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新居浜は、別子銅山とともに発展した町である。元禄4年(1691)に開坑した銅山は、昭和48年（1973）3月に283年にわたる歴史を閉じて久しいのだが、市民は今なお銅を産出した峰に畏敬の念と愛着があるようだ。
私は、銅山峰という言い方にそれを強く感じる。地形的には銅山越というのが正確なのかもしれないが、峠（1294m）近くの高所に開かれ鉱山は、最後は地表下2000m、海面下1000ｍまで掘り進められたのだった。
閉山時の住友家１６代当主住友吉左衛門友成の残した歌に次のようなものがある。山に寄せる心情の真髄をよく伝えている歌だ。
「この銅山（やま）を神とし仰ぎ幾代かも堀つぎて来しことの畏（かし）こさ」
新居浜市民になるための手続きに市役所を訪れると、新しい市民のための文化講座の案内チラシがある。珍しい催しものもあるものだと参加してみた。受講生は十数人、市長の話もあって、新居浜の歴史と文化を知る良い機会だった。
当時、旧別子のある別子山村と新居浜市の合併の話があった。明治の最盛期には1万2千人もの人口を擁した別子山村は、住民の数わずか277人、中四国のもっとも人口の少ない村になっていたのだった。
旧別子の登山口のある日浦地区は、明治44年に完成した日浦通洞によって第三通洞とつながり、4�劼盖擇崔浪璽肇鵐優襪燃ぢΔ良弦�730mの東平と結ばれた。そこを通るかご電車は、住民の足としても活用されたという。
講座受講ですっかり銅山の歴史に興味が湧いて、早速山根公園の別子銅山記念館に行き、旧別子の日浦から銅山遺構を巡りながら銅山峰まで往復した。翌年は、もう一度同じ日浦から銅山峰に登り、この時はアケボノツツジ咲く西赤石山まで足をのばした。
小足谷川に沿って歩いていくと、接待館跡、劇場・小学校の石垣が現れる。劇場は、18mの回り舞台を持つ本格的なもので、上方の歌舞伎役者の名演技に人々は酔いしれた。住友の私立の小学校の施設設備は、当時県下でも最先端なものだったという。
高橋のダイヤモンド水で一息入れて旧目出度町に入る。ここに、大山積神社跡があった。大山積神社は、元禄4年（1691）の開坑直後に、住友家が鎮護の神として瀬戸内の大三島にある大山祇神社の分霊を奉祠し、建立した神社である。明治26年(1893)に目出度町に遷座されるまでは、対岸の縁起の端と呼ばれる小高い岩峰の上にあった。大山積神社はその後、銅の採掘・精錬などの生産拠点の変遷とともに、大正4年（1915）には、山の北側の中腹に開けた東平に、昭和3年（1928）には麓の旧山根精練所の跡地に移され、銅山の安寧と繁栄の祈りの場となった。
この時、もう一つ印象深かったのは、小高い山（足谷山）の頂上にある蘭塔場である。蘭塔場とは、元禄7年(1694)の大火災によって犠牲になった132名を弔うための祠である。現在でも毎年お盆の時期に蘭塔場法会が関係者によって執り行われているという。
ここまで来れば、元禄年間に最初に発掘が開始された坑道の歓喜間歩も近い。更に、旧牛車道をたどれば、銅山越である。
いつの時代も、鉱夫たちは入出坑する際に坑口に奉られている御祭神を拝礼し、一日の安全を祈願していたという。
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（山行記録）西赤石山 2003年5月10日
日浦登山口から 10：31接待館跡 10:39学校・劇場跡 10:49ダイヤモンド水 11:12 大山積神社跡 11:20蘭塔場 11:30歓喜間符 歓東間符 11:44旧牛車道 12:14銅山越 13:19西赤石岳 14:37第1通洞南口 14:47東延斜坑跡 日浦登山口へ
（参考）「アケボノツツジ咲く西赤石山、二ツ岳」
https://www.yamareco.com/modules/diary/356744-detail-224129
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