今朝電車に乗っていたら中村橋駅でガラガラとカートを引いたお年寄りが乗ってきた。
ホームレスの人かと思いました。
悪臭が漂ってくるのかと思い席を移ろうかと思いました。
穿きならされた運動靴に着古された作業着。頭に赤いタオルのハチマキ。
カートは50センチ四角柱で深さ60センチぐらいで、おじいちゃんおばあちゃんにホームレスの人もご愛用の10センチ角の升目の2輪。
中にはこれまた使い込まれて退色したザックにペットボトルなど。升目にアルミのコップがぶら下がっています。
家財道具一式と言ったか趣。
幸いにも匂ってこない。
席は空いているのに座らず、反対側の閉じているドア近くに立っています。
どこかで見たことある顔だなー。
あれ、ボランティアで有名なおじさんじゃないかな。
あ、貫井中で昨日講演をやったスーパーボランティアと呼ばれている人だ。
昨日、校長がこのおじさんを気に入り100回も講演を懇願してやっと実現したという記事を読んでいました。
この学校は私の娘たちも通った中学です。
それでは中村橋が最寄りの駅です。
合っている。
でも歩いて帰ると言っていたよな。
いずれにしても池袋に行くには次の練馬で乗り換えるはず。
今私にできることは、
慌てて財布から数枚の札を出して四つ折りにして
(5,000円札も10,000円札もあったが1,000円札5枚のほうが嵩があってよい。と訳が分からないことが脳裏をよぎる。)
席を取られないように読みかけの本を座席に置き、数歩の距離にいるその方の肩をたたき「カンパです。」と突き出しました。
その方はびっくりした顔をして手を振り拒みます。
私はひるまず「受け取ってください。」「お願いですから受け取ってください。」
やっと右手で受け取ってくれました。
お互いに笑顔になり、握手を求められたので応じました。
とても力強いです。
ハグもしました。(もちろん匂いません。)
お互いの背中をたたきあいました。
本当はコルセットをしている身としてはきつい態勢でしたが。(笑)
でもこのハグでこの人は本物だと感じました。
物の数秒の出来事です。
気が付くと女性とビデオカメラを持った付き添いの人もいました。
すぐに自席に戻り読書を続けました。
不思議なことに練馬では乗り換えずにそのままその方は乗り続けます。
このまま有楽町まで行くのかなーと思っていたら池袋で降りていきました。
(3人とも有楽町線経由では運賃が割高なのを知らないようだ。)
軽く会釈をすると、その方は私の席まで歩み寄り、また力強い握手をしてくれました。
私は別れ際に「頑張ってください。」と陳腐なことを言ってしまいました。
せいぜい「無理をしないでください。」「お体を大切に。」と言うべきでした。
帰宅してからその方の名前が尾畠春夫さんであることを確認しました。
ネット上には何かネガティブなことも書かれていますが、あの肉体は本物で、間違いなく私にはできないことをやってくれています。
感謝です。
今思うと私が若かりし頃、穂高でバカをやり足を引きずりながら帰京の電車に乗ったとき、向かいの席のご婦人から「お見舞い」と言って渡された包みと同額を尾畠さんにお渡しできたことになります。
しかし40年前と今では貨幣価値がずいぶん違うのでやっぱり私はせこいか。(笑)
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