草花の写真撮影を趣味にする昔のスキー仲間に、久々に春の便りを思い立った。
自分は近年、皆さんに年賀状と暑中見舞いの卒業を宣言して終活中の身なのだが〜
彼はパイプ煙草の愛好家で、山中でも格好よく紫煙を燻らせていた。
自分は当時紙巻専門だったが、その格好よさに刺激され首(火皿)がシガレット用に造られたパイプを購入したことがあった。
だが、自分がそれを燻らせる姿は様にならなかった。
彼のブライヤー・パイプの木肌が艶々に輝いていたのが印象に残っていたので、久しぶりにブライヤー軸の万年筆を取り出してみた。
案の定 長期間の放置で、インクが乾き固まって書けない。
軸とカートリッジを外してペン軸を温湯に浸し、綺麗に洗って新しいブルーブラックのカートリッジを付ける。
筆記具が書ける段になると、今度は住所録が見当たらない。
家探し同然で探し出した住所録だが、彼の名前には消去線が引かれ自分の筆跡で2年前の命日が記されていた。
突然、悲報の記憶が明瞭に蘇った。
そうだったのだ〜、便りを受取るべき彼はもうこの世に居ないのだ。
寂しさが湧きあがり、そして暫し愕然とした。
老いを重ねると、こんな事もあるのだと思い知った。
昔、ブライヤーパイプの木肌が余りに綺麗なので、手入れ法を聞いたことがあった。
胡桃の実の食用部分で磨き、油分を擦り付ける自己流と言っていた。
彼の手入れ法を、万年筆のブライヤー軸に試してみようと思う。ainakaren
*ブライヤー [ 地中海地方原産のツツジ科エリカ属の常緑低木または小高木。高さは1〜6メートル。根は良質のパイプの材料とされる。]
はじめまして。
oyama56と申します。
昔読んだ開高健のエッセイに、パイプをクルミで磨くって読んだのを思い出しましたが、住所録を読み返した記述が秀逸で、なんかよく書けてる短編小説を読んだかのような読み味のある日記に脱帽です。
ありがとうございました。
oyama56さん、こんばんは。
コメント深謝です。
パイプ磨きの話を聞いたのは独身時代(1959年〜60年)のことでした。
昔のことをよく覚えているのに、最近2〜3年のことは忘れてしまうことが多くなり戸惑います。
開高健氏も書いていたなら自己流と言うより、一般的な磨き方なのかも知れませんね。
せっかく情報を頂戴しましたので、本文の字句を2文字省いて見ました。
お褒めいただき恐縮ですが、開高健氏のような上手い文章は逆立ちしても書けないと思っています。
有り難うございます。ren
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