|
|
|
では、お山で出会った草花で、「小さきものはみなうつくし」と感じさせる花はと聞かれたとしたら、私はその第１にハナネコノメを挙げたい。
春の芽吹きを感じるころ、光踊る清流で、丸みを帯びた白い萼裂片から暗褐色の葯が顔を出した５�个曚匹梁腓�さの花は、なんとも愛らしい。
花の出会いには、皆それぞれの物語があるものだ。私のハナネコノメとの出会いは、八菅山修験の峰入りの道の面影を求めて東丹沢の山々を歩いていたことが、きっかけであった。
寒さも緩んできた早春3月、広沢寺から大釜大弁才天（八菅修験24番の行場・金色嶽）を経て弁天御髪尾根を登ってみようかと、ヤマレコの山行記録に当たっていると、不動尻（22番聖天嶽）の三椏（みつまた）の投稿が多いのが目を引いた。その上ハナネコノメという名の花にも会えるという。
急遽、不動尻から大山三峰山に登ってみることにする。この大山三峰山は、行場としては、18番阿弥陀嶽（北峰）、19番妙法嶽（主峰）20番大日嶽（南峰）にあたる。山歩きは、三椏が今は盛りと咲き誇り、その見事さを大いに堪能したが、ハナネコノメの方は、沢筋に咲く小さな白い花といった程度の知識ではなかなか見つからず、ひと群れ見つけるのが精いっぱいであった。
そこで、再チャレンジとばかりに１週間後、煤が谷から物見峠経由で大山三峰山に登り、再び不動尻を訪れ、谷太郎林道へと周回した。今度は、生育環境への理解が進んだこともあって、あちこち沢筋で花を楽しむことができたが、ただ写真に撮ってみると何だか物足りない。翌年には接写機能付きのカメラを購入して出かけるという熱の入れようとなった。
「みつまたの花咲きにほふ岩陰にハナネコノメひかる不動尻の春」
以来、春の息吹を存分に感じることのできる不動尻の花散歩は、欠かせない行事となった。
高尾山も、ハナネコノメソウの花が見られることで、多くの人を楽しませている。
ある年、私も山の神と連れ立って木下沢（こげさわ）の梅園の梅見を兼ねて出かけた。しかし、日陰沢は前年の大雨で少し荒れた雰囲気で、花が咲いている気配がない。山頂から今度は蛇滝の方に下り、前年見かけた場所まで来てようやくひと群れのハナネコノメに巡り合えることができた。
「ハナネコノメ今年も同じ沢の辺に健気に咲けり風雨に耐えて」
ところで、愛知や岐阜の山では、黄色い色のキバナネコノメやコガネネコノメ、トウノウネコノメに出会うことができる。これらの花の観察には、長靴持参で沢筋をバシャバシャ歩いていくと、思わぬほど大きな群落に出会うことができる。ただ、なかなか花の同定はむつかしく、キバナネコノメにはお目にかかったことがない気がしてならない。
また、鈴鹿南部の山では、ハナネコノメ、キバナハナネコノメの母種といわれ、少し小ぶりのシロバナネコノメソウが生育している。この花は、幸い入道ヶ岳井戸谷で出会うことができた。
「岩ばしる垂水の水のひかり踊りしぶきに揺れるシロバナネコノメ」
ハナネコノメとその仲間たちは、色々あって皆うつくしい。
写真�｜安堯ι堝或�のハナネコノメ
写真��愛知・天狗棚のトウノウネコノメ
写真�Ｎ觴�・入道ケ岳のシロバナネコノメ
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する