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横峰寺の山号は、石鈇山（いしづちざん）である。その奥の院の星ヶ森は、標高745mの横峰寺の境内から更に0.5kmほど上がった峠にある。石鎚山の西の遥拝所として、寛保2年（1742年）建立の鉄製鳥居「かねの鳥居」が建ち、弘法大師を祀る石の祠がある。
東の遥拝所は、石鎚山の7合目にあった石鈇山蔵王権現（前神寺）で、江戸時代の多くの巡拝者は、横峰寺から星が森、虎杖（いだずり）を経て7合目の前神寺に回った。なにしろ江戸時代には石鎚山頂への登拝は6月1日から3日の三日間しか許されていなかったのである。
横峰寺には、湯浪からと虎杖（いだずり）からと2度登った。
最初の時は、JR四国の石鉄山駅近くの石鎚神社の隣にある前神寺に車で寄ってから湯浪に行き、ここから古道を歩いた。渓流沿いの道から杉の植林帯を一時間ほど歩くと、風格のある仁王門にでる。奉納された大きなわらじが目に留まった。お参りを済ませ、見晴らしのよいところを探すと、西条の町や燧灘に浮かぶ四阪島まで見渡せた。
ここから61番札所の香園寺へ下る道もあるようだが、元の道を引き返す。里まで下ると、柿がたわわに実っていた。
「暮れ急ぐお遍路の道たどり来（く）れば赤き柿の実われを照らせり」
2度目は、星が森から石鎚山を拝むため、黒瀬ダムの奥の河口（こうぐち）からさらに虎杖に向かい、そこから登った。この道は小松方面から石鎚山に至る古い登拝路である。しばらくして渓谷を離れモエ坂と呼ばれる坂を上っていく。石鎚山や瓶が森が見渡せるところまでのぼってくると、郷の集落跡は近い。六地蔵の前に「元千足山村字郷部落跡」の石柱があった。側面には「有る限り 語り伝えよ 郷の坂 昭和54年秋」とある。なるほど、隣り合う薬師堂の手入れがよく行き届いているのがうなずけた。ここまでちょうど1時間。
そこから15分ほどで星が森（820m）に着いた。鉄の鳥居越しの石鎚が素晴らしい。お遍路さんもここまで来ると霊峰に近づいたという感じがしたことだろう。
「霊峰を心に思ひたどりきぬお遍路の目に一筋の雲」
横峰寺の本堂、山門まで行き、御朱印を頂いて、再び星が森に戻り、遅い昼食をとる。昼下がりの陽だまりが心地いい。
来た道を虎杖に戻る。黒川道の古道は、ここから谷沿いに成就社に通じていたが、昭和40年代に石鎚山ロープーウェイができて廃道同然になった。
せっかくの機会だと、河口の横峰寺分院による。河口は、成就社に至る今宮道の登山口で、ここもかつては石鎚登拝の基地として賑わったところだ。しばし河原に下りて紅葉の渓流を楽しむ。三碧渓と呼ばれるだけあって、伊予の青石の河原が美しかった。
注� �本堂の高さでの比較した場合
（2002年11月4日及び2005年11月23日の記録から）
（参考資料� 縫◆櫂襪亮命慎�「石鎚村」
https://ameblo.jp/ryu260701/entry-12568948190.html
（参考資料�◆棒ジ佑療腓�ら
「中四国の霊山６ 江戸時代の石鎚参拝登山「お山開き」編」
http://tono202.livedoor.blog/archives/4258279.html
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