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「留山の面影とどむ道たどり木霊岩根と森を語らふ」
シャクナゲで有名な吉野川流域の帰全山公園をめざして、高知の嶺北地方を巡るドライブに出かける。寒風山トンネルから高知県にはいり、帰全山公園に着くと、吉野川越しに姿の美しい白髪山が遠望でき、急に登りたくなってしまった。
大原富枝文学館や四国の水
「あかがねの深山に眠る鉄路跡たどりつ思ふ近代化の夢」
宵の明星が夜空に輝きを増すころ、市内を流れる国領川の橋を渡りながら、ふと屏風のように屹立する赤石山系の山並みを見やると、中腹に電気の明かりが煌めくのが見える。それは、標高750mにある東平（とうなる）の銅山の里自然の家の灯りだった。
「新緑の別子の山は鎮もりて鉱夫の御霊に会ふ心地せり」
新居浜は、別子銅山とともに発展した町である。元禄4年(1691)に開坑した銅山は、昭和48年（1973）3月に283年にわたる歴史を閉じて久しいのだが、市民は今なお銅を産出した峰に畏敬の念と愛着があるようだ。
私は、銅山峰という言
「石楠花の薄紅（うすくれなゐ）の花びらの緑に照りて夏の始まる」
笹ヶ峰という地名は、私にとって特別の愛着があった。大学生の時初めて山スキーの合宿をしたのが、新潟県の妙高高原の笹ヶ峰だったからだ。
四国の笹ヶ峰（1860ｍ）は、どんな山なのだろうか。新居浜に引っ越してきてふた月ほど
「瑞雪(ずいせつ)の山の端の空染め上げて赤星山に陽の昇り来る」
新居浜の東のはずれの海辺近くに住み始めて、毎日山並みを仰いで暮らすことになった。それは、名古屋生まれの私にとって、初めての経験であり、極めて新鮮だった。
海辺まで散歩すると、東の方に一段と端正な姿の山が見える。調べてみ
「コメツツジ赤く色づく笹原を秋日浴びつつ友と分け行く」
「友と登る山路黄色く色づきて風澄みわたり光舞ひ散る」
南国土佐のイメージとは程遠いので驚きなのだが、江戸時代に土佐藩の御留山であった手箱山（1802m）の山中に氷室があった。氷室のための番所も設けられ、夏には殿様に冷たい氷を届
「精気満つぶなの尾根道まなこ閉じ木霊（こだま）の幹にひとり身を寄す」
山はそれぞれ、色々な魅力を持っている。夕日や朝日が楽しめる山、めずらしい花が咲く山、紅葉が美しい山、笹原の山、海が見晴るかせる山、遠く名山に会える山、数え上げればきりがない。
その中には、巨木に会いにでかける山もあ
「下（くだ）り来てまた語らひける峠道風ここちよき秋の午後なり」
頂や峠で遠くの山々を眺めていると、居合わせた人とあいさつを交わしたわけではないのに、どちらからともなく語らい始めることがある。これも、ひとりぼっち登山だから味わえる山の楽しみといっていいだろう。
20年ほど前に登った伊予
別子の山々は今でこそ緑の森が広がっているが、別子銅山が江戸時代の元禄期に開坑されると山の緑は次第に失われてしまった。何しろ掘り出された銅鉱石は、山中で大量の木材を使用して粗銅に仕上げられていたのである。
銅山川源流部の別子山中七番に銅山事業を支える森林造成のための苗木栽培所が置かれたのは、明治
キレンゲショウマ（黄蓮華升麻）が剣山の夏を彩る花として広く知られるようになったのは、宮尾登美子の小説「天涯の花」（1996年〜97年新聞連載）によってである。主人公の珠子は、剣山の見ノ越にある「剣神社」の宮司の家に養子にもらわれた天涯孤独の少女、小説の舞台は天涯地角の秘境であった剣山。もちろん、天
「岩稜は乳白色につつまれて松虫草の色さやかなり」
東赤石山は、赤茶けた橄欖（かんらん）岩のアルペン的景観が魅力の山である。地質についてはからきし門外漢の私は全く知らなかったが、この山域は世界的にも有名な研究フィールドなのだそうだ。その特徴的な岩質から、標高1706mながら岩稜にクロベやゴヨウ
四国霊場八十八か所の第60番札所「横峰寺」は、66番札所の雲辺寺に次いで高く、巡礼者にとって遍路ころがしの難所である。（注� 法�
横峰寺の山号は、石鈇山（いしづちざん）である。その奥の院の星ヶ森は、標高745mの横峰寺の境内から更に0.5kmほど上がった峠にある。石鎚山の西の遥拝
伊予西条の町は水都というにふさわしい。打ち抜き水といって、パイプを地面から15ｍから30ｍほど打ち込めば、市内の至る所で清冽な水が湧き出るのだ。この豊かな水を生み出すのは加茂川水系にある石鎚山、瓶が森、東黒森、伊予富士、寒風山、笹ヶ峰の山々である。その稜線を走るのが昭和40年代に整備された瓶ガ森林
四国の山の名前には、瓶ガ森や明神ガ森のように語尾が「森」という場合が少なくない。四国百名山には実に13座も入っている。森という響きがなんとも奥ゆかしく、好ましい印象を与える。
そのうち最も高い山が、石鎚山の西にある二ノ森（1929m）である。それを知っただけで、ぜひ登りたい山となった。
だ
新居浜の最初の印象は、赤石山系の圧倒的な存在感である。銅山峰、西赤石山、東赤石山、二ツ岳と続く1600ｍ級の赤石山系は、海岸から数キロほどの平野部から一気にそびえるように立ち上がり、あなじ風が吹く冬には、峰々が白く輝く。また、春には、時に猛烈なやまじ風が吹き下ろして大きな被害をもたらすこともある。
愛媛の新居浜に5年ほど暮らした私は、二の森、瓶が森、笹ヶ峰、西赤石岳、平家平など色々な山の頂から石鎚山の雄姿を探したものだ。
その石鎚山には、新緑の山、紅葉の山、残雪の山と、3度登った。
最初は新緑の6月。成就社から試しの鎖（77m）、一の鎖（33m）、二の鎖（65m）、三の鎖（68m）と
日記
カテゴリー「短歌でつづる四国の山」の日記リスト
全体に公開
2021年 05月 21日 11:41短歌でつづる四国の山
白髪山 〜根下りの檜は語る〜
2021年 05月 14日 13:41短歌でつづる四国の山
銅山峰 その２ 上部鉄道跡をたどる
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2021年 04月 30日 18:56短歌でつづる四国の山
銅山峰その１ 〜旧別子の大山積神社跡と蘭塔場〜
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2021年 03月 16日 15:56短歌でつづる四国の山
笹ヶ峰 〜山の名前にひかれて〜
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2021年 03月 09日 15:54短歌でつづる四国の山
赤星山 〜朝夕に仰ぎ見る山〜
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2021年 03月 02日 10:14短歌でつづる四国の山
錦秋の筒上山・手箱山 〜南国土佐に氷室があった〜
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2021年 02月 19日 10:24短歌でつづる四国の山
大座礼山 〜ブナの巨木に会いたくて〜
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2021年 02月 09日 10:06短歌でつづる四国の山
伊予富士 〜山で語らう楽しさ〜
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2021年 01月 29日 18:04短歌でつづる四国の山
秋の平家平、冠山 〜別子山中七番から周回〜
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2021年 01月 15日 12:03短歌でつづる四国の山
剣山 幻のキレンゲショウマ
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2021年 01月 05日 15:26短歌でつづる四国の山
岩稜の東赤石山 〜岩石の知識あらば、なお楽しからずやの巻〜
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2020年 12月 23日 20:37短歌でつづる四国の山
石鎚山遥拝 横峰寺・星が森 石鎚展望その３
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2020年 12月 09日 18:10短歌でつづる四国の山
追憶の瓶ガ森 石鎚展望その２
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2020年 11月 27日 11:26短歌でつづる四国の山
新緑の堂ガ森・二ノ森 〜石鎚展望その１〜
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2020年 11月 15日 07:58短歌でつづる四国の山
アケボノツツジ咲く西赤石山、二ツ岳
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2020年 11月 01日 12:17短歌でつづる四国の山
石鎚山 〜四季を楽しむ〜
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