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2016年05月26日 22:55ヤマレコ赤線マニア全体に公開

栃木県馬頭を訪ねて(歌川広重・山里・温泉・美食)

 目的地は山であるものの、その途中で訪れる街や温泉も楽しめてしまうのが、山旅趣味の奥深さかと思います。とりわけ、「ヤマレコ赤線延ばし旅」と称して、ある山を目指して延々と見知らぬ下界を歩いていますと、ふだん交通機関や自家用車を使ってあっという間に移動してしまうのとは全く違い、歩く目線と速さで新たな発見をする機会が本当に多いです。嗚呼……やっぱり徒歩こそが、旅の最も原始的形態にして、究極の姿だな!と思います。

 そこで特に気に入ってしまった場所について、余りバラし過ぎて知名度が上がってしまいますと、雰囲気がどんどん変わって後日悲しい思いをすることもあります。とくにネットの時代には……。それでも一方で、余りにも感動するあまり、誰かに知らせたくてウズウズしてしまうのも確かです。どうせネット上では無名に等しい自分がちまちまと記すだけで、注目度は高くないでしょうし、共感してくれる方だけにご覧頂き参考になれば良いだろう……と。

 山に関して、そういう思いをぶちまける場が、ヤマレコなのではないかと思いますが、今月の前半、那須岳を目指して栃木県東部を歩いて縦断した際には、決して山には登っていないものの、誰かにこっそり教えたくて仕方がない場所を訪ねましたので、ここに備忘録的に記してみたいと思います。那須野ヶ原の南端、那珂川の畔と八溝山地の麓に位置する馬頭の街と温泉が、このたびのお気に入りです♪ (他にも、「こんな世界があったのか……」という個人的新発見がいろいろあったのですが、書き切れない……^^;)

 ここ馬頭は、かつて水戸方面と那須界隈を結ぶ交通の要衝・物資の集散地として栄えたようですが、今では交通の主な流れからは外れてひっそりと佇んでいます。しかしそれだけに、山里の眺めと那珂川の滔々とした流れが何ともほっこりとした気分にさせてくれます。そして、街の名前の由来になった馬頭観音がある寺(馬頭院)をはじめ、新緑に包まれた寺社を巡り歩くだけでも、何だか鎌倉あたりを散歩している(しかも観光客は滅多にいない♪)ようなノリを味わえます。

 そんな馬頭の街にあって、ひときわ伝統文化の薫りを放っているのが「馬頭広重美術館」です。栃木県内在住の歌川広重浮世絵コレクターが所持していた本物をまとめて保存する場所として馬頭町(いまの那珂川町)が名乗りを上げ、隈研吾氏の設計によるモダン・ジャポニズム的 (?)建築が、緑の風に包まれて鎮座しています。というわけで、赤線延ばしの旅のついでに、浮世絵で東海道五十三次に思いを馳せるひとときを過ごしてしまったのですが、中に入っているレストランで食べた地粉そばも美味かったぁ〜☆ そして、重い荷物になってしまうにもかかわらず、東海道五十三次の図録を買ってしまいました (^^;)。

 それにしてもこの建築、既視感があるなぁ〜と思ったら、建築家が同じですからそれもそのはず。京王の高尾山口駅と、天井のデザインや木の使い方が似ています 。(そういえば西武の超豪華レストラン電車の車内も同じですね)

 馬頭の街で、黄金週間中にもかかわらず超まったり・ほっこりと日本文化の真髄を味わったあとは、道の駅で栃木いちご果肉たっぷりのアイスを楽しみ、さらに小一時間歩いて馬頭温泉の宿「元湯・東家」へ! 温泉と言っても温泉街があるわけではなく、山と那珂川に挟まれた道路の脇にちらほらと温泉宿が佇むのみで、部屋の窓から外を眺めれば真下には那珂川が流れ、対岸には水田や住宅が広がり、聞こえてくるのは川音と鶯のさえずりのみという、本当に「《何もない》がある」田舎温泉そのものです
 そんな温泉が、これまでの自分の温泉経験の中でも最強クラスのヌルヌル・スベスベ度と、長時間歩行の疲れも一発で取れるほどの効き目を誇り、夕食には美味しい田舎料理が「これでもか!」というほどに出て来たとなれば、満足以外の何物でもありません♪ 那珂川の畔らしく、鮎の焼き物を楽しめたのもさることながら、温泉の成分が海水に近いために養殖しているというフグの唐揚げが超絶にウマ過ぎました……。

 こんな感じで、心静かに、心ゆくまで「古き良き日本の田舎」を楽しめる馬頭。赤線延ばし旅のついでに立ち寄った場所として、本当に印象に残りました。他にも鉄ヲタな方には、古い入換用機関車を収集した「那珂川清流鉄道」も大いにオススメできます。もしここがもっと東京に近いところにあれば、間違いなく観光地としてもてはやされるでしょうが、そうなったら逆に魅力が下がるはず。いつまでも、文化の薫りと湯の香りが田園風景の中に漂う、知る人ぞ知る古き良き日本の山里らしさを保って頂きたいものです。(→いずれ何度でも再訪する気満々 )

 さて、今後も果てしなくヤマレコ赤線延ばし徒歩旅を続けて行く中で (努力目標 ^^;)、どんな見知らぬ街・温泉・美味いメシ etc...との出会いが待っているのか、ワクワクします。
 日本列島は面積は大きくないかも知れませんが、見知らぬ多様なところがありすぎて、実は巨大な国なのではないかと思う今日この頃です……

 ※補筆……馬頭温泉の北東には「日本で最も美しい農村」の一つとして認定されている小砂地区があります (今回は時間の都合で寄ってない ^^;)。また、那珂川対岸の旧小川町エリアには、栃木県最大のカタクリ群落である「カタクリ山」 もあります。
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コメント

RE: 栃木県馬頭を訪ねて(歌川広重・山里・温泉・美食)
bobandouさま
こんばんは
茨城と栃木県境の那珂川に沿ったこの地域は、観光地でもなく車を持たない自分には未知の場所でした。
憧れる余り「富山のイワウチワ」のヤマレコを頼りに旅を企画し、皆を連れて行ったことがあります。
2013年の春のことです。
bobandouさんの写真と旅で見た風景が重なり、実は随分と熱くなっていたのです。
道の駅ばとうのジェラードは堪能したものの広重美術館も馬頭温泉も素通りで、八溝山地を抜け袋田へと向かってしまったのが今思えば残念。
私は歩くことができないので、また運転してくれる人をなんとか誘う手段を考えねばなりません。
「何もない」があるって、いいキャッチコピーですね。その線で誘ってみようかしら
2016/5/27 23:17
>mattyanさま
こんばんは、コメントどうもありがとうございます!
富山のイワウチワ……ん?んん?……ということでググってみたところ、こんなところもあったのですね!!
これはもう、カタクリ山と富山、そして馬頭温泉宿泊を組み合わせた1泊2日の、ユル〜い花の里山ツアーの出来上がりではないでしょうか…… 。季節柄スギヒノキ花粉は多そうですが

なるほど、「地図を眺めていて土地勘がなくナゾではあるものの、何となく惹かれる」場所を敢えて訪れて、結構気に入った……というご記憶があれば、自ずと私が歩いたレコをご覧になっても興味津々になられるのでしょうね〜
広重美術館と道の駅であれば、烏山や氏家からの路線バスで到達できますが、馬頭温泉や花の里山スポットにはバスがありませんので、敢えて赤線延ばしで舗装路を歩くという面倒をするのでなければ、どうしても他の方に車を出して頂くのがベストですね……(今回泊まった「元湯・東家」さんは、事前に連絡すれば道の駅まで送迎してくれますが)。

http://motoyu-azumaya.com/
(超おすすめ・楽天トラベル等で予約可)

ちなみに、「《何もない》がある」というのは、千葉県・いすみ鉄道の社長がローカル線と大多喜の街を売り込むためのキャッチコピーにしているのですが、今回訪れた馬頭、そして那須野ヶ原の田園風景にはドンピシャな表現だと思いました
2016/5/28 1:17
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