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2012年2月24日発行
17人の作家による3.11アンソロジーですが、その中で明川哲也の「箱のはなし」が群を抜いて秀作でした。誰だろうと思ったら昔叫ぶ詩人として注目を集めたドリアン助川氏でした。
「あん」
2013年2月3日発行
やる気のない雇われどら焼き店店主の許にあんこを私に作らせてくれと老婆がやってくる。そのあんの美味さに店は繁盛するが老婆が元ハンセン氏病患者であったことが知れ、解雇される。実際のタイトルは「あ ん」。
52音の「あ」と「ん」以外を全て隔離病棟で過ごした老婆の人生そのものを表しています。
「線量計と奥の細道」
2018年7月18日発行
ドリアン助川氏が2012年8月から11月にかけて奥の細道を折り畳み自転車で巡り、人との出会いを中心に線量計を片手の紀行文です。
気取りのない文章で読みやすいです。
私も石巻若宮丸漂流民の会の関係で2011年9月に石巻門脇町を訪れました。
宿泊は「今波の乗るホテル観洋」に連泊して南三陸町にも足を運びました。
当時は全国から支援に訪れたボランティアと各都道府県の警察官が宿泊客の大半を占めていました。
製紙工場と日和山の裾で狭まるところのラーメン屋さんに入りました。
壁の1メートほどの高さに喫水線があります。
ここまで水が来たんですか。
そう、でもね、あそこの狭まったところにトレーラーが横倒しになってその上に流れてきた家が乗っかり、堤防になったんですよ。それでがれきがそこで止まって水だけが押し寄せて店が壊れずに済んだんですよ。
テレビで見るのではなく、とにかく来て見てほしいですね。
その後毎年伺うようになりました。
墓石が倒れ骨壺が散乱する石巻。
巨人が手で丸めたような車が散乱する南三陸町。
彼女の声が聞こえる。
翌年はただの野原
初めて訪れた人はここに町があったことは想像できない。
里山を見ればある高さから樹木が赤く立ち枯れている。
津波が到達した高さだ。
よく翌年は道が変わり盛土だらけ。
さて目に見えない放射線はどうなっているのでしょうか。
「あん」を映画で見ましたよ。樹木希林が老婆の役で。良い映画でした。
差別、災害、人災、それに戦争、関わりたくない話の中に、人の生きる輝きのようなものがあるのはどうしてなんでしょうね。
小説を読んだ後に観ましたが、違和感なくいい映画だと思いました。
北條民雄を読んでから多摩全生園にも通いましたが、平沢保治さんと握手するとき踏み絵を踏んでいるような嫌な自分がいました。
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