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当時大きなニュースになりました。
冒頭に巨大雪庇の崩壊と遺体捜索までが簡素に語られ、中盤は刑事事件になる場合の被告人と弁護人のやるべきことがこの遭難を軸に分かり易く解説されます。
後半は従来の遭難には見られない徹底した原因究明としての雪庇の解析の様子が語られます。
雪庇の定義に始まり、発生現場で最高地点から風下の谷に向け垂直に掘られたトレンチから雪庇の成り立ちや構造を突き詰めていきます。
私もその昔、3月の北鎌尾根で独標基部の雪の斜面に縦穴を掘り、テントを設営したことを思い出し、夏の北鎌を知らない私としてはあそこは下に地面が有ったのかなと今更のように怖くなりました。
「巨大雪庇」は踏み抜くのではなく、自己崩壊すること、そしてのその予測は不可能に近いことを知りました。
前半の崩壊の瞬間の生々しさ、中盤の被告人としての心構え後半の雪氷学と非常に勉強になります。
当事者、登山家、弁護士、学者が一体となり世に送り出した本書は多くの登山愛好家に読んで頂きたい一冊だと考えます。
新聞記事だけでは知り得ない事実が多く記述された貴重な図書です。
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