その大きな一因は、ネットの急激な発達により、ガイドブックではカバーしきれない膨大な口コミ情報が瞬時に飛び交っていることによるといわれます。確かに、沢山のキレイな写真と共にリアルな体験記に触れ、「ここが良い感じ!」と知れば、ツアーでなくても誰でも行きたくなってしまうことでしょう。ヤマレコの原理と同じです (笑)。この結果、私の会社のご近所にある某大学のキャンパスまでが外国語であふれるようになったりして、何とも目をパチクリ せずにはいられない今日この頃。
とくに、中国の人が多いですなぁ……(バブル崩壊開始で一頃よりは減ったかも)。台湾人観光客との違いは、同じ言葉を話しているはずなのに全然違う音量やトーン (声調) の上げ下げ、明らかに日本とも台湾とも異なるファッションセンスなどなど、慣れれば一目瞭然です (中国語が分かればの話ですが ^^;)。
そこで先日ふと、「では例えば、中国でのネット口コミ日本情報の現実はどうなっているのか」と思い、試しに日本の (外国から見れば) マイナーな (?) 地名が出てくるかどうか、検索をかけてみましたところ、ドワーッと検索情報が出てきてビビりました……(滝汗)。それとともに、「どうやらこういうところが情報源なのか……」という旅行口コミサイトとして、例えばここ↓に行き当たりました。たくさんの画像とともに、交通情報・関連情報・移動行程・感想を書くのはヤマレコと全く同じ発想です……。(とにかく画像が多く (サムネイルではない)、しかも音声ファイルをBGMとして仕込むことも出来るため、結構重く注意)
http://www.mafengwo.cn/
どうやら日本旅行情報に関していえば、個人で日本に滞在し旅行することに関しては一日の長がある、在日中国人留学生や台湾人観光客が最大の情報源で、それをもとに中国からも、爆買いを兼ねて個人旅行に訪れ、その経験がSNSの原理を通じて加速度的に広がって行く……ということのようです。
そして恐れ入るのは、中国で約1週間以上の海外自由旅行が出来るのは、一部の金持ちやそこそこリッチな中間層の特権であることからして(この国を、平等を目指す共産主義国家と思っている方がいらっしゃれば、今すぐその考えを捨てるべき)、「これでもか!」というくらいに、顔出しで超リア充な豪遊ぶりを見せつけられることです (滝汗)。要は、自分こそ「小資(プチブル)」「小清新(プチでキラキラフレッシュ)」な憧れのライフスタイルを実践できる人間で、その模範の国である日本で豪遊できる人間だ!ということを見せつける舞台になっているのです…… 。
これに比べれば、多少装備品にお金をかけたうえで、日帰りから数日の日程の体力勝負で山頂に立ちVサイン、というヤマレコなんて可愛いものです 。
なお、中国のネットでは、隠語が非常に発達しており、
LZ=楼主 (Louzhu)=スレ立て主
霓虹 (虹の意)=Nihongと発音して日本を指す (日本をそのまま読むとRiben)
といったお約束があったりします。
というわけで、インバウンド業界に勤務されている方は、是非漢語なり英語なりをマスターされて、ネットにかじりついて彼らの消費・観光スタイルを研究されると良いと思いますが、心が狭い私としては全く別の目的で見てしまうのでした。北海道とか箱根とか京都奈良とか、いわゆるゴールデンルートはさておき、何故伊豆の修善寺みたいな地味なところに……?
いわゆるアニメ聖地巡礼も、台湾人観光客が来たあとには必ず中国からも、ということで、マンガ『スラムダンク(灌籃高手)』の聖地とされる鎌倉高校前の坂と踏切は、ほとんど必ず訪問すべきところとなっているようです (そして、鎌倉高校は大変なことに…… )。
また秩父も、『あの花(那朶花、または未聞花名)』の聖地として、既に巡礼の対象となっています。今後、芦ヶ久保の氷柱や羊山公園の芝桜も、池袋からすぐなだけに、果たしてどうなるのでしょうか。個人的に「ここは余りにもシブくてツウ好みなところなので、国際的に広く知られなくて良い」と思っていたのですが……(ココロ狭っ!)。
ただ、山に関して申しますと、やはり特殊な装備や詳細な事前情報が必要であるだけに、旅行記ネタとしてはほとんど見かけない印象です。日常的なスポーツとしての登山は発達の余地が少ない国ですし……(中国で山とは、万年雪の高山や山水画の風景名所を除けば、基本的に貧しい農民が必死に生活する空間であり、ぶらりとハイキングしに行くようなところではなく、そんな山岳文化もありません)。他の口コミサイトを含め、富士山・高尾山・箱根大涌谷・立山黒部アルペンルート・大雪山旭岳ロープウェー周辺、といった交通が整備されたところは、さすがにお馴染みになっているようですが。
それでも、マジで恐いと思った話として、こんなものもありました。
「アルペンルートに乗って残雪期の室堂を訪れたら、目の前の雄山の風景に感動して、ちょっと行ってみようと思い歩いてみたものの、他の日本人が持っているような鉄の爪(=アイゼン)もなければ水も食糧もなし。何とか雄山まで往復したものの、常に滑らないかヒヤヒヤ。水も途中で日本人に恵んでもらったり、水たまりを見つけて何とかしのいだ……」
これはいつか必ず、外国人観光客の無知による遭難が多発するなぁ……と思うわけで、関係諸機関の皆様の気苦労も増えることとお察しします。観光地と険しい登山道が接したところでは、日本語・英語だけでなく複数の言語で、「ここから先、装備なき観光客不可!」という掲示を出す必要もあるでしょう (例えば、箱根大涌谷の登山道入口のように……)。
ちなみに、『ヤマノススメ』は台湾で『前進吧!登山少女』、中国で『向山進発』という名前で読まれているようですが(「ススメ」が違う意味になっているような……笑)、山登りのハードさや、登山口へのアプローチのしづらさからして、とにかく聖地巡礼しづらいコミックス&アニメ・ナンバーワンと思われているようです。中国語で「オレのようなデブヲタが一体どう聖地巡礼しろと……?」というぼやきを見たときにはニヤッとしてしまいました 。
(画像1) スラムダンクの聖地・鎌倉高校前は、昼間になると必ず記念写真のカオスに。
(画像2) 訪日観光は、自らの志向に基づいて、多くの観光客が「ゴールデンルート」の外側を求める勢いに。秩父も「あの花」の聖地として……(西武電車の側面に貼られた、西武社員の制服×あの花イラスト)。
こんばんわ。
鎌倉高校前駅辺りはスラムダンクばかりでは
なく「天空のエスカフローネ」の聖地でもあ
りますがね
もっとも「エスカフローネ」の地球側の舞台は
鎌倉なんで当たり前っちゃ当たり前なんですが。
「オレのようなデブヲタが一体どう聖地巡礼しろ
と……?」
笑えました 、が山登りとアニヲタ、ゲームヲ
タの親和性は非常に高いので、その中国のヲタも
いずれ来るんじゃないかと
こんばんは、コメントどうもありがとうございます!
えええ……あの踏切はスラムダンクだけではないのですか!
ともかく、あの踏切がアニメに採用されて聖地認定されて以来、鉄ヲタにとって定番のアングル【坂の上の方から望遠レンズを構え、海と電車を圧縮させて写す】は不可能になってしまいました。いつでも観光客がいますので……。
デブヲタの場合の、聖地巡礼とヤマノススメの相性の悪さは、中国人や台湾人だけでなく日本人も全く然りでしょうね 。とりあえず、中国語でググってみた感触からして、飯能を訪問して喜んでいる台湾/中国人は増え始めているという印象ですが、今後実地に山に登ろうとするなら、ちゃんと装備は揃えて、簡単な日本語は覚えておいてね、そして日本の登山マナーに従ってね……と思うばかりです (路傍の花は持って行かない/岩に名前を刻まない etc...)。普通の観光地や下界のマイナースポットと比べても、山は言葉が通じないと、あるいは土地勘がないとどうしようもない世界ですから……。
「エスカフローネ」は踏切ではなく駅のホームですけどね
熱心なファンは巡礼して、最終回のヒロインひとみの如く
駅のホームから海を眺めて主人公バァンの幻を見るようです
そうそう「TARI TARI」も鎌倉高校前駅が聖地では無かったかな
こんばんは、レスへのレスどうもありがとうございます〜。
ホームにしても踏切にしても、鎌倉高校前を訪れた人は必ずひとしきりあの周囲をウロウロ、もとい散策するでしょうから、今後ますます多くのアニメ聖地に指定されて行きますと、一体どうなってしまうのでしょう…… 。
もともと昔から、海が目の前でロマンチックな駅として知名度は高く、土曜休日であれば三々五々途中下車してまったりする観光客はいましたが、平日の日中などは誰もおらず、目の前の車のほかは波の音が聞こえるだけ……というのが何よりの味わいでした。そんな時代はもう戻ってこないのですね……
まぁいいです。鎌倉の登山道に入れば静かですから
こんばんは!!
最初、bobandouさんとは知らずに凄い博識な方の日記だなあと思って読んでました
で、紹介してくださったサイト見に行きました。
「日本初体験 暴走13…」へええ、よく巷で見かける
中国人アベック旅行者、大きなスーツケースで衣装もたくさん持って歩いてる見ますが、こんなリッチな旅してるんですねえ。景色のよいところで何遠慮することなくモデル撮影会みたいに写真撮りまくってますね。先日行った京都でも大阪でも見ましたし、どこ行ってもとにかく目立ってます。
ケチケチ旅行したり、山登ったりしてる我々がいじましくなりますね
そういえば朝NHKで外人向けにお得な鉄道パスで旅行してる人達のこと放送してました。う〜らやましい
実に興味深く面白い話題でした。
ありがとうございました
こんばんは、コメントどうもありがとうございます!
一応中国語ができるばっかりに (←英語よりはマシ ^^;)、ヤマレコそっちのけで眺めてしまったネタをグダグダとまとめてみたものですが、実際にこのサイトを覗かれてビックリ仰天 (?) されたようで、ご覧頂きどうもありがとうございます〜
とにかく、カネのかけ方はハンパなものではなく、ポーズの取り方も写真の撮りまくりぶりも含め、バブルの頃の日本人も真っ青という感じです…… 。こういった旅行記を見たあとでは、「ひょっとすると京都でレンタル着物を着ているのは、日本人ではなくほとんど外国人なのではなかろうか……」という気にさせられます 。
ガッツリとリッチな消費と比べますと、とにかく体を使って、下界では手に入れられない景色と経験をゲットにしに行く登山というのは、明らかにいじましい別世界の行為なのでしょうね〜
それにしてもホント、外国人向けのJRパスなどはメッチャ格安で (大人の休日倶楽部よりも全然お得なのでは?)、この話に触れる度に「ウギーッ!肝心の日本人の働く世代は、長い休みをなかなかとれないし、高い運賃&料金を払わなければいけない。訪日客商戦も良いけど、日本人がもっと休みを取りやすく、安い費用で旅行できるようにすることこそ、内需拡大のための特効薬なのでは……」と歯ぎしりしまくりなのは私だけでしょうか。
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