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我々は燕山荘で受付を済ませ、休憩ののち、山頂を往復しました。山頂から燕山荘に戻る時、Mちゃん親子が登ってきました。風化したざらざらの斜面に階段が敷設されているところです。今度はお父さんが先に立ち10メートルぐらい下をMちゃんが四つん這いになってゆっくりと登ってきます。手足をどこに置くべきか悩みながら進みます。階段の間隔が広く四つん這いでは体が完全に横になってしまい具合が悪いようです。Mちゃんはハタと気がついて立ち上がり、今度は二本足で歩き始めます。しかしまた階段がやってきて四つん這いになります。お父さんは上で見守っています。この間にお父さんからいろいろな山にMちゃんと一緒に行っているお話を伺いました。
この後、燕山荘で食堂の入室を待つときに会い、「Mちゃん」と声をかけるとにっこり笑って挨拶をしてくれます。もう覚えてくれたようです。部屋もすぐ近くで彼女の部屋は梯子の上の部屋でしたが、気がつくとにっこり笑ってくれます。ある時は梯子の下のスリッパを揃えていました。
翌朝は我々より先に出発して行きました。もう会えないかなと思いましたが、合戦小屋の手前で追いつくことができました。合戦小屋のテントの中で待っているとMちゃん親子の到着です。同じテーブルについてくれました。
「小さいですが12歳です。」
「中学1年生です。」
「小さいときからいろいろな山に連れて行っています。」
「木曽駒が岳や・・・・ロープウェーがある山が多いですね」(笑)
「鈴鹿の山にも行きました。」
「何があっても無事に下山できる準備をしなくてはなりません。」
「一回は背負って降りたこともあります。」(笑)
蜜柑のドライフルーツを差し上げるとお父さんが「Mの大好物です。」といってくれました。Mちゃんはお父さんに促されて「ありがとう。」と満面の笑みを浮かべて頬張ります。そのあとお父さんがMちゃんの雨具、帽子、ザックを点検して整え、先に出発しました。
我々は富士見ベンチの手前でMちゃん親子を「Mちゃん」と声をかけて抜きましたが、もうあのはにかんだ笑顔に会えないかなと思うと少し残念でした。
金曜日は北鎌尾根がはっきり見えていましたが、土曜日は霧と雨でした。しかし、何よりもMちゃん親子に出会えたことが今回の山行の最大の収穫でした。
Mちゃんたちは雨の中無事に下山できたかな。
また、どこかの山で優しいお父さんとMちゃんに会いたいです。
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