石鎚山　～四季を楽しむ～

2020年11月01日 12:17短歌でつづる四国の山全体に公開

　愛媛の新居浜に5年ほど暮らした私は、二の森、瓶が森、笹ヶ峰、西赤石岳、平家平など色々な山の頂から石鎚山の雄姿を探したものだ。
　その石鎚山には、新緑の山、紅葉の山、残雪の山と、４度登った。
　最初は新緑の6月。成就社から試しの鎖（77m）、一の鎖（33m）、二の鎖（65m）、三の鎖（68m）と完登して頂上を往復した。鎖は大きな輪っかに登山靴をかけながら登る。夜明け峠からの堂々とした山容が印象的だった。峠には石仏があったが、石鎚三十三王子社の一つであることは、後になって知った。石鎚講中の登拝者は、「お山は三十六王子、ナンマイダンボ」と唱えながら登るのだそうだ。　　　
　2度目の紅葉の時は、寒風峠から紅葉も盛りの瓶ヶ森林道を車で土小屋まで行き、天狗岳の頂まで登った。このルートが、石鎚山の最短ルートである。竣工なった新しい頂上社（奥宮）のお社は、登拝姿の一団でにぎわっていた。10月下旬ともなると、天狗岳の秋も終わりに近い。
　最も心に残っているのは、2003年4月13日の山行だ。この年は、16年ぶりの大雪に見舞われた年だった。用心にピッケルを持って出かけたが、案の定4月とはいえ前社が森あたりからは登山道が雪に覆われていた。二の鎖元までくると、鳥居は半分ほど雪の中だったから半端でない。頂上直下の三の鎖の迂回路の北斜面は、アイスバーン状態で足元がおぼつかない。ピッケルのブレードで足場を作ったりしたが、アイゼンを持ってこないのが悔やまれた。
　弥山の頂上に着くと、青空の下、修験装束の信者がひとりほら貝を吹き、印を結び、熱心に祈りをささげていた。毎月のように通っているのだという。こちらも、話を聞いていて神聖な心持になる。
　　「残雪の修験の山にのぼりきて世の泰平を天に祈らむ」
　下りは、夜明け峠まで下りて、天柱石（御塔石）を経由し、刀掛から西之川まで歩いた。
　　「黙々と谷下りきて仰天す天柱石の空を切り裂く」
　石鎚は、山深い。標高差1,500mの下りは、足に堪えた。
　最後に登ったのは、新居浜生活5年目の10月。この時はお山の紅葉の進み具合を見ながら慎重に登る日を決めた。
　おかげで、まさに錦秋の石鎚を楽しんだのだが、残念ながらパソコントラブルで記録も写真も失われてしまった。ただ、歌に写真を添えて絵葉書風に仕立てたはがきが、残っているだけである。
　「山霧を染めいづるほどくれなゐに石鎚の峰くれなゐなり」
　「石鎚は満山紅に色づきてわたりくる風秋色ふかし」

【参考資料】
「伊予　石鎚三十六王子社散歩そのⅠ；序」
http://yoyochichi.sakura.ne.jp/yochiyochi/2016/12/post-351.html
「石鎚三十六王子社巡り　（その3）
西之川道王子社　第二十一王子社～第三十四王子社まで」
http://entotsuyama.hobby-web.net/ishiduchi-24ohjisha3.html

【山行記録】
①2002.6.1　
　9:26石鎚山遥拝所　10:33試の鎖場　10:56前社が森付近　11:18二の鎖場　11:45石鎚山山頂　12:44天狗岳山頂　13:33石鎚山山頂
②2002.10.24
　10:20寒風山トンネル出口　　瓶ヶ森林道（車）　土小屋　11:57土小屋上部看板　東稜分岐　　13:19　二の鎖上部　13:46石鎚山（弥山）山頂、14:10頃天狗岳　14:42弥山
③2003.4.13
　9:34成就社　10:41夜明峠　　1039前社が森　10:57一の鎖手前　11:09　二の鎖付近　11:43頂上（弥山）　13:35天柱石（二十七王子社　二十五王子社）　14:37刀掛（二十三王子社）　

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