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シャクナゲで有名な吉野川流域の帰全山公園をめざして、高知の嶺北地方を巡るドライブに出かける。寒風山トンネルから高知県にはいり、帰全山公園に着くと、吉野川越しに姿の美しい白髪山が遠望でき、急に登りたくなってしまった。
大原富枝文学館や四国の水がめ早明浦ダムの見学はそこそこにして、行川林道から白髪山の登山口に向かう。林道沿いにある落差15mほどの樽ノ滝にも、ついつい寄ったので、登山口に着いたのは午後2時近かった。
白髪山(1470m)は、古くからヒノキの天然の美林で有名である。江戸時代初期の元和年間、財政危機に陥った土佐藩は、白髪山のヒノキを切り出し、汗見川、吉野川を筏で流して大阪まで運び、財政難のピンチから逃れた。
その後、藩の御留山として資源保護が図られたため、ヒノキの天然林が維持され、今でも白髪山の南西面の標高1,050m〜1,250mにかけて、八反奈路と呼ばれる根下がりヒノキ群生地があるという。
「根下がり」というのは、自然と朽ちた大木の株に落下したヒノキの種子が発芽し、先代株が朽ちるのに並行し、根が地中に下がるように伸びていくことからくる。この時間からでは、八反奈路まで行くのは到底無理だが、その雰囲気を少しでも感じとれればと、歩く楽しみが増えた。
標高1000mほどの登山口からしばらく上っていくと、根下がりのヒノキと思しきヒノキに出会う。確かに、根が地中に下がるように伸び、根の間が空洞のようになっている。山中には、もっと巨大なものもあるに違いない。
ところどころホンシャクナゲの花が咲いている。黄色い花コツクバネウツギが色彩を与える。急坂を上り、まくように天狗岩に登ると、ヒノキの白骨林が見渡せた。山頂には1時間ほどで着いた。
帰路は、吉野川を下流方向に車を走らせ、大豊町まで行って高速に乗った。大豊町には今も碁石茶という珍しいお茶を生産している人がいるという。碁石茶は、中国のプーアル茶のように乳酸発酵したお茶で、黒い色をしている極めて珍しいお茶である。しかし、この日は残念ながら時間的に生産者を訪ねていく暇がなかったので、後日、もう一度出かけて手に入れた思い出がある。
(2003年6月8日の山行記録メモから)
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