどうなのかを考えながら投稿するべきなんだと思います。
そうですね。
ボクはマイナーな山やルートが多いので、同好の士に向けて、なるべく詳しく書こうと思って書いてます。
ただ、そうすると今度は情報過多の問題が出てきますね。
それこそ、先日tektektekさんが書いていた、どこまで情報を集めるかの件ですね。
悩みつつも、情報が少ないルートならあった方が良いだろと思って書いてます。
こうやって考えると、情報の扱いって多角的で難しいですね。
ちなみに、もうネット上に情報が溢れているルートは書かなかったりします。
6月にぶらっと月山を八合目から登ってニッコウキスゲを見たりしてきましたが、まぁ、ボクが書かなくても良いレポやガイドが山ほどありますしね。
少数ですが、ボクのレポが好きだと言ってくれる人もいます。だから読みたいと。
そうなると、これは情報ではなく、読み物としての側面が大きくなります。
いやぁ、同じSNSに載ってるレポでも、いろんな側面、捉え方がありますね。
話が逸れました(笑)
kozouさんが歩くルートは、基本的にバリルートですからね。それに内容も誠実かつ詳しいおかげで私もそうですし、皆さん助けられていると思いますよ。
情報過多の問題は、むしろ読み手の利用に任される話で、自分の山行・情報収集スタイルに合わせて、参考にする範囲で参考見ればよいわけです。書き手側はその個性に任せて書けばいいと思います。特にバリなルートほど、それを見るのは経験者なわけで、初心者と異なって、強くリテラシーが求められる部分ではないかと思います。
ところで、kozouさんのレポは、もはや読み物ですよ(笑)
牛形―金明水小屋の藪漕ぎレポなんて、自分が歩くつもりはなくても夢中で読みましたからね。
黒森周回のあわや・・・のレポとかも然り。「自分」をさらけ出したレポという感じでしょうか。だからこそ、山行スタイルの違いにもかかわらずファンも多いのでしょうね。モーメントなんかも問題提起が面白いですし。
それと比べると、私は、web上あまり自分を出すことを忌避している面もあって、レポがガイド的で、ある意味つまらないと自分でも自覚しています。そういう意味では、kozouさんのレポとは対局をなしていると思います。
でも、SNSは、様々な視点からの投稿があるから面白いんですよね。
私はある程度山を歩き慣れた頃から、バリエーション開拓をする様になりました。
当然、登山ブログやSNSを参考に計画を立てるのですが...
メジャールートの様に容易く無いからバリエーションクラスに分類されているのであろうし、風変わりなルートを歩く登山者は確率的には初心者は少ないであろう事は想像に難くない!
そんな点からも、少数のSNSやブログの情報で予備知識を得るのではなく、探せる限りかなり複数のSNSやブログの投稿を参考にして計画を立てます。
「危険箇所無し」「容易い」の一言も、その人のレベルと自分のレベルの差がわからない限りは、ルートの写真なども何枚も探して、自分にとって容易いのか?危険っぽく無いのか?吟味して登っています。
山行レポートはなるべく万人に向けて標準的に客観的になるように書きたいとは思うのですが....
現状の自分自身のスタンダードが、世の中大多数の老若男女達のスタンダードとどの程度のズレが存在しているのか???
それによっては、なかなか読み手が受け取るイメージと発信者の体験しているイメージがなかなかドンピシャとはなってくれないのかな?っと思います。
「薔薇は素敵な植物」という情報についても以下の情報のうち、
◆花が可憐で美しい
◆素敵な香り
◆棘があって危ない
◆アブラムシが付きやすく気持ち悪い
薔薇好き発信者は、薔薇の良い面については無意識的にもついつい積極的にアピールしがちになりそうですが、薔薇の嫌な面、例えば棘とかは“気を付けてトゲを避けて普通に持てば良いだけじゃん”っとなれば、その情報については無意識に端折られる可能性があるでしょう。
そういった意味でも、ガイドブックなど万人に向けて発信されている公式の情報は深読み精査しなくても誤りが少ないでしょうし、誤りが生じない様に発信しなければならない責任的なものがあると思います。
しかし、マイナールート、バリエーションなど非公式のものは、あくまで個人の見解に過ぎず、複数人の精査検閲を受けてからの発信ではないので、自ずと発信者の中の標準を基準に発信されるでしょう。
山行は基本的には自己責任の行動なので、メジャールート主体の山行から一歩足を進めたい登山者は、満遍なく複数の情報源を取り寄せ比較検討して、自分と体力や経験値に見合った計画を立てなければいけないと思います。
因みに私は....
手取り足取りメチャ詳しいバリエーションルートレコをアップロードしたら....
「初心者が行ける気になって何か事が起こったらどうするんだ?無責任だから消せ!」っとお叱りを受けた事があります。
因みに私が書いた内容は、
“このルートは落ち葉で道が隠されてる上に滑って登り難いので、夏場でもチェーンスパイクを準備しておくと役に立つ可能性が高い事”と、“荷物が増える余力があれば、ゴルジュハンマーと小型の熊手を準備しておくと山行が更に楽になる”でしたが...
これらを準備したら登れるんじゃないか?っと初心者が勘違いするとの事でした。
しつこくお叱りを頂く事もあるので、なかなか大変でした。
( ̄(エ) ̄)ノ_彡☆バンバン!
yeskumakumaさんが仰るとおり、メジャールートの様に容易く無いからバリエーションクラスに分類されているのであろうし、風変わりなルートを歩く登山者は確率的には初心者は少ないであろう事は想像に難くない!
それゆえ、この問題は、地図やガイドに登山道があるルートといわゆるバリエーションルートとは異なるのではないかと思います。
バリエーションルートを選んで歩こうとしている以上、読み手にはリテラシーが求められるのであって、だからこそ、yeskumakumaさんのように、1つの情報を盲信せず、複数のSNSなど、可能な限り客観性を追求して登られているわけですし、それなりの経験者である以上、そうあるべきなんだと思います。
それゆえ、yeskumakumaさんが、お叱りを受けた内容は、そのルートを通る人にとっては大変参考になる内容だと思いますし、その表現に対して、お叱りを受けるのは、全くの的外れではないかと思います。そういう意味では、yeskumakumaさんとしては、気の毒としか言いようがありません。その叱った方の論理を突き詰めると、初心者が入るべきでないルートは「投稿するな」ということになってしまい、情報交流を阻害しかねませんよね。
一方、東北地方などは、山と高原地図やヤマレコ、ガイドに「登山道」がありながら、実際に歩くと藪化しているなど難易度が高いルートがかなりあります。そのようなルートについて、SNS上では、「難易度が高い」と表現されている場合もあれば、「危険箇所はない」とか「噂ほどではない」とか、普通より異様にCTが短いなどと記載内容が様々だし、かつレポの数も少ない。それゆえ、初心者からみると、その「ルート」の難易度を適切に判断できない場合が生じるわけです。それゆえ、その山の直近のレポだけを参照して、「大丈夫だろう」と判断して、私が日記の冒頭であげたような「行ってみたらとんでもなかった」なんてことが起こりうると思います。
そういうことから、ある程度山登りを経験した者の責任として、私も、yeskumakumaさんがたとえられたような、薔薇の美しさと棘を自覚した表現ができれば、と考えております。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する