写真2:2640m鞍部熊ノ平側の崖。普通はここで撤退
写真3:黒檜山山頂標識
久しぶりの熊ノ平に行ったついでに熊ノ平から黒檜山を往復してみた。ネットでの事前調査無しだったが、周辺から見てまず分かったのが2695m峰山頂部のハイマツ藪とその先の尾根のガレ。そして安部荒倉岳付近から見えた尾根上の崖らしき地形。そんなものに対応するよう補助ロープなど持ってこなかったのでこりゃヤバそうだと直感するに十分だったが、とりあえず行ける所までいってみることに。
2695m峰は遠くから見えたように立ったハイマツ藪。しかもこれが2670m峰まで続く。さらにこの尾根は両側が切れ落ちて尾根を迂回するのが難しい(危険)。主に北側の尾根直下は草付きで歩きやすいのだが急斜面で滑ればアウト。そもそも崖で歩けない場所も多い。2670m峰までは50%くらいが立ったハイマツ藪漕ぎで疲れた! 腕は筋肉痛だし長ズボンだったのに足は傷だらけ。衣類はハイマツ臭い! クライマックスは2640m鞍部。ここの熊ノ平側が5,6mくらいの崖になっていて尾根直上は下れない。ただし1枚岩の崖ではなく途中に木が生えたりしているので下れないことは無さそうだがもし落ちれば軽いけがでは済まない。ここで諦めようと考えたが南側から迂回ルートを探り、草付きの急斜面を下って崖の基部に到着。そこには棚があって安全に鞍部に乗り移れた。
2670m峰以降はハイマツ区間が終わってシラビソで歩きやすくなってスピードアップ。無事に黒檜山に到着できた。しかし帰りのハイマツ漕ぎも崖の通過も厳しく、黒檜山に登るなら三峰川側からの方が絶対にいい。熊ノ平小屋のご主人に話を聞いたら私のように熊ノ平から黒檜山を目指す人はいるとのことで、前回の挑戦者はあの崖で撤退したそうだ。
所要時間
熊ノ平−約2時間(休憩無しで歩き通した)−黒檜山−約2時間15分(休憩含む)−熊ノ平
toradangoさん、こんばんは
赤城山には行った事がありませんので、どこか知らない山域の話しかと思って読んでいたら「熊ノ平」と出ていたので、アレ?と一気に夢中に読んでしまいました
やはりtoradangoさんは別格ですね
しかし、このような感想を拝見すると僕も行ってみたくなってしまうんですよね(笑)
この二枚の写真と分かりやすい解説でイメージは掴めますが、また詳細な記録をUPして頂けたら非常に嬉しいです
それにしてもkumoさん流石ですね
また楽しい目的が出来ました! ありがとうございます
kaikaireiさん、こんばんは。
今回歩いた黒檜山のルートはハイマツ籔に関しては甲斐駒の坊主山より格段に楽です。何せ歩くのは広い斜面ではなく痩せた尾根直上なので、頭上から横に延びたハイマツの幹を押し広げるようなことはなく、ほぼまっすぐ立ったハイマツの枝を分けるだけ。しかもハイマツの続く距離は約400mでそのうち半分くらいは左右に迂回可能です(ルートを見極めることができればの話ですが)。
ただし、このルートは危険個所が多数あり体力、籔漕ぎ能力ではなく危険地帯での状況判断力が大きくものを言い、通常の籔山の世界とはちょっと状況が違います。濃い籔を避けて左右に迂回するにも尾根が痩せている個所が多く、尾根直下は籔は無く草付きで籔は薄いのだけど滑れば谷底・・・って場所が特に尾根北側に多く、どこで籔を迂回してどこは尾根直上の籔を行くのか判断が難しいです。南側に安全ルートがある場合もありました。こんな場合は安全のためにロープを持って行ってバックアップを取りながら迂回ルートを多用するのがいいのですが、かなり時間がかかると思います。かと言って尾根上のハイマツ藪をずっと行くとかなり時間と体力を消耗します。今回は50%くらい藪を迂回できましたが、それでも所要時間は往路で無休憩で2時間、復路は疲れて休憩込みで2時間15分でした。
右腿の藪漕ぎの傷は結構グロいです。横に寝たハイマツの幹に乗ってバランスを崩した時に作った傷ですが、ズボンを履いていてもこれですから。下手なバランスの崩し方だと崖下転落です
私が往路で迂回した崖は通常はロープが無いと下れないと思います。私は南側から迂回しましたが、その崖の基部に下るまでの安全ルートを見極める力が無いとヤバいです。草付きの結構な急斜面でした。復路ではハイマツ急斜面登りを避けてその崖を直登しましたが最後の2mは横向きのハイマツの幹が張り出して登ることができず、今度は北に巻いて尾根上に出ました。これも通常は直登しないでしょう。他にも岩峰があって迂回したり直登りしたり、現場の状況によってその都度判断しましたが、全個所で写真撮影できた保証はないので(余裕なし)記録は書いている途中ですが書き漏らしがあるのは確実と思われます。
北アの前穂〜明神岳主峰より格段にヤバかったです。熊ノ平〜2670m峰を通過できれば奥穂〜西穂は楽勝でしょう
kaikaireiさんの脚力を100%発揮するのなら三峰川側の林道(今は伊那市杉島にゲートあり)から自転車でアプローチが最適かと思います。こちらは林道が長い+三峰川の渡渉あり(今の時期だと登山靴のまま渡るのは無理でしょう。濡れてもいい靴で渡って下さい)、林道から山頂まで標高差があるなど不利な点がありますが、少なくとも最初の尾根取り付き(かなり急)以外は危険個所はありませんし、ここは今回のルートよりずっと危険度は低いです。また籔の濃さは熊ノ平経由とは比較にならないほど楽です(全く無いとは言いませんが)。それに熊ノ平まで入るための体力と時間を考えれば三峰川側の林道の方が確実にメリットがあると思います。伊那谷地方の山の専門家、yama-takeさん等が林道ゲート設置後に自転車利用で登った記録が多いに参考になります。kaikaireiさんなら楽勝日帰りでしょう。私の時代は大曲まで車で入れたのでその後挑戦されている人に対して申し訳ないくらいです。
正直、今回のルートは他人に勧められたものではありませんでした。ここは1つのミスで命を落とす可能性があります。突っ込む場合はロープ(命綱)を準備してやるべき場所です。
toradangoさん、詳細なアドバイスありがとうございます!!!
いや、仰る通りそこまでの難易度とは思っていませんでした まだいつ行くとも分かりませんが、前穂〜明神岳主峰より難易度が高いとなると仮に稜線から行く場合でもロープ持参装備で行こうと思います。
こういう尾根で危険を回避する力は経験と総合力が必要ですので、可能か不可能かも含めて慎重に判断したいと思います。
yama-takeさんは以前から気になっていた方で、良く記録を拝見させて頂いております
僕的には素晴らしい記録が多いと感じる方ですので、今後も参考にさせて頂きたいと思います。
ブログの方の記録を楽しみに待っています!!!
お盆休みなので引越し準備&先日の記録書きやってます。どうも明日明後日も天気が良くないらしいので、今日と同じような生活になりそうです。
今回のルートのイヤらしいところは籔で先が見えないことにあります。穂高周辺は森林限界を超えているので岩ばかりで視界を邪魔するものは無く、登りも下りもルートの先まで見通せるので登れそうな/下れそうなルートの判断が比較的容易にできますが、あの尾根は森林限界ギリギリの立ったハイマツ+シラビソ幼木で、特に下り急斜面の下方は全く見えません。これから下る先が見えない中を下るのは非常に怖いですし、見えない足元が崖の上なんてこともありました(足を出すのが怖い)。これがもう少し標高が低くて森林限界以下だったら背の高いシラビソが中心でこれまた視界が得られるのですが。
尾根上は強固なハイマツ籔でも左右に避ければ籔を回避できる個所は、私の分かった範囲ではハイマツの続く区間で半分くらいありましたが、その存在は尾根上からは籔で見えません。実際にルートを左右に振ってみないと見えませんが、ハイマツの中でこれをやるのは大変ですね。もしかしたらもっと避けられたのかもしれませんが、これで良しとしましょう。
ここもやるならもっと涼しい時期の方がよさそうです。いくら標高2500mを越えていても日中の暑い中でのハイマツ格闘は厳しすぎです。汗の臭いに寄ってくる虫も多くて不快極まりなかったです。汗を拭う濡れタオルと虫よけを持って行ってよかった!
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